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名付けちゃった!
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注:今回は本編とは関係の無い、個人的な趣味のお話です。
って事で、何だか知らないうちに色々と悩みを溜めこんでいたらしい。
それが知らず知らずストレスになって、睡眠障害を引き起こしていた様だ。
リリアさんとの会話で、思ったよりも綺麗さっぱりと悩みが消え去った後は、陽が昇るまでぐっすりと眠れた。
…眠れたのがリリアさんのおかげというのが、何となく気に食わないのだが。
身だしなみを整えた後は、戦争中だと言うのに身体を動かしたくなり、外で軽く汗を流す事にした。
タラップを降りると、父さんも皇都方面に向かって、ドでかいバスターソードを高速で振っていた。
「おはよう、父さん」
そっと近づき声を掛けると、
「ふっ! ふっ! おう! おは、よう! お前も、身体を、動かしに、来たのか?」
素振りの手を休める事なく、吐く息と共に返事をする、脳筋親父。
「うん、ちょっとだけね…ふぅ…はっ!」
父さんと並び、空手の型をなぞり、手足を動かす。
俺が、前世で長きにわたり修めて来た空手道は、元をただせば日本古来の柔術がベースらしい。
数多くの空手道よりも、捌き・流し・押し・引き・入り身・転身といった技法が重要視され、それの集大成が型だ。
もちろん突き・蹴りなども重要だし、関節技や投げ技、果ては絞め技も高段者は修練する。
これら高段者の技は、非常に危険なため、高段者同士でしか練習しない。
なにせ、練習中に救急車で病院送りなんて事もざらにあるくらいだから。
型も、表の型と言われる初心者~中級者向けの物から、高段者向けの裏の型もある。空手という無手の格闘術を知らないこの世界の人が見た所で、変な踊りとしか見えないだろうが…。
「はっ! ふっ! せぃやー!」
そんな事を考えながら、無心で突きや蹴りを繰り出していると、いつの間にか気合を発していた。
気が付くと、父さんと俺の間に、もう1本剣が振り下ろされていた。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
父さんの剣よりも小ぶりな両手剣を振るのは、脳筋嫁のイネスだ。
どうやら、俺と父さんに刺激されたらしい。
慌ててやって来たのか、スカートのままだが、そんな事は気にも留めず、無心で剣を振っているようだ。
うん、イネスについては、俺の領地に来た時と比べると、明らかに剣速が増してるな。並みの騎士じゃ、今のイネスの剣は受け止められないだろう。
変身したら…もう、相手になるのは、俺か父さんぐらいじゃないかな?
父さんとイネスの足元は、前後に肩幅程度の地面が抉れていた。
対する俺の足元は、丸く円を描く様な跡が地面に付いている。
歩法というか足捌きというか運足法の違いだろう。
戦いで剣を使う物は、斬撃の速さと威力に重きを置いているそうで、捌くと言う概念は余りない。
捌きや受けは、盾を使うからだそうで、その最たる物がイネスの剣だ
父さんの場合は、完全に受けも捌きも捨てて、ただ一刀の元に切り捨てる事のみを追求してる。
最近、少しずつその感覚が分かって来たとかで、以前まで持っていたドでかい盾を、今は持っていない。
無心で剣や拳を振るって、どれぐらいの時が過ぎただろうか?
ふと周囲を見回すと、撤退準備をしていたグーダイド王国軍とアーテリオス神国軍の兵達が、俺達を遠くから見つめていた。
お仕事の邪魔しちゃったかな? ごめんね。
俺の動きが止まったのを見た、父さんとイネスも、また周囲で自分達を見つめる視線に気づいたようで、居心地が悪そうだ。
誰からともなく、そそくさとタラップへと向かったのは、言うまでも無いだろう。
ちなみに、俺達を見てたのは、兵隊さんや騎士さん達だけでは無かった。
船窓にへばりつくようにして、我が家のメンバーも見ていたらしい。
いやいや、あんたら、いっつも家で見てるじゃん!
え? こんな場所で見るのは貴重だって?
うん、好きにして…
汗を流して着替えをし、朝食後のお茶を愉しんでいると、義理兄のウェスリー第三王子様…もとい軍務大臣と、べダム首長が、一時撤退の準備が整った事を告げに来た。
「いやあ、アルテアン家の朝の修練は、なかなかに激しいですなあ」
王子様に、そう感想を述べられた。
「まったくもって、その通りですな。私も聖騎士時代は、人一倍修練を積んで来たつもりでしたが、使徒殿一家の修練について行く自信は御座いませんな」
え、そんなに? べダムさんぐらいのガタイがあれば、ついてこれそうだけど?
「そう言えば、トールヴァルド卿の技は初めて目にしましたが、無手の技ですよね?」
まあ、俺だけ剣を持ってなかったしね。
「ええ、その通りです。無手にて敵を屠る技の修練です。もちろん、武器術もありますが…」
「ほう…それは、卿が創始したものですかな?」
あ、そうか…前世から身に染みついた技だから、何とも思って無かったけど、この世界に空手は無いんだよな。
…えっと…
「ネス様より賜った技の数々を、私が整理して纏めた物です。武人たる者、戦場で剣を手にしていないからといって、敵に背を向けるわけにもいきませんから」
必殺のネス様からの~で、誤魔化そう。
「おお! 流石は使徒殿ですな! 是非とも、私にもご指導頂きたいものです!」
げっ! べダムさん、変なとこに食いついた!
「うむ、さすがだ、トールヴァルド卿。でしたら、これはネス流格技と言ったところですかな?」
げげっ! 要らんこと言った!
「あ、ええ…まあ。名前はその…特にないです…指導は、また時間がある時に…」
「おお! それは楽しみですな! 是非是非、お願いいたします!」
あ、また要らん事言ったかも…秘伝だから駄目とか言えば良かった!
名前も…あれ? 名前はどうでもいいか…。
でも、どうせなら…
「あ、名前はあります。一聖四天流神拳術です」
思わず名付けちゃった…てへっ!
「「ほう!」」
いい感触…かな?
『厨二病全開のネーミング、ご苦労様です』
うん、サラならそう言うと思ったよ…
『ちなみに、一聖はネスで、四天は太陽、月、大地の神ですから、1柱足りない気がするのですが?』
さっき思いついた名前なのに、もうそこまで読み解かれてるのかよ…
『ほら、残りの神を言ったんさい』
残るは…海かな…
『…普通…』
ごめん…
って事で、何だか知らないうちに色々と悩みを溜めこんでいたらしい。
それが知らず知らずストレスになって、睡眠障害を引き起こしていた様だ。
リリアさんとの会話で、思ったよりも綺麗さっぱりと悩みが消え去った後は、陽が昇るまでぐっすりと眠れた。
…眠れたのがリリアさんのおかげというのが、何となく気に食わないのだが。
身だしなみを整えた後は、戦争中だと言うのに身体を動かしたくなり、外で軽く汗を流す事にした。
タラップを降りると、父さんも皇都方面に向かって、ドでかいバスターソードを高速で振っていた。
「おはよう、父さん」
そっと近づき声を掛けると、
「ふっ! ふっ! おう! おは、よう! お前も、身体を、動かしに、来たのか?」
素振りの手を休める事なく、吐く息と共に返事をする、脳筋親父。
「うん、ちょっとだけね…ふぅ…はっ!」
父さんと並び、空手の型をなぞり、手足を動かす。
俺が、前世で長きにわたり修めて来た空手道は、元をただせば日本古来の柔術がベースらしい。
数多くの空手道よりも、捌き・流し・押し・引き・入り身・転身といった技法が重要視され、それの集大成が型だ。
もちろん突き・蹴りなども重要だし、関節技や投げ技、果ては絞め技も高段者は修練する。
これら高段者の技は、非常に危険なため、高段者同士でしか練習しない。
なにせ、練習中に救急車で病院送りなんて事もざらにあるくらいだから。
型も、表の型と言われる初心者~中級者向けの物から、高段者向けの裏の型もある。空手という無手の格闘術を知らないこの世界の人が見た所で、変な踊りとしか見えないだろうが…。
「はっ! ふっ! せぃやー!」
そんな事を考えながら、無心で突きや蹴りを繰り出していると、いつの間にか気合を発していた。
気が付くと、父さんと俺の間に、もう1本剣が振り下ろされていた。
「ふっ! ふっ! ふっ!」
父さんの剣よりも小ぶりな両手剣を振るのは、脳筋嫁のイネスだ。
どうやら、俺と父さんに刺激されたらしい。
慌ててやって来たのか、スカートのままだが、そんな事は気にも留めず、無心で剣を振っているようだ。
うん、イネスについては、俺の領地に来た時と比べると、明らかに剣速が増してるな。並みの騎士じゃ、今のイネスの剣は受け止められないだろう。
変身したら…もう、相手になるのは、俺か父さんぐらいじゃないかな?
父さんとイネスの足元は、前後に肩幅程度の地面が抉れていた。
対する俺の足元は、丸く円を描く様な跡が地面に付いている。
歩法というか足捌きというか運足法の違いだろう。
戦いで剣を使う物は、斬撃の速さと威力に重きを置いているそうで、捌くと言う概念は余りない。
捌きや受けは、盾を使うからだそうで、その最たる物がイネスの剣だ
父さんの場合は、完全に受けも捌きも捨てて、ただ一刀の元に切り捨てる事のみを追求してる。
最近、少しずつその感覚が分かって来たとかで、以前まで持っていたドでかい盾を、今は持っていない。
無心で剣や拳を振るって、どれぐらいの時が過ぎただろうか?
ふと周囲を見回すと、撤退準備をしていたグーダイド王国軍とアーテリオス神国軍の兵達が、俺達を遠くから見つめていた。
お仕事の邪魔しちゃったかな? ごめんね。
俺の動きが止まったのを見た、父さんとイネスも、また周囲で自分達を見つめる視線に気づいたようで、居心地が悪そうだ。
誰からともなく、そそくさとタラップへと向かったのは、言うまでも無いだろう。
ちなみに、俺達を見てたのは、兵隊さんや騎士さん達だけでは無かった。
船窓にへばりつくようにして、我が家のメンバーも見ていたらしい。
いやいや、あんたら、いっつも家で見てるじゃん!
え? こんな場所で見るのは貴重だって?
うん、好きにして…
汗を流して着替えをし、朝食後のお茶を愉しんでいると、義理兄のウェスリー第三王子様…もとい軍務大臣と、べダム首長が、一時撤退の準備が整った事を告げに来た。
「いやあ、アルテアン家の朝の修練は、なかなかに激しいですなあ」
王子様に、そう感想を述べられた。
「まったくもって、その通りですな。私も聖騎士時代は、人一倍修練を積んで来たつもりでしたが、使徒殿一家の修練について行く自信は御座いませんな」
え、そんなに? べダムさんぐらいのガタイがあれば、ついてこれそうだけど?
「そう言えば、トールヴァルド卿の技は初めて目にしましたが、無手の技ですよね?」
まあ、俺だけ剣を持ってなかったしね。
「ええ、その通りです。無手にて敵を屠る技の修練です。もちろん、武器術もありますが…」
「ほう…それは、卿が創始したものですかな?」
あ、そうか…前世から身に染みついた技だから、何とも思って無かったけど、この世界に空手は無いんだよな。
…えっと…
「ネス様より賜った技の数々を、私が整理して纏めた物です。武人たる者、戦場で剣を手にしていないからといって、敵に背を向けるわけにもいきませんから」
必殺のネス様からの~で、誤魔化そう。
「おお! 流石は使徒殿ですな! 是非とも、私にもご指導頂きたいものです!」
げっ! べダムさん、変なとこに食いついた!
「うむ、さすがだ、トールヴァルド卿。でしたら、これはネス流格技と言ったところですかな?」
げげっ! 要らんこと言った!
「あ、ええ…まあ。名前はその…特にないです…指導は、また時間がある時に…」
「おお! それは楽しみですな! 是非是非、お願いいたします!」
あ、また要らん事言ったかも…秘伝だから駄目とか言えば良かった!
名前も…あれ? 名前はどうでもいいか…。
でも、どうせなら…
「あ、名前はあります。一聖四天流神拳術です」
思わず名付けちゃった…てへっ!
「「ほう!」」
いい感触…かな?
『厨二病全開のネーミング、ご苦労様です』
うん、サラならそう言うと思ったよ…
『ちなみに、一聖はネスで、四天は太陽、月、大地の神ですから、1柱足りない気がするのですが?』
さっき思いついた名前なのに、もうそこまで読み解かれてるのかよ…
『ほら、残りの神を言ったんさい』
残るは…海かな…
『…普通…』
ごめん…
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