システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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発見! ダンジョンへの入り口

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「お待たせしてしまいましたでしょうか?」
 女性らしい少しだけ高く、それでいて絹布の肌触りのように、心地よく静かでやさしい声音で、そう声を掛けてきたのはモフリーナ。
「いやいや全然大丈夫…ん?」
 よく見ると、モフリーナの後ろに隠れて、モフレンダも居た。
 相変わらずの人見知りなのか、顔だけこっそりと出して小さく会釈をすると、またモフリーナの背中に隠れた。
 これには、俺を含めた家族もモフリーナも苦笑いするしかない。
 まあ、そのうち慣れるだろう…慣れてくれるのかなあ…。
「そっか、モフレンダも来てくれたんだ。ちょうど良かった」
 俺の言葉に、モフリーナが首を傾げ、モフレンダも少しだけ顔を出して、小首を傾げた…ほんのちょっとだけ。

「これを見てくれ…何かわかるか?」
 例の箱に入った蟲を見せると、モフレンダは微妙に困った顔になった。
 対照的に、何故かキラキラした目で虫を見つめるのは、モフレンダ。
 もしかして一目でわかったのかな?
「トールヴァルド様。これはダンジョン蟲の幼虫だと思われます」
 モフリーナがそう言うと、モフレンダがその袖をちょいちょいと引っ張り、何やらこしょこしょと耳打ちした。
「失礼しました。モフレンダが言うには、ダンジョンで改良された、ダンジョン蟲の新型の様です」
 ああ、教えてたのね、モフレンダさん。
「ダンジョン蟲? 新型?」 
 またもや、こしょこしょとモフレンダが耳打ち。
「はい、モフレンダによりますと、ダンジョン内の汚物などを掃除するダンジョン蟲を、ダンジョンの機能で改良した物で間違いないとの事です」
 もともとダンジョンの掃除屋として存在してたのか…
「なる程…では、新型になったコイツの能力は?」
「新型の成虫を確認していないので断定は出来ませんが…この蟲は、どこで採取された物ですか?」
 あ、まだ言ってなかったっけ。
「実は、この先にある暗黒教ダークランド皇国って所の、外門前の死体の腹の中からだ」
 うん、言ってて気持ち悪くなって来た。
「え? では、そこにダンジョンが有ると?」
「現在は、妖精さんに確認してもらってる最中なんだが…街の真ん中にダンジョンって出来るのか?」
 確か出来ないとか聞いた記憶があるんだが。
「基本的に出来ません。ですが…ルールの穴と言いますか、地下迷宮型のダンジョンの欠点と言いますか…」
「欠点?」
 何じゃ、そりゃ。
「はい。元々、地下に広がっていくのが迷宮型のダンジョンなのですが、地上は入り口しかありません」
「そりゃそうだわな」
「ええ。一見すると、洞穴か、または地下に続く階段のある穴です」
 ふむふむ。
「なので、そこに人々が家などを建ててしまったり、それが発展して街になってしまう事も、無いとは言えません」
 なるほど。
 つまり、先にあったダンジョンの上に、勝手に人が住みついたと。
 んで、発展して街になっちゃったと言う事か。
「そのダンジョンが、地上を領域化していれば良いのですが、もしもそうする前に人々が棲みついてしまうと…」
「しまうと?」
「ダンジョンを地下に広げるしかありません」
 なるほど…人が居ない場所しか領域化出来ないんだから、そりゃそうか。
「それで、ダンジョンの入り口はどこに?」
「いや、実はナディアに命じて、妖精達に探索させているんだけど、それらしきものが見当たらないんだよ」
 そう、実はずっと妖精さんと精霊さんは、あの街を探し回っているのだ。
 いつもなら、すぐに発見出来るのに、今回はなかなか見つからない。
「もしかして、入り口を塞がれてるのでは無いでしょうか?」
「え? ダンジョンの入り口を塞ぐ?」
 そんな事って可能なのか?
「はい。元々地上には入り口となる穴しかありませんから、誰かが蓋をしてしまったとしたら…」
 待てよ? この世界の建物の基礎工事は、大きく分けて2行程。
 まず、石や木の大きな杭を地面に打ち込み、地面には石を板状に切り出して敷石の様に並べて、その上に建物を造るのが一般的だ。
 ただ、杭を打ち込むような大規模な工事は、よほどの豪邸とかじゃないとしない。
 って事は、敷石か? もしも入り口の穴を敷石で塞いでいたら…
 いやいや、人が通れるほどの穴だぞ? それを何も考えずに埋めるか?
「ん~~~可能性としては無くは無いかもしれないが…」
「そうですよねえ…」
 俺もモフリーナも、考え込んでしまう。
 モフレンダは、蟲を観察中。ちょっとは会話に入ってこいよ…

『マスター、ご報告が有ります。妖精達が、ダンジョンの入り口を発見しました』
 おお! でかした!
 おっと、風の精霊さん…どったの?
 あ、ダンジョンの入り口を、精霊さん達も見つけたのね、ありがとう。
 あとで、ちゅーちゅータイムにしようね。
 んで、ナディアよ…どこにあった?
『はい、マスター。城の地下にある、汚水を浄化する施設の…汚水の下です』
 んげ! 汚水の下だと!?
『ええ…まさか水の底だとは、考えもしなかったもので…見つけるのに時間がかかってしまい、申し訳ありません…』
 いや、それは良いんだけど…

「モフリーナ。ダンジョンの入り口を発見した」
「え、どこですか?」
 正直に言おう。
「城の汚水の下だ」
「「ぶっ!」」
 モフリーナとモフレンダが、同時に噴き出した。
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