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もごもごもご…
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精霊さんにお願いして出口を造ってもらい、俺とリリアさんは解剖した小部屋から外へと出た。
中に残されたゾンビっぽいのと男の死体は、火の精霊さんにお願いし、細胞の一欠けらも残さない様に、高温で焼いてもらった。
全てが綺麗さっぱり無くなり、風の精霊さんが問題ないと太鼓判を押してくれたので、小部屋は元の地面へと戻してもらう。
さて、ではこのキモ蟲…いや、イモムシの分析なのだが、そもそもダンジョン産であるならば、聞くべき相手は決まっている。
『あ~もしもし、モフリーナ?』
通信の呪法具で、モフリーナを呼び出す。
『はい、如何されましたか』
呼び出して程なく、モフリーナが通信に出たので、
『ちょっと見て欲しい物が有るんで、来て欲しいんだけど…場所は、最後に焼き払った村の跡地でどうだろう?』
まだこの皇都近くまで領域を広げて無いかもしれないし、そもそもモフリーナが人目につくのはよろしく無い。
もちろん、あのイモムシを兵達に曝したくはない。
『大丈夫です。すぐに向かいましょうか?』
『いや…そうだな、今日の日暮れ頃でいいよ』
昼間に慌てて俺が出て行けば、それだけで色々と変な噂が流れたりするかもしれない。
『了解いたしました。では、後程…』
モフリーナは、その辺んきちんと理解してくれてるので、何か問いただすわけでも無く、実にやりやすい。
『うん、お願いね』
そう締めて通信を切った。
ナディアが結界で例の小箱を包んで、俺に付き従ってホワイト・オルター号のカーゴルームへと向かった。
色々と処理が終わった直後、リリアさんに軍部のトップをここに集めてもらう様に頼んだのだ。
ここなら、許可した者以外が(物理的に)入る事が出来ないので、秘密の会合にはちょうどいいしね。
ってなわけで、いつもの如く両軍のトップを前にして、内緒でとっても重要なお話しです。
「これを見て下さい」
そう言って俺が雁首揃えた両軍首脳陣の前に出したのは、あのイモムシの入った箱。
まあ、結界で守られているので、俺の掌から浮いている様に見えるんだけど、そこは良いとして…
「…トールヴァルド卿…箱が浮いているのですが…?」
第三王子様的には、良くなかったらしい。
「ああ、この箱の中身が危険かもしれないので、女神様の御力で結界を張っているのです…」
設定考えるのが面倒になって来たよ。
「なんと! さすがは使途殿ですな!」
べダムさんは、いつもの事だからほっとくとして…
全部を知っているはずの父さん…一緒に感心した顔で見ない!
あんたにゃさっき話しただろうが! まあ、カモフラージュにはなるか。
「では、箱の中を見て頂きましょう。我が主たる女神ネス様、どうかこの結界に納められし箱をお開け下さい…もごもごもご…」
心の中では、ナディア~! ちょっと妖精さんに蓋開ける様に言って~お願~い! と、言っている。
表の裏の言葉が全然違うのは、目を瞑ってください。
『お前達…結界を維持したまま、あの箱の蓋を開けるのです』
ちゃんと俺の心の声(念話)を聞いたナディアの命令で、妖精さんが箱のふたを開けてくれた。
うん、うぞうぞ元気にイモムシ君は動いてるな。
結界に包まれたまま、勝手に箱の蓋が開いた事に目を丸くして驚いていた一同だったが、箱の中身を見てさらに目ん玉が飛び出るほど驚いていた。
「こ…この大きな蟲は何ですか!?」
そんな大声出したら、はしたないですよ、王子様?
「これは、あの皇都から出て来た仮称・ゾンビの腹の中から出て来た物の、ほんの一部です」
「ゾンビ?」
おっと、さすがは元聖騎士のべダム首長。
もしかして聖なる騎士なんだから、ゾンビ退治とか得意なのか?
「ええ、その緩慢な動きや死んでいるのに歩く様子から、一応はゾンビと呼称しておりますが…書物などで伝えられている、一般なゾンビ等とは、どうにも違う様で…」
実際、俺もこの世界でゾンビやリビングデッドを見た事が無い。
冒険者達などが、獣狩りで深い森に分け入った時や、ダンジョンなどで極稀に見る事が出来るらしい。
その多くは、魔素の濃い場所で死んだ者の身体が、生者を求めて動き回って、攻撃してくると言う。
ほぼ文献でしか知る事が出来ない、ちょっとレアな魔物だ。
父さんが英雄と呼ばれるようになった大戦時には、多数の死者が出たため、ゾンビなども度々目撃されて討伐されたとも記録に残っていたが、平和な現在ではまず見かけない。
一般的な葬送では、遺体の焼却を行うため、まずゾンビ化する事も無い。
土葬であれば、もしかしたらあるのかもしれないが、現在では田舎でも火葬だ。
何故なら、人の身体を収める程の大きさの墓穴を掘るのが大変なのと、街や村の近くに場所が無いから…らしい。
間違って前に土葬した場所を掘ったりしたら大変だし、先祖代々の墓がずらっと並んでたら、場所をとって迷惑だ。
昔、アメリカの映画で、滅茶苦茶広い墓地とか見たことあるけど、いつかそのうち街とか村とかの周囲一面がお墓で埋まりそうだったからな。
あ、ナディア。妖精さんに蓋を締めてくれる様に言ってね。
『了解しました』
ふう…キモかった。
そんなお葬式やお墓事情は、この際どうでも良くって、
「文献で記されているゾンビと、明らかに違います。ネス様の眷属である妖精の方々が街の隅々まで確認して下さっておりますが、まずこの新種の蟲の影響で生者の数はかなり少ないか、もしくは全滅しているかと…」
俺の言葉に、首脳陣は難しい顔をしている。
「私は、この蟲が一体何なのかネス様に直接見て頂き、ご指示を頂きに参りたいと思います。本日の夕刻前にこの地を発ち、ネス様の元へと参ります。どうか、今しばらくこの場を動かないでいただきたい」
難しい顔をしたまま、全員が首を縦に振る。
「もしも、ゾンビや獣などがこの陣を襲撃してきた時は、基本的には逃げて下さい。もしも戦うにしても、決して直接触れない様に。また、倒した後は、油でもかけて完全に燃やしてください」
ちょっと難しいかもしれないけど、一応指示は出しておかないとね。
さて、この後の事まで伝えたから、こっからは真相究明のお時間だ。
中に残されたゾンビっぽいのと男の死体は、火の精霊さんにお願いし、細胞の一欠けらも残さない様に、高温で焼いてもらった。
全てが綺麗さっぱり無くなり、風の精霊さんが問題ないと太鼓判を押してくれたので、小部屋は元の地面へと戻してもらう。
さて、ではこのキモ蟲…いや、イモムシの分析なのだが、そもそもダンジョン産であるならば、聞くべき相手は決まっている。
『あ~もしもし、モフリーナ?』
通信の呪法具で、モフリーナを呼び出す。
『はい、如何されましたか』
呼び出して程なく、モフリーナが通信に出たので、
『ちょっと見て欲しい物が有るんで、来て欲しいんだけど…場所は、最後に焼き払った村の跡地でどうだろう?』
まだこの皇都近くまで領域を広げて無いかもしれないし、そもそもモフリーナが人目につくのはよろしく無い。
もちろん、あのイモムシを兵達に曝したくはない。
『大丈夫です。すぐに向かいましょうか?』
『いや…そうだな、今日の日暮れ頃でいいよ』
昼間に慌てて俺が出て行けば、それだけで色々と変な噂が流れたりするかもしれない。
『了解いたしました。では、後程…』
モフリーナは、その辺んきちんと理解してくれてるので、何か問いただすわけでも無く、実にやりやすい。
『うん、お願いね』
そう締めて通信を切った。
ナディアが結界で例の小箱を包んで、俺に付き従ってホワイト・オルター号のカーゴルームへと向かった。
色々と処理が終わった直後、リリアさんに軍部のトップをここに集めてもらう様に頼んだのだ。
ここなら、許可した者以外が(物理的に)入る事が出来ないので、秘密の会合にはちょうどいいしね。
ってなわけで、いつもの如く両軍のトップを前にして、内緒でとっても重要なお話しです。
「これを見て下さい」
そう言って俺が雁首揃えた両軍首脳陣の前に出したのは、あのイモムシの入った箱。
まあ、結界で守られているので、俺の掌から浮いている様に見えるんだけど、そこは良いとして…
「…トールヴァルド卿…箱が浮いているのですが…?」
第三王子様的には、良くなかったらしい。
「ああ、この箱の中身が危険かもしれないので、女神様の御力で結界を張っているのです…」
設定考えるのが面倒になって来たよ。
「なんと! さすがは使途殿ですな!」
べダムさんは、いつもの事だからほっとくとして…
全部を知っているはずの父さん…一緒に感心した顔で見ない!
あんたにゃさっき話しただろうが! まあ、カモフラージュにはなるか。
「では、箱の中を見て頂きましょう。我が主たる女神ネス様、どうかこの結界に納められし箱をお開け下さい…もごもごもご…」
心の中では、ナディア~! ちょっと妖精さんに蓋開ける様に言って~お願~い! と、言っている。
表の裏の言葉が全然違うのは、目を瞑ってください。
『お前達…結界を維持したまま、あの箱の蓋を開けるのです』
ちゃんと俺の心の声(念話)を聞いたナディアの命令で、妖精さんが箱のふたを開けてくれた。
うん、うぞうぞ元気にイモムシ君は動いてるな。
結界に包まれたまま、勝手に箱の蓋が開いた事に目を丸くして驚いていた一同だったが、箱の中身を見てさらに目ん玉が飛び出るほど驚いていた。
「こ…この大きな蟲は何ですか!?」
そんな大声出したら、はしたないですよ、王子様?
「これは、あの皇都から出て来た仮称・ゾンビの腹の中から出て来た物の、ほんの一部です」
「ゾンビ?」
おっと、さすがは元聖騎士のべダム首長。
もしかして聖なる騎士なんだから、ゾンビ退治とか得意なのか?
「ええ、その緩慢な動きや死んでいるのに歩く様子から、一応はゾンビと呼称しておりますが…書物などで伝えられている、一般なゾンビ等とは、どうにも違う様で…」
実際、俺もこの世界でゾンビやリビングデッドを見た事が無い。
冒険者達などが、獣狩りで深い森に分け入った時や、ダンジョンなどで極稀に見る事が出来るらしい。
その多くは、魔素の濃い場所で死んだ者の身体が、生者を求めて動き回って、攻撃してくると言う。
ほぼ文献でしか知る事が出来ない、ちょっとレアな魔物だ。
父さんが英雄と呼ばれるようになった大戦時には、多数の死者が出たため、ゾンビなども度々目撃されて討伐されたとも記録に残っていたが、平和な現在ではまず見かけない。
一般的な葬送では、遺体の焼却を行うため、まずゾンビ化する事も無い。
土葬であれば、もしかしたらあるのかもしれないが、現在では田舎でも火葬だ。
何故なら、人の身体を収める程の大きさの墓穴を掘るのが大変なのと、街や村の近くに場所が無いから…らしい。
間違って前に土葬した場所を掘ったりしたら大変だし、先祖代々の墓がずらっと並んでたら、場所をとって迷惑だ。
昔、アメリカの映画で、滅茶苦茶広い墓地とか見たことあるけど、いつかそのうち街とか村とかの周囲一面がお墓で埋まりそうだったからな。
あ、ナディア。妖精さんに蓋を締めてくれる様に言ってね。
『了解しました』
ふう…キモかった。
そんなお葬式やお墓事情は、この際どうでも良くって、
「文献で記されているゾンビと、明らかに違います。ネス様の眷属である妖精の方々が街の隅々まで確認して下さっておりますが、まずこの新種の蟲の影響で生者の数はかなり少ないか、もしくは全滅しているかと…」
俺の言葉に、首脳陣は難しい顔をしている。
「私は、この蟲が一体何なのかネス様に直接見て頂き、ご指示を頂きに参りたいと思います。本日の夕刻前にこの地を発ち、ネス様の元へと参ります。どうか、今しばらくこの場を動かないでいただきたい」
難しい顔をしたまま、全員が首を縦に振る。
「もしも、ゾンビや獣などがこの陣を襲撃してきた時は、基本的には逃げて下さい。もしも戦うにしても、決して直接触れない様に。また、倒した後は、油でもかけて完全に燃やしてください」
ちょっと難しいかもしれないけど、一応指示は出しておかないとね。
さて、この後の事まで伝えたから、こっからは真相究明のお時間だ。
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