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神の審判のお時間
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俺は、ホワイト・オルター号の操縦席で、ガラス張りのキャビンから敵軍をじっと見ていた。
ネス、太陽神、月神、大地神の有り難いお説教が周囲に流れ、敵軍の兵達が次々と剣や鎧を捨て去り、左右にある山裾へと歩き始めているのを見ていると、呪法具に父さんからの着信があった。
「父さん? どしたの?」
『いやな、トール。あれ…ほっといていいのか?』
電話…もとい、音声しか伝わらない通信の呪法具で、アレとか言われてもなあ。
まあ、見えてるからわかるんだけど。
「敵軍が投降してるだけでしょ? ほっとけばいいよ。それよりも、ここからだと、こっちに向かってくる活きの良い奴が見えるよ。格好つけてないで、準備しといてね」
取りあえず、大地に突き刺した剣は手に持とうね。
『ば、格好つけてるわけじゃ…』
はいはい、敵前なんだから長電話禁止。話の途中で切ってやった。
あ、こっち見て父さんが眼下で何か言ってる…怒った? ま、いいや。
投降して山裾に向かった兵達は、モフリーナに任せても大丈夫だろう。
折角ダンジョンを、この地まで広げたんだしね。
俺とモフリーナが行っている、ダンジョンの拡張というか、領域の拡大は、実は簡単な事では無い。
きちんとルールが有って、無作為に無秩序に好きな場所に好きなだけ領域を拡大できるなんて事は無いのだ。
最低限のルールとしては、誰の領域でも無い土地である事と、エネルギーに変換できる生物が現在占有していない事。
同じようなルールだけど、ちょっと違う。
前述のルールでは、他のダンジョンマスターによって領域化されていない事。
そして後述では、ダンジョン化しようとしている場所に、端的に言えば人種またはそれに相当する生物が居ない事。
つまり、人が住んでいる村とか街を勝手にダンジョンにする事は出来ない。
まあ、地下ならば可能ではあるのだが、それをした所で、ダンジョン滞在時とはみなされないから、エネルギーは手に入らない。
もちろん拡張するには、基本となるダンジョンから何らかの形で繋がっている事や、必要なエネルギー量の縛りはある。
だが、そんな縛りは俺が味方になっているだけでクリアー出来る程度の問題だから、この際無視。
さて、それを踏まえて考えると、今回の帝国軍が陣を張っている場所を、直接ダンジョン化は出来ない。
そこで俺とモフリーナが考えたのが、この兵達を取り囲む周辺一帯のダンジョン化だ。
今回は特に念入りに、長く伸びた敵軍の両サイドをがっつりとダンジョン化してやった。
なので、投降した兵達は、陣を真っ二つに左右に分けて歩いていく。
ゆっくりぞろぞろと真ん中が開けていく様は、まるで子供の頃に見た十戒という映画に出て来た1シーンの様だ。
エジプト軍に追われた大勢のヘブライ人達とモーゼが、追い詰められた紅海で海を割った、あの有名なシーン…古いか?
映画と違うのは、割れていくのが人の波だって事だな。
そして、その割れた敵軍のど真ん中を、俺達の方に向かってやって来る、活きの良い敵軍。
あの大軍が見る影もない…およぞ2~3千ぐらいかな?
ん~どれが敵のクソ大将か分からんが、ちょっと父さん達と人数差がありすぎるなあ…よし!
「え~もすもす、父さんですか?」
父さんに、こっちから通信してみた。
『あ、このトール! お前、さっき話の途中で切っただろ!』
あ、やっぱオコ? オコなの? それよりも、
「まぁまぁ、そう怒りなさんなって。ここから見た所、活きの良い敵軍はまだ数千はいるから、女神様達が激オコなんだよ」
『え、何? 女神様達が…ゲキオコ?』
あ、激オコわかんないか。
「あ~、もんの凄く怒ってるの。それで、今から敵軍に神罰をかますらしいから、突撃はちょっと待ってね」
『な!? 神罰が敵軍に下るのか! いや、でも…せっかくここまで来たのに…』
何でちょっと残念そうなんだよ! 暴れたいのか? 斬りたいのか? ああ、もう!
「大丈夫、父さんの活躍の場はちゃんとあるから。まずは敵軍の意気を挫くため、投降した人達に神の存在を認識させる為に、あえて神罰を下すそうだから…そんなに威力は無い…と、思う…よ?」
パワーダウンしておこう…
『その疑問形は信用できない気がするが…女神様のする事だから、間違いはないだろう。ネス様に了解しましたと伝えてくれ』
「はいはい。んじゃもうすぐだから、備えておいてね。通信終わり」
『皆には、きちんと伝える。通信終わり』
父さん達にも注意を促したことだから、やっちゃいますか!
とうとう、ホワイト・オルター号を創りあげてから、ずっと秘蔵して来た、大量殺りく兵器…もとい、秘密兵器の出番だな!
見よ! これが神罰だ!
『大河さん…それで一掃したら、もうこの戦争終わってません?』
サラよ…それを言っちゃ~お終いだろ。
『敵意で軍を二つに分けたお手並みは、お見事でした。ですが、急ぐべき案件が控えている事もお忘れなく』
リリアさんがいう案件って、あの外道達が巣食ってるあの先の国の事だな。
ああ、もちろん分ってる。
だから、こっちのクソ皇帝に関しては父さんに一任したんだ。
って、こんな問答してる場合じゃねーな。
さ、んでは秘密兵器…じゃなかった、神の審判のお時間ですよ~!
でも、威力は5%ぐらいで…こんな狭い場所で秘密兵器撃ったら、大参事な予感がするからね…。
ネス、太陽神、月神、大地神の有り難いお説教が周囲に流れ、敵軍の兵達が次々と剣や鎧を捨て去り、左右にある山裾へと歩き始めているのを見ていると、呪法具に父さんからの着信があった。
「父さん? どしたの?」
『いやな、トール。あれ…ほっといていいのか?』
電話…もとい、音声しか伝わらない通信の呪法具で、アレとか言われてもなあ。
まあ、見えてるからわかるんだけど。
「敵軍が投降してるだけでしょ? ほっとけばいいよ。それよりも、ここからだと、こっちに向かってくる活きの良い奴が見えるよ。格好つけてないで、準備しといてね」
取りあえず、大地に突き刺した剣は手に持とうね。
『ば、格好つけてるわけじゃ…』
はいはい、敵前なんだから長電話禁止。話の途中で切ってやった。
あ、こっち見て父さんが眼下で何か言ってる…怒った? ま、いいや。
投降して山裾に向かった兵達は、モフリーナに任せても大丈夫だろう。
折角ダンジョンを、この地まで広げたんだしね。
俺とモフリーナが行っている、ダンジョンの拡張というか、領域の拡大は、実は簡単な事では無い。
きちんとルールが有って、無作為に無秩序に好きな場所に好きなだけ領域を拡大できるなんて事は無いのだ。
最低限のルールとしては、誰の領域でも無い土地である事と、エネルギーに変換できる生物が現在占有していない事。
同じようなルールだけど、ちょっと違う。
前述のルールでは、他のダンジョンマスターによって領域化されていない事。
そして後述では、ダンジョン化しようとしている場所に、端的に言えば人種またはそれに相当する生物が居ない事。
つまり、人が住んでいる村とか街を勝手にダンジョンにする事は出来ない。
まあ、地下ならば可能ではあるのだが、それをした所で、ダンジョン滞在時とはみなされないから、エネルギーは手に入らない。
もちろん拡張するには、基本となるダンジョンから何らかの形で繋がっている事や、必要なエネルギー量の縛りはある。
だが、そんな縛りは俺が味方になっているだけでクリアー出来る程度の問題だから、この際無視。
さて、それを踏まえて考えると、今回の帝国軍が陣を張っている場所を、直接ダンジョン化は出来ない。
そこで俺とモフリーナが考えたのが、この兵達を取り囲む周辺一帯のダンジョン化だ。
今回は特に念入りに、長く伸びた敵軍の両サイドをがっつりとダンジョン化してやった。
なので、投降した兵達は、陣を真っ二つに左右に分けて歩いていく。
ゆっくりぞろぞろと真ん中が開けていく様は、まるで子供の頃に見た十戒という映画に出て来た1シーンの様だ。
エジプト軍に追われた大勢のヘブライ人達とモーゼが、追い詰められた紅海で海を割った、あの有名なシーン…古いか?
映画と違うのは、割れていくのが人の波だって事だな。
そして、その割れた敵軍のど真ん中を、俺達の方に向かってやって来る、活きの良い敵軍。
あの大軍が見る影もない…およぞ2~3千ぐらいかな?
ん~どれが敵のクソ大将か分からんが、ちょっと父さん達と人数差がありすぎるなあ…よし!
「え~もすもす、父さんですか?」
父さんに、こっちから通信してみた。
『あ、このトール! お前、さっき話の途中で切っただろ!』
あ、やっぱオコ? オコなの? それよりも、
「まぁまぁ、そう怒りなさんなって。ここから見た所、活きの良い敵軍はまだ数千はいるから、女神様達が激オコなんだよ」
『え、何? 女神様達が…ゲキオコ?』
あ、激オコわかんないか。
「あ~、もんの凄く怒ってるの。それで、今から敵軍に神罰をかますらしいから、突撃はちょっと待ってね」
『な!? 神罰が敵軍に下るのか! いや、でも…せっかくここまで来たのに…』
何でちょっと残念そうなんだよ! 暴れたいのか? 斬りたいのか? ああ、もう!
「大丈夫、父さんの活躍の場はちゃんとあるから。まずは敵軍の意気を挫くため、投降した人達に神の存在を認識させる為に、あえて神罰を下すそうだから…そんなに威力は無い…と、思う…よ?」
パワーダウンしておこう…
『その疑問形は信用できない気がするが…女神様のする事だから、間違いはないだろう。ネス様に了解しましたと伝えてくれ』
「はいはい。んじゃもうすぐだから、備えておいてね。通信終わり」
『皆には、きちんと伝える。通信終わり』
父さん達にも注意を促したことだから、やっちゃいますか!
とうとう、ホワイト・オルター号を創りあげてから、ずっと秘蔵して来た、大量殺りく兵器…もとい、秘密兵器の出番だな!
見よ! これが神罰だ!
『大河さん…それで一掃したら、もうこの戦争終わってません?』
サラよ…それを言っちゃ~お終いだろ。
『敵意で軍を二つに分けたお手並みは、お見事でした。ですが、急ぐべき案件が控えている事もお忘れなく』
リリアさんがいう案件って、あの外道達が巣食ってるあの先の国の事だな。
ああ、もちろん分ってる。
だから、こっちのクソ皇帝に関しては父さんに一任したんだ。
って、こんな問答してる場合じゃねーな。
さ、んでは秘密兵器…じゃなかった、神の審判のお時間ですよ~!
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