システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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悪を斬れ!

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 父さんは…もう放置で良いとして、残った面々に今一度、作戦の説明をしておこう。

「まず、モフリーナの領域化したポイントに到着したら、ホワイト・オルター号を着陸させて…そこで転がってる父さんと騎士さんを降ろします。その後は、女神様達に顕現して頂き、敵軍に投降を呼びかけます。投降勧告に従う敵軍の兵達は、モフリーナの造り出した門へと向かってもらいます。従わない兵達は、父さんと騎士さん達で、別のポイントへと追い立てて貰います。もちろん、門にもポイントにもモフリーナのチェックが入ります」
 気絶してる父さんを放っといて、話は進む。
「投降しない敵兵が一か所に纏まったら、残念ですが女神様達の神罰が下ります。まず、殆どが生き残る事は出来ないでしょうけど」
 誰も生き残れないと聞き、ちょっと顔を顰める家族達。
 敵意を持って向かってくる奴に、遠慮なんてしない。
 するわけ無いじゃん。
 そう決めたんだから。 
 家族は黙って、話の続きを待っていた。
「ポイントへ向かった兵達には、モフリーナが選別して、それぞれに合ったあのダンジョン大陸の場所へと、一時的に送り込まれます。神罰を生き残った奴らは、父さん達に好きに暴れてもらう予定です…聞こえて無いと思うけど…」
 まだ絶賛気絶中だからね。

「さて、父さんが敵軍を相手にしている間、俺達は敵軍の更に奥、腐った奴らが何の罪も無い人々に蛮行働く村々へと赴きます。そこで苦しむ無辜の民を救うため、全力で悪漢どもを殲滅します。抗う力を持たない女子供を、自らの欲望の赴くままその手に掛けた奴らに、情けは無用です! 良いですか? 苦しみ辱めを受けた人々の恨みを晴らすのです!」
 流石に、軍や国の命令に従っていた敵の兵達には、少しばかり同情的ではあった一同も、この腐った害獣共には一切の同情する様子はない。
「ネス様から神具を賜った我々の力で持って、神に代わって神罰を与えてやるんだ!」
 それどころか、明らかに目に炎がメラメラと、真っ赤に熱く燃え上がっている。
 全員の目が、悪漢許すまじ! と、物語っていた。
「救出した人々は、一旦このホワイト・オルター号で保護し、そのまま防壁の所で待っている魔族さんの所まで運んでほしい。きっと身体も心も傷つき疲弊しているはずだから、母さん、リリアさん、頼んだ。コルネちゃんとユリアちゃんは、大丈夫だとは思うがこの船を守って欲しい。サラ、人々を収容したら、全速力で自陣へ往復を頼む」
 母さん、コルネちゃんとユリアちゃん、サラとリリア、そしてナディアとアーデ、アーム、アーフェンは、力強く頷いた。
 我が家の女性陣は恐ろしい! 舐めたら死ぬ。

「さあ、メリル、ミルシェ、ミレーラ、マチルダ、イネス…そしてユズキにユズカ…」
 嫁達は黙って俺を見つめた。
 ユズキは被害者たちを慮ってか今にも泣きそうな顔で、ユズカは怒りに燃えて、話を聞いていた。
「分ってるよな? 俺達の役目は、害虫駆除と傷ついた人々の救出だ。さっきも言ったが、絶対に生かして返すな! 人の命を奪うって事は、苦しく辛く悲しく心痛む事かもしれない。だが、その一切の責はこの俺と女神様が負うつもりだ」
 俺の言葉に、皆は少しだけ驚いたような表情になった。
「罪悪感なんて感じる必要はない。良心の呵責を覚える必要も無い。ただ、悪を斬れ! そして人々を護れ!」
「「「「「「「ハイッ!!」」」」」」」
 全員、力強く頷いた。
「よし! ブレンダーは俺と共に、クイーンは蜂達を指揮して各部署をフォローだ。ナディア、船内に残っている妖精さん達も、全員出撃だから、伝えておくように」

 俺は最後にもう一度全員を見まわした。
 可愛い妹のコルネちゃんも、目は爛々と輝いていた。
 ユリアちゃんは、幼い子供特有の正義感かもしれないが、悪を許さないと鼻息荒く両手を握りしめていた。
 目が覚めた父さんは、力こぶを見せつけていた…任せて大丈夫だろうか?
 母さんは、ただやさしく微笑んでいたが、任せて大丈夫だろう。
 ユズキとユズカは、日本では絶対にありえないシチュエ​ーションだし、良心の呵責もあるだろうが、吹っ切ったのかな?
 ナディアや天鬼族の3人娘は、その時に備えてじっと力と熱をその身の内に溜めていた。
 ブレンダーとクイーンは、ただ出撃命令を待っている。
 そして俺の自慢の嫁達は、燃えていた。
 この船を、苦しんだ人々を運ぶこの船を、悪漢どもに指一本触れさせないと、燃えに燃えていた。
 人々の傷付いた身体と心を一刻も早く癒すため、希望となるこの船を護る為、嫁達は燃えていた。
 この分なら、近寄るクズは残らず地獄往きだろう。

 よ~し! そろそろ敵軍が見えて来る頃合いだ。
 やってやる、やってやるぞ!
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