システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ずっと見てましたけど?

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 昨晩は、一人でゆっくりと寝たはずなのに、なぜこんなに体が重いのだろう…
 いや、まあ…原因はサラのお馬鹿な行動のせいだけど。
 あの後、この船の自室に有るベッドの下に潜り込んで、隅々まで確認したよ。

 え? 何かあったのかって?
 そんな物、ベッドの下になんて…………ありました。
 もの凄い豪華なピンク色の革の装丁の、もはや本としか言い様の無い風体の物が、ベッドの下に。
 中をチラッと見ましたが…俺と嫁たちの夜の夫婦生活に付いて、それはもう細かい部分まで書き込まれていました。
 何故か登場人物それぞれのリアルな心情とか描写がなされた、もはやエロ本よりもエロい物でした。
 俺って客観的に見たら、あんなエロい事をしてたんだなと、思い知らされました。
 しかも恐ろしい事に、この本に書かれた嫁たちとの痴態は、あくまでもこのホワイト・オルター号の、この部屋での出来事のみ。
 って事はだ…もしかしたら、屋敷のベッドの下には……まずい、ドワーフメイドさんが見つける前に処分しなければ!

 え? もちろん、見つけたブツは処分したんだろうって?
 え~っと…サラ達でも知らない、俺の宝物を隠している金庫の中に隠しました。
 後から、1人で読みかえそうかなっと思って。
 もちろん並列思考を使って、リアルタイムでは絶対にサラにもナディアにも分からない様にしないとな。
 いや、嫁達との夜の営みは確かに色々と素敵なんだけど…たまには1人でエロ本を読みながらってのも、オツなものなのだよ。
 明らかに、内容は自分のやって来た18禁な事なんだけど
 しかしである!
 自らの所業ではあるが、秘蔵の兄×妹物の官能小説と共に、超厳重に保管して、誰の目にも触れさせてはいけない!
 うん、これは大事。と~~っても大事! 
 誰にも知られぬ様に、今度こっそり1人で愉しむとしよう。
『だ~れも知ら〇い、知〇れちゃいけ~ない~♪』
 ギクッ!
『ちびるマンが、誰なの~か~♪』
 誰がちびるマンだ! サラだな、サラに間違いない!
 くそ! 見つからないようにこっそり動いていたってのに!
「いえ、さっきからずっと、ここで見てますけど?」
 俺の耳に聞きなれた声が飛び込んできた。
「え?」
 俺の部屋の中に立つサラと目が合った。
「さっきから、ずっと見てましたけど?」 
「はっ?」
 どうしてここに居るんだ?
「私が隠した物ですからね。そりゃ~誰かが場所を移そうとしたら、分かる様にしてるに決まってるじゃないですか」
 くっ…俺はまんまと嵌められたのか!
「いや、あんたの自業自得では?」
 そんな馬鹿な! 
 そう、そもそもの原因はサラのはずだ!
「お前が、変な物を俺の部屋に隠したからに決まってるだろうが!」
「はあ、言いがかりは止めて下さい。皆さんが見てますよ?」
「う”ぇ?」
 変な声が出ちゃったけど…皆さんって…

 サラが入って来た時から開けっ放しだった部屋の扉の方に、視線をそ~っと移すと…
「み~た~ぞ~」
 愉快な事を言ったユズカと、嫁達の顔がずらっと開け放った扉から覗いていた。
「え…あ…? 何故に皆が…?」
 まさか、見られてたのか?
「えっと、トール様…そろそろ朝ご飯の時間なのですが…」
 メリルが言い難そうに切り出した。
「それで、トールさまは何を隠したんですか? 私、気になります!」
「ぐっ…」
 いやいや、ミルシェは気にしなくてもいいから!
「トールさまの…ひみつ…わくわく…」
 ミレーラは、何でわくわくした顔してんの? 見たいの? 知りたいの?
「トール様の秘密ですか…これは王国法を犯していないかの確認が、是非とも必要ですね」
 何を言い出すんだ、マチルダ! 王国法になんて反していない…はずだよな…大丈夫なはず…
「別にいいじゃないか。旦那様にも、秘密の1つや2つあるだろう。ところで秘密とは愛人なのか? 隠し子なのか?」
「愛人も隠し子も居ねーよ! イネスはどんだけ想像力豊かなんだよ!」
 まったく…俺は誠実だっちゅーの!
『ぷぷぷっ……性実! 愛人との性実が隠し子! 大河さん、上手し!』
 サラも念話で何を喜んでんだよ… 
「トールちゃん。良い子ですから、正直にすぐに出しなさい」
 めっちゃ良い笑顔の母さんと、
「トール…諦めろ…」
 もの凄く悲しそうな顔の父さんまで顔を出した。
 駄目だ、もう逃げ場が…
 
 その時、ドタバタと廊下を走って来る足音が…まさか、後この船に居るのは…コルネちゃんとユリアちゃんか!
 い、いかん! あの2人に俺の秘密が…あの宝物を見せるわけには…
「お兄ちゃん! コルネお腹すいたよ! 早く来てよ!」
「おにいちゃん、まだ~?」
 あ、遅かった。
 もう、こうなったら!  
 ナディア~! 2人を食堂まで連れて行ってくれ~!
『マスター…汚れてます…』
 汚れてねーよ! いいから、2人を連れていけよ!
『今回のは貸しですからね。後でお説教です!』
 ナディア…よ、何で俺が説教なんて…

「トールちゃん、黙ってないで早く出しなさい! お説教です!」
 もしもし。母さん?
「トール様、取りあえず正座しましょうか?」 
 何故に正座なんでしょうか、メリルさん?
「トールさま、隠しても駄目ですよ?」
 隠してなんてないですよ…ミルシェさん?
「トールさま…お話しましょう…ゆっくりと…」
 普段怒らないだけに、妙な迫力あるね…ミレーラさん…
「ささ、精査いたしますので、今すぐ提出を」
 な、何を精査するつもりなのかな、マチルダさん?
「はっはっは! もう逃げ場はないぞ、旦那様!」
 えっと、見逃してくれませんかね、イネスさんや。
「トール…お前も学習しない奴だなぁ…」
 父さんに言われるのは、甚だ心外だが…いえ、その通りです…

「「「「「「さぁ、さぁ! 今すぐに出しなさい!」」」」」」
 俺、泣いていいかなあ…
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