システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ならばよし!

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 この大陸に存在するダンジョンは、現在4個。
 第1~第9番目までナンバリングされてはいるが、まだ未成長の内に踏破され消え去ったダンジョンが5個。
 我がグーダイド王国には、モフリーナのダンジョンの他、小さいダンジョンが1個ある。ちなみに第3番ダンジョンだそうだ。
 他国に残りの2個があるというのは知っていたんだが、まさかこんな所にそのうちの1個があるとは、ちょっとびっくり。
 だけど、何でダンジョンが1層しかないんだろ?
 6番目のダンジョンって、結構古いんじゃね?
 生れたてって、どういう意味??
  
 我が国にある第3番ダンジョンは俺とは一切無関係だが、それでも20層近くあるそうだ。
 冒険者達と戦うのではなく、共存共栄の道という独自路線を歩むこのダンジョンは、主に薬草などの貴重植物を栽培しているという。
 その薬草を、ダンジョンに来た人達に提供? 採取させることによって、コツコツとエネルギーを吸収・貯蓄して、長い年月を掛けて成長したらしい。
 薬草を栽培と言っても、採取しにくい場所に生やしたり、あえてダンジョンを暗くして見辛くしたりと、ちまちまと小技を使って採取人達を長時間ダンジョン内にとどまらせる工夫をしている。
 モフリーナ曰く、薬草はもの凄くコストが安いとの事。
 人々に有用な。非常に貴重な薬草も生えているそうなので、無理に踏破する者もおらずに生きながらえているという。
 せこいかもしれないが、生存戦略としては間違っていないと思う。
 
 さて、話は戻るが…何で第6番目に生れた、比較的古いダンジョンが1層しかないのだろう?
 モフリーナの第9番ダンジョンは、俺の有り余るエネルギーを使って改装した結果、天を突く様な巨大なダンジョンとなり、そのうえ飛び地ではあるが新大陸の領域も支配下に置いている。
 いや、これは2人の巡り合わせと言うか出会いというか、たまたま俺にとってもモフリーナにとっても運が良かっただけなのだが。
 しかし、この第6番ダンジョンの主は、一体どうしたってんだ?
 何かトラブルなのかな?

 考え込む俺をじっと見つめるモフリーナの視線が、何とか力になってやって欲しいと目で無言で訴えていた。
「どうか、トールヴァルド様の御力と知恵をお貸しいただけないでしょうか」
 と思ったら、言葉にして口に出しちゃったよ。
「ま、それはこの戦でのモフリーナの頑張り次第だな。上手く作戦を熟せたら、出来る限りの協力を約束しよう」
 モフリーナにそう告げると、もの凄い勢いで頭を下げて、嬉しそうに、
「あ、有難うございます。もふりんにもすでに連絡済みです。この私に、全てお任せください。必ずや殲滅いたしましょう!」
 すんごい張り切っちゃった…
「ああ、うん。期待しているよ。もちろん敵性兵力の殲滅後の事も忘れてないよね?」
 殲滅だけが作戦では無いのだ。
「もちろんでございます! もふりんが準備を整えておりますので、ご安心を」
 よし! ならばよし!
 本当は、俺のエネルギーをモフレンダに分けてあげてと、一言願えば良いだけなのに、それを口にしない。
 モフリーナにはモフリーナの、何か譲れない物とかあるのかもしれない。
 通すべき筋と言うか、信念とか、何かあるのかもしれない。
 
「んじゃ、仕込みは完了って事で、一旦帰ろうか」
 我が家のメンバーには、取りあえずこの仕込みの一部始終を見てもらった。
 隠し事をしたくない…とかじゃ無くて、作戦を知っててもらわないと、我が家のメンバーは、この先遊撃部隊として独立して動くので、色々と不都合が出る可能性があるからだ。

 手を振り見送るモフリーナに手を振り帰し、一同はホワイト・オルター号に再び乗り込んで、またもや照明を落とした暗い食堂に集まった。
「それで、この地のダンジョン化は成功したんだな?」
 父さんの確認する声に、「ああ、出来たよ」とだけ答えてた俺だったが、
「どうした? 何を考えてるんだ?」
 うわの空での返事だったのに、父さんは気付いたんだろう。
「うん…まあ、その新しいダンジョンについてちょっとね」
 とだけ、返事をした。
「そうだな。かなり古くからあるダンジョンのはずなのだが、何か大きな問題でもあったのだろうか?」
 ん?
「父さん、モフレンダが心配?」
 ダンジョンって、普通は危険なものなんだが。
 父さん、侯爵だろ? ダンジョンの心配してていいのか?
「確かに心配しているのかもな。いや、領主としての立場で言えば、普通は領内にダンジョンが有るは問題なのだが…今は彼女と良い関係だからな…」
 父さんはモフリーナとは良い関係を築いてるから、ダンジョンに悪い印象は持ってないのかもしれない。
 例え昔スタンピードを引き起こしたダンジョンだとしても…。
 まあ、あれは被害も無く終息したし、その後のダンジョンはアルテアンの金のなる樹になってるから、悪い心証はないか。
「確かにそうだね。だからこそ、何とか出来ないか考えてたんだけど」
「ほう、その顔だと何か良い案が浮かんだ様だな」
 ニヤリと笑う父さんに、俺は同じくニヤリと笑いつつ言葉を返した。
「ああ、とびっきりのいい案が浮かんだよ。まあ、仕上げは御覧じろってとこかな」
 
 ま、心配そうな顔で見送ってくれたモフリーナの為にも、一肌脱ぎますかね。
 一作戦を一部修正する必要も有るけど、ま~何とかなるだろう。
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