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そろそろ頃合い
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早速とばかりに、俺の用意した御守りは兵達に配られた。
無難な所で、首から下げて鎧の下に入れておくらしいのだが、男は男、女は女同士で、使い回すという。
数も少ないし、使い回すのは周知されているんだが、何で同性同士で? っと、近くの男の兵に訊ねてみた。
男の兵の答えは…恐ろしい未来が見えたからだという。
未来!? まさか、超能力者なのか! とか思ったら違いました。
…男が身に着けていた汗臭くてじっとり湿ってる様な御守りを、女が手渡されたら…間違いなく拒否られる。
思いを寄せる女兵士に御守りを手渡した途端、顔を顰めて受け取り拒否されて、崖から飛び降りる未来が見えたとか。
彼の見た未来に、俺は涙した。
俺にもはっきりと見えたから、その未来は…確かにその気持ちは痛い程わかる。
うん、御守りは同性同士で仲良く使い回してください、お願いします。
さて、日数を重ねるほどに、どんどん集まる兵隊さんと物資。
現在、兵数約4万5千。その兵達が、毎食きちんと食事をしながら戦う事が出来る日数は30日間ほど。
通常の定例軍議で、俺はそろそろ頃合いじゃないかと意見させて頂いた。
「では、そろそろアルテアン卿の…最強の一家の御出陣ですか?」
べダム首長の参謀として参加している、聖騎士団の団長さんが、俺を見ながら何だか嬉しそうに言った。
「そうですね、団長殿。現在の兵数で確実にこの防壁を護るも攻めて来た敵軍を殲滅する事も容易いでしょう」
俺の言葉の通り、すでにこの防壁は完璧な仕上がりである。
もはや要塞と言っても過言では無いぐらいに、その防衛力は高く、突破する事はまず不可能である。
ならばこそ、こちらから最大戦力でもって、敵軍の中央を食い破るのが良いだろうと俺は考えた。
「敵の総大将を討った後が、皆様の出番となります。敵残存兵力を叩き潰し、前進してください。付近の村々や町などには、賊が数え切れないほど居ます。そのあまりの蛮行を、女神様達は嘆いておられます」
団長さんも、陛下も首長も、皆が女神という単語に敏感に反応し、黙って俺の言葉の続きを待っていた。
「無辜の民…か弱き女性達や子供達や年老いた人々が、今この時も想像を絶する痛みと苦しみに喘いでいます。そんな状況を女神様達が許すとお思いですか? この私、女神の使徒たるアルテアンが、そんな粗野で野蛮で乱暴で…自らの意思と欲望で蛮行を成す者達を許せると思いますか? 許せるはずがありません!」
熱く語りながら、軍議に参加する人々を見まわしながら、俺は続ける。
「先行部隊として、我が一家は敵の首魁、ダース皇帝を討ちます。その後、そのまま前進して苦しむ民を解放するために、悪漢どもを1人残らず消し去ります。皆様には、村や街、国の復興の為にお力を貸して欲しいのです」
被害者たちの心や体のケアは、どう考えたって我が家のメンバーだけでは手が足りないし、そもそも復興なんて国がやらないでどうすんだって話だからな。
「うむ、アルテアン伯爵よ、其方の話は良く分かった。正義の為に、好きに戦ってくれて構わない。事後の処理は、国を背負う我々が行おう」
さっすが、第三王子様!
「ところで…先ほど、悪漢どもを1人残らず消し去る、と卿は言ったと思うのだが…弑するのではなく消し去る…のか?」
あ、そこに引っかかっちゃったかあ。
「ええ、べダム首長。悪漢どもには、この世から消えて頂きます。その身その魂の一欠けらも残さず、この世から存在そのものを。そして未来永劫、深い闇の中に沈んでもらいます。女神様より、何千年経とうとも転生はさせないと、お言葉も貰っておりますれば、それを実行するに躊躇いは御座いません」
意外に厳しい内容の話なのだが、全員が静かに頷き肯定の意を示した。
うっし、これで全員からOKもらったって事でいいな。
これで俺の作戦第二弾の根回しも出来たな…後は今夜にでも最後の仕込みに入るとするか。
って事は、時間的には、ん~~と。
「それでは、私達は、3日後の早朝に攻めいります。かなりの敵兵がこちらにも逃げてくるはずですので、皆様にはこの絶対防衛線を死守して頂きたいと思います」
『了解した』
軍議に参加する全ての人が、声を揃えて了承してくれた。
さって、そんじゃ一発やりますか!
無難な所で、首から下げて鎧の下に入れておくらしいのだが、男は男、女は女同士で、使い回すという。
数も少ないし、使い回すのは周知されているんだが、何で同性同士で? っと、近くの男の兵に訊ねてみた。
男の兵の答えは…恐ろしい未来が見えたからだという。
未来!? まさか、超能力者なのか! とか思ったら違いました。
…男が身に着けていた汗臭くてじっとり湿ってる様な御守りを、女が手渡されたら…間違いなく拒否られる。
思いを寄せる女兵士に御守りを手渡した途端、顔を顰めて受け取り拒否されて、崖から飛び降りる未来が見えたとか。
彼の見た未来に、俺は涙した。
俺にもはっきりと見えたから、その未来は…確かにその気持ちは痛い程わかる。
うん、御守りは同性同士で仲良く使い回してください、お願いします。
さて、日数を重ねるほどに、どんどん集まる兵隊さんと物資。
現在、兵数約4万5千。その兵達が、毎食きちんと食事をしながら戦う事が出来る日数は30日間ほど。
通常の定例軍議で、俺はそろそろ頃合いじゃないかと意見させて頂いた。
「では、そろそろアルテアン卿の…最強の一家の御出陣ですか?」
べダム首長の参謀として参加している、聖騎士団の団長さんが、俺を見ながら何だか嬉しそうに言った。
「そうですね、団長殿。現在の兵数で確実にこの防壁を護るも攻めて来た敵軍を殲滅する事も容易いでしょう」
俺の言葉の通り、すでにこの防壁は完璧な仕上がりである。
もはや要塞と言っても過言では無いぐらいに、その防衛力は高く、突破する事はまず不可能である。
ならばこそ、こちらから最大戦力でもって、敵軍の中央を食い破るのが良いだろうと俺は考えた。
「敵の総大将を討った後が、皆様の出番となります。敵残存兵力を叩き潰し、前進してください。付近の村々や町などには、賊が数え切れないほど居ます。そのあまりの蛮行を、女神様達は嘆いておられます」
団長さんも、陛下も首長も、皆が女神という単語に敏感に反応し、黙って俺の言葉の続きを待っていた。
「無辜の民…か弱き女性達や子供達や年老いた人々が、今この時も想像を絶する痛みと苦しみに喘いでいます。そんな状況を女神様達が許すとお思いですか? この私、女神の使徒たるアルテアンが、そんな粗野で野蛮で乱暴で…自らの意思と欲望で蛮行を成す者達を許せると思いますか? 許せるはずがありません!」
熱く語りながら、軍議に参加する人々を見まわしながら、俺は続ける。
「先行部隊として、我が一家は敵の首魁、ダース皇帝を討ちます。その後、そのまま前進して苦しむ民を解放するために、悪漢どもを1人残らず消し去ります。皆様には、村や街、国の復興の為にお力を貸して欲しいのです」
被害者たちの心や体のケアは、どう考えたって我が家のメンバーだけでは手が足りないし、そもそも復興なんて国がやらないでどうすんだって話だからな。
「うむ、アルテアン伯爵よ、其方の話は良く分かった。正義の為に、好きに戦ってくれて構わない。事後の処理は、国を背負う我々が行おう」
さっすが、第三王子様!
「ところで…先ほど、悪漢どもを1人残らず消し去る、と卿は言ったと思うのだが…弑するのではなく消し去る…のか?」
あ、そこに引っかかっちゃったかあ。
「ええ、べダム首長。悪漢どもには、この世から消えて頂きます。その身その魂の一欠けらも残さず、この世から存在そのものを。そして未来永劫、深い闇の中に沈んでもらいます。女神様より、何千年経とうとも転生はさせないと、お言葉も貰っておりますれば、それを実行するに躊躇いは御座いません」
意外に厳しい内容の話なのだが、全員が静かに頷き肯定の意を示した。
うっし、これで全員からOKもらったって事でいいな。
これで俺の作戦第二弾の根回しも出来たな…後は今夜にでも最後の仕込みに入るとするか。
って事は、時間的には、ん~~と。
「それでは、私達は、3日後の早朝に攻めいります。かなりの敵兵がこちらにも逃げてくるはずですので、皆様にはこの絶対防衛線を死守して頂きたいと思います」
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