554 / 1,466
御守り
しおりを挟む
「では、軍務大臣閣下、べダム首長殿。こちらが今回の戦の切り札となる、新開発の呪法具です」
ホワイト・オルター号によって、はるばるアルテアン領より運ばれて来た、例のブツを2人に手渡した。
「お2人が手にされているのは、我が家の呪法具開発部長である、ユズキが開発した物です」
そう、御守りの呪法具である。
お守りと言えば、良く神社の売店で見かける様な交通安全の御守りが有名だろう。
しかし、前世の地球的に考えると、それこそ御守りとは様々な形をしているのだ。
キリスト教のロザリオであったり、 陰陽道の護符であったり、ウサギの足だったり、勾玉であったり、マイナーなところではトルコのナザール・ボンジュウなんていう物まで様々だ。
今回、この戦の為に用意したのは、日本人にお馴染の交通安全と布袋に書かれたあの形その物の御守りだ。
では、大臣と首長が手にしている御守りとは、どんな物か。
内符と呼ばれる御神体を優しく包んでいる布袋は、極々シンプルな布袋。
特に装飾も無いが、表面には"言霊実現"と書かれている。
袋には何かに括り付ける事が出来る様に、飾り紐ほど豪華ではないが、しかし頑丈な紐が付けられている。
肝心の内符であるが、ユズキとユズカの案を元に、俺がアイデアを加えた事によって完成した、小粒の魔石が嵌った金属製のプレートであり、呪法が施されている。
呪法は、期間限定、自然治癒力向上、攻撃力上昇、回避能力上昇、の4つが施されている。
実にシンプルな内容ではあるが、これでも十分すぎるほどの能力を発揮するのだ。
期間限定とは、おおよそ3ヶ月の間だけ効果を発揮する様にしたもの。
自然治癒力向上とは、怪我や身体の異常状態に対する、自然治癒力の向上。
本来の傷や病気などの完治までの期間を、およそ半分にまで縮めてくれるという、とんでもない能力。
ただし、期間内に限るし、同時に複数の要因の怪我や病気には対応していない。
また、あらゆる生命体が持つ生命エネルギーを自らの意思で使用する事となるので、使い過ぎれば当然だがエネルギー量によっては回復速度も遅くなるし、使い過ぎれば死に至る事もある。
また意識が無い場合は、その効果を発揮しない。
そして、即死には効果が無い。
次に、攻撃力上昇と、回避能力上昇は、この御守りを持つ人の攻撃力と回避能力を30%近く上昇させる物。
たかが30%と思うなかれ、微妙な数字に思えるかもしれないが、途轍もない事なのだ。
これも意識が無い者には効果を発揮しない…って、これは当然か。
最後に、これらを入れている袋なのだが、この中でしかプレートの能力は発揮されないようになっている。
そして、袋自体にも呪法はかかっており、セットしたプレートが吸収したエネルギーを使用して動いている。
つまり、そのプレートに刻まれた呪法を動かすためには、必ず袋に入れなければならない仕様だ。
もともと埋め込まれている魔石の力を使って呪法の力を発揮する様に設計してる。
これは、隠しコマンドというか隠し呪法というか、魔石には霊的資源魔力変換充填という、ちょっと複雑で意味不明な単語の羅列が刻まれているのだ。
これで魂のエネルギーは魔力に変換されて、魔石に充填される…のだが、なんでこれで動くのかは謎だ。
もしかして魂のエネルギーってのは、霊的なものとかエーテル体とかアストラル体とかなのかもしれない。
いや、この際それはどうでもいいのだ。そう、動けば問題ない。
この軍務大臣やべダム首長が手にした御守りは、アルテアン領の総力を挙げて大量生産をしており、この場にユズキたちが運んだだけでも、すでに2万個近くある。
最前線で戦う兵や、軍務大臣やべダム首長など国の重要な地位にある者などに渡す予定だ。
特に兵達は、交代の時には御守りを次の番の人へと渡して使い回してもらう。
本当は、個人個人に渡したかったけど、さすがに時間と資源が不足しているので、一旦生産はストップしている。
なので、ここにあるだけ数で我慢してもらうほかない。
ここまで説明すると、2人はすぐに兵や騎士達の長を呼び出して、この御守りを配り始めた。
もちろん、どこに何個行ったのか記録してもらっているし、その管理はガッチリとしていただく。
まあ、無くなったってい3ヶ月ほどで使えなくなるんだけど、やっぱ気になるからね。
戦争のゴタゴタが全て片付いたら、回収させてもらう事になっている。
この御守りの効果が戦争で目に見える結果を残せたら、能力をもっともっと落として一般販売でもいいかもしれない。
袋は豪華に、女神ネスや太陽神、月神を刺繍したりして、お土産物屋さんで売れるかもしれない!
いや、間違いなく売れる!
作るなら、回復系は安産祈願や健康第一ってぴったりだしな。
狩猟関係なら、攻撃力上昇、回避能力上昇なんて、ぴったりじゃん!
あ、家内安全とかもいいかもしれない。
でも、恋愛成就なんて定番って、どんな呪法をつけたらいいんだ?
もしかして、あれって攻撃力なんだろうか? もしかして、ストレートに恋愛成就とかで良いんだろうか? 帰ったら試してみよう。
いやしかし、この戦争で御守りの効果が認められれば、かなり良い宣伝になるぞ。
損して得を取れってのは、まさしくこれだよな!
いや~トール君ってば、商才ありすぐる君だよな~! わっはっはっはっは!
ホワイト・オルター号によって、はるばるアルテアン領より運ばれて来た、例のブツを2人に手渡した。
「お2人が手にされているのは、我が家の呪法具開発部長である、ユズキが開発した物です」
そう、御守りの呪法具である。
お守りと言えば、良く神社の売店で見かける様な交通安全の御守りが有名だろう。
しかし、前世の地球的に考えると、それこそ御守りとは様々な形をしているのだ。
キリスト教のロザリオであったり、 陰陽道の護符であったり、ウサギの足だったり、勾玉であったり、マイナーなところではトルコのナザール・ボンジュウなんていう物まで様々だ。
今回、この戦の為に用意したのは、日本人にお馴染の交通安全と布袋に書かれたあの形その物の御守りだ。
では、大臣と首長が手にしている御守りとは、どんな物か。
内符と呼ばれる御神体を優しく包んでいる布袋は、極々シンプルな布袋。
特に装飾も無いが、表面には"言霊実現"と書かれている。
袋には何かに括り付ける事が出来る様に、飾り紐ほど豪華ではないが、しかし頑丈な紐が付けられている。
肝心の内符であるが、ユズキとユズカの案を元に、俺がアイデアを加えた事によって完成した、小粒の魔石が嵌った金属製のプレートであり、呪法が施されている。
呪法は、期間限定、自然治癒力向上、攻撃力上昇、回避能力上昇、の4つが施されている。
実にシンプルな内容ではあるが、これでも十分すぎるほどの能力を発揮するのだ。
期間限定とは、おおよそ3ヶ月の間だけ効果を発揮する様にしたもの。
自然治癒力向上とは、怪我や身体の異常状態に対する、自然治癒力の向上。
本来の傷や病気などの完治までの期間を、およそ半分にまで縮めてくれるという、とんでもない能力。
ただし、期間内に限るし、同時に複数の要因の怪我や病気には対応していない。
また、あらゆる生命体が持つ生命エネルギーを自らの意思で使用する事となるので、使い過ぎれば当然だがエネルギー量によっては回復速度も遅くなるし、使い過ぎれば死に至る事もある。
また意識が無い場合は、その効果を発揮しない。
そして、即死には効果が無い。
次に、攻撃力上昇と、回避能力上昇は、この御守りを持つ人の攻撃力と回避能力を30%近く上昇させる物。
たかが30%と思うなかれ、微妙な数字に思えるかもしれないが、途轍もない事なのだ。
これも意識が無い者には効果を発揮しない…って、これは当然か。
最後に、これらを入れている袋なのだが、この中でしかプレートの能力は発揮されないようになっている。
そして、袋自体にも呪法はかかっており、セットしたプレートが吸収したエネルギーを使用して動いている。
つまり、そのプレートに刻まれた呪法を動かすためには、必ず袋に入れなければならない仕様だ。
もともと埋め込まれている魔石の力を使って呪法の力を発揮する様に設計してる。
これは、隠しコマンドというか隠し呪法というか、魔石には霊的資源魔力変換充填という、ちょっと複雑で意味不明な単語の羅列が刻まれているのだ。
これで魂のエネルギーは魔力に変換されて、魔石に充填される…のだが、なんでこれで動くのかは謎だ。
もしかして魂のエネルギーってのは、霊的なものとかエーテル体とかアストラル体とかなのかもしれない。
いや、この際それはどうでもいいのだ。そう、動けば問題ない。
この軍務大臣やべダム首長が手にした御守りは、アルテアン領の総力を挙げて大量生産をしており、この場にユズキたちが運んだだけでも、すでに2万個近くある。
最前線で戦う兵や、軍務大臣やべダム首長など国の重要な地位にある者などに渡す予定だ。
特に兵達は、交代の時には御守りを次の番の人へと渡して使い回してもらう。
本当は、個人個人に渡したかったけど、さすがに時間と資源が不足しているので、一旦生産はストップしている。
なので、ここにあるだけ数で我慢してもらうほかない。
ここまで説明すると、2人はすぐに兵や騎士達の長を呼び出して、この御守りを配り始めた。
もちろん、どこに何個行ったのか記録してもらっているし、その管理はガッチリとしていただく。
まあ、無くなったってい3ヶ月ほどで使えなくなるんだけど、やっぱ気になるからね。
戦争のゴタゴタが全て片付いたら、回収させてもらう事になっている。
この御守りの効果が戦争で目に見える結果を残せたら、能力をもっともっと落として一般販売でもいいかもしれない。
袋は豪華に、女神ネスや太陽神、月神を刺繍したりして、お土産物屋さんで売れるかもしれない!
いや、間違いなく売れる!
作るなら、回復系は安産祈願や健康第一ってぴったりだしな。
狩猟関係なら、攻撃力上昇、回避能力上昇なんて、ぴったりじゃん!
あ、家内安全とかもいいかもしれない。
でも、恋愛成就なんて定番って、どんな呪法をつけたらいいんだ?
もしかして、あれって攻撃力なんだろうか? もしかして、ストレートに恋愛成就とかで良いんだろうか? 帰ったら試してみよう。
いやしかし、この戦争で御守りの効果が認められれば、かなり良い宣伝になるぞ。
損して得を取れってのは、まさしくこれだよな!
いや~トール君ってば、商才ありすぐる君だよな~! わっはっはっはっは!
2
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる