システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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いや、儲かってますんで

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 っという訳で、やってまいりましたのは、アーテリオス神国の北部に位置します、例の盆地と他国との行き来を阻む高い山脈の間にありますこの場所。
 ここは俺の想定した、あの暗黒面に落ちた様な名前の皇帝さんの軍との激突予定地。
 ふぅむ…地図で見た限りでは、ほぼ左右に100mだが、樹々が邪魔して正確にはわからんな。
 しかし、向こうに見える山脈と、こっちの盆地を囲む山脈を見れば、大体そんなもんかな。
 ナディアもここがそうだと言ってたし、まあ間違いはないだろう。
 ここに造るのは、今では観光で有名な長城。
 実際の長城ってそんなに高くも無いし、常に兵士があの防壁の上で見張ってたわけじゃ無いから、結構あちこちに敵の侵入を許す穴があったって聞いた事がある。
 だから、ここはしっかり見張る事が出来て、確実に防御出来る防御壁を造る必要があるな。
 あ、戦が終わったら、ここを関所に転用したら、壊す必要も無いんじゃね?
 まさか父さんの村で造った様な、格納式とかは不味いだろうし、そこはちょっと工夫しなきゃダメか?
 そうすると、あそこを改良して、こっちには…

「トールヴァルド卿? 聞いておられますか? トールヴァルド卿!」
 うぉ!
「は、はいぃ! 来ておりますよ、べダム首長」
 本日は、我がグーダイド王国の一行と、アーテリオス神国の一行を引き連れて、この迎撃ポイントまでやって来たのでした。
「卿の言う通り、この地に決戦用の陣をはって確保しましたが、本当にここでよろしいのですか?」
 べダム首長の言葉に感謝と確認の意味を込めて言葉を返した。
「ありがとうございます。ええ、勿論ここで結構です」


 あの日、王城の食堂で王家の皆さんの前で話した作戦は、翌日には議会にてお披露目され、軍部の…というか、第三王子様のごり押しで採用された。
 一部の貴族とかは、議会で俺の案が発表されるや否や、「そんな事が簡単に出来るのか?」とか、「またアルテアンか…」とか、「あの家が国防の要とは…」とか、「王家はアルテアンに甘い」とか、そりゃまあ陰口も嫌って程聞いたけど、
「だったら、貴殿達で対案を今すぐにここで発表したまえ。そしてそれを自らの力だけで成すが良い。もちろん、此度の戦に確実に勝利せよとまでは言わぬが、決して負けぬ案と実行力を示せ!」
 軍務大臣をされておられる第三王子様がブチ切れた。
「どうした、そこの子爵よ、散々文句を言っておったではないか! 自らやり遂げる覚悟があっての言では無かったのか?そこの男爵はどうなのだ? お主も色々と言っておったな? さぞや良い案があるのだろう? さあ、今すぐここに来て言ってみろ!」
 議会の真ん中にある壇上で、王子様が大声で怒鳴り散らした。
 あの人って、すごく真面目で大人しいイメージだったけど、こんなに怒るんだ。
 怖い怖い。
 王子様の言葉に誰一人反論する者は無く、議会は一気にしーんとした。

「そのうえアルテアン伯爵は、兵達の防衛のための呪法具まで急ぎ開発しているというのだ! しかもこの戦の為に無料で提供しようとしているのだぞ! さらに戦場まで自らの持つ運輸商会の業務を全て止めてまで、兵の搬送を手伝おうというのだぞ? この都から遠く離れた領地を護る伯爵がだ! 王都やすぐ近くに住む貴殿達にそれが出来るのか! 身銭を切ってまで、兵の為に何か一つでもしてやった事があるか? 領地の馬車や馬を戦の為に無料で供出しようと申し出た貴族が何人いた? この戦の準備の為に、お主等は一体何をしたというのだ!」
 すでに議会は、王子様の独演会どころじゃ無く、ここにいる貴族達を糾弾する場になっていた。
 王子様に睨まれた貴族たちは、そっぽを向いたり俯いたりと、視線をあからさまに外している。
「フンッ! 長い己の家の歴史に胡坐をかいただけで、自ら何も成そうともしない輩や、中央の目を盗んでは脱税を繰り返し、懐具合にばかりに気が行ってる様な貴殿達には、到底出来ぬ事だろうな」
 最後には、舐めまわす様に、馬鹿にする様に、議会に列席している貴族連中を見回す王子様。
 流石にこれには、少々頭に来たのか、一部の貴族さんは口々に、
「脱税とは、王家と言えども言葉が過ぎますぞ!」
「「「そうだそうだ!」」」
「そこのアルテアン一族こそ、そんな金を何処から出そうというのですか!」
「アルテアンこそ脱税してるに違いない!」
「「「そうだそうだ!」」」
 ま、俺にも父さんにも、やましい事なんてま~ったく無い。
 常に税金は規定以上、倍近くも支払っているのだから。
 何でかというと、領内にあるアルテアン家が直接経営する各産業が、日毎に莫大な利益を生み続けているから、税金なんぞに頼らなくとも、我が家はウハウハなのだ。
 なので、規定通りの税金を領民からは受け取るが、我が家の取り分なんて無視して、そのままそっくり収めているってわけ。
 脱税どころか、表彰されてもいいくらいには、国庫に貢献してるんだぞ。

「ほう…そうか。アルテアンが脱税していると? ちょうど良いから、ここで発表してやろう。昨年、最も王国に税を収めたのは、アルテアン侯爵だ。先ほどこの私に言葉が過ぎると言っていたのは、貴殿だったな…ピゾーヌ伯爵の納税額の、ちょうど50倍だな」
 名指しされた伯爵さんは、「はっ?」って顔してる。
「第2位がアルテアン伯爵だ。おや、ピゾーヌ伯爵と爵位は同列だな。ちなみに納税額は、アルテアン伯爵がやはり40倍はあるぞ? ピゾーヌ伯爵よ、貴殿の領地はアルテアン伯爵の倍ほどあったはずだが、これは一体どういう事なのだ?」
 王子様に名指しされた伯爵の顔面は、もはや怒りの赤からを真っ青に。
 カメレオンかな? リトマス試験紙かな? 
「言っておくが、アルテアン侯爵も伯爵も、これは正しく国に納められた額だからな。ちなみに両家の領民の数から、普通に徴収した税額がそのまま収められた金額よりも、かなり多いという事を忘れるなよ?」
 いやぁ…個人の所有するあちこちの工房や商い、ついでにスパとかの収益の計算が面倒だったよ。
 何故かお土産物屋さんが、とんでもない利益を叩き出しているのを知った時は、椅子からズッコケて落ちたけど。
 ありゃ~多分、ネス関連のグッヅの売り上げだろうなあ。

「さて、ピゾーヌ伯爵の納税額は、何でこんなに少ないのかは、この場ではおいておこう。まあ、後程しっかりと監査をさせて貰うがな」
 ピゾーヌ伯爵さん、もうちびりそうな顔です。
 ちなみに、我が家と友好関係にある貴族家や貴民・勲民、商家や工房は、しっかりと儲けて頂いています。
 当然だが、従業員だって賞与を年に3回は貰ってるほどなんで、懐は皆暖かい。
 つまりは、こういう場所で我が家を罵ったり足を引っ張ろうとする奴は、大概が我が家と敵対関係にあるのだ。

「ああ、そうそう。良い機会なので過去5年に遡って諸君らの納税内容に関して徹底的に調査するつもりだ。ちなみに、すでに各領地へと監察官は出発したからな」
 王子様のとどめの一言で、驚きのあまり立ち上がったり、ガックリと項垂れる奴の何と多い事か。
「脱税や不正が重罪であるという事は、議会に出席している貴殿達であれば、知らぬわけは無いよな? 酷い不正が見つかった場合は、国家反逆罪の適用も視野に入れているから、皆そのつもりでおるが良い」
 すっごく悪い顔でニヤっと笑った王子様は、そう言って話を締めくくった。
 ああ、次の議会ではきっと参加者は思いっきり減ってるんだろうなあ。
 
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