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朝の鍛錬
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翌日、いつもの様に朝日が昇る時間に目が覚めたのだが、どうも、こう…頭が重いというか、気だるいというか…
簡単に着替え、重たい瞼と頭を冷たい水で顔を洗う事でリセットして、これまたいつもの如く裏庭で鍛錬鍛錬。
「イネス、慌てない。剣を振るのは、最初は大きくゆっくりで良いから丁寧に。常に正しく刃を立てる事を意識して確認して」
「はい! ゆっくり大きく…丁寧に…」
まるでナメクジが這う様な、子供でも余裕で避けられる様なスピードで剣を動かすイネス。
「うん、そうそう。そこから、だんだんと動きを小さしつつ、剣速を上げる事」
「少しずつ、少しずつ…」
イネスの持つ剣が、だんだん早くなり、風を切る音が少しずつ大きくなっていく。
「コラ! 剣先にばかり集中しない、足元に注意! 足運びは一番大事だ。それだけで動きがガラッと変わるんだぞ!」
「っ! は、はい!」
いつも同じ場所で鍛錬しているイネスの足元には、何度も何度も繰り返した足さばきの所為で、下草は生えなくなり、地面がむき出しになっている。無論、俺も同じだ。
「そうだ! それでいい!」
「はいっ!」
すり足ってのを勘違いしている人が多いんだけど、最初はイネスもそうだった。
ズリズリと足を引きずるのをすり足だと思ってた様で、一から俺が修正したんだ。
足の裏、親指の根本近くにある拇趾丘を軸に、前進であれば前に軽く重心を置いて足をスライド。後進なら逆という風に、常に姿勢というかバランスを崩さず、体の中に一本の芯が通っていて、それが地面と常に垂直にある様にする事が大事。
練習で出来ない事が、実戦で出来るはずが無い。
これが出来る様になって、初めて前傾、超前傾にならざるを得ない様な速度域でも、自らの身体と姿勢をコントロール出来るようになるわけだし、相対する敵のバランスというか、重心も見えて来る。
別にこれは徒手空拳だけでなく、武器術でも応用は幾らでも出来るのだ。
だからこそ、ただ力いっぱい飛び込んで力任せに剣を振るなんていう、変なクセが付いたイネスを見て手ほどきをしたんだ。
まあ、父さんは野生の勘というか野生その物というか、俺が子供の頃に見たスタンピードの時には既に完成されてて驚いたんだけどな。
まあ、こんな感じで、俺の鍛錬に付き合い続けてきたイネスに細かく指導をしながら、自分の身体の動きが頭の中のイメージとずれていないかチェックしながら、時折全力で型稽古を行う。
特に体調に問題はないと思うのだが、朝の倦怠感は何だったんだろうか。
実は5~6年ほど前から、あんな事が度々あるんだが、もしかして俺って病気でも罹ったのかな?
う~~ん…戦争行く前に、ちょっと魔族のお医者さんに見てもらうとしますかね。
お薬か魔法で治ればいいけど…
そろそろ朝食の時間が迫って来た頃合いで、俺とイネスは汗を流して着替えに戻る。
ちなみに、早朝の鍛錬に出ようとした俺とイネスを見て、父さんも一緒に行きたそうに扉を半分開けて顔を出していたのだが、その襟首をぬっと出てきた嫋やかな白い手が、ガッシと掴んで室内に引きずり込んだのを、俺とイネスは見なかった事にした。
母さん、それはホラーだよ…怖いから止めてね。
ちなみに、ここって俺の屋敷だから。
朝から夫婦生活を頑張らなくてもいいよ…ドワーフメイドさんの洗濯が大変だから、自分達の屋敷でお願いします。
さて、汗も流しお着換えも済ませ、しっかり朝食を食べた後は恒例のミーティングのお時間です。
食堂に集まった、いつものメンバー + 両親と妹達と妖精達&ペット。
「では、恒例のミーティングです。この後は、各自荷物を持って裏庭に集合してください。すでに宿屋には、ドワーフメイドさんに行って貰い、騎士さん達に集合を掛けてもらってます」
俺の言葉を、ふんふんと頷きつつ黙って聞く一同。
「今回は、ナディア達妖精一同とブレンダー達も連れて行きます。屋敷の事は、申し訳ないけどドワーフさん達、お願いします」
俺が言葉を投げかけると、コクンと頷いてくれるメイドさん達。
「ユズキ、ユズカ。呪法具の仕様書は完成した?」
「はい。昨日、何故か閃きまして、完璧な物が出来上がりました」
閃きって大事だよね、うんうん。
「了解。それじゃ父さん屋敷にユズキとユズカ降ろすので、街の職人さん達と打ち合わせをして、大至急量産体制に入って欲しい。アルテアン伯爵家の…いや、侯爵家での最優先事項だと言って構わない。現在抱えている全ての仕事を止めてでも、何人投入してでも構わない。モフリーナにも、必要な数だけ魔石は用意させるから、何としても期日までに数を揃える様に。必要経費は俺が用意する」
「はい、わかりました」
「あ、後で出来てる仕様書はチェックするから。え、ここに持って来てるの? うん、ちゃんと見るから」
ユズキ、準備いいな…どれどれ…っと、それは後回しだった。
「父さんは、騎士さん達が来たら、裏庭に整列させておいて。コルネちゃんとユリアちゃんは、母さんとナディア達と行動を共にする様に」
父さんは無言で頷き、
「「は~い!」」
コルネちゃんとユリアちゃんは、元気いっぱいのお返事。
うんうん、可愛い可愛い。
「2人の事は、母さんに任せなさい」
母さんが可愛い分けじゃないからね。コルネちゃんとユリアちゃんの事だからね。
「…トールちゃん?」
あ、いや…母さんは、可愛いというよりも、美しいです…はい。
「よし、連絡事項は以上。では、各自準備してください、解散!」
俺の号令で、皆が食堂から準備の為に、各々の部屋へと向かっていった。
簡単に着替え、重たい瞼と頭を冷たい水で顔を洗う事でリセットして、これまたいつもの如く裏庭で鍛錬鍛錬。
「イネス、慌てない。剣を振るのは、最初は大きくゆっくりで良いから丁寧に。常に正しく刃を立てる事を意識して確認して」
「はい! ゆっくり大きく…丁寧に…」
まるでナメクジが這う様な、子供でも余裕で避けられる様なスピードで剣を動かすイネス。
「うん、そうそう。そこから、だんだんと動きを小さしつつ、剣速を上げる事」
「少しずつ、少しずつ…」
イネスの持つ剣が、だんだん早くなり、風を切る音が少しずつ大きくなっていく。
「コラ! 剣先にばかり集中しない、足元に注意! 足運びは一番大事だ。それだけで動きがガラッと変わるんだぞ!」
「っ! は、はい!」
いつも同じ場所で鍛錬しているイネスの足元には、何度も何度も繰り返した足さばきの所為で、下草は生えなくなり、地面がむき出しになっている。無論、俺も同じだ。
「そうだ! それでいい!」
「はいっ!」
すり足ってのを勘違いしている人が多いんだけど、最初はイネスもそうだった。
ズリズリと足を引きずるのをすり足だと思ってた様で、一から俺が修正したんだ。
足の裏、親指の根本近くにある拇趾丘を軸に、前進であれば前に軽く重心を置いて足をスライド。後進なら逆という風に、常に姿勢というかバランスを崩さず、体の中に一本の芯が通っていて、それが地面と常に垂直にある様にする事が大事。
練習で出来ない事が、実戦で出来るはずが無い。
これが出来る様になって、初めて前傾、超前傾にならざるを得ない様な速度域でも、自らの身体と姿勢をコントロール出来るようになるわけだし、相対する敵のバランスというか、重心も見えて来る。
別にこれは徒手空拳だけでなく、武器術でも応用は幾らでも出来るのだ。
だからこそ、ただ力いっぱい飛び込んで力任せに剣を振るなんていう、変なクセが付いたイネスを見て手ほどきをしたんだ。
まあ、父さんは野生の勘というか野生その物というか、俺が子供の頃に見たスタンピードの時には既に完成されてて驚いたんだけどな。
まあ、こんな感じで、俺の鍛錬に付き合い続けてきたイネスに細かく指導をしながら、自分の身体の動きが頭の中のイメージとずれていないかチェックしながら、時折全力で型稽古を行う。
特に体調に問題はないと思うのだが、朝の倦怠感は何だったんだろうか。
実は5~6年ほど前から、あんな事が度々あるんだが、もしかして俺って病気でも罹ったのかな?
う~~ん…戦争行く前に、ちょっと魔族のお医者さんに見てもらうとしますかね。
お薬か魔法で治ればいいけど…
そろそろ朝食の時間が迫って来た頃合いで、俺とイネスは汗を流して着替えに戻る。
ちなみに、早朝の鍛錬に出ようとした俺とイネスを見て、父さんも一緒に行きたそうに扉を半分開けて顔を出していたのだが、その襟首をぬっと出てきた嫋やかな白い手が、ガッシと掴んで室内に引きずり込んだのを、俺とイネスは見なかった事にした。
母さん、それはホラーだよ…怖いから止めてね。
ちなみに、ここって俺の屋敷だから。
朝から夫婦生活を頑張らなくてもいいよ…ドワーフメイドさんの洗濯が大変だから、自分達の屋敷でお願いします。
さて、汗も流しお着換えも済ませ、しっかり朝食を食べた後は恒例のミーティングのお時間です。
食堂に集まった、いつものメンバー + 両親と妹達と妖精達&ペット。
「では、恒例のミーティングです。この後は、各自荷物を持って裏庭に集合してください。すでに宿屋には、ドワーフメイドさんに行って貰い、騎士さん達に集合を掛けてもらってます」
俺の言葉を、ふんふんと頷きつつ黙って聞く一同。
「今回は、ナディア達妖精一同とブレンダー達も連れて行きます。屋敷の事は、申し訳ないけどドワーフさん達、お願いします」
俺が言葉を投げかけると、コクンと頷いてくれるメイドさん達。
「ユズキ、ユズカ。呪法具の仕様書は完成した?」
「はい。昨日、何故か閃きまして、完璧な物が出来上がりました」
閃きって大事だよね、うんうん。
「了解。それじゃ父さん屋敷にユズキとユズカ降ろすので、街の職人さん達と打ち合わせをして、大至急量産体制に入って欲しい。アルテアン伯爵家の…いや、侯爵家での最優先事項だと言って構わない。現在抱えている全ての仕事を止めてでも、何人投入してでも構わない。モフリーナにも、必要な数だけ魔石は用意させるから、何としても期日までに数を揃える様に。必要経費は俺が用意する」
「はい、わかりました」
「あ、後で出来てる仕様書はチェックするから。え、ここに持って来てるの? うん、ちゃんと見るから」
ユズキ、準備いいな…どれどれ…っと、それは後回しだった。
「父さんは、騎士さん達が来たら、裏庭に整列させておいて。コルネちゃんとユリアちゃんは、母さんとナディア達と行動を共にする様に」
父さんは無言で頷き、
「「は~い!」」
コルネちゃんとユリアちゃんは、元気いっぱいのお返事。
うんうん、可愛い可愛い。
「2人の事は、母さんに任せなさい」
母さんが可愛い分けじゃないからね。コルネちゃんとユリアちゃんの事だからね。
「…トールちゃん?」
あ、いや…母さんは、可愛いというよりも、美しいです…はい。
「よし、連絡事項は以上。では、各自準備してください、解散!」
俺の号令で、皆が食堂から準備の為に、各々の部屋へと向かっていった。
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