システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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敵は巨大勢力

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 まだナディア達にこの大陸の地図を作成してもらってないので正確な所は不明だが、父さんの話から宣戦布告してきた暗黒教ダークランド皇国というのが、巨大な勢力を誇る国である事は十分に理解出来た。
 理解は出来たのだが、どうにも数値化してくれないと、俺にはいまいちイメージ出来ない。

 グーダイド王国とアーテリオス神国が手を尽くして得た敵の情報は少ないが、それでも色々と見えてきた。
 この皇国とやらは、元は遥か北の小さな国だったそうだ。小さいとは言ってもグーダイド王国と同じぐらいの大きさだったそうだから、そこそこ大きいんじゃね? とは思うが、まあ父さんの話では人口が少なかったらしく、それで小さいと表現したようだった。
 それが周辺諸国をどんどん侵略しては併呑し、ガンガン支配領域も人口も膨れ上がっていったそうだ。
 その皇国を率いていたのは、皇帝の椅子に座ったばかりの若干17歳の天才にして冷酷非情な少年。
 先代皇帝を自らの手で殺め、20人ほどいた兄弟姉妹に、7人いた皇紀も残らず冥府へと叩き落とした奴だ。
 そうして玉座を手に入れた翌日には軍部を掌握し、数日のうちに隣国へと侵攻を開始したとか。
 ちなみにこの中二病少年皇帝が即位するまでは、国名もレイフェル皇国だったらしい。少年が強権を発動して改名したんだという…。
 マジで中二病だな、こいつ。
 現在、都合4か国がこの皇国に支配されているというから驚きだ。
 この皇国が従える兵の数も、すでに15万以上に膨れ上がっているという。
 まあ、それだけの兵員なら、確かに必要物資も尋常じゃない量が必要だ。
 よく小説や漫画、アニメやドラマなどでは、大部隊への補給というと食料が特にピックアップされているが、実際に兵が動けば食料だけでなく、武器や被服が必要だ。歩けば靴だって磨り減るし、服だって擦り切れるのだ。
 もちろんそれだけでは無い。長期間の行軍ともなれば、体調を崩す者も出るだろう。薬品なども常時定量は確保しなければならない。
 そもそも考えて欲しい。15万もの兵士が食ったり飲んだりするのだ。胃に物を入れれば当然出る物も出る。それも15万人分なのだ。それを放置しておく事が出来るだろうか? それこそ行軍中の兵士が何kmにもわたって糞尿の上を歩く事になる。
 故に適切な深さの穴を掘ってそこで用を足し、移動時には埋め戻さなければならない。これを毎日延々と繰り返すのだ。
 想像するだけでも、鼻の奥にあの独特な肥溜めの臭いがする気がしてくる。
 こんな事をしながら、本当に皇国は周辺諸国だけでなく、俺達の住むこんな僻地まで何カ月もかけてやって来る気なのだろうか?
 兵達のストレスというか、不満は間違いなく爆発するぞ?
 皇帝は切れ者だと勝手に想像してたんだが、地球よりも遅れた文化しか持たないこの星で、本当にこれだけの長期間行軍させる奴の頭がいいのか、ちょっと悩んでしまう。

「それでトール…どうやって敵の侵攻を食い止めるんだ?」
 俺が頭を悩ませていると、父さんがズバリ直球で聞いてきた。
 ま、侵攻ルートが限られてるんだから、簡単だけど。
「あれだよ、あれ。あのダンジョンからのスタンピード防いだヤツ。あれで侵攻方向を限定してやれば、あとは太陽神様と月神様に頼んで、神罰で殲滅出来ると思うよ」
 太陽神様のサンライト・ハンマーと月神様のミーティア・キャノン。はっきり言って反則級の広範囲殲滅武器だ。
 精霊さんの芸術作品である、魔物迎撃用収納式防壁を国境に並べてやれば、間違いなく出口目指して侵攻する。
 並んでやって来たて騎兵を一網打尽に…いや、一気に殲滅するだけの簡単なお仕事になっちゃう。
 それもホワイト・オルター号にのって、お茶でも飲みながらポチッ! と、ボタンを押すだけで、15万人もの兵士さんの命が消えてしまうのだ。
 あまりにも憐れな兵士達に、ちょっとだけ俺が同情するのは仕方がないと思う。
「…女神様達の神罰か…喰らっても当然だろうな…」
 ん? 当然? 
「それは、どうして?」
「ああ…伝え聞いた話だと、奴らは元々は大地の神を信奉していたらしいんだが、新皇帝はそれを破棄して闇の神を信奉しているらしい。俺の推測では大地の神もきっと女神様達の1柱だと思ってる。だから、そんな神様を蔑ろにした皇帝軍というか皇国に神罰が下っても仕方がないんじゃないかと思ってな」
 ふむ…大地の神…大地神か? 
 むむむ! それはまた新たな神の登場の予感がする…のだが、これ以上増やしたら、ちょっと俺の手に余りそうな気もする。
 どうすっかなあ~。
 
『あなた~、トールちゃ~ん! どこ行ったの~?』
 おっと、我が家のゴッド母ちゃ…いや、愛しいマイ・マザーんが呼んでいる!
「父さん。母さんが呼んでるから、この話は今はここまで。また後で相談しよう」
「ああ…母さんを待たせたりしたら…ガクガクブルブル…」
 滅茶苦茶父さんの顔が青くなり、震え出したよ。
 よっぽど怖い目に遭ったんだろうなあ…トラウマになる程に…くわばらくわばら。
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