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予想外の物
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よく晴れた日差しがカーテンの隙間から差し込む、とても気持ちの良い朝だった。
俺はベッドの上で小さく欠伸をし、上体を起こしてゆっくりと身体を伸ばした。
今日は朝から忙しい。
両親や国王だけでなく、隣国の首長へも通信を行い、ダンジョン大陸で保護した人々に関して相談をしなければならないし、もちろん日々の仕事だって溜まっているので処理が必要だ。
あまり気乗りはしないが、人魚さん達とも約束してしまったのだから、しっかりと妊活パーティーの準備も進める必要がある。
そして昼過ぎからは、またダンジョン大陸の様子を見に行く必要だってあるだろう。
こう見えて、トール君は結構忙しいのだ。
さて、では起床の時間となった様なので、しっかりと身支度を整えて食堂へ行くとするか。
今日の朝食はなんだろう? 毎日の様に早起きをして食事を用意してくれている、ドワーフ・メイド衆やユズキには感謝しなければいけないな。
もっとも、ユズキは秘密にしているが、ユズカが朝食の用意が出来る寸前までぐーすかぴーと寝こけているのを実は知ってたりする。
まあ、俺も尻に敷かれた男の気持ちは十分理解できるので、ここは武士の情けという事で見逃しているのだが。
そんな事はまあいいとして、まずは着がえだな…クソでっかいベッドから降りて、部屋に造り付けのクローゼットから着替えを出す。
一般的な貴族というのは、自分で着替えなどしないという。主に着つけはメイド衆の仕事なんだそうだ。
王国で俺様は貴族だ! 平民は控えおろう! 何て言ってふんぞり返っている馬鹿貴族は、総じてそうらしい。
酷い奴は、トイレでケツまで拭かせるそうだ。どこの相撲部屋の付き人だよ…前時代的だな。
我が家は元々父さんが平民だし、俺自身も小さい時から自分で着替えてるので、そんなお馬鹿な真似はしない。
今日着る服を場と要件に合わせて選んで、自分で着替えるのだ。
さて、今日は午前中は主に執務だから、そんなに格式ばった服でなくてもいいから…これでいいかな? っと、適当な服を手に取る。
パジャマ代わりにしている簡素な服を脱ぎ捨て着替えようと上着の袖に手を通した時、ふと部屋の片隅に転がる物体に目の焦点がぴったりと合った。
部屋の片隅で見つけた物は、黒っぽいゴミの様に丸まったナニか。
はて…なんじゃらほい? 急いで上着とズボンを履くと、その物体へといそいそと近づいて拾い上げてみた。
しかして、それは予想外の物であった。
向こうが透けるほどに薄く滑らかな黒い生地で出来た、布地の面積が極端に少ない物体。三角形を頂点で二つ繋げた様な形をしており、それらが袋状になる様に、対の2点を紐で結ぶようになっている。
もちろんこの紐も黒い。わずかながらに同色のレースが一部にあしらわれたそれは、一般的におぱんてぃと呼ばれる物だ。
しかも、かなり大人の女性向けのあだるてぃなおぱんてぃ。
これは間違いなくマチルダの物だ。一度だけ見た記憶がある…間違いない。
でも、一体なんでこんな物が? まさか、昨日見落としていたのだろうか?
どうにもこうにも腑に落ちない気持ちでいっぱいだが、振りかえってベッドを見ても誰も居るはずも無く、謎は深まるばかりだ。
首を捻りつつ、そのおぱんてぃをポケットにねじ込み、俺は部屋から出ようと入り口の扉へと向かった。
そして、俺は気が付いてしまった。
俺の部屋の入り口の扉は、鍵なんぞ掛かって無く、満員御礼大開放状態だったのだ。
「おぉーーーーー! のぉーーーーーー!」
頭を抱えて叫んでしまった俺を一体誰が責めれよう。いや、きっとこの状態を見た全員が同じ感想を抱いたかもしれない。
こいつ馬鹿だろ? 学習しないだろ? 嫁~ず、舐めてるだろ? っと。
俺はダッシュで食堂へと走った。
そして食堂にたどり着くと、一回深呼吸してから一気に扉を開け放った。
そこで俺が目にした物は、俺以外の全員が食卓にきちんと行儀よく並んで座っていた、我が家の面々であった。
俺は無言でお誕生日席へ行き、ドカッ! と座ると、嫁~ずを見渡しながらポケットの中の物を高らかに掲げて言った。
「これは誰のかな?」
少しだけ頬を染めたマチルダが、はにかみながら、
「トール様…ここでは恥ずかしいです…」
そう言ってダッシュで俺の手にあったブツを掻っ攫って行った。
「そうか、あれはマチルダのだったか…メリルもミレーラもミルシェもイネスも、ちゃんと持って帰ったんだな?」
「ええ、当然ですわ…あ!」「落としませんよ…あ!」「何回も…忘れたりしませ…ん…あ!」「はっはっは! 元から履いてないぞ!」
うん、みんな言ったね。あっ! って。イネスは自爆した事すら理解してないかもしれないけど。
「今みんな、今、あっ! って言ったよね? 間違いなく言ったよね? 俺、この耳で聞いたからね?」
聞き逃すか、こんなはっきりとした証拠を!
「と、トール様の聞き違いですわ…ええ、きっとそうです! ねえ、ミルシェさん?」「もちろんです! ね、ミレーラさん」「…ええ、そうですね。きっと空耳だと思います…ですよね、イネスさん」「ん? 何の事だ?」
ふん! しらばっくれたて駄目だからな。
「そっか。そりゃそうだよな。まさか昼間の二の舞なんてしないよな、ミルシェ」
「とうぜ…何の事でしょう?」
引っかかる寸前だぞ。
「夜は鍵かけてなかったんだよ…良く分かったな、ミレーラ」
「はい、皆さんで部屋の扉をひっぱ…え、何の事ですか?」
素直なのは悪い事じゃないぞ、ミレーラよ。
「イネス、昼間はどうやって入ったんだ?」
「それはもちろん、マスターキーで開けたに決まってるじゃないか」
うんうん、みごとに自爆だな…ってか、
「やっぱお前らの仕業かーーー! 一体、寝てる俺に何をしたんだーーーーー!」
『ごめんなさーーーい!』
嫁達が一斉に謝罪の言葉を口にした瞬間、何故か勝った気がしたけど、一体、どうしてなんだろうか。
俺はベッドの上で小さく欠伸をし、上体を起こしてゆっくりと身体を伸ばした。
今日は朝から忙しい。
両親や国王だけでなく、隣国の首長へも通信を行い、ダンジョン大陸で保護した人々に関して相談をしなければならないし、もちろん日々の仕事だって溜まっているので処理が必要だ。
あまり気乗りはしないが、人魚さん達とも約束してしまったのだから、しっかりと妊活パーティーの準備も進める必要がある。
そして昼過ぎからは、またダンジョン大陸の様子を見に行く必要だってあるだろう。
こう見えて、トール君は結構忙しいのだ。
さて、では起床の時間となった様なので、しっかりと身支度を整えて食堂へ行くとするか。
今日の朝食はなんだろう? 毎日の様に早起きをして食事を用意してくれている、ドワーフ・メイド衆やユズキには感謝しなければいけないな。
もっとも、ユズキは秘密にしているが、ユズカが朝食の用意が出来る寸前までぐーすかぴーと寝こけているのを実は知ってたりする。
まあ、俺も尻に敷かれた男の気持ちは十分理解できるので、ここは武士の情けという事で見逃しているのだが。
そんな事はまあいいとして、まずは着がえだな…クソでっかいベッドから降りて、部屋に造り付けのクローゼットから着替えを出す。
一般的な貴族というのは、自分で着替えなどしないという。主に着つけはメイド衆の仕事なんだそうだ。
王国で俺様は貴族だ! 平民は控えおろう! 何て言ってふんぞり返っている馬鹿貴族は、総じてそうらしい。
酷い奴は、トイレでケツまで拭かせるそうだ。どこの相撲部屋の付き人だよ…前時代的だな。
我が家は元々父さんが平民だし、俺自身も小さい時から自分で着替えてるので、そんなお馬鹿な真似はしない。
今日着る服を場と要件に合わせて選んで、自分で着替えるのだ。
さて、今日は午前中は主に執務だから、そんなに格式ばった服でなくてもいいから…これでいいかな? っと、適当な服を手に取る。
パジャマ代わりにしている簡素な服を脱ぎ捨て着替えようと上着の袖に手を通した時、ふと部屋の片隅に転がる物体に目の焦点がぴったりと合った。
部屋の片隅で見つけた物は、黒っぽいゴミの様に丸まったナニか。
はて…なんじゃらほい? 急いで上着とズボンを履くと、その物体へといそいそと近づいて拾い上げてみた。
しかして、それは予想外の物であった。
向こうが透けるほどに薄く滑らかな黒い生地で出来た、布地の面積が極端に少ない物体。三角形を頂点で二つ繋げた様な形をしており、それらが袋状になる様に、対の2点を紐で結ぶようになっている。
もちろんこの紐も黒い。わずかながらに同色のレースが一部にあしらわれたそれは、一般的におぱんてぃと呼ばれる物だ。
しかも、かなり大人の女性向けのあだるてぃなおぱんてぃ。
これは間違いなくマチルダの物だ。一度だけ見た記憶がある…間違いない。
でも、一体なんでこんな物が? まさか、昨日見落としていたのだろうか?
どうにもこうにも腑に落ちない気持ちでいっぱいだが、振りかえってベッドを見ても誰も居るはずも無く、謎は深まるばかりだ。
首を捻りつつ、そのおぱんてぃをポケットにねじ込み、俺は部屋から出ようと入り口の扉へと向かった。
そして、俺は気が付いてしまった。
俺の部屋の入り口の扉は、鍵なんぞ掛かって無く、満員御礼大開放状態だったのだ。
「おぉーーーーー! のぉーーーーーー!」
頭を抱えて叫んでしまった俺を一体誰が責めれよう。いや、きっとこの状態を見た全員が同じ感想を抱いたかもしれない。
こいつ馬鹿だろ? 学習しないだろ? 嫁~ず、舐めてるだろ? っと。
俺はダッシュで食堂へと走った。
そして食堂にたどり着くと、一回深呼吸してから一気に扉を開け放った。
そこで俺が目にした物は、俺以外の全員が食卓にきちんと行儀よく並んで座っていた、我が家の面々であった。
俺は無言でお誕生日席へ行き、ドカッ! と座ると、嫁~ずを見渡しながらポケットの中の物を高らかに掲げて言った。
「これは誰のかな?」
少しだけ頬を染めたマチルダが、はにかみながら、
「トール様…ここでは恥ずかしいです…」
そう言ってダッシュで俺の手にあったブツを掻っ攫って行った。
「そうか、あれはマチルダのだったか…メリルもミレーラもミルシェもイネスも、ちゃんと持って帰ったんだな?」
「ええ、当然ですわ…あ!」「落としませんよ…あ!」「何回も…忘れたりしませ…ん…あ!」「はっはっは! 元から履いてないぞ!」
うん、みんな言ったね。あっ! って。イネスは自爆した事すら理解してないかもしれないけど。
「今みんな、今、あっ! って言ったよね? 間違いなく言ったよね? 俺、この耳で聞いたからね?」
聞き逃すか、こんなはっきりとした証拠を!
「と、トール様の聞き違いですわ…ええ、きっとそうです! ねえ、ミルシェさん?」「もちろんです! ね、ミレーラさん」「…ええ、そうですね。きっと空耳だと思います…ですよね、イネスさん」「ん? 何の事だ?」
ふん! しらばっくれたて駄目だからな。
「そっか。そりゃそうだよな。まさか昼間の二の舞なんてしないよな、ミルシェ」
「とうぜ…何の事でしょう?」
引っかかる寸前だぞ。
「夜は鍵かけてなかったんだよ…良く分かったな、ミレーラ」
「はい、皆さんで部屋の扉をひっぱ…え、何の事ですか?」
素直なのは悪い事じゃないぞ、ミレーラよ。
「イネス、昼間はどうやって入ったんだ?」
「それはもちろん、マスターキーで開けたに決まってるじゃないか」
うんうん、みごとに自爆だな…ってか、
「やっぱお前らの仕業かーーー! 一体、寝てる俺に何をしたんだーーーーー!」
『ごめんなさーーーい!』
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