システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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この素晴らしき言い訳

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「私への評価はさておき、話は聞くべきだと思いますけど?」
 意外な事に、サラからの援護射撃が飛んで来た。
「ええ、それには同意です。皆様が考えている様な、不埒な事は一切ありませんよ…人間性の不埒さは擁護出来ませんが…」
 リリアさん、それは援護なのか? もしかして俺を攻撃してないか?
「あのぉ…発言してもいいですか?」
 間隙を縫うようにして、ユズカがそう~っと手を挙げた。
「あら、ユズカさん。何か仰りたい事でも?」
 微妙にメリルの視線が冷たいんだが、気のせいだろうか。
「はい。伯爵様は、ダンジョン大陸へと行ってたんですよね? もしかしたら、そこにやって来ていた女の子を、引き取ろうとか思ってるんじゃないかと…」
『あ!』
 おい、嫁~ずよ! 今、『あ!』って言っただろ、『あっ!』って!
「ごほん…ええ、もちろんその可能性も考慮しておりましたわ…ほほほほ…」
 メリル、めっちゃ言い別臭い。
「僕にも発言の許可をください」
 ユズキも何かいいたいのか? 許可なんていらんから、はよ仰いな。
「…どうぞ」
 あ、めっちゃメリルが意気消沈してる…目に見えてわかるぞ。
「今回のダンジョン島へは、かなりの数の方々が来られたはずです。その中には、きっと私達と似通った容姿の方もおられたはずです。幼児や老人の眷属も来たと言ってましたから、そのうちの1人なのではないでしょうか? もしくは、あくまでも推測ですが…恐怖の大王の欠片を宿した者も来たと聞いています。旦那様でしたら、すでに対処してしまい、その代わりに幼女を預かる事になったとかも考えられるかと思うのですけど…」
 素晴らしいぞユズキ! 俺が考えてた言い訳を全部並べてくれた気がする。
「な、なるほど…それは確かにあり得る話ですわね…では、皆さん。決を採りたいと思います。目をお閉じください」
 メリルの宣言と共に、背筋を伸ばし顔を正面に向け、目を閉じる面々。
 何が始まるの? って、決って言ってたな。
「今回の件に関して、全面的にトールヴァルド様を許すという方は挙手を」
 ザッ! と音がして、全員が手を挙げ…てない!? サラだけが手を挙げてない…だと?
「決して許すまじ! おしおきだー! と思う方は挙手を」
 サラだけが意気揚々と手を挙げている…あいつは、アホか?
「はい、結構です。お目を開けてください。この一件に関しまして、トールヴァルド様を全面的に許すという方が大多数でしたので、今回は許したいと思います」
 全員が、パチパチと拍手しているのに、サラ一人だけが「Boo!」とブーイング。
 完全に空気を読めてない奴だな。
 
「では、トール様。こちらへどうぞ」
 足が痺れまくったけど、何とかかんとか席へと戻った。はぁ、痛かった…
「では、今回は静かに聞きますので、詳細をどうぞ」
 メリルに言われるがまま、詳細を語ろうかと思ったんだが…
 えっと、サラ、リリアさん。聞こえてると思うけど、余計な口出しは無用ね。
 返事が無いけど、信じたからね? ね?

「え~ただいまご紹介に与かりました、トールヴァルドです。今回のダンジョン大陸への大量の転移につきまして、かなりの数の者を保護しております。この者達は孤児と同様の扱いをしつつ保護し、全ての事が終わり次第、ダンジョン島を改築してそちらに移住してもらおうと思います。今の所、危険な奴等などを駆逐する段取りを着々と進めている所ですので、今しばらくダンジョン島の観覧はお待ちください。そして肝心の恐怖の大王に関してですが、ユズキの言う通り既に対応は済んでおります。ただし、色々と難しい事柄が重なったため、恐怖の大王の宿主となった肉体から精神を分離いたしました。結果として恐怖の大王を宿した本体は消失しましたが、残った肉体は5~6歳の女の子の物となってしまい、記憶も無くしてしまいました。なので我が家で引き取ろうと思います。また彼女は特殊な能力を持っていますので、合わせて経過観察も兼ねた保護のために、妹として傍に置こうかと思っております。以上」

 一気に言い切ったった! もう思い残すことは無い。
 どうだ、この素晴らしい言い訳は。
 いや、もう正座している間に色々と考えたよ。
 まあ、ユズキの言葉の一部も取り入れたし、説得力って意味じゃ~なかなかのモンじゃね? 自画自賛だけど。

「なるほど…確かに納得せざるを得ない内容ですし、特殊な能力でしたら傍に置いて経過観察の必要性があるのも確かでしょう」
「でしょ? メリルもそう思うよね」
「ええ。ですが、妹として置くのであれば、コルネリア様の傍の方が宜しいのではありませんか?」
 あっ…しまった…
「トール様。コルネちゃんには、義父様もついてますし、教育や躾けは義母様が居られますので、私もその案に賛成です」
 ミルシェよ、お前もか…
「あの…私も…」
 ミレーラも!?
「論理的に考えて、この先私達が妊娠しない保証は御座いません。そこに義妹のお世話とか出来るかというと、難しいかと」
 マチルダさんや?
「そもそも私は子供を育てられるか、自信が無いぞ!」
 いや、イネスはそうだろうけど…
『自分でおがれるどがしゃべり出すかねねぃ?』
 ドワーフさん達、何言ってるのか良く分からないけど…絶対に良い事は言ってないよね?
「奥様方! 伯爵様が自分で育てたいとか世話をしたいとか血迷った事を言い出したら、その時に改めて問題にしませんか?」
 ユズキーーーーーーーーーー!!
『その案を採用!』
 皆の綺麗にそろった声が食堂を揺るがせた。
 どうあっても、俺にお世話はさせてはくれないのね、みんな…
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