438 / 1,466
あれは良い物だ…
しおりを挟む
昼過ぎには復活したサラとリリアさんと共に、モフリーナの待つ第9番ダンジョンへと蒸気自動車で向かった。
嫁~ずは、せめて第9番ダンジョンまでは一緒に行きたいと駄々をこねたが、あれやこれやとご機嫌を取ったり宥めすかしたりして、お留守番してもらう事に成功した。
リリアさんの、「世界の大事のために敵地へと向かう夫を、出発前に疲れさせて妻としてどうなのですか?」という一言が、もしかしたら嫁~ずにとって一番堪えたかもしれないが。
昼食後のティータイムは、嫁~ずが…特にミレーラが俺のそばから頑として動かなかったのには、ちょっとびっくりしたけど。
蒸気自動車を走らせ、俺の領地と元は父さんの領地の間に立ちはだかる山脈を貫通するトンネルを抜け、ダンジョンへと整備された街道を走る事40分少々。そんなに急ぐ事も無いのだが、思ったよりも早く午後4時ぐらいには到着した。
モフリーナの管理するこの塔型ダンジョンは、とてつもなく巨大化して、地上1階層だけでも塔の外周は3kmほどにもなる。
正面のダンジョンへの入り口は、冒険者が大勢出入りしているのだが、俺たちは見つからない様にこっそりとダンジョンの裏側、つまり入り口の真反対側へとダンジョンの外壁に沿って向かう。
裏側まで到着したら、通信の呪法具を起動してモフリーナを呼び出す。
『到着されましたか?』
『うん、お願い』
たったこれだけの短いやり取りだが、これで十分。
ダンジョンの壁の一部が何の前触れも無く消え去り、モフリーナがにっこりと笑顔で俺達を出迎えた。
「では、そのお車を中へ」
モフリーナに促されるまま、俺は車をダンジョンの中へと進めた…と言っていいのかは、甚だ疑問が残るところだろう。
なぜなら、ダンジョンの壁を超えた瞬間に、モフリーナによって最下層にあるダンジョンの管理室へと転移させられたのだから。
もちろん、最終的にはそうしてもらえる様に頼むつもりだった。
なにせ蒸気自動車は、一般人ではそうそう手が届かない程度には高価な品物であるし、それをダンジョンの外に置きっぱなしというのも色々と気になる。
かと言って、ダンジョンの中の通路に置きっぱなしというのも…冒険者たちに、ドロップアイテムだとか思われたらえらいこっちゃ!
持ち去られたりしたら、さすがに俺もちょっと凹む。
なので安全な場所で、帰って来るまでモフリーナに保管してもらおうと考えていたのだが、俺が言う前にちゃんと段取りしてくれるなんて…さすが、出来る巨乳ネコ耳娘は違うな。
などと、アホな事を考えていた俺だが、サラとリリアさんの視線がやたら冷たい事に気付いて、慌てて思考を切り替えた。
こいつら絶対に俺の考えを読んでた。だからこそのあの視線だろう…間違いない! 嫁達に報告されたら、命が危うい…。
「さて、トールヴァルド様。ご準備はよろしいでしょうか? サラ様とリリア様も、よろしい様でしたら、早速出発いたしますが?」
モフリーナの言葉に、無言で頷く俺達3人。
「では、移動いたします…行きます」
その瞬間、またあの何とも言えぬ浮遊感が俺を襲った。胃の中が引っくり返りそうだ…うっぷ…。
そう感じた時には、もう俺達の脚は地面に付いていた。
何て表現したらいいんだろう?
あると思って踏み出した、下りの階段の最後の一段が無くて、ガクッてなった感じって言えばわかるかな?
思わず膝から崩れ落ちそうになったよ。
後ろではサラが思いっきり尻もちついてたけど、俺もああなるところだった…危ない危ない!
ちなみに、サラとリリアさんはメイド服。ミニメイドとかじゃないぞ? ちゃんとしたロングスカートの型だよ?
ラノベだと、すぐにメイド服はミニだったりするけど、そんなキワモノじゃない、クラシックなヴィクトリアンメイド型の物だ。
よくイメージされる黒では無く、グレーがベース色だが、白いエプロンは誰もが想像する通り。
長袖のロングスカートのワンピースで、袖も襟のボタンもきちんと留めるのがデフォルト。
よくサラは腕まくりして、襟のボタンは外して着崩していたりするが、それはこいつがすぐだらけて仕事をさぼってるから、リラックスしやすい様にしてるだけで、普段はサラであってもきちんと着ているのだよ。
ちなみにスカートの下は我が家では各自の好きな様にさせている。
頭飾りも、ホワイトブリムでも好きなデザインのカチューシャでも可なのだ。
ってなわけで、すっ転んだサラの長いスカートがめくれ上がっているのだが…シルクの白のストッキングに白のショーツ、白のガーターベルトが丸見えです。
おお…あのセットは、是非とも嫁に履かせたい…あれは良い物だ。
『サラちゃんの心配はナッシングですか!?』
かぼちゃパンツ買ってやろうか?
『そんな色気の無い物は履きません!』
いや、お前にはそもそも色気が無いだろう…?
『うっきーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
嫁~ずは、せめて第9番ダンジョンまでは一緒に行きたいと駄々をこねたが、あれやこれやとご機嫌を取ったり宥めすかしたりして、お留守番してもらう事に成功した。
リリアさんの、「世界の大事のために敵地へと向かう夫を、出発前に疲れさせて妻としてどうなのですか?」という一言が、もしかしたら嫁~ずにとって一番堪えたかもしれないが。
昼食後のティータイムは、嫁~ずが…特にミレーラが俺のそばから頑として動かなかったのには、ちょっとびっくりしたけど。
蒸気自動車を走らせ、俺の領地と元は父さんの領地の間に立ちはだかる山脈を貫通するトンネルを抜け、ダンジョンへと整備された街道を走る事40分少々。そんなに急ぐ事も無いのだが、思ったよりも早く午後4時ぐらいには到着した。
モフリーナの管理するこの塔型ダンジョンは、とてつもなく巨大化して、地上1階層だけでも塔の外周は3kmほどにもなる。
正面のダンジョンへの入り口は、冒険者が大勢出入りしているのだが、俺たちは見つからない様にこっそりとダンジョンの裏側、つまり入り口の真反対側へとダンジョンの外壁に沿って向かう。
裏側まで到着したら、通信の呪法具を起動してモフリーナを呼び出す。
『到着されましたか?』
『うん、お願い』
たったこれだけの短いやり取りだが、これで十分。
ダンジョンの壁の一部が何の前触れも無く消え去り、モフリーナがにっこりと笑顔で俺達を出迎えた。
「では、そのお車を中へ」
モフリーナに促されるまま、俺は車をダンジョンの中へと進めた…と言っていいのかは、甚だ疑問が残るところだろう。
なぜなら、ダンジョンの壁を超えた瞬間に、モフリーナによって最下層にあるダンジョンの管理室へと転移させられたのだから。
もちろん、最終的にはそうしてもらえる様に頼むつもりだった。
なにせ蒸気自動車は、一般人ではそうそう手が届かない程度には高価な品物であるし、それをダンジョンの外に置きっぱなしというのも色々と気になる。
かと言って、ダンジョンの中の通路に置きっぱなしというのも…冒険者たちに、ドロップアイテムだとか思われたらえらいこっちゃ!
持ち去られたりしたら、さすがに俺もちょっと凹む。
なので安全な場所で、帰って来るまでモフリーナに保管してもらおうと考えていたのだが、俺が言う前にちゃんと段取りしてくれるなんて…さすが、出来る巨乳ネコ耳娘は違うな。
などと、アホな事を考えていた俺だが、サラとリリアさんの視線がやたら冷たい事に気付いて、慌てて思考を切り替えた。
こいつら絶対に俺の考えを読んでた。だからこそのあの視線だろう…間違いない! 嫁達に報告されたら、命が危うい…。
「さて、トールヴァルド様。ご準備はよろしいでしょうか? サラ様とリリア様も、よろしい様でしたら、早速出発いたしますが?」
モフリーナの言葉に、無言で頷く俺達3人。
「では、移動いたします…行きます」
その瞬間、またあの何とも言えぬ浮遊感が俺を襲った。胃の中が引っくり返りそうだ…うっぷ…。
そう感じた時には、もう俺達の脚は地面に付いていた。
何て表現したらいいんだろう?
あると思って踏み出した、下りの階段の最後の一段が無くて、ガクッてなった感じって言えばわかるかな?
思わず膝から崩れ落ちそうになったよ。
後ろではサラが思いっきり尻もちついてたけど、俺もああなるところだった…危ない危ない!
ちなみに、サラとリリアさんはメイド服。ミニメイドとかじゃないぞ? ちゃんとしたロングスカートの型だよ?
ラノベだと、すぐにメイド服はミニだったりするけど、そんなキワモノじゃない、クラシックなヴィクトリアンメイド型の物だ。
よくイメージされる黒では無く、グレーがベース色だが、白いエプロンは誰もが想像する通り。
長袖のロングスカートのワンピースで、袖も襟のボタンもきちんと留めるのがデフォルト。
よくサラは腕まくりして、襟のボタンは外して着崩していたりするが、それはこいつがすぐだらけて仕事をさぼってるから、リラックスしやすい様にしてるだけで、普段はサラであってもきちんと着ているのだよ。
ちなみにスカートの下は我が家では各自の好きな様にさせている。
頭飾りも、ホワイトブリムでも好きなデザインのカチューシャでも可なのだ。
ってなわけで、すっ転んだサラの長いスカートがめくれ上がっているのだが…シルクの白のストッキングに白のショーツ、白のガーターベルトが丸見えです。
おお…あのセットは、是非とも嫁に履かせたい…あれは良い物だ。
『サラちゃんの心配はナッシングですか!?』
かぼちゃパンツ買ってやろうか?
『そんな色気の無い物は履きません!』
いや、お前にはそもそも色気が無いだろう…?
『うっきーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
2
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる