システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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最恐にして最悪の魔物

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 しっかりとダンジョンを堪能した(?)面々は、ホワイト・オルター号に戻り、変身を解除して、お茶を愉しみだした。
 君達って、本当に自由だね…
 お茶をする一同を横目に、もふりんとダンジョンの最終確認をしたんだが、まあ初期のダンジョンとしては破格の性能だ。
 資料を一通り確認した俺は、ほっと一息ついて皆と共にティータイム。
 もふりんも当初の予定通りにダンジョンの開発計画が順調に進んでいる事に、ほっとしている様だ。予定が狂えばモフリーナの拳骨が落ちるらしいので、まあ…頑張って欲しいと思う。
 今は取りあえずお茶を飲みなはれ。ん? ミルクがいいの? んじゃ、冷えたミルクをどうぞ。

「でもトール様。あのドラゴンが目玉では、ここに来られるという眷属様達だと、すぐに倒してしまうのでは?」
 小首を傾げ乍ら、そう疑問をぶつけて来たのは、嫁~ず序列No.1のメリル。
 確かに嫁~ずやユズユズ、ブレンダーやクイーン達で倒せる程度の魔物だったら、チート持ちが転移して来たら簡単に倒されるかもしれないが、そこは安心して欲しい。
「その疑念は尤もだと思うが、あのドラゴンはまだ経験値が低いドラゴンだ。今回、皆と戦闘を経験した事で、復活させる時にはさらに強くなっている事だろう。もちろん弱点は復活させる時に改良するしね」
 なるほどと頷く我が家のメンバー達。
「それにね、このダンジョンの本当の最強モンスターは、ドラゴンじゃないんだよ。ドラゴンは、あくまでも見かけ上のラスボスなんだ」
 最強生物として名高いドラゴンが、本当は単なるお飾りだったなんて、誰も…それこそ転移者だって思わないだろう。
「ドラゴンよりも強い魔物が居るという事ですか?」
 俺の言葉をストレートに解釈すれば、マチルダの様な考えにたどり着くのも、これまた至極当然の事だが…
「これが違うんだよな~。それこそ変身前のコルネちゃんでも倒せる魔物が、この大陸の最強にして最悪の存在なんだよ」
 11歳の少女が倒せる魔物が最強にして最悪…聞いただけだと意味不明だろうな。
 事実、俺の言葉を聞いた一同の頭の上に疑問符が幾つも並んでいた。
「変身前のコルネリア様でも倒せる魔物が、一番強いんですか?」
 ん~っと、頤に指をあて乍ら考えるミルシェ。
「意味不明だろ? だからこそ、誰もが油断して騙される。そして誰も彼等には勝てない。もふりん、彼等に合わせてくれるかい」
 ちびちびミルクを飲みながら、焼き菓子を頬張っていたもふりんに、最強の魔物を呼び出してもらおう。
「ほが、ふがふがもぐ!」
 …口の中のお菓子を飲み込んでから話そうね。
 もふりんが指パッチンした瞬間、目の前に…何も現れなかった。
「あのぉ…魔物は?」
 ミレーラがキョロキョロを辺りを見回す。
「いるさ、ここに」

 俺が指さしたのは天井…ってわけじゃ勿論無く、頭上。
 ぷ~~~~ん、という嫌~な音を立てながら飛び交う、その名もモスキート型の超小型魔物。
 こいつの開発には、結構苦労したのだ。何たって常識っていう壁が、色々と邪魔をしたからていうのもあるんだが、そもそも虫型の魔物に関する素体をモフリーナが持っていなかったのが一番大きな問題だった。
 そこで俺の可愛いペット、クイーンと蜂達の出番だ。
 ガチャ玉で創ったクイーン達に遺伝子があるのかは不明なんだが、俺のエネルギーを元にして生れた蜂型の疑似生命体なんだから、同じエネルギーで何度も生まれ変われるダンジョンのモンスターと共通する部分があるかも? と考えたんだ。
 狙いはドンピシャ。クイーンの細胞を採取したモフリーナは、既存の魔物たちの細胞と融合・合成させ加工した、ハイブリッドな遺伝子を持つ虫型魔物の開発に成功した。つまり俺の秘策とは、この最小にして最強最悪の虫型モンスターなのだ。 
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