システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
427 / 1,466

憐れなドラゴン

しおりを挟む
「ミルシェさん、ドラゴンブレスが来ます! 大楯で防御!」
「はい!」
 17歳の乙女が持つとは思えないほど巨大な盾を持ったミルシェが、メリルの指示に従って、ブレスに向かって猛突進。
「ミレーラさん、ミルシェさんと私達全員に、ディヴァイン・ヒーリング掛けれる様に準備を!」
「了解です!」
 パーティー最後方で、全員に回復魔法を掛ける準備をするミレーラ。
「マチルダさん、データは?」
「はい、こちらに」
 マチルダが解析したドラゴンの情報を見たメリルは、にんまり(仮面で見えないけど…きっと笑った)して、
「もうブレスが止まります…3…2…1、今です!イネスさん、お好きに突撃! ただし、喉を狙ってください」
「おお! 待ってました! いっくぞーー!」
 イネスが、ドワーフとエルフの職人さん達謹製の、巨大なバスターソードに魔力を纏わせ、真っ赤に燃え上がった剣を携え突進!
「ミルシェさん、右に移動してスーパー・クレイモア!」
「はい! いきま~す~!」
 ドラゴンブレスを防ぎ切った大楯を持ったまま、ドラゴンの向かって右側面に走りだしたミルシェ。
「マチルダさん、ミレーラさん、私は左に向かいます! 後ろをついて来て下さい!」
「了解!」「わかりました!」
 メリルが、マチルダとミレーラを従えて、ドラゴンの左側へと走りだす。
 そして…
「スーパー・クレイモア、一斉射!」「ノーブル・スピアー発射!」 
 ミルシェとメリルの必殺の遠距離攻撃が左右からドラゴンに炸裂! 
 身を捩り苦しむドラゴンに向かって、イネスが飛び込む。その両手で握ったバスターソードは、すでに限界まで炎を蓄え、
「と…ど…め…だーーー! クリムゾン・ストライク!!」
 ドラゴンの首に振り下ろした。
 憐れドラゴンは、その巨大な首がズルッとずれて、血をまき散らしながら地面に堕ちた。
 メリルの指揮ももちろんだが、見事に各自が装備を使いこなしている。
 俺の嫁達…いや、ジェムファイターって、ちょっと凄すぎんか?
「皆さん、お疲れさまでした~!」
 メリルの締めの言葉に、
「「「「お疲れさまでした~!」」」」
 どこぞの体育会系の部活の練習終わりみたいなノリの返事をする嫁~ず。

 ふと後ろを振り返ると、やはりユズキとユズカがドラゴンを圧倒していた。
 朱金に輝く鎧を纏いランスを持った戦乙女…乙女? 戦新妻が、深紅の闘士と共にドラゴンに突進を繰り返していた。
 ブレンダーはそのサポートにまわり、クイーンはお馴染の目とお尻の穴への攻撃を兵隊蜂達に命じて突貫させている。
 いやもう…これってドラゴン虐めじゃね?
 お尻を庇おうとすれば目を狙われ、手で目を守ろうとすれば、でっかい的であるボディーにユズカのランス突撃が襲いかかり、腹を庇うため身を縮こませるとユズキの正拳ラッシュが顔面に。
 文字通りにタコ殴り。見ててドラゴンが憐れに思えてくるよ…。
 まだ嫁~ずは戦いになってたけど、こっちは動物愛護協会からクレーム来そうな戦いだな。
 やがて、ドラゴンが最後の抵抗を試み、ブレスを吐こうとした瞬間、その大きく開けた口中にユズカのランスが突き刺さる…訂正、突き破り、戦いは終わった。
 ユズユズはハイタッチして喜んでるけど、ナニコレ? 最強の生物ドラゴンを圧倒する、我が家の面々って…

「ごめんな、もふりん…ドラゴン2体も倒しちゃって」
 俺の横で、ほけ~っと口を開けて戦いを見ていたもふりんに、心から謝罪する。
「だ、だいじょうぶでち! このせんとうけいけんは、ふっかつじにはんえいちゃれまちゅかりゃ。さらにつよいどらごんになりまちゅから」
 まさか、俺の嫁達と使用人&ペットにドラゴン2体が圧倒されるとは思わなかったのだろうな。汗をだらだら流しながら、我が家の面子を見るもふりん…きっと怖かったんだろうな…安心して欲しい、俺もだから。

 素晴らしい笑顔で戻って来た嫁~ず曰く、
「思ったよりも歯ごたえ無かったですわ」
「ブレスの威力が、もうちょっと強い方が」
「皆さん…ほとんど怪我しませんでした…」
「動きがパターン化されて過ぎている気がします」 
「脆弱だ! もっと強い相手を求む!」
 と言った、脳筋発言をした。どれが誰の発言かは分かってもらえると思う。
「私にかかれば、ざっとこんなもんよ! 奥の手を出すまでもなかったわね!」
「柚夏は前に出過ぎだよ…もうちょっと間をとってくれなきゃ」
「いやん…怒らないで~あ・な・た♡」
「馬鹿だなあ~怒る訳ないじゃないか~柚夏が怪我しないか心配なだけだよ~」
 ユズユズ夫婦は、どこでもいちゃいちゃ。
 ちょっと場を弁えて欲しい所だ。
「わうわう!」
「……」『……』
 めっちゃ褒めて欲しそうな、マイペースなブレンダーとクイーン&蜂達。
 ああ、我が家は平和だなあ…明日も晴れるかなあ…
「げんじつとうひちてないで、さっさとこのすいしょうにえねるぎーちゅうにゅうしちてくだちゃい!」
 暇を持て余す我が家のメンバーの、気分転換というか気晴らしというか息抜きというか、とにかくレクリエーションで倒されたドラゴン復活のためのエネルギーを、もふりんに言われるがまま、差し出された水晶に補填する俺であった。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...