システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
402 / 1,466

新大陸つくるどー!

しおりを挟む
「では、このポイントに決定しますか?」
 眼下に広がる大海原と、ホワイト・オルター号のマップをもう一度見直した俺は、無言で頷いた。
「ここが一番理想的なポイントだな…」
 単に、俺達の住む大陸から完全に真裏にあたる場所ってだけだが。
「では、惑星改造ミッション開始いたします。【惑星改造わくわく君】投下!」
「投下します!」
 滅茶苦茶にいい加減なネーミングだが、賞状を入れる筒ぐらいの棒状のわくわく君を、サラのGOに合わせてリリアさんがホワイト・オルター号の窓から投下。
 投下されたわくわく君は、なぜか物悲しい『ひゅるるるるう~~~~』という音を立てながら落下し、『ぽちゃん』っと何とも情けない音を立てて海中へと消えて行った。
 わくわく君の動きは、全てサラがモニター出来るという。
 さすがは、謎の管理局仕様の現地活動用サイバネティックス・ボディの性能と言っておこう。
 リリアさんはサラと脳波で繋がっていて、周辺の海流なども考慮しつつ、わくわく君を指定のポイントへと誘導中。
 海中へと投下してからどれぐらい経っただろう? 多分、体感的には30分ってとこかな。
「海底に到着しましたのでドリル展開を開始…無事に海底掘削を開始しました。ここからは掘削完了までは内蔵AIがオートメーションで行います。掘削完了までおよそ3時間強ぐらいですね…」
 海流に流されたり海中の大型生物に邪魔され無いように、サラの脳波モニターからの情報をチェックしつつわくわく君を誘導するのは、かなり脳に負担があったのか、ちょっとリリアさんはお疲れ気味だ。

「皆さん、お疲れさまでした。お茶の準備が出来てますよ」
 そんな俺達に声を掛けたのは、俺の嫁~ず序列第2位のミルシェ。
 ドワーフメイドさん作のピンク色でフリフリがいっぱい付いたエプロンで、にっこり笑顔の俺の新妻です。
「ありがとう、ミルシェ。では、掘削が完了するまで休憩しよう」
 そう言うと、サラとリリアさんは、ふうとため息をついた。


 あのネス湖の湖畔のチャペルでの結婚式から、もうすぐ1ヶ月。
 管理局長の告げた期限まで残す所、20日ちょっと。
 俺は嫁~ずとサラとリリアさん、ユズユズとその他大勢を伴って、大量の転移者を受け入れる為の新大陸創りに、この360度水平線という惑星の裏側の海のど真ん中までやって来ていた。
 あの大騒動の結婚式の後、バカンスと称して誰も居ない海に出た俺と嫁~ずなのだが、今後の事を考えてこの『世界の危機パートⅡ』という形で話をしたのだった。
 とは言え、俺の抱えている秘密を完全にばらしたってわけじゃ無い。
 色々と設定を考えて、それっぽく説明をしたのだ。
 この世界に、神々の世界から少々大きな力を持った眷属達が大量にやって来る。
 それ等を受け入れる為に、神々より大陸を創れと言われた。
 ネスの御遣いであるサラとリリアさんと共に、それらを行う。
 やってくる者達は、強大な力を有している可能性があり、もしかすると俺達の住む大陸を襲撃してくるかもしれない。
 なので、大陸創造と同時に、その者達が俺達の元に来ない工夫が必要である。
 またネス様より色々と啓示も受けているので、それを実行するためにも協力して欲しい…などなど、輪廻転生システムと管理局、そしてシステムのバグには一切触れずに、何とか色々とこじつけて説明をしたのだが、これ等の話に関して、嫁~ずは…
「私達はトール様に付いていくだけです。色んな意味で!」
 付いていくというのは、考え等を追従するって意味じゃ無く、本当に物理的に付いて来る気だってのは分かってたよ。
 何かする時には、必ず連れて行けと言われてたし、だからこそ世界の危機…になるのかどうかわかんないけど、秘密も一部打ち明けたのだし、だからこそ今ここに全員揃ってるんだし。
 本当は危険が全くない訳も無い、誰も来た事が無い惑星の裏側までの飛行。
 来てほしくは無かったが、もちろん俺の抵抗なんて物が無駄にすぎない事は、本人が良く分かっている。
 言いだしたら絶対に退かない結構頑固なメリルを始め、我が家の嫁~ずは精神的にも物理的にも強いからなあ…。
 とにかく、俺達は新大陸創造への第一歩を踏み出したのであった。

 そうした多くの話合いにより、夫婦間の信頼関係は、より一層の事、深く固く結ばれる事となったのだ。


『なるほど…それで肉体的にも硬くなった大河さんと、深く結ばれたのですね』
 サラ、やめなさいって!
『ねぇねぇ、プロテクトを解除してくれる様に、局長に行ってくださいよ~!』
 やだよ! いい加減に諦めろって。
『だって、新婚旅行中の出来事を覗き見したいじゃないですか~! 特に全員との初夜のシーンとか! 永久保存版ですよ! 是非ともエンドレスリピートで観賞を!』
 ふっ…念入りに局長に頼みこんだからな。お前らには絶対に見せんぞ! そこだけは絶対に開示しない様に頼みこんだからな。
『ちくそー! いつの間にそんなやり取りを…』
 ん? ちょっと頼みたい事があるんですけど~って考えながら寝たら、夢に出て来てくれるけど?
『まさか直接通信可能なんですか!? もしや…大河さんの頭の中にも、いつの間にやら超小型ポジトロン電子頭脳がリリアの手で埋め込まれたんじゃ…』
 リリアーーーー! まさか、やってないよなーーーー!?
『お呼びでしょうか? その件につきましては、全くもって身にも記憶にも覚えがございません。まさかその様に思われているとは…このリリア、とても遺憾に思います。思えば私の普段の言動が、今回のような思い違いを貴方様にさせてしまったのでしょう。私の不徳の致すところであり、慙愧に堪えません』   
 どこの政治家の謝罪会見だよ…滅茶苦茶あやしいぞ!
 本当に大丈夫なんだろうな?
『それは、ひみつ。ひみつ、ひみつ。ひみつのリリアちゃん♪』
 信用できるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...