システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
392 / 1,466

名司会者?

しおりを挟む
 入場した俺達が向かった高砂席は、今回の新郎新婦のために用意された長机。6人だからな…そりゃ横長にもなろう。
 俺を中心として左にマチルダ、右にイネスが座り、マチルダの横にメリル、ミレーラ、イネスの横にミルシェが座った。
 この席順は、今までの式で俺の横に立つ事が出来無かった2人への配慮らしい。
 マチルダもイネスも、そういった事には頓着しない性格なんだが、せっかくの式だし記念にと、嫁~ず少女組に言われたので、大人組の2人はそれに従ったという経緯があるそうだ。
 こういう公的な場では、常にメリル、ミルシェ、ミレーラ達の3人に気を使って、一歩引いた場所が定位置だった2人だが、主役の席に座った2人は満面の笑みだったので、これはこれで良かったのかもしれない。
 誰しも自分が主役になる事を夢見るものだし、それが結婚式という人生の一大イベントなら尚更だもんな。
 
 席に着いた俺達を確認したユズカにスポットが当たると、またもや見事な名司会者スキルを発動。
「皆様、本日は6人の結婚ご披露宴にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。皆様どうぞ、6人に更なる祝福をお送りください!」
 静かにユズカの司会を聞いていた列席者から、割れんばかりの拍手の波が生れる。
「暖かい祝福、有難うございます、有難うございます! 皆様の祝福の中、新郎新婦がメインテーブルにお揃いでございます。では、開宴にあたりまして、まずはじめに、お越しいただきました皆様に、新郎新婦からご挨拶がございます。新郎トールヴァルド伯爵様、よろしくお願いいたします」
 いや、マジで上手いな、ユズカ。ちょっと選挙カーのウグイス嬢っぽいけど…って、挨拶挨拶…
 俺が左右に視線を向けると、そっと全員が立ち上がった。
 目の前に用意されている拡声の呪法具を握りしめた俺は、
「皆様、本日はご多忙の中、私トールヴァルド・デ・アルテアンとメリル、ミルシェ、ミレーラ、マチルダ、イネスの結婚式及び披露宴に御列席くださり、誠にありがとうございます。先日の王城での式で法的には正式な夫婦とはなりましたが、聖なる女神様のひざ元であるチャペルでの式を経て、晴れて本当の夫婦となったと思います。皆様へはこの日を迎える事が出来た喜びと、感謝の気持ちでいっぱいです」
 王城での式では無く、ここのチャペルでの式で本当の夫婦になったとか言うと不敬かも知れないけど、ここは身内だけなのだから良いんだ…これが本心だし。
「本日は、我々6人の晴れのご報告とご挨拶をかねまして、私達がこれまでお世話になった皆様、日頃お世話になっている皆様をお招きし、ささやかな席ではございますがご用意させていただきました。お時間の許す限りどうぞ楽しい一時をお過ごしください。本日は御列席頂きまして誠にありがとうございます」
 呪法具を机に置くと、そっと左右に目くばせする。特に決めても居なかったのだが、感謝の意を表すために笑顔の嫁~ずと共にタイミングを合わせて頭をさげた。
「新郎新婦を代表しまして、新郎トールヴァルド伯爵様からのご挨拶でございました。皆様、盛大な拍手を!」
 ユズカの声に合わせて、またもやホールの窓ガラスが割れんばかりの拍手が巻き起こる。
「盛大な拍手、有難うございます、有難うございます! 皆さま、アルテアン領に清き1票を!」
 それは違うぞ、気付け! それは完全にウグイス嬢だ! 選挙じゃないんだから、清き1票ってなんだよ!?
 ユズカ、何をドヤ顔で親指立ててんだよ? む? 口パク…何々、異世界ジョーク? 意味わかんねーよ!
「さぁ、こうして皆様から温かな祝福をい頂いている新郎新婦でございますが、ここで、一つ…非常に、ひっじょーーーに大切なセレモニーをご披露していただきたいと思います! そう! ウェディングパーティーには欠かせない、ウェディングケーキへの入刀です!」
 さあ、ここからが披露宴の本番だ! 存分に楽しもう!
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...