システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ドSの鬼畜様

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 いつもの如く、婚約者~ずにいらん嫌疑をかけられない様、事前に一言入れるのを忘れてはいけない。
 俺はしっかりと根回しが出来る男なのだ!

「ってな訳で、ネス様の御使いの方が内密のお話でいらっしゃってるので、少しお話をします。サラと3人でお話をしますので、執務室には立ち入り禁止です」
 基本的に、我が家ではネスの名前を出せば、大体許可が出るのだ。
「承知いたしました。お茶などのご用意はいかがいたしましょう?」
「それは大丈夫。俺の方でやるからメリルは…あ、来たね」
 
 廊下で立ち話をしていると、まるでオークに襲われたくっころ女騎士のようにズタボロになったサラをズルズルと引きずって現れた、その噂のご本人が。
 メリルが目を見張ったのは、リリアのグラマラスなボディーとその美貌なのか、それともボロ雑巾の様になったサラの姿か? ま、どっちゃでも良い事だが。

「お初にお目にかかります。トールヴァルド様の婚約者のメリルと申します」
 さすがは王女様。貴族令嬢として手本になるような、素晴らしく美しい礼でリリアに挨拶をした。
 というよりもは、牽制のための挨拶かな?
「これはこれはご丁寧に痛み入ります。私は、このボケナスの同僚のリリアと申します。重要なお話がございますので、暫しご主人のお時間を頂戴いたしますね、奥様」
 リリアも、用件までぶっ込んだ、丁寧なんだか乱暴なんだか雑なんだ良くわからない挨拶を返していた。
「そういう訳なんで、後の事は頼むね、メリル」
「はい、トール様」
 うむ、これで誤認逮捕&説教タイムは免れたな…めっちゃ機嫌がいいし。
 多分、ご主人様と奥様がセットで会話に盛り込まれたからかもしれない。
 ご主人様だけだと…またもや変な誤解を生むところであった。
 さすが、リリアさんは出来る女だ!
 
「ところでトール様…サラは大丈夫なんですか?」
 チラッとサラに目を向けたメリルが、ほんのちょびっとだけボロ雑巾状態のサラを心配していたが、
「もーまんたい! ほっときゃ治る!」
「……し、しどい…」
 サラの声が聞こえた気もするが、無視だ無視!
「そうですか。では、私はほかの皆さんにもお話を通しておきます。終わりましたら、またお声がけくださいませ」
 そういってメリルは、もうサラに目もくれる事なく、他の婚約者~ずのもとへと向かった。
「……み、見捨て…られ…た…」
 まだ何かボロ雑巾がモゴモゴと何か言ってる気もするが、もう誰も気に留めないのであった。
「…薄情者ばっかです……」
 いや、これが普通の対応だろ。

 場を執務室の応接セットに移して、改めて向き合った俺とリリアは、もう一度ご挨拶から。
 ちなみに、扉を開けた瞬間に、リリアさんはボロ雑巾を室内に、ぺいっと投げ込んだ。それも、片手で軽々と。
 窓際まで転がっていったボロ雑巾は、ピクリとも動かなくなったが…まあ、死んじゃいないだろう。あのサラだし。
「先ほどはバタバタと申し訳ありませんでした。改めて自己紹介をしたいと思います。私は、輪廻転生管理局 現地活動用サイバネティックス・ボディ管理部 第2課 所属、認識番号1867 職員名 RIRIA です」
「こちらこそ、改めまして、トールヴァルド・デ・アルテアンです」
 前世の事を言った方がいいのかな?
「あ、あなたの前世の事ですとか、この星でのこれまでの経緯は、すでにロード済ですので、説明いただかなくても大丈夫です」
 ふむ、事前に学習してくるとは、さすがサラとは違って優秀だな…

「それで…リリアさんは、サラを追ってここまで来たと?」
「ええ、そうです。先日、監理局とトールヴァルド様との間で、何度かアクセスと物質転送をされてたログを発見しましたので、トールヴァルド様の座標が確認できました」
 恐怖の大王を封印したボールの転送と、局長からの大陸創造用のツール一式もらった件だな。
 そうか、あの時すでに物質の転送は見てたんだった…仕組みを教えてくれんかな? 
「なるほど…だからサラではなく、私の目の前に現れたんですね」
 サラはボロ雑巾状態のまま、ブレンダーとクイーンにツンツンされてる…部屋の隅っこで。あ…ノワールがボロ雑巾に登って、何やらポーズ取ってる…かわいい。
「ええ。サラが貴方の元に派遣されてたのが確認できておりましたので、貴方の元に跳べば高確率で捕獲できると思ってました」
 捕獲って…あんた…
「そ、そうですか…それほどまでにサラを愛していると?」
「え?」
「あ、あれ? だってガチレズのドSの鬼畜ストーカーに狙われてるって、サラが…」
 途端にリリアさんの目が吊り上がって我が家のペット共におもちゃにされてるサラを睨んだ。
「こんのクソガキがー! 確かにドSで鬼畜でガチレズだが、てめえなんざ趣味じゃねーわ! こんな辺境の惑星くんだりまでわざわざ来たのは、てめえのボディーのメンテの為だろーが!」
 そう言うと立ち上がり、サラを蹴りまわし始めた。
「ごらー! さっさと起きろ、このポンコツがー!」
 うん、確かにドSの鬼畜様で間違いなさそうだ… 
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