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第28回 トール様の婚約者会議 ②
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『それで、マチルダ。結婚式の後の話とは、一体どのような話でしょう?』
やはり、ここは婚約者~ず序列1位であるメリルが代表で口を開くらしい。
『まさか…そんな簡単な事もお分かりでは無いと、メリルさん? とても重要な案件ですよ?』
『『『『 ??? 』』』』
マチルダの持って回った言い方に、多少思う所もあるのだろうが、それよりも疑問の方が先に立つ一同。
『結婚式の後…それは、もちろん初夜です!』
『『『『 ??? 』』』』
ちょっと顔を赤くしながらも言い切ったマチルダであったが、それでも全員の頭には疑問符が浮かんでした。
『あ、あれ?』
予想していた反応を得られなかったマチルダが、戸惑いの声をあげる。
『…初夜のどこが重要な案件なんですか?』
いつも通りの表情で、マチルダに疑問をぶつけるミルシェ。
『え? ミルシェも…その…初めてですよね?』
『むっふー! もちろんです!』
『その…男の方とそういう事をするのですよ? 怖かったり恥ずかしかったりしません?』
『『『『なんで?』』』』
もしや、怖かったり恥ずかしかったりするのは、マチルダだけなのか?
『あのね、マチルダさん。そもそも結婚するのですから、その様な行為は当然するでしょう? トール様とはここにいる全員が結婚するのですよ? 怖がったり恥ずかしがったりしてたら、トール様が意識的にしろ無意識にしろ距離を取ってしまうかもしれませんわよ? そうなれば寵愛を受ける事も無くなってしまい、もしかするとその後トール様と閨を共にする事なく、生涯を過ごす事に成りかねませんわよ? あなたはそれでも良ろしいのかしら?』
『……………いやです』
メリルの話した内容をじっくり考えたマチルダは、一言ぽつりと漏らした。
『マチルダ。要は気合だ!』
『イネスさん…それはちょっと…』
『そんな事は無い! マチルダ、さあ共に叫ぼう! 気合だ、気合だ、気合だーーーーー!!』
『……この脳筋が……』
『ん? 何かいったか、マチルダ?』
『いえ、叫ぶのはちょっと遠慮しておきます。お気持ちだけもらっておきます』
どこかのアニマルみたいな気合は、確かに結婚前の淑女には似合わないかもしれない。
アニマルな娘は叫んでたけど…一緒に。
『えっと…マチルダさん。トール様は貴族です…』
『え、ええ…もちろん存じておりますよ、ミレーラさん』
『貴族ですから…その…お世継ぎが必要です…よね?』
『勿論です! 特にトール様ほど優秀な方でしたら、沢山のお子様を…あっ!』
『そのお世継ぎを産むのは…私達ですから…恥ずかしいとか怖いとか…言ってる場合じゃ…』
『くっ! 私としたことが! 確かにミレーラさんの仰る通りです。トール様には、お世継ぎが沢山必要です! そして母親は私達。確かに怖いとか恥ずかしいとか言ってる場合では無いですよね…。ここはやはり気合なのか…』
違う、違うぞマチルダ。君はイネスに騙されて…洗脳…毒されてるぞ!
『では、そんなマチルダさんには、これをお貸ししましょう』
『えっと…メリルさん、これは?』
『これは王家に代々伝わる、秘伝の書です』
パラリ…と手渡された本のページをめくるマチルダ。
その内容に目を通した瞬間、ぼんっ! と音がするほどの勢いで、顔だけでなく首筋まで真っ赤になってしまった。
『これは王家に嫁いで来たり、また王家から他家へと嫁ぐ全ての女性のための【完全攻略 夜の夫婦生活を充足させるための手引書 ~ 男の子なんていちころよ ~ 】 です』
『こ、これは…ごくりっ! こんな事まで! え、こんな恰好するのですか?』
また怪しい本が出てきたもんだ…どんな格好なんだろう? 私、気になります!
『これを読めば、案外男の人なんて可愛いものだと思えますよ』
『もしかして…すでに皆さん、この本を読んだとか?』
『『『『Yes, I am!』』』』
何故に英語?
『その基礎テクニック編と応用編は、すでに全て習得しました。今は上級編に取り組んでます』
『え? これは基礎なんですか? っというか、応用とか上級もあるんですか、メリルさん?』
『私は、応用編まで進みました』
『ミルシェ…もう基礎は修了したと!?』
『…私は、まだ基礎を復習している…ところです…』
『ミレーラ! まさか貴女がそこまで!?』
『ふっ…私は、応用もばっちりだぞ!』
『まさか…イネス! (一番、女らしさから縁遠い)貴女が、そこまでとは!?』
『ん? 何か引っかかる物があった気が?』
気のせいでは無い。ええ、まったく気のせいでは無いですよ、イネスさん。
『何故、私にこれをくださらなかったのですか、メリルさん!』
『いえ、いつも仕事で忙しい貴女ですから、なかなか渡すタイミングが…(あんな我がままボディーなのに、テクニックまで身に付けたらと思うと、ねぇ…)』
マチルダの魅惑の我がままボディーに戦々恐々の一同が、ギリギリまで渡さなかったのは内緒の話。
敵…ではないが、トールヴァルドの寵愛を受けたい身としては、ライバルの持つ武器は少ない方がいいのだ!
いっそ渡さないでおこうかとも考えてた4人であったが、ちょっと可哀そうだったので渡したらしい。
あくまでも公平な立場でのライバルで居たいという事だろうか?
尚、脳筋イネスの心情や考えは分からないが、メリル、ミルシェ、ミレーラの3人は、内心『私には若さがある!』と考えてたかどうかは、ネス様だけが知っている…かもしれない。
やはり、ここは婚約者~ず序列1位であるメリルが代表で口を開くらしい。
『まさか…そんな簡単な事もお分かりでは無いと、メリルさん? とても重要な案件ですよ?』
『『『『 ??? 』』』』
マチルダの持って回った言い方に、多少思う所もあるのだろうが、それよりも疑問の方が先に立つ一同。
『結婚式の後…それは、もちろん初夜です!』
『『『『 ??? 』』』』
ちょっと顔を赤くしながらも言い切ったマチルダであったが、それでも全員の頭には疑問符が浮かんでした。
『あ、あれ?』
予想していた反応を得られなかったマチルダが、戸惑いの声をあげる。
『…初夜のどこが重要な案件なんですか?』
いつも通りの表情で、マチルダに疑問をぶつけるミルシェ。
『え? ミルシェも…その…初めてですよね?』
『むっふー! もちろんです!』
『その…男の方とそういう事をするのですよ? 怖かったり恥ずかしかったりしません?』
『『『『なんで?』』』』
もしや、怖かったり恥ずかしかったりするのは、マチルダだけなのか?
『あのね、マチルダさん。そもそも結婚するのですから、その様な行為は当然するでしょう? トール様とはここにいる全員が結婚するのですよ? 怖がったり恥ずかしがったりしてたら、トール様が意識的にしろ無意識にしろ距離を取ってしまうかもしれませんわよ? そうなれば寵愛を受ける事も無くなってしまい、もしかするとその後トール様と閨を共にする事なく、生涯を過ごす事に成りかねませんわよ? あなたはそれでも良ろしいのかしら?』
『……………いやです』
メリルの話した内容をじっくり考えたマチルダは、一言ぽつりと漏らした。
『マチルダ。要は気合だ!』
『イネスさん…それはちょっと…』
『そんな事は無い! マチルダ、さあ共に叫ぼう! 気合だ、気合だ、気合だーーーーー!!』
『……この脳筋が……』
『ん? 何かいったか、マチルダ?』
『いえ、叫ぶのはちょっと遠慮しておきます。お気持ちだけもらっておきます』
どこかのアニマルみたいな気合は、確かに結婚前の淑女には似合わないかもしれない。
アニマルな娘は叫んでたけど…一緒に。
『えっと…マチルダさん。トール様は貴族です…』
『え、ええ…もちろん存じておりますよ、ミレーラさん』
『貴族ですから…その…お世継ぎが必要です…よね?』
『勿論です! 特にトール様ほど優秀な方でしたら、沢山のお子様を…あっ!』
『そのお世継ぎを産むのは…私達ですから…恥ずかしいとか怖いとか…言ってる場合じゃ…』
『くっ! 私としたことが! 確かにミレーラさんの仰る通りです。トール様には、お世継ぎが沢山必要です! そして母親は私達。確かに怖いとか恥ずかしいとか言ってる場合では無いですよね…。ここはやはり気合なのか…』
違う、違うぞマチルダ。君はイネスに騙されて…洗脳…毒されてるぞ!
『では、そんなマチルダさんには、これをお貸ししましょう』
『えっと…メリルさん、これは?』
『これは王家に代々伝わる、秘伝の書です』
パラリ…と手渡された本のページをめくるマチルダ。
その内容に目を通した瞬間、ぼんっ! と音がするほどの勢いで、顔だけでなく首筋まで真っ赤になってしまった。
『これは王家に嫁いで来たり、また王家から他家へと嫁ぐ全ての女性のための【完全攻略 夜の夫婦生活を充足させるための手引書 ~ 男の子なんていちころよ ~ 】 です』
『こ、これは…ごくりっ! こんな事まで! え、こんな恰好するのですか?』
また怪しい本が出てきたもんだ…どんな格好なんだろう? 私、気になります!
『これを読めば、案外男の人なんて可愛いものだと思えますよ』
『もしかして…すでに皆さん、この本を読んだとか?』
『『『『Yes, I am!』』』』
何故に英語?
『その基礎テクニック編と応用編は、すでに全て習得しました。今は上級編に取り組んでます』
『え? これは基礎なんですか? っというか、応用とか上級もあるんですか、メリルさん?』
『私は、応用編まで進みました』
『ミルシェ…もう基礎は修了したと!?』
『…私は、まだ基礎を復習している…ところです…』
『ミレーラ! まさか貴女がそこまで!?』
『ふっ…私は、応用もばっちりだぞ!』
『まさか…イネス! (一番、女らしさから縁遠い)貴女が、そこまでとは!?』
『ん? 何か引っかかる物があった気が?』
気のせいでは無い。ええ、まったく気のせいでは無いですよ、イネスさん。
『何故、私にこれをくださらなかったのですか、メリルさん!』
『いえ、いつも仕事で忙しい貴女ですから、なかなか渡すタイミングが…(あんな我がままボディーなのに、テクニックまで身に付けたらと思うと、ねぇ…)』
マチルダの魅惑の我がままボディーに戦々恐々の一同が、ギリギリまで渡さなかったのは内緒の話。
敵…ではないが、トールヴァルドの寵愛を受けたい身としては、ライバルの持つ武器は少ない方がいいのだ!
いっそ渡さないでおこうかとも考えてた4人であったが、ちょっと可哀そうだったので渡したらしい。
あくまでも公平な立場でのライバルで居たいという事だろうか?
尚、脳筋イネスの心情や考えは分からないが、メリル、ミルシェ、ミレーラの3人は、内心『私には若さがある!』と考えてたかどうかは、ネス様だけが知っている…かもしれない。
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