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蟻さんの家
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周りに集まった人々は、きっと精霊さんに向かって熱く語る俺の事を、頭がおかしくなった人とでも思ってたんだろう。
一般人には…というより、この世界の人は精霊さんを見る事が出来ないんだから、まあそう思われても仕方がない。
だが、俺の『工事開始』の号令とともに起った騒音と振動に、一様に目を見開き呆然とした顔で俺を見ていた。
カパス老なんか、あんぐり開けた口から、止めどなく涎がたれていた。きちゃないよ?
さてさて、そんな周囲の人々の事なんて完全に置いてきぼりにして、精霊さんは元気に工事に勤しんでおります。
見る間に、地面が何度か隆起と陥没を繰り返し、やがてあの地で見た地下への入り口のような、地下への階段が完成し、その穴のを取り囲むように地面が盛り上がった。
機能的には地下鉄への出入口なのだが、偽装を頼んじゃったものだから、ぱっと見には巨大な蟻塚に穴が開いたって風体だ。
最近の精霊さんは、やたらと凝り性になってきちゃったので、素晴らしく自然な仕上げになっている。
その後も、ずごごごごごごごご!! と微振動が1時間ほど続き、同様の物が9個出来上がった。
やがて音と振動が収まると、精霊作業員さん達が俺の前に整列した。
俺の横でずっと作業の様子を見守っていた、各精霊のリーダーが…報告を受けたのかな?
何やら作業員さんと話をしていた(様に見える)が、作業員さんと蟻塚の出入口へと消えていった。
…まさか、完成検査でもしに行ったんだろうか?
え? 引渡し前に検査をするのは当たり前? 不具合があれば手直しをしなけりゃだめだろうって?
ええ、そりゃそうですが…何もそこまでしなくとも…は? 公共工事を舐めるなですと!?
来期、入札指名業者から外されたら、おまんまの食い上げって?
精霊さん、あんたら俺のエネルギー勝手にちゅーちゅー吸いにくるじゃん。
大体、入札ってどこの仕事請け負うつもりだよ? ってか、どこからその知識引っ張ってきたんだ?
精霊さん達って、一体どこを目指してるんだろう。
さてさて、完成した地下都市を精霊さんと一通り見て周ったのだが、どこにも不具合なんて見つからなかった。
父さんの領地でさんざん造った地下都市がベースなんだし、今回は部屋数も少ないんだから、当然と言えば当然の結果だ。
地上に戻った俺と精霊さんの監督さん(?)は、問題ない事を確認したあと、互いに工事完成を祝ってハイタッチ(気分)をした。それじゃ、精霊さん達。これで完成という事で、お疲れさまでした~! 報酬のちゅーちゅーは、後程時間を作りますので、しばしお待ちください。
事の成り行きを、ただ呆然と見ていた移住組の方々に改めて向き直った俺は、
「さあ、皆さんの住居の完成です。家族の人数に合わせた間取りの部屋を用意してますので、慌てずに中へと入ってください」
そうは言ってみたものの、誰も言葉を発しようとはしないので、
「え~各集落の長の方、ちょっとお集まりください」
のたのたと集落を率いていたお年寄りが集まってくる。
「あの穴の中に地下への階段があります。皆さんで部屋の割り当てをお願いします。全員が安心して住めるだけの部屋数がありますので、喧嘩などしない様にしてくださいね。1人、2人、3~4人用と3タイプの部屋を用意しました。居住空間は地下1~3階になります。地下4~6階は、皆さまの持ち込まれた植物を育てる為の空間となってますので、あとでご確認ください」
黙って説明を聞いていた一同だったが、まだ何も施設を見てないので、「こいつ何言ってんだ?」的な顔で俺を見てる。
まあいい。あの入り口をくぐり、階段を降りて驚くがいい! 俺が造った訳じゃ無いけど、なぜかドヤ顔したくなった。
一通り口頭で施設に関しての説明をしたので、元の集落ごとのグループに別れてもらって、各蟻塚から中へと入ってもらった。
うん、巨大な荷物を背負って一列で地下へと通ずる穴に入ってく姿は…やっぱ蟻だな。
やがてあちこちの蟻塚から響く人々の驚いた声に、精霊さん達も満足気に頷いたり、ドヤ顔したりしていた。
んじゃ、精霊さん。約束のおやつ…もとい、報酬タイムです。
存分に俺からちゅーちゅーしてくれ~い!
一般人には…というより、この世界の人は精霊さんを見る事が出来ないんだから、まあそう思われても仕方がない。
だが、俺の『工事開始』の号令とともに起った騒音と振動に、一様に目を見開き呆然とした顔で俺を見ていた。
カパス老なんか、あんぐり開けた口から、止めどなく涎がたれていた。きちゃないよ?
さてさて、そんな周囲の人々の事なんて完全に置いてきぼりにして、精霊さんは元気に工事に勤しんでおります。
見る間に、地面が何度か隆起と陥没を繰り返し、やがてあの地で見た地下への入り口のような、地下への階段が完成し、その穴のを取り囲むように地面が盛り上がった。
機能的には地下鉄への出入口なのだが、偽装を頼んじゃったものだから、ぱっと見には巨大な蟻塚に穴が開いたって風体だ。
最近の精霊さんは、やたらと凝り性になってきちゃったので、素晴らしく自然な仕上げになっている。
その後も、ずごごごごごごごご!! と微振動が1時間ほど続き、同様の物が9個出来上がった。
やがて音と振動が収まると、精霊作業員さん達が俺の前に整列した。
俺の横でずっと作業の様子を見守っていた、各精霊のリーダーが…報告を受けたのかな?
何やら作業員さんと話をしていた(様に見える)が、作業員さんと蟻塚の出入口へと消えていった。
…まさか、完成検査でもしに行ったんだろうか?
え? 引渡し前に検査をするのは当たり前? 不具合があれば手直しをしなけりゃだめだろうって?
ええ、そりゃそうですが…何もそこまでしなくとも…は? 公共工事を舐めるなですと!?
来期、入札指名業者から外されたら、おまんまの食い上げって?
精霊さん、あんたら俺のエネルギー勝手にちゅーちゅー吸いにくるじゃん。
大体、入札ってどこの仕事請け負うつもりだよ? ってか、どこからその知識引っ張ってきたんだ?
精霊さん達って、一体どこを目指してるんだろう。
さてさて、完成した地下都市を精霊さんと一通り見て周ったのだが、どこにも不具合なんて見つからなかった。
父さんの領地でさんざん造った地下都市がベースなんだし、今回は部屋数も少ないんだから、当然と言えば当然の結果だ。
地上に戻った俺と精霊さんの監督さん(?)は、問題ない事を確認したあと、互いに工事完成を祝ってハイタッチ(気分)をした。それじゃ、精霊さん達。これで完成という事で、お疲れさまでした~! 報酬のちゅーちゅーは、後程時間を作りますので、しばしお待ちください。
事の成り行きを、ただ呆然と見ていた移住組の方々に改めて向き直った俺は、
「さあ、皆さんの住居の完成です。家族の人数に合わせた間取りの部屋を用意してますので、慌てずに中へと入ってください」
そうは言ってみたものの、誰も言葉を発しようとはしないので、
「え~各集落の長の方、ちょっとお集まりください」
のたのたと集落を率いていたお年寄りが集まってくる。
「あの穴の中に地下への階段があります。皆さんで部屋の割り当てをお願いします。全員が安心して住めるだけの部屋数がありますので、喧嘩などしない様にしてくださいね。1人、2人、3~4人用と3タイプの部屋を用意しました。居住空間は地下1~3階になります。地下4~6階は、皆さまの持ち込まれた植物を育てる為の空間となってますので、あとでご確認ください」
黙って説明を聞いていた一同だったが、まだ何も施設を見てないので、「こいつ何言ってんだ?」的な顔で俺を見てる。
まあいい。あの入り口をくぐり、階段を降りて驚くがいい! 俺が造った訳じゃ無いけど、なぜかドヤ顔したくなった。
一通り口頭で施設に関しての説明をしたので、元の集落ごとのグループに別れてもらって、各蟻塚から中へと入ってもらった。
うん、巨大な荷物を背負って一列で地下へと通ずる穴に入ってく姿は…やっぱ蟻だな。
やがてあちこちの蟻塚から響く人々の驚いた声に、精霊さん達も満足気に頷いたり、ドヤ顔したりしていた。
んじゃ、精霊さん。約束のおやつ…もとい、報酬タイムです。
存分に俺からちゅーちゅーしてくれ~い!
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