300 / 1,466
天然?
しおりを挟む
神様達のおかげで、長達は満場一致で移住に賛成をしてくれた。
ま、彼等の崇める月神様がお薦めするのだから、NOとは言えないだろう。
しっかし何だね…アーテリオス神国との戦争の時にも思ったけど、あんな巫山戯た姿なのに、神様だと信じちゃうこの世界の人達って、マジで詐欺とかに引っかからないか心配だ。
詐欺みたいなやり方、ってか詐欺その物の手法で移住させる俺が言うのもなんだけどさ…
取りあえず、こんな過酷な土地から全員移住させる方向で、会談は円満に終える事が出来た。
最終的には、10日後にこの場所へと移住希望者全員に集まってもらい、ホワイト・オルター号でアーテリオス神国へと2、3回に分けて運ぶ予定だ。
集合まで時間もある事なので、べダムさんに直接会って、色々と打ち合わせしなきゃな。
往路と同じくあの少女に先導されながら、ナディアや天鬼族3人娘と共に、地上に停泊中のホワイト・オルター号へと戻った俺は、我が家の面々に会談の内容を伝え、一旦アーテリオス神国へと向かう事を告げた。
もち、ちゃんと通信の呪法具で先に連絡は入れるぞ。
突然の訪問は失礼だからな。俺は礼儀を重んじるのだ。
『言うのは自由ですけど…』
『マスター、それは無いかと…』
『『『…ウソはダメ』』』
何だよ、サラ! 俺はちゃんと礼儀は弁えてるぞ?
ナディア、何だその残念な人に対するみたいな物言いは?
アーデ、アーム、アーフェン! 嘘って何だよ、嘘って!
『『『『『自分の事は見えないって、本当なんですね』』』』』
お前ら、何でそう言う時だけ何時も声が揃うんだよ! 練習でもしてんのかよ!
『『『『『……ふ~~……』』』』』
何だ、その意味ありげなため息は! 俺は残念な奴なのか? そうなのか?
『『『『『…ふっ…』』』』』
ちくそー! 鼻で笑いやがって! また拗ねるぞ…ちくそう…
拗ねたぞ、俺は。
でもちゃんと連絡したからな、べダムさんには。
礼儀を重んじ…てるつもりなんだから、俺は…
ユズカにめっちゃ可哀そうな子を見る目をされながら、お茶を出してもらった…すっげぇ悔しい…
ともあれ、一服した俺はホワイト・オルター号の操舵席に座り、ゆっくりと船体を離床させた。
操舵席のグラスキャビンから離れてゆく地上を見ると、多くの人達が手を振ってくれていた。
あのカパス老も、凄く元気に手を振っていた。
「みんな、すぐにまた来るからね」
ついつい、俺はそんな事を呟いていた。
「それでトールちゃん、あの娘はどうするの?」
背後から、何やら楽しそうな母さんの声が聞こえた。
「あの娘って?」
「ほら、トールちゃんを地下に案内した女の子よ」
ん? あの白い布の女の子の事かな?
「ああ、あの子の事? どうするって、何を??」
振り向いて少し見上げる様に母さんを見ると、見えてはいけない物が目に入った。
「おじいちゃ~ん!」
あの娘がキャビンから地上の人々へと手を振っていた。
「え? 何で乗ってんの?」
「え? トールちゃんが乗せたんじゃないの?」
いやいやいやいやいやいや!
「知らないよ! 一体いつの間に!?」
メリル達、婚約者~ずも、何故か当然の様に我が家に溶け込んでいる少女に、戸惑いを隠せない。
いつもなら、「トール様、浮気ですか?」とか「また婚約者を増やすおつもりですか?」とか言って俺を責め立てるのに、どうにも勝手が違う様だ。
いや、多分俺が浮気なんてしてない事は明白すぎるほど明白だからな…今回は。
これって密航なんだろうか? いや、密航だな、間違いなく。
ホワイト・オルター号をオートパイロットにセットして、俺は少女の元に向かった。
「え~っと…君は、どうしてここにいるのかな?」
少女はキョトンとしながら、
「はい、乗ったからです!」
そうだろうとも、そうだろうけど、そうじゃなくて!
「いや、どうして乗ったの? って事を訊いてるんだけど」
「はい、乗りたかったからです!」
……この娘は天然なんだろうか? それとも計算?
「え~っと…どうしてこの船に乗りたかったのかな?」
「え? 使徒様のお嫁さんだから、一緒に居るのは当然ですよね?」
この女性比率の高い我が家の真ん中で、超ド級の爆弾発言しやがった!
今まで天然娘と俺のやり取りを、黙って見守っていた婚約者~ずの目が吊上がって行くのが、気配でビンビン伝わってくる。
「お嫁さん? 誰が? 誰の?」
「私が、使徒様のですよ?」
小首を傾げ乍ら、何を当たり前のことをと言わんばかりの目で、少し頬を赤く染めつつ俺を見つめる少女。
『トーーーールさまーーーー!』
あ、はい…説明と釈明の前に正座ですね…分っておりますとも。
ま、彼等の崇める月神様がお薦めするのだから、NOとは言えないだろう。
しっかし何だね…アーテリオス神国との戦争の時にも思ったけど、あんな巫山戯た姿なのに、神様だと信じちゃうこの世界の人達って、マジで詐欺とかに引っかからないか心配だ。
詐欺みたいなやり方、ってか詐欺その物の手法で移住させる俺が言うのもなんだけどさ…
取りあえず、こんな過酷な土地から全員移住させる方向で、会談は円満に終える事が出来た。
最終的には、10日後にこの場所へと移住希望者全員に集まってもらい、ホワイト・オルター号でアーテリオス神国へと2、3回に分けて運ぶ予定だ。
集合まで時間もある事なので、べダムさんに直接会って、色々と打ち合わせしなきゃな。
往路と同じくあの少女に先導されながら、ナディアや天鬼族3人娘と共に、地上に停泊中のホワイト・オルター号へと戻った俺は、我が家の面々に会談の内容を伝え、一旦アーテリオス神国へと向かう事を告げた。
もち、ちゃんと通信の呪法具で先に連絡は入れるぞ。
突然の訪問は失礼だからな。俺は礼儀を重んじるのだ。
『言うのは自由ですけど…』
『マスター、それは無いかと…』
『『『…ウソはダメ』』』
何だよ、サラ! 俺はちゃんと礼儀は弁えてるぞ?
ナディア、何だその残念な人に対するみたいな物言いは?
アーデ、アーム、アーフェン! 嘘って何だよ、嘘って!
『『『『『自分の事は見えないって、本当なんですね』』』』』
お前ら、何でそう言う時だけ何時も声が揃うんだよ! 練習でもしてんのかよ!
『『『『『……ふ~~……』』』』』
何だ、その意味ありげなため息は! 俺は残念な奴なのか? そうなのか?
『『『『『…ふっ…』』』』』
ちくそー! 鼻で笑いやがって! また拗ねるぞ…ちくそう…
拗ねたぞ、俺は。
でもちゃんと連絡したからな、べダムさんには。
礼儀を重んじ…てるつもりなんだから、俺は…
ユズカにめっちゃ可哀そうな子を見る目をされながら、お茶を出してもらった…すっげぇ悔しい…
ともあれ、一服した俺はホワイト・オルター号の操舵席に座り、ゆっくりと船体を離床させた。
操舵席のグラスキャビンから離れてゆく地上を見ると、多くの人達が手を振ってくれていた。
あのカパス老も、凄く元気に手を振っていた。
「みんな、すぐにまた来るからね」
ついつい、俺はそんな事を呟いていた。
「それでトールちゃん、あの娘はどうするの?」
背後から、何やら楽しそうな母さんの声が聞こえた。
「あの娘って?」
「ほら、トールちゃんを地下に案内した女の子よ」
ん? あの白い布の女の子の事かな?
「ああ、あの子の事? どうするって、何を??」
振り向いて少し見上げる様に母さんを見ると、見えてはいけない物が目に入った。
「おじいちゃ~ん!」
あの娘がキャビンから地上の人々へと手を振っていた。
「え? 何で乗ってんの?」
「え? トールちゃんが乗せたんじゃないの?」
いやいやいやいやいやいや!
「知らないよ! 一体いつの間に!?」
メリル達、婚約者~ずも、何故か当然の様に我が家に溶け込んでいる少女に、戸惑いを隠せない。
いつもなら、「トール様、浮気ですか?」とか「また婚約者を増やすおつもりですか?」とか言って俺を責め立てるのに、どうにも勝手が違う様だ。
いや、多分俺が浮気なんてしてない事は明白すぎるほど明白だからな…今回は。
これって密航なんだろうか? いや、密航だな、間違いなく。
ホワイト・オルター号をオートパイロットにセットして、俺は少女の元に向かった。
「え~っと…君は、どうしてここにいるのかな?」
少女はキョトンとしながら、
「はい、乗ったからです!」
そうだろうとも、そうだろうけど、そうじゃなくて!
「いや、どうして乗ったの? って事を訊いてるんだけど」
「はい、乗りたかったからです!」
……この娘は天然なんだろうか? それとも計算?
「え~っと…どうしてこの船に乗りたかったのかな?」
「え? 使徒様のお嫁さんだから、一緒に居るのは当然ですよね?」
この女性比率の高い我が家の真ん中で、超ド級の爆弾発言しやがった!
今まで天然娘と俺のやり取りを、黙って見守っていた婚約者~ずの目が吊上がって行くのが、気配でビンビン伝わってくる。
「お嫁さん? 誰が? 誰の?」
「私が、使徒様のですよ?」
小首を傾げ乍ら、何を当たり前のことをと言わんばかりの目で、少し頬を赤く染めつつ俺を見つめる少女。
『トーーーールさまーーーー!』
あ、はい…説明と釈明の前に正座ですね…分っておりますとも。
12
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる