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天然?
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神様達のおかげで、長達は満場一致で移住に賛成をしてくれた。
ま、彼等の崇める月神様がお薦めするのだから、NOとは言えないだろう。
しっかし何だね…アーテリオス神国との戦争の時にも思ったけど、あんな巫山戯た姿なのに、神様だと信じちゃうこの世界の人達って、マジで詐欺とかに引っかからないか心配だ。
詐欺みたいなやり方、ってか詐欺その物の手法で移住させる俺が言うのもなんだけどさ…
取りあえず、こんな過酷な土地から全員移住させる方向で、会談は円満に終える事が出来た。
最終的には、10日後にこの場所へと移住希望者全員に集まってもらい、ホワイト・オルター号でアーテリオス神国へと2、3回に分けて運ぶ予定だ。
集合まで時間もある事なので、べダムさんに直接会って、色々と打ち合わせしなきゃな。
往路と同じくあの少女に先導されながら、ナディアや天鬼族3人娘と共に、地上に停泊中のホワイト・オルター号へと戻った俺は、我が家の面々に会談の内容を伝え、一旦アーテリオス神国へと向かう事を告げた。
もち、ちゃんと通信の呪法具で先に連絡は入れるぞ。
突然の訪問は失礼だからな。俺は礼儀を重んじるのだ。
『言うのは自由ですけど…』
『マスター、それは無いかと…』
『『『…ウソはダメ』』』
何だよ、サラ! 俺はちゃんと礼儀は弁えてるぞ?
ナディア、何だその残念な人に対するみたいな物言いは?
アーデ、アーム、アーフェン! 嘘って何だよ、嘘って!
『『『『『自分の事は見えないって、本当なんですね』』』』』
お前ら、何でそう言う時だけ何時も声が揃うんだよ! 練習でもしてんのかよ!
『『『『『……ふ~~……』』』』』
何だ、その意味ありげなため息は! 俺は残念な奴なのか? そうなのか?
『『『『『…ふっ…』』』』』
ちくそー! 鼻で笑いやがって! また拗ねるぞ…ちくそう…
拗ねたぞ、俺は。
でもちゃんと連絡したからな、べダムさんには。
礼儀を重んじ…てるつもりなんだから、俺は…
ユズカにめっちゃ可哀そうな子を見る目をされながら、お茶を出してもらった…すっげぇ悔しい…
ともあれ、一服した俺はホワイト・オルター号の操舵席に座り、ゆっくりと船体を離床させた。
操舵席のグラスキャビンから離れてゆく地上を見ると、多くの人達が手を振ってくれていた。
あのカパス老も、凄く元気に手を振っていた。
「みんな、すぐにまた来るからね」
ついつい、俺はそんな事を呟いていた。
「それでトールちゃん、あの娘はどうするの?」
背後から、何やら楽しそうな母さんの声が聞こえた。
「あの娘って?」
「ほら、トールちゃんを地下に案内した女の子よ」
ん? あの白い布の女の子の事かな?
「ああ、あの子の事? どうするって、何を??」
振り向いて少し見上げる様に母さんを見ると、見えてはいけない物が目に入った。
「おじいちゃ~ん!」
あの娘がキャビンから地上の人々へと手を振っていた。
「え? 何で乗ってんの?」
「え? トールちゃんが乗せたんじゃないの?」
いやいやいやいやいやいや!
「知らないよ! 一体いつの間に!?」
メリル達、婚約者~ずも、何故か当然の様に我が家に溶け込んでいる少女に、戸惑いを隠せない。
いつもなら、「トール様、浮気ですか?」とか「また婚約者を増やすおつもりですか?」とか言って俺を責め立てるのに、どうにも勝手が違う様だ。
いや、多分俺が浮気なんてしてない事は明白すぎるほど明白だからな…今回は。
これって密航なんだろうか? いや、密航だな、間違いなく。
ホワイト・オルター号をオートパイロットにセットして、俺は少女の元に向かった。
「え~っと…君は、どうしてここにいるのかな?」
少女はキョトンとしながら、
「はい、乗ったからです!」
そうだろうとも、そうだろうけど、そうじゃなくて!
「いや、どうして乗ったの? って事を訊いてるんだけど」
「はい、乗りたかったからです!」
……この娘は天然なんだろうか? それとも計算?
「え~っと…どうしてこの船に乗りたかったのかな?」
「え? 使徒様のお嫁さんだから、一緒に居るのは当然ですよね?」
この女性比率の高い我が家の真ん中で、超ド級の爆弾発言しやがった!
今まで天然娘と俺のやり取りを、黙って見守っていた婚約者~ずの目が吊上がって行くのが、気配でビンビン伝わってくる。
「お嫁さん? 誰が? 誰の?」
「私が、使徒様のですよ?」
小首を傾げ乍ら、何を当たり前のことをと言わんばかりの目で、少し頬を赤く染めつつ俺を見つめる少女。
『トーーーールさまーーーー!』
あ、はい…説明と釈明の前に正座ですね…分っておりますとも。
ま、彼等の崇める月神様がお薦めするのだから、NOとは言えないだろう。
しっかし何だね…アーテリオス神国との戦争の時にも思ったけど、あんな巫山戯た姿なのに、神様だと信じちゃうこの世界の人達って、マジで詐欺とかに引っかからないか心配だ。
詐欺みたいなやり方、ってか詐欺その物の手法で移住させる俺が言うのもなんだけどさ…
取りあえず、こんな過酷な土地から全員移住させる方向で、会談は円満に終える事が出来た。
最終的には、10日後にこの場所へと移住希望者全員に集まってもらい、ホワイト・オルター号でアーテリオス神国へと2、3回に分けて運ぶ予定だ。
集合まで時間もある事なので、べダムさんに直接会って、色々と打ち合わせしなきゃな。
往路と同じくあの少女に先導されながら、ナディアや天鬼族3人娘と共に、地上に停泊中のホワイト・オルター号へと戻った俺は、我が家の面々に会談の内容を伝え、一旦アーテリオス神国へと向かう事を告げた。
もち、ちゃんと通信の呪法具で先に連絡は入れるぞ。
突然の訪問は失礼だからな。俺は礼儀を重んじるのだ。
『言うのは自由ですけど…』
『マスター、それは無いかと…』
『『『…ウソはダメ』』』
何だよ、サラ! 俺はちゃんと礼儀は弁えてるぞ?
ナディア、何だその残念な人に対するみたいな物言いは?
アーデ、アーム、アーフェン! 嘘って何だよ、嘘って!
『『『『『自分の事は見えないって、本当なんですね』』』』』
お前ら、何でそう言う時だけ何時も声が揃うんだよ! 練習でもしてんのかよ!
『『『『『……ふ~~……』』』』』
何だ、その意味ありげなため息は! 俺は残念な奴なのか? そうなのか?
『『『『『…ふっ…』』』』』
ちくそー! 鼻で笑いやがって! また拗ねるぞ…ちくそう…
拗ねたぞ、俺は。
でもちゃんと連絡したからな、べダムさんには。
礼儀を重んじ…てるつもりなんだから、俺は…
ユズカにめっちゃ可哀そうな子を見る目をされながら、お茶を出してもらった…すっげぇ悔しい…
ともあれ、一服した俺はホワイト・オルター号の操舵席に座り、ゆっくりと船体を離床させた。
操舵席のグラスキャビンから離れてゆく地上を見ると、多くの人達が手を振ってくれていた。
あのカパス老も、凄く元気に手を振っていた。
「みんな、すぐにまた来るからね」
ついつい、俺はそんな事を呟いていた。
「それでトールちゃん、あの娘はどうするの?」
背後から、何やら楽しそうな母さんの声が聞こえた。
「あの娘って?」
「ほら、トールちゃんを地下に案内した女の子よ」
ん? あの白い布の女の子の事かな?
「ああ、あの子の事? どうするって、何を??」
振り向いて少し見上げる様に母さんを見ると、見えてはいけない物が目に入った。
「おじいちゃ~ん!」
あの娘がキャビンから地上の人々へと手を振っていた。
「え? 何で乗ってんの?」
「え? トールちゃんが乗せたんじゃないの?」
いやいやいやいやいやいや!
「知らないよ! 一体いつの間に!?」
メリル達、婚約者~ずも、何故か当然の様に我が家に溶け込んでいる少女に、戸惑いを隠せない。
いつもなら、「トール様、浮気ですか?」とか「また婚約者を増やすおつもりですか?」とか言って俺を責め立てるのに、どうにも勝手が違う様だ。
いや、多分俺が浮気なんてしてない事は明白すぎるほど明白だからな…今回は。
これって密航なんだろうか? いや、密航だな、間違いなく。
ホワイト・オルター号をオートパイロットにセットして、俺は少女の元に向かった。
「え~っと…君は、どうしてここにいるのかな?」
少女はキョトンとしながら、
「はい、乗ったからです!」
そうだろうとも、そうだろうけど、そうじゃなくて!
「いや、どうして乗ったの? って事を訊いてるんだけど」
「はい、乗りたかったからです!」
……この娘は天然なんだろうか? それとも計算?
「え~っと…どうしてこの船に乗りたかったのかな?」
「え? 使徒様のお嫁さんだから、一緒に居るのは当然ですよね?」
この女性比率の高い我が家の真ん中で、超ド級の爆弾発言しやがった!
今まで天然娘と俺のやり取りを、黙って見守っていた婚約者~ずの目が吊上がって行くのが、気配でビンビン伝わってくる。
「お嫁さん? 誰が? 誰の?」
「私が、使徒様のですよ?」
小首を傾げ乍ら、何を当たり前のことをと言わんばかりの目で、少し頬を赤く染めつつ俺を見つめる少女。
『トーーーールさまーーーー!』
あ、はい…説明と釈明の前に正座ですね…分っておりますとも。
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