290 / 1,466
のの字…
しおりを挟む
当然ですが、説教タイムは足が痺れて歩けなくなるまで続けられました。
結局、最後には…
『新しい大陸へと一緒に行けないんだから、せめて普段は一緒にいて欲しいです』
『内緒で遊びに行くのはずるい!』
『せめて一声かけて欲しかったです…』
『私達に声をかけないのは、やましい事をしようとしているからでは?』
『新装備とやらに、興味があります! テストには是非とも私と!』
『お兄ちゃん、コルネも連れてって!』
と言われたが、どれが誰の言葉かは、名前を書かずとも多分わかるだろう? 最後のは、簡単だけど…
ってわけで、結局、我が家のフルメンバーを引き連れてお外に出ました。
サラはまだ体調が戻らないので、寝ていて不参加。
この装備は、こっそり試すつもりだったのになあ…
「それでトール様、その新しい神具というのはどの様な物なんですか?」
さっきまで、鬼の形相で…いえ、とても良い顔で俺に説教をしていたメリルさんが、興味津々で訊いて来た。
「ああ…うん。武器じゃないんだよなあ…実は…」
それを聞いた一同、頭の上に ? が浮かびまくってる。
俺はズボンのポケットから取り出した、小さな指輪を右手の中指に嵌めて、念じた。
すると、指輪が光輝くとまではいかず、写ル〇ですのフラッシュぐらい瞬間光って、俺の手の中である物へと変わった。
そう、昭和のヒーローと言えば、ギター! それもフォークギター(アコースティックギターでも可)! トランペットでもギリギリ可! 異論は認めない! 俺の中では、必須アイテムなんだよ!
「それは…もしかして楽器ですか?」
マチルダが、恐る恐るといった感じで聞いてきた。
「う、うん…武器にもなるかもしれないけど…楽器…」
さらにこの場に居合わせた我が家の面々は混乱してしまった。
いや、一部というか、何かを察したユズカだけは、爆笑してるけど…
「ぶわっはっはっは! ベタ! すんごくベタ!」「ちょっとユズカ、笑っちゃ子爵様に悪いよ~…ぷっ」
あ、ユズキも笑いやがった! ベタで悪かったな!
ユズキ、お前もベタだって思ったんだろう? いいよいいよ、笑いたきゃ笑え!
「え~っと…トール様、それが新しい神具なのは分かりましたけど…何を練習するのですか?」
…………。
「メ、メリル。多分だけど、トールさま…あの楽器を弾く練習を、こっそりとするつもりだったのでは?」
ミルシェよ、俺は勘の良い娘は嫌いだぞ…
「あ、上手くなったら私達に…披露するつもりだった…とかです…か?」
ミレーラよ、その憐れみ100%の目は止めてくれ!
「あ、え? でも、トール様、武器にもなるんですよね?」
俺の下手な演奏で、精神攻撃が出来ますなんて、言えない。恥ずかしすぎて言えない。
「お兄ちゃん、何か弾いてみて~!」
コルネちゃん…君は、どこでお兄ちゃんの精神をグリグリと抉る様な攻撃を覚えたんだい?
あ、なんだか風景がぼやけてきたなあ…目にごみでも入ったかな? 涙が滲んできたかも…
「皆さん、マスターを虐めないであげてください! ネス様を讃える聖なる曲を上手く弾けるようになってから、マスターは皆様に披露しようと考えておられたのです」
ナディア、有難う…でも、虐められてはいないと思うんだ、うん。
「トールちゃん、こっそり練習するつもりだったのね」
母さんまでナイーブな少年の心を抉ってきた…
気が付くと俺は、ギターを背負って、膝を抱えて地面に座り込み、『の』の字を地面に描いてた。
俺の後方で、アルテアン家で『トール君を励ますための緊急家族会議』が開かれていた様だが、今の俺には振り向く勇気が持てなかった。
いいよいいよ。どうせ弾けもしないのに格好だけで創った俺が悪いんですよ。
ナディアにギターテクニックを不思議パワーで覚えてもらって、講師になってもらおうとか思ってたけど、計画がすべて水の泡だよ。ただ恥かいただけだよ…
「子爵様、ちょっと貸してください」
ん? ユズキもギター触りたいの? どうぞどうぞ。どうせ俺にはただのアクセサリーですから。
ギターをユズキに手渡すと…『ぽろろ~ん♪』と、軽く弦を弾いたかと思うと、『じゃんじゃかじゃじゃじゃじゃ…♪』何か良い感じに曲を弾き始めた。
「柚希はギター弾けるんですよ~!」
横に来たユズカが、俺にめっちゃ自慢げに告げた。
「柚希~、まちゃまちゃ弾いて~!」
あの二枚目シンガーソングライター、福〇 雅治の『HE〇LO』を軽快に弾いて見せたユズキ。マジっすか!? めっちゃ上手いやん!
「きゃ~! 格好いい~! あなた~大好き~!」
くそ! 俺もそれぐらい弾きたかった!
結局、最後には…
『新しい大陸へと一緒に行けないんだから、せめて普段は一緒にいて欲しいです』
『内緒で遊びに行くのはずるい!』
『せめて一声かけて欲しかったです…』
『私達に声をかけないのは、やましい事をしようとしているからでは?』
『新装備とやらに、興味があります! テストには是非とも私と!』
『お兄ちゃん、コルネも連れてって!』
と言われたが、どれが誰の言葉かは、名前を書かずとも多分わかるだろう? 最後のは、簡単だけど…
ってわけで、結局、我が家のフルメンバーを引き連れてお外に出ました。
サラはまだ体調が戻らないので、寝ていて不参加。
この装備は、こっそり試すつもりだったのになあ…
「それでトール様、その新しい神具というのはどの様な物なんですか?」
さっきまで、鬼の形相で…いえ、とても良い顔で俺に説教をしていたメリルさんが、興味津々で訊いて来た。
「ああ…うん。武器じゃないんだよなあ…実は…」
それを聞いた一同、頭の上に ? が浮かびまくってる。
俺はズボンのポケットから取り出した、小さな指輪を右手の中指に嵌めて、念じた。
すると、指輪が光輝くとまではいかず、写ル〇ですのフラッシュぐらい瞬間光って、俺の手の中である物へと変わった。
そう、昭和のヒーローと言えば、ギター! それもフォークギター(アコースティックギターでも可)! トランペットでもギリギリ可! 異論は認めない! 俺の中では、必須アイテムなんだよ!
「それは…もしかして楽器ですか?」
マチルダが、恐る恐るといった感じで聞いてきた。
「う、うん…武器にもなるかもしれないけど…楽器…」
さらにこの場に居合わせた我が家の面々は混乱してしまった。
いや、一部というか、何かを察したユズカだけは、爆笑してるけど…
「ぶわっはっはっは! ベタ! すんごくベタ!」「ちょっとユズカ、笑っちゃ子爵様に悪いよ~…ぷっ」
あ、ユズキも笑いやがった! ベタで悪かったな!
ユズキ、お前もベタだって思ったんだろう? いいよいいよ、笑いたきゃ笑え!
「え~っと…トール様、それが新しい神具なのは分かりましたけど…何を練習するのですか?」
…………。
「メ、メリル。多分だけど、トールさま…あの楽器を弾く練習を、こっそりとするつもりだったのでは?」
ミルシェよ、俺は勘の良い娘は嫌いだぞ…
「あ、上手くなったら私達に…披露するつもりだった…とかです…か?」
ミレーラよ、その憐れみ100%の目は止めてくれ!
「あ、え? でも、トール様、武器にもなるんですよね?」
俺の下手な演奏で、精神攻撃が出来ますなんて、言えない。恥ずかしすぎて言えない。
「お兄ちゃん、何か弾いてみて~!」
コルネちゃん…君は、どこでお兄ちゃんの精神をグリグリと抉る様な攻撃を覚えたんだい?
あ、なんだか風景がぼやけてきたなあ…目にごみでも入ったかな? 涙が滲んできたかも…
「皆さん、マスターを虐めないであげてください! ネス様を讃える聖なる曲を上手く弾けるようになってから、マスターは皆様に披露しようと考えておられたのです」
ナディア、有難う…でも、虐められてはいないと思うんだ、うん。
「トールちゃん、こっそり練習するつもりだったのね」
母さんまでナイーブな少年の心を抉ってきた…
気が付くと俺は、ギターを背負って、膝を抱えて地面に座り込み、『の』の字を地面に描いてた。
俺の後方で、アルテアン家で『トール君を励ますための緊急家族会議』が開かれていた様だが、今の俺には振り向く勇気が持てなかった。
いいよいいよ。どうせ弾けもしないのに格好だけで創った俺が悪いんですよ。
ナディアにギターテクニックを不思議パワーで覚えてもらって、講師になってもらおうとか思ってたけど、計画がすべて水の泡だよ。ただ恥かいただけだよ…
「子爵様、ちょっと貸してください」
ん? ユズキもギター触りたいの? どうぞどうぞ。どうせ俺にはただのアクセサリーですから。
ギターをユズキに手渡すと…『ぽろろ~ん♪』と、軽く弦を弾いたかと思うと、『じゃんじゃかじゃじゃじゃじゃ…♪』何か良い感じに曲を弾き始めた。
「柚希はギター弾けるんですよ~!」
横に来たユズカが、俺にめっちゃ自慢げに告げた。
「柚希~、まちゃまちゃ弾いて~!」
あの二枚目シンガーソングライター、福〇 雅治の『HE〇LO』を軽快に弾いて見せたユズキ。マジっすか!? めっちゃ上手いやん!
「きゃ~! 格好いい~! あなた~大好き~!」
くそ! 俺もそれぐらい弾きたかった!
12
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる