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恐怖の大王戦(別視点・その1 )
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ナディア視点
「わははははははははははは!!!」
真っ黒な鎧と藍色のマントは、伯爵様のお気に入りだ。
今回の戦いでは、普段使用されている大楯は装備せずに、巨大な剣だけを手にした、完全攻撃型の出で立ち。
どう見ても身の丈を超えた巨剣なのに、まるで重量を感じさせないその剣技は、さすがマスターのお父上といったところだろう。
「火の精霊さん、もやして~! えいっ!」
コルネ様もマスターが創造した、≪純白の創界シスター≫へと変身して、伯爵様の倒した恐怖の大王の手駒へと、可愛い掛け声で魔法を打ち込んでいます。
ちゃんとマスターの言う事を聞いて、私の側から離れない様に注意している様です。
この程度の敵であれば、コルネ様でも難なく素手で葬る事が出来るかと思いますが、マスターの作戦通りの役割を熟している様です。
なんて素直で真面目で良い子なんでしょう。
「コルネ様、あちらにも伯爵様の倒された敵がいますので、燃やしてくださいませ」
「うん! む~~~~火の精霊さん、もやして~~!」
別に力む必要も無いのですが、杖を握りしめて「むぅ~~!」と、力んでいる姿は、とても可愛らしいです。
きっとあの真っ白な仮面の下では、真っ赤な顔で、可愛いほっぺを膨らませ、唇をとがらせている事でしょう。
さて、それでは私はコルネ様が燃やした恐怖の大王の手駒たちを、偉大なるマスターがお創りになられたこの、『全部すいとーる君』で、お掃除しましょう。
欠片でも残したら大変ですからね。
しかし…マスターのネーミングセンスは、どうにか出来ないものでしょうか?
『ん~ナディア、そっちの状況は?』
おや、マスターからの念話ですね。
『全て順調です、マスター。しっかりと灰になるまで焼いて、すべてこのサ〇クロン号ですか? これで吸い込んでます』
ありままをお伝えすれば良いでしょう。
『サイ〇ロン号では無い。それでは仮面のライダーな人が乗るバイクになってしまうではないか! 『全部すいとーる君』という立派な名前があるのだ。間違えない様に』
いえ、マスターのネーミングセンスが…
『これは失礼をしました。ダジャレの様な下らない名前ならば、まだネタの方がましじゃないかと、勝手な真似をいたしました。お許しください』
ここは、正直に思った事をお伝えしましょう。
『うん…俺、微妙に貶められてる気がする。まあ、いいけど…仕事はちゃんとしてね』
もちろん、お仕事はきちんといたしますとも。
ですが、本当に、もう少しネーミングセンスを磨いてください…マスター。
あと、重度のシスコン病は、何とかして調きょ…もとい、矯正しなければ。
これは婚約者の方々とも、一度会議を開いた方が良いかもしれません
もちろん、お母上も交えて。
それはともかく、今は目の前の敵に集中しましょう。
マスターも恐怖の大王の本体と戦っている事ですし、全てはこの戦いを終えてからですね。
ウルリーカ・デ・アルテアン(トールの実母)視点
「ねえ、サラちゃん。もう少し近づけない? ここからじゃ良く見えないわ」
あの人とコルネちゃんが戦っているのは見えるのだけれど、トールちゃんが離れてて見辛いのよねえ。
「奥様…これ以上近づくと、何かあった時に素早い対処が出来ません。結界が張ってあるとはいえ、このホワイト・オルター号は飛行船です。馬車などよりもよほど速いとはいえ、空を飛ぶワイバーンなどよりも遅いのです。もしも空を飛べる敵が居た場合の事を考えますと、これ以上は…」
あら、サラちゃんってば、結構真面目なのね。
普段はお馬鹿な娘なのに、これでもネス様の眷属ということかしら。
今日は、普段と顔付きが違うわ。何ていうのかしら…珍しく真面目な顔? ね。
「奥様…非常に言い難いのですが…今、何か変な事を考えてらっしゃいませんでしたか?」
あらやだ! この娘ってば、心を読めるのかしら? 意外と鋭いわね。
「そんな事は無いわよ? サラちゃんが、珍しく真面目に仕事してるなあ~って、思ったから、じ~~っと見てただけよ」
「それが変な事なのですよ! 私はいつも真面目です!」
それは無いわ~。
「そう? それじゃ、そういう事にしておいてあげるわ」
「うっきーーーーーー!!!」
ほら、やっぱりお馬鹿娘よね。揶揄いがいがある子って好きよ。
「サラちゃんは、ずっとそこで操縦して無きゃだめなの?」
「急に話題かえてきましたね…いえ、別に大丈夫ですが」
皆が戦ってるのに、サラちゃんを弄って遊んでちゃ駄目かしら?
じっとしてるだけなんて、暇なのよねぇ…そうだ、
「そう。なら、お茶にしない? 終わるまで暇でしょ? 緊張して、喉がかわいちゃったわ。そうそう、美味しいお茶菓子もあるのよ」
「奥様、皆様戦ってる最中ですが…」
あら、また真面目モードなのね。似合わないわ~(笑)
「邪魔にならない様に、大人しくしておくのが私達の仕事よ」
「はあ…では、お茶を淹れてまいります」
私の言葉を訝し気に思いつつも、サラちゃんはキッチンへと向かった。
さて、それじゃ私は、王都で購入したクッキーでも用意しましょう。
戦いは皆にまかせて、私は文字通り高みの見物ね。
やっぱりついて来て良かったわ~。
こんなショーを見ながらお茶できるなんて、最高よ!
王妃様も連れて来たら良かったかしら? まあ、帰ったらいっぱいお話してあげましょう。
「わははははははははははは!!!」
真っ黒な鎧と藍色のマントは、伯爵様のお気に入りだ。
今回の戦いでは、普段使用されている大楯は装備せずに、巨大な剣だけを手にした、完全攻撃型の出で立ち。
どう見ても身の丈を超えた巨剣なのに、まるで重量を感じさせないその剣技は、さすがマスターのお父上といったところだろう。
「火の精霊さん、もやして~! えいっ!」
コルネ様もマスターが創造した、≪純白の創界シスター≫へと変身して、伯爵様の倒した恐怖の大王の手駒へと、可愛い掛け声で魔法を打ち込んでいます。
ちゃんとマスターの言う事を聞いて、私の側から離れない様に注意している様です。
この程度の敵であれば、コルネ様でも難なく素手で葬る事が出来るかと思いますが、マスターの作戦通りの役割を熟している様です。
なんて素直で真面目で良い子なんでしょう。
「コルネ様、あちらにも伯爵様の倒された敵がいますので、燃やしてくださいませ」
「うん! む~~~~火の精霊さん、もやして~~!」
別に力む必要も無いのですが、杖を握りしめて「むぅ~~!」と、力んでいる姿は、とても可愛らしいです。
きっとあの真っ白な仮面の下では、真っ赤な顔で、可愛いほっぺを膨らませ、唇をとがらせている事でしょう。
さて、それでは私はコルネ様が燃やした恐怖の大王の手駒たちを、偉大なるマスターがお創りになられたこの、『全部すいとーる君』で、お掃除しましょう。
欠片でも残したら大変ですからね。
しかし…マスターのネーミングセンスは、どうにか出来ないものでしょうか?
『ん~ナディア、そっちの状況は?』
おや、マスターからの念話ですね。
『全て順調です、マスター。しっかりと灰になるまで焼いて、すべてこのサ〇クロン号ですか? これで吸い込んでます』
ありままをお伝えすれば良いでしょう。
『サイ〇ロン号では無い。それでは仮面のライダーな人が乗るバイクになってしまうではないか! 『全部すいとーる君』という立派な名前があるのだ。間違えない様に』
いえ、マスターのネーミングセンスが…
『これは失礼をしました。ダジャレの様な下らない名前ならば、まだネタの方がましじゃないかと、勝手な真似をいたしました。お許しください』
ここは、正直に思った事をお伝えしましょう。
『うん…俺、微妙に貶められてる気がする。まあ、いいけど…仕事はちゃんとしてね』
もちろん、お仕事はきちんといたしますとも。
ですが、本当に、もう少しネーミングセンスを磨いてください…マスター。
あと、重度のシスコン病は、何とかして調きょ…もとい、矯正しなければ。
これは婚約者の方々とも、一度会議を開いた方が良いかもしれません
もちろん、お母上も交えて。
それはともかく、今は目の前の敵に集中しましょう。
マスターも恐怖の大王の本体と戦っている事ですし、全てはこの戦いを終えてからですね。
ウルリーカ・デ・アルテアン(トールの実母)視点
「ねえ、サラちゃん。もう少し近づけない? ここからじゃ良く見えないわ」
あの人とコルネちゃんが戦っているのは見えるのだけれど、トールちゃんが離れてて見辛いのよねえ。
「奥様…これ以上近づくと、何かあった時に素早い対処が出来ません。結界が張ってあるとはいえ、このホワイト・オルター号は飛行船です。馬車などよりもよほど速いとはいえ、空を飛ぶワイバーンなどよりも遅いのです。もしも空を飛べる敵が居た場合の事を考えますと、これ以上は…」
あら、サラちゃんってば、結構真面目なのね。
普段はお馬鹿な娘なのに、これでもネス様の眷属ということかしら。
今日は、普段と顔付きが違うわ。何ていうのかしら…珍しく真面目な顔? ね。
「奥様…非常に言い難いのですが…今、何か変な事を考えてらっしゃいませんでしたか?」
あらやだ! この娘ってば、心を読めるのかしら? 意外と鋭いわね。
「そんな事は無いわよ? サラちゃんが、珍しく真面目に仕事してるなあ~って、思ったから、じ~~っと見てただけよ」
「それが変な事なのですよ! 私はいつも真面目です!」
それは無いわ~。
「そう? それじゃ、そういう事にしておいてあげるわ」
「うっきーーーーーー!!!」
ほら、やっぱりお馬鹿娘よね。揶揄いがいがある子って好きよ。
「サラちゃんは、ずっとそこで操縦して無きゃだめなの?」
「急に話題かえてきましたね…いえ、別に大丈夫ですが」
皆が戦ってるのに、サラちゃんを弄って遊んでちゃ駄目かしら?
じっとしてるだけなんて、暇なのよねぇ…そうだ、
「そう。なら、お茶にしない? 終わるまで暇でしょ? 緊張して、喉がかわいちゃったわ。そうそう、美味しいお茶菓子もあるのよ」
「奥様、皆様戦ってる最中ですが…」
あら、また真面目モードなのね。似合わないわ~(笑)
「邪魔にならない様に、大人しくしておくのが私達の仕事よ」
「はあ…では、お茶を淹れてまいります」
私の言葉を訝し気に思いつつも、サラちゃんはキッチンへと向かった。
さて、それじゃ私は、王都で購入したクッキーでも用意しましょう。
戦いは皆にまかせて、私は文字通り高みの見物ね。
やっぱりついて来て良かったわ~。
こんなショーを見ながらお茶できるなんて、最高よ!
王妃様も連れて来たら良かったかしら? まあ、帰ったらいっぱいお話してあげましょう。
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