259 / 1,466
精霊さん怒る
しおりを挟む
皆は順調に冬虫夏草付のゾンビを倒して燃やしてるようなので、俺は萌やし農家さんを助けに行くのだ!
決して上手く言ったわけではない! 上手いけど、意図したわけではないのだ!
萌やし農家さんへと、魔の菌糸を伸ばすカズム、許すまじ!
やっぱ、俺って上手いかも…
『いいから、さっさと行けーーー!』
怒られた…珍しくサラに怒られた…
『いや、マスター…真面目にやってください。地下都市の様な密閉空間に胞子撒かれたら、目もあてれませんよ?』
ナディアも正論で俺を追い詰める…
『だから、マジでさっさとしろって! あんた地下都市の人を見殺しにする気か!?』
分かってるよ…そんなでっかい声で念話するなっての。頭の中がガンガンするから。
んじゃ~カズムちゃん、いっきますよ~!
俺は全力で地を蹴った。
目の前に立ちふさがる冬虫夏草付ゾンビは、すれ違いざまに切って捨てる。
火の精霊さん、風の精霊さん、灰になるまで燃やしておいてね~。
何物にも俺の進撃は邪魔させない! ただ只管真っすぐに愚直にカズム本体へと前進!
徐々にその姿が明らかになるカズム…うん、キノコ怪人その物だな。
あと10mって所で、急ブレーキをかけて止まって観察してみたが、見た目チョロそうなんだが何やらヤバそうな香りが…
これって松茸の香りじゃねーか!
ヤバいってもんじゃねーぞ! あいつは高級食材か!?
だが、容赦はせん! 見た目は食える様に見えないからな…
地面からひょろっとした胴体(?)が伸びて、真っ赤な傘は正にベニテングダケその物だが、傘の部分には全周を見渡せるほど無数の目玉が付いている。
柄にくっ付いてるつばっていう部位は、まるで垂れ下がる触手。
口はどこにあるのか分からんが、キショい!
地面に広がる菌糸が微妙に脈打ってるのが、さらに輪を掛けてる感じだな。
よ~し、渾沌が大好きなカズム君…君には俺のとっておきをプレゼントしようではないか。
んっしょっと…リュックから取り出したるは、じゃじゃーーん! 対カズム決戦兵器『全部すいとーる君1号』だ!
すいとーる君と、好いトール君を掛けている訳では、断じて無い…ごめん、掛けてます。
『だから…何度も言ってますが…』
あ、ごめんなさい。すぐ始末しますから、怒んないでサラ…
この『全部すいとーる君1号』は、俺が敵と認識した物体を、魂のエネルギーも含め全部吸い取ってくれる優れもの。
小型だが圧倒的な吸引力と、その軽さで操作も楽々! しかもコードレスなので、どこでも使用可能!
塵や埃などの異物と魂のエネルギーと空気を、強力な遠心分離サイクロンによって分別できるうえ、吸引した空気を清浄化して排出する、人にも環境にも優しい仕様となっております!
つまりは、ハンディータイプの掃除機やね。
こいつをカズムに向けて、スイッチ・オン!
んで、ついでに…誰にしよっかな…アーデ、ちょっとこっちおいで~。
『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん!』
アーデ、どこでそんな言葉を覚えたのだ?
駄目だぞ~良い子はそんな言葉を使っちゃ。
『でも、たまにマスターが使ってますよね?』
うぐっ! 痛い所を突いてきたな…
ま~それはいいとして、俺のリュックに刺さってる『全部すいとーる君』の2号~4号を皆に配ってね。
『これですか? どうやって使うのでしょう?』
えっと…俺の手元見て…そうそう。ここの所を伸ばして、敵の灰に向かってここのスイッチを入れるだけ。
『えっと…こうですか?』
そうそう、良くできました。人には向けない様にね。
止める時は、スイッチを切るのを忘れずに。
あのゾンビを燃やしたら、全部吸い取っちゃって。
別に燃やす必要ないけど…燃やさないと、腐った肉とか血とかが、この透明の部分でグルグル回って、気持ち悪くなるから。
『了解しました!』
んじゃ、各チームに配って、使い方を教えてあげてね。
よし! これでミニ・カズムの処理も大丈夫だな。
さてと、本体をさっさと吸い込んじゃいましょうかねぇ~…
って、こいつ無茶苦茶抵抗しやがるな? すんごい引っ張られる!
もしかして地面に菌糸伸ばしてるから、それで踏ん張ってるのかな?
んじゃ、土の精霊さ~ん! 水の精霊さ~ん! 俺の足場以外のこの辺の土を、液状化しちゃってください!
どろどろのぐちょぐちょにして、菌糸を引っこ抜きやすくしてちょー!
え? 菌糸ぐらい引っこ抜いてくれる?
大地を汚染するキモイ菌糸は、排除するって?
普段、昭和初期の土木工事会社の親方みたいな土の精霊さんが、めっちゃ怒ってる…鶴嘴やスコップ持った精霊さんが、何時の間にやら大集結。
え、全部掘り返すから、吸い取ってくれって? お任せください、親方!
もの凄い数の土の精霊さんの指示に従って、これまた大量の水の精霊さんが協力して、菌糸の欠片すら残さず掘り返していく様は、そりゃもう筆舌に尽くしがたい物がある。
土の精霊さんが固く締まった大地をサラサラの砂状にしたと思ったら、即座に水の精霊さんが菌糸を水で包んで拘束。
どんどん掘り起こされていくそのカズムの菌糸は、横方向だけでなく下へも向かっていた様で…あ、地下都市危ないって言ってたもんな…。
風の精霊さんもやって来て協力、カズムをどんどん地面から空へと持ち上げる。
カズム本体も、何かアワアワ慌ててる様に見えるけど、もう遅い!
広く深く頑丈に根を張っていた菌糸は、見事に地面から分離され、憐れ掘り起こされて宙に浮かぶカズムは、ラピ〇タのラストシーンの様にしか見えない。
精霊さん怒らしたら怖いな…。
決して上手く言ったわけではない! 上手いけど、意図したわけではないのだ!
萌やし農家さんへと、魔の菌糸を伸ばすカズム、許すまじ!
やっぱ、俺って上手いかも…
『いいから、さっさと行けーーー!』
怒られた…珍しくサラに怒られた…
『いや、マスター…真面目にやってください。地下都市の様な密閉空間に胞子撒かれたら、目もあてれませんよ?』
ナディアも正論で俺を追い詰める…
『だから、マジでさっさとしろって! あんた地下都市の人を見殺しにする気か!?』
分かってるよ…そんなでっかい声で念話するなっての。頭の中がガンガンするから。
んじゃ~カズムちゃん、いっきますよ~!
俺は全力で地を蹴った。
目の前に立ちふさがる冬虫夏草付ゾンビは、すれ違いざまに切って捨てる。
火の精霊さん、風の精霊さん、灰になるまで燃やしておいてね~。
何物にも俺の進撃は邪魔させない! ただ只管真っすぐに愚直にカズム本体へと前進!
徐々にその姿が明らかになるカズム…うん、キノコ怪人その物だな。
あと10mって所で、急ブレーキをかけて止まって観察してみたが、見た目チョロそうなんだが何やらヤバそうな香りが…
これって松茸の香りじゃねーか!
ヤバいってもんじゃねーぞ! あいつは高級食材か!?
だが、容赦はせん! 見た目は食える様に見えないからな…
地面からひょろっとした胴体(?)が伸びて、真っ赤な傘は正にベニテングダケその物だが、傘の部分には全周を見渡せるほど無数の目玉が付いている。
柄にくっ付いてるつばっていう部位は、まるで垂れ下がる触手。
口はどこにあるのか分からんが、キショい!
地面に広がる菌糸が微妙に脈打ってるのが、さらに輪を掛けてる感じだな。
よ~し、渾沌が大好きなカズム君…君には俺のとっておきをプレゼントしようではないか。
んっしょっと…リュックから取り出したるは、じゃじゃーーん! 対カズム決戦兵器『全部すいとーる君1号』だ!
すいとーる君と、好いトール君を掛けている訳では、断じて無い…ごめん、掛けてます。
『だから…何度も言ってますが…』
あ、ごめんなさい。すぐ始末しますから、怒んないでサラ…
この『全部すいとーる君1号』は、俺が敵と認識した物体を、魂のエネルギーも含め全部吸い取ってくれる優れもの。
小型だが圧倒的な吸引力と、その軽さで操作も楽々! しかもコードレスなので、どこでも使用可能!
塵や埃などの異物と魂のエネルギーと空気を、強力な遠心分離サイクロンによって分別できるうえ、吸引した空気を清浄化して排出する、人にも環境にも優しい仕様となっております!
つまりは、ハンディータイプの掃除機やね。
こいつをカズムに向けて、スイッチ・オン!
んで、ついでに…誰にしよっかな…アーデ、ちょっとこっちおいで~。
『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん!』
アーデ、どこでそんな言葉を覚えたのだ?
駄目だぞ~良い子はそんな言葉を使っちゃ。
『でも、たまにマスターが使ってますよね?』
うぐっ! 痛い所を突いてきたな…
ま~それはいいとして、俺のリュックに刺さってる『全部すいとーる君』の2号~4号を皆に配ってね。
『これですか? どうやって使うのでしょう?』
えっと…俺の手元見て…そうそう。ここの所を伸ばして、敵の灰に向かってここのスイッチを入れるだけ。
『えっと…こうですか?』
そうそう、良くできました。人には向けない様にね。
止める時は、スイッチを切るのを忘れずに。
あのゾンビを燃やしたら、全部吸い取っちゃって。
別に燃やす必要ないけど…燃やさないと、腐った肉とか血とかが、この透明の部分でグルグル回って、気持ち悪くなるから。
『了解しました!』
んじゃ、各チームに配って、使い方を教えてあげてね。
よし! これでミニ・カズムの処理も大丈夫だな。
さてと、本体をさっさと吸い込んじゃいましょうかねぇ~…
って、こいつ無茶苦茶抵抗しやがるな? すんごい引っ張られる!
もしかして地面に菌糸伸ばしてるから、それで踏ん張ってるのかな?
んじゃ、土の精霊さ~ん! 水の精霊さ~ん! 俺の足場以外のこの辺の土を、液状化しちゃってください!
どろどろのぐちょぐちょにして、菌糸を引っこ抜きやすくしてちょー!
え? 菌糸ぐらい引っこ抜いてくれる?
大地を汚染するキモイ菌糸は、排除するって?
普段、昭和初期の土木工事会社の親方みたいな土の精霊さんが、めっちゃ怒ってる…鶴嘴やスコップ持った精霊さんが、何時の間にやら大集結。
え、全部掘り返すから、吸い取ってくれって? お任せください、親方!
もの凄い数の土の精霊さんの指示に従って、これまた大量の水の精霊さんが協力して、菌糸の欠片すら残さず掘り返していく様は、そりゃもう筆舌に尽くしがたい物がある。
土の精霊さんが固く締まった大地をサラサラの砂状にしたと思ったら、即座に水の精霊さんが菌糸を水で包んで拘束。
どんどん掘り起こされていくそのカズムの菌糸は、横方向だけでなく下へも向かっていた様で…あ、地下都市危ないって言ってたもんな…。
風の精霊さんもやって来て協力、カズムをどんどん地面から空へと持ち上げる。
カズム本体も、何かアワアワ慌ててる様に見えるけど、もう遅い!
広く深く頑丈に根を張っていた菌糸は、見事に地面から分離され、憐れ掘り起こされて宙に浮かぶカズムは、ラピ〇タのラストシーンの様にしか見えない。
精霊さん怒らしたら怖いな…。
27
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる