システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

想定通りだな

　帰ってきました、アルテアン領！　父さんの屋敷に、戻って来ました。
　時刻はまだ朝食が終わったすぐ後ぐらい…だが、庭には良く見知った女性陣が待っていた…

「「「「「お帰りなさい、お義父様、お義母様、コルネリアちゃん、ナディア様」」」」」
　婚約者～ずが、めっちゃいい笑顔で出迎えてくれました。
　どう見ても何か企んでるというか、もう俺の勝手な王都行きと、王都での行動を追及する気満々だよな。
　俺には、はっきりとどす黒いオーラが立ち昇ってるのが見えるんだが、絶対に気のせいじゃない。
　だが、そんな心の内はおくびにも出さず、とってもにこやかに、
「「「「「お義母様、王都のお話をお聞かせください」」」」」
　母さんに近づいていったよ…うん、やっぱそう来たか、想定通りだな。
「あら、あなた達、トールちゃんじゃなくてもいいの？」
　…母さんは、婚約者～ずが何を聞きたいか分かってるんだろうなあ…ニヤニヤしてるしなあ。
　そんなやり取りをしつつ、母さんを先頭に屋敷に全員で入った。
　ふと思ったんだが、サ〇エさんのエンディングみたい…

　母さんがソファーに座ると、その周りを婚約者～ずが取り囲んで、キャイキャイと話しだした。
　ふふん！　今回の俺に死角はない。完全無欠に純白で綺麗な身体だ。
　とか言うと、じゃあ普段は黒いのかと言われそうなので、絶対に言わない。
　この姦しい時間が過ぎるのをじっと待つ。
　
　暫し待つと、母さんから俺の王都での行動を聞きだして納得した様だ。
　まあ、勝手に１人で行った事には、まだ納得できてない様だが、真面目に仕事をしに行っていた事が分かると、あまり追求しにくいのもあるんだろう。
　何たって、出発時の通信でもはっきりとそう断言したし、夕方には父さんの別邸にいたんだから、アリバイも完璧だ！

　ちなみにアリバイってのは、日本の法律用語でいうと正式には、現場不在証明。
　TVの刑事ドラマなんかで良く使われてるが、実際には警察はアリバイって言葉は、ほとんど使わない。
　何で使ってないかとういうと、アリバイってのは外国語だから。
　お前の○月△日のアリバイを証言してくれる奴はいるのか？　　って、昔見てた太陽にほえてる刑事さんが、ドラマで容疑者に言ったりしてたけど、法律用語じゃないから一般人に向けて言う言葉じゃない。　
　というか、警察内部でもほぼ使わないそうだ。
　正しく法律用語を使わないと、裁判の時などに色々と問題が起きるらしいです（詳細は割愛します）。
　警察官の友人が自慢げに言ってたのを、何故かふと思い出した。
　っと、これは余談だったな。

　ってな事で、王都での浮気疑惑？　愛人疑惑？　も何事も無く乗り越えました。
　特にする事も無いので、取りあえず難民達の生活する地下都市の視察に、全員で行く事にした。
　父さんもずっと気にしてたみたいだからな。
　そのうち王都からもスラムの人達が流れてくるはずだから、今の内に色々と手を入れておきたい。
　父さんもそう考えたからだろう、すぐに見に行く事に賛成した。
　ま、家を造って食い物を与えたから、それで終わりってわけにはいかない。
　受け入れたからには、きちんと面倒を見ないとね。
　当面は生活出来るだろうが、ちゃんとお仕事をして貰ってもらいます。
　自活出来るまでのサポートは、受け入れた側の責任として果たすけど。

　飛行船を使う距離でもないけど、全員が見に行きたがったので、面倒なので、飛びます、飛びます！
　今は亡き、坂上 ○郎さんの代表的なギャグだけど、誰もが一度は使ったよなあ…このフレーズ。
　どうでもいいけど、出発しま～す！

　ま、視察では特記すべき事も無かった。
　難民団と挨拶して、地下都市（本当は地下住居が正しいけど）も見てもらい、彼等の現状の把握をし、要望を一通り聞いて、視察は終わり。
　我が家にとってはごく普通の事だと思うんだが、難民キャンプに領主一家が勢ぞろいしてやって来た事に、難民の皆さんはいたく感激してた。
　これって、日本ではTVでよく見た、被災地のお見舞いに訪問する天皇陛下的な感じなんだろうか？
　それともあの腐れ男爵領での民の扱いが、そこまで酷かったという事なんだろうか…俺には良くわからん。
　わからんが、皆さんよろこんでくれてたし、我が家の面々も考える事や思う所が色々とあったようで、連れて来て良かったな。

　さ、今度こそ、父さん宅を経由して、我が家に帰りますかね。

「ところでトールちゃん、エステは何時開業するのかしら？」
「…早急に手配いたします、マム！」