システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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夜襲!

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 せっかくなので、今夜はスロスト一家にも、ホワイト・オルター号でお泊りして頂きましょう。
 母さんもマチルダさんも、なかなか会えない肉親との積もる話もあるだろうしね。
 ってな事で、ドワーフ謹製の米酒(日本酒だな)を出してあげると、父さんとスロストさんは飲み会に突入。
 女性陣にはお茶とお茶菓子をユズキに出してもらい、パジャマパーティーみたいな事になってるらしい。
 若干2名…従兄妹の少年少女が混ざってて、縋る様な目で俺を見ていたが、スルーしておいた。
 
 俺、婚約者~ず、ユズ&ユズ、イネスさん、ナディアに天鬼族3人娘と、おまけのサラは、順に風呂に入ってだべっていたんだが、適当な時間に切り上げて、各々の部屋で就寝するって言うので、俺もさっさと風呂に入って寝ちゃいます。
 …決して俺の部屋に、婚約者~ずを連れ込んだりはしてないぞ…サラも侵入させてない。今日は色々と疲れたから、ゆっくり眠りたいだけだ。
 そう言えば、今日は12月24日…地球だとクリスマス・イブだよなあ…
 まあ、この世界にはキリスト様も居ないんだから、クリスマスも無いしサンタも居ないけどね。
 さて、明日も早い事だし、おやすみ~。

 ベットで目を閉じてから、どれぐらい経った?
 入り口をバンバンと叩く音に、ビクッ! となって目が覚めた。
 誰だよ…こんな夜中に…ふぁ~ねびい…
 扉を開けると、女子会に参加していた面々のほんのり赤いお顔。
 ん? みんな、どうしたん?
 そのまま有無を言わさず、婚約者~ず、マチルダさん、イネスさんが、なぜか大挙して俺の部屋になだれ込んできた。 なんだなんだ!?

 どうやら大人組と最終的には合流して酒宴になった様で、そこに引きずり込まれた彼女らも呑まされたらしい…みんな酒臭いよ…
「とーるしゃま~! ちゅーしましょ~!ちゅー!」
「めりりゅ~ずるいでしゅ! みるしぇもまらなんれしゅかりゃ、みるしぇもちゅーしましゅ~!」
「…ふちゃりちょも、とーるちゃまがこまってまちゅ…ここはみれーらがかわりにしてあげましゅ」
 婚約者~ず…べろんべろんだな…ってか、ちゅーってなんだよ、ちゅーって!
「聞いてくださいトール様! 父さんがもういい年なんだからさっさと結婚しろというんですよ! 私もトール様がもらってくださいよー! 4番目でいいですから!」
 マチルダさんは絡み酒?
「はしたないぞマチルダ! 毎日共に剣技を磨く私が4番目ですよね!」
 いや、剣の修練がどう繋がってるんだよ、イネスさん…
「ちゅーしましょーよーちゅー!ん~~!」
「みるしゃもみるしぇも~!ん~~!」
「…でしゅかりゃみれーらぎゃ…ん~~!」
「トール様聞いてくださいよー!」
「4番目の妻は剣を交えた私こそが…」
 
 くそ! この酔っぱらい共めが! 酒は飲んでも飲まれるなだ!
 飲んだら乗るな! 乗るなら飲むな! は、違うか。

 ぐ…しかしこれでは眠れん…この部屋は明け渡して逃げるべき…げげ!
 逃げ遅れた! 全員で抑え込みだと! 全員でとは卑怯なり!
 は、放せ! な、放せ! 話せばわかる! あ、俺上手いこと言った…
 なんてやってる場合じゃない! はーなーせー!
 やばい…力づくで振り払うと、酔ったみんなの今の状態だと、ケガをさせてしまう恐れがある! どうすればいいんだ!?

 んぐっ! メリル酒くさ…んーーーーー!! やめろ! ぷはぁ!
 おま! トール君のファーストキスは、酒の味ってか!?
 ちょ、ミルシェまで…んーーーーー! ちょ…待て! ぷはぁ!
 セカンド・キスまで酒くさいのかよ! そんな事より逃げよう! いや逃げねば!
 しがみ付いてるのは、ミレーラか…んちゅーーーー! 待てというに! ぷはぁ!
 お前ら酒臭すぎだぞ! あの大人しいミレーラまでか!
 こらイネスさん掴むな! 痛い痛い! なんちゅー力だ! 上着脱がすなー!
 マチルダさん、ズボン降ろさないでー! やーめーてー!
 あ、誰だ顔掴んで目隠し…んーーーーー!! むちゅーーーーーー!! 
 ぶはっ! やめれ! んぐ…んちゅんちゅくちゅくちゅ…ぶはっ!
 ねっとり舌入れたの誰だー! うっわー無茶苦茶だー!
 誰かたすけてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 ▲

 この夜、俺は自身の貞操を守る為に戦った。主に自制心と理性とR15の為に。
 それは本当に永く辛い戦いだった…
『ヘタレですね~! 据え膳パクッと食っちゃえばいいのに』
 ヘタレで結構でーすー! 初めてはもっと、こう…雰囲気とかムードとかシチュエーションとかを大事にしたいんですー!
『まあこの世界では童貞ですけど、前世では月に1回は風…「あーあーあー! きーこーえーまーせーん!」俗に…』
 別にピュアでもいいだろー! 只今、絶賛人生をやり直し中なんだから!
 そういうのは、大事にしたいんだよ!
『まあ、それは別にいいですけど…婚約者だけでなく、マチルダとイネスともキスしちゃいましたよね?』
 事故じゃん! どう考えたって、俺が襲われた方だし! 被害者は俺だよね!?
『でもこの世界って、そういう事には煩いですよ? そもそもあの2人は、そんなに酒には酔ってません。雰囲気には酔ってたかもしれませんけど』
 え? それってつまりは、ほぼシラフだったと? しかも記憶があると?
『ええ、確実に。おめでとうございます。第五夫人まで確定ですね』
 ぐっ…でも事故だ! そう、俺は逃げる事が出来なかったのだ! だから事故なのだ! ノーカンなのだ!
『変身すれば良かったでしょうに。そうすれば唇も守れたはずですが?』
 う゛ぁ…変身か…忘れてた…
『ご愁傷様です。まあ、私もこっそり混ざって、大河さんの口中を思うがまま蹂躙させていただきました。ごちそうさまでした』
 めちゃくちゃねっとりとした、プロ並みの舌遣いはお前かー!
『私は愛人で日陰者ですが、テクニシャンですから! エロエロと満足させますよ。どうぞご安心しください』
 どこに安心できる要素があるんだよ! 15年守って来た貞操が…
 シクシクシクシク…
『たかがディープなキスぐらいで大げさです』
 シクシクシクシク…
『では、さらば!』
 シクシクシクシク… 

 ▲

 俺の部屋は死屍累々…朝から二日酔いに苦しむ少女達で荒れていた。
 ちゃっかりサラは姿を消したみたいだが…ついでにこいつらも、連れて行ってくれたら良かったのに。
 マチルダさん、イネスさん。2人共起きてるだろ? 
 さっきから薄目あけて見てるの知ってるからな?
 ん? 何をマチルダさん、何を口をパクパク…《き・せ・い・じ・じ・つ》げっ!
 イネスさんは…《せ・き・に・ん・よ・ろ》だと? 
 お前らが襲って来たんだろうが! おれは被害者だぞ!
 あ、婚約者~ずも起きた。顔真っ赤だけど大丈夫か、お水飲む? 
「トール様…まさかあんなに激しく私を求められるなんて…まだ結婚前ですのに…」
「いやいやいやいや、ちょっと待とうかメリルよ、いやみんな! 昨夜、酒を呑んでべろんべろんに酔っぱらって俺の部屋に突激してきたのは誰だ? 皆だろ!? 俺は必死に逃げたんだぞ? みんなで俺を抑えつけて…その…き、キスして来たんだぞ? むしろ俺が被害者じゃね? 逆に俺に襲われなかった事に、全員に感謝して欲しいぐらいなんだが!」
 え、なんでみんなキョトンとしてるの? え? え?
「「「「「何で襲わなかったんですか? ヘタレ?」」」」」
「…もしやお前ら全員の、計画的犯行か?」
「「「「「………………」」」」」
「…まさかお前ら全員が、共謀したとか?」
「「「「「………………」」」」」
 こいつら…

『フフフ……大河さん、聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい』
 何、不幸だと!?
『そう、不幸だ!』
 さ、サラ……お前は……
『大河さんはいい玩具であったが、大河さんの理性がいけないのだよ…フフフ、ハッハッハッハ!』
 サラ…謀ったなサラ!
『大河さん、私の手向けだ。姉上と仲良く暮らすがいい』
 姉なんていねーよ!
『最高のクリスマス・イブのプレゼントでしょ?』
 どこがだよ! 最低だよ! 不幸ーだー!
『…他人の不幸は蜜の味!』
 どんな締め方なんだよ…

 
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