システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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先代国王様の街

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 さくっと国王陛下に謁見して、通信機をお披露目と献上をいたしました。
 え?  あっさりしすぎだって? だって別段面白い事も無かったし。
 面倒くさい爺さん達相手に、貴族特有のこれまた面倒くさいやり取りなんて、聞いてもつまんないでしょ?
 まあ、王国から通信機の大量発注は頂きました。どうも有難うございます。
 
 ってな事で、さっさと王都をお暇して、まずはマチルダさんの実家に向かいます。
 マチルダさんは、俺の母さんの姉さんの娘…って事なので従姉です。
 俺もこの世界に転生してもう15年になるんだが、未だに親戚はマチルダさんしか見た事が無い。
 俺の爺さん婆さんとかどうなってるんだろう? 両親が親戚関係に関して一切口にしないので、なんとなく流してたけど…
 まあ、取りあえずは母さんの姉さん…伯母さんに会うとしましょう。
 伯母さんは商家に嫁いでいるという事だが、嫁いだ商家はアルテアン領からは王都を挟んだ王国の反対側。
 はっきり言えば、王国の領土の端から端まで行かなきゃならない。
 隣国である真アーテリオス神聖国の方が近いぐらいだ。
 よくこんな所から俺の領地まで来てくれたよなあ…マチルダさんには感謝しなきゃ。
 さすがは輸送機だけの補給部隊を率いてきた人だけのことはある…この世界に黒〇三連星が居なくて本当によかったよ。

 さてさてそんなマチルダさんの実家のある街は、俺が全く知らない隣国と接していて貿易で栄える商業の街…らしい。
 そもそも周辺の国の情報はほとんど無いので、実はあんまり良く知らないんだ。
 この世界にはTVもネットもないんだから、まあ仕方がないんだけど。
 毎日の生活に必死だから、この世界の人は他国の動向がどうだのって考える余裕が無いんだよ。正社員だとか終身雇用とかもちろんない世界で、日雇いに近い雇用条件なんだから仕方が無い事かもしれない。
 他国の動向が気になるのは、せいぜい国のお偉いさんぐらいで、それも戦争になるかどうかぐらいしか気にしてないっぽい。
 大体、手紙だって届いたり届かなかったりする世界だから、情報が広がらないのも頷ける。一般庶民が知る情報って言えば、お国が発布したものぐらい。
 本当に地球ってすごかったよなあ…地球の裏側の情報だって、すぐに手に入ったんだから。俺の作った通信機で、この世界も少しは変わるかな?

 そんな辺鄙(失礼)な場所にある街だが、貿易で栄えていて人口も数万人とも言われている。
 この街を含む周辺領土は、代々先代国王様が治めているらしい。つまりは実質的に王家の直轄地だね。
 どう考えても我が家よりも爵位がずっと高いので、訪問するならご挨拶をしなければ大問題。
 街の入り口からそう遠くない場所へとホワイト・オルター号を着陸させ、格納庫から蒸気自動車を降ろして、俺と父さんでご挨拶に領主邸へとお伺いする事にした。
 我が家の面々には、一旦ホワイト・オルター号で待っててもらいます。
 何があるか分からないしね。問題なければ通信機で街に入ってもらいましょう。

 蒸気自動車で街へと入る門へと向かうと、門を守っている衛士さん達が走って来た。
 我が家の特別製蒸気自動車なので、家紋もしっかり入ってるので、きちんとした対応をしてくれる…はず。
「そこの馬無しの馬車、止まってください。あの空飛ぶ船から来られた方とお見受けしますが、もしやネス様の御使徒様であらせらるアルテアン子爵様でしょうか?」
 あ、着陸は見られてたんだ…そりゃそうか。
「はい。私がトールヴァルド・デ・アルテアンです。こちらは父であるヴァルナル・デ・アルテアン伯爵です。この地に所用があり立ち寄りましたが、まずは領主様へご挨拶をと思い参った次第でございます」
 普通は先触れで使用人や護衛が走るんだけど、直接来ちゃったよ…ごめんね。
「さ、然様でございますか。すぐに領主邸へと先触れを走らせますので、暫しお待ちいただきたいのですが…」
 父さんをチラッと見ると、黙って頷いたので、
「お手間をかけますがよろしくお願いします。我々はここで待てばよろしいか? 空飛ぶ船にはまだ家族や使用人が乗っているのですが、街に入る事は可能でしょうか?」
「すぐに控えの部屋をご用意いたします。お連れの方も入って頂いて構いません。部屋をご用意させて頂きますが、迎えの馬車は必要でしょうか?」
 この衛士さん、なかなか出来る男だな…
「では、馬車を用意していただけますか? 家族には空飛ぶ船から降りて待つように伝えますので。第四王女であるメリル様やネス様の眷属の方々も居られますので、くれぐれも粗相の無いように。総勢20名近くおりますので」
 婚約者とはいえ、メリルは王女様だし、ナディアや天鬼族3人娘も居る事だし、こう言っておけば、まあ変な事はしないだろう。
 衛士さんは短く「はっ!」と返事をして、部下(かな?)に次々と指示を出していた。ちょっと顔が青いけど、大丈夫? 走り回ってる衛士さんも顔が引きつってますけど?

 とりま、みんなに連絡しますかね。
『みんな、お迎えの馬車が行くんで、ホワイト・オルター号の前で待っててね~』
 通信機って、マジ便利。
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