システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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進化…かな?

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 さてさて、ぐっすりと眠った翌日は、とても良い天気でした。
 本日は、ちょびっとホワイト・オルター号の速度を上げちゃいます。
 最大巡航速度は80km/h前後なのだが、限界飛行速度はまだまだ高いはず。
 だって、まだ精霊さん達の総力を挙げた、文字通りの後押しをしてないからね。
 
 いや~最近、忙しさにかまけて、精霊さんとは全然遊んでなかったんで、近頃は構ってくれとやたらと寄ってくる。
 このホワイト・オルター号の船首部分に格納してある太陽神・月神のフィギュアにも纏わりついてて、もしも精霊さんを見る事が出来る人がいたら、びっくりして腰抜かすレベルで大集合。
 精霊さん達が本気を出したら、きっともの凄い速度で空を駆け抜ける事が出来るだろうけど…恐ろしいのでやらない。
 まあ、離着陸や方向転換、船内の温度調整や、生活用水の製造、きちゃない話だが生ゴミや汚物の分解・焼却などを、今はこっそりとしてくれている。
 精霊さんって、マジで有能で万能だよな…出来ない事ってあるのかな?
 エネルギーは、俺が1人の時にこっそりと吸いに来てってお願いしているので、寝て居る時に来る事が多いんだけど、昨夜も来てたみたいだな…精霊さんがめっちゃイキイキしてる。
 目の前を風の精霊さんと水の精霊さんが敬礼! ってしながらふよふよ漂ってるし…ん?
 ねえ精霊さん…そのジ〇ン公国の第二種戦闘服みたいなのは、どうしたの?
 お揃いのを作った!? 火の精霊さんは赤いから3倍早く動けるって? 
 土の精霊さんは、黒い制服で3人セットで黒い三〇星と呼ばれてるって!? 
 すげえな! え、冗談? 忙しいからもう良いかって? ハイ、ごめんなさい…
 マジか! 精霊さん、ネタまで使ってジョークを言うなんて、すげえ進化だな! 
 ちゅーか、その制服のデザインは、また俺の記憶から引っ張ってきたのか? しかも何故にジオ〇公国の制服? 
 駄目だ…精霊さん達のセンスは、俺には理解できない…

 王家がコクピットを見に来て、ガラス張りの足元から地上を見たり、操縦席に座ったり(もちろん操縦は出来ません)しながらの空の旅は、父さんの屋敷上空に到着した途端、別の驚きに変わった。
 そう、あの生命の樹という、ネスのご神木を目にしたからだ。
 地上から見上げても、かなりの高さである事は一目瞭然なのだが、空から見てもやはりでかい。
 少なくともホワイト・オルター号は、高度200m以上を維持して飛行しているのだが、目の前に木の天辺がある。
 また、でかくなってる様な気がするんだが…まあ、樹だけに気のせいか。
『さむ!』
 サラ、うるせーよ!

 上空から見た生命の樹は、広げた枝で父さんの屋敷が隠れて見えなくなっている。
 日照権を考慮するのを忘れてたなあ…父さんの屋敷を移築しなきゃだめかな。
 なので、こっそり両親を呼び寄せて、小声で聞いてみた。
「父さん、母さん。日当たり悪くなって住み心地悪いなら、家を移築しようか? 費用は俺が出すから…」
 最悪、土の精霊さんにお願いしたら、家の土台ごと引っ越ししてくれそうだけど。
「いやいや、トールヴァルド…ここだけの話、生命の樹の近くに居ると、身体が軽くなる気がするんだよ。頭もさえるし、最近コリ気味だった肩も、なぜかすっきり軽い。だから、そのままにしてて欲しい」
「そうなのよ、トールちゃん。もう母さん、お肌がつやつやすべすべになって若返ったみたいなのよ! だから引っ越しなんて、絶対にだめ!」
 何、その変な効果は…生命の樹は、怪しい通販番組の健康器具じゃないんだけど。
 まあ、父さんが良いっていうなら、ほっとくけどさ。
 母さんの言葉を耳ざとく聞きつけた婚約者~ずは、母さんと車座になってコショコショと何やら話を始めたけど、美容器具でもスキンケア用品でもないからね?

 取りあえず、父さんの屋敷の近くに着陸するよ~。
 シートもシートベルトも無いから、こんな時のアナウンスって、どうすんだろう?

「アテンションプリーズ! 皆様、まもなくアルテアン伯爵邸に到着いたします。これから着陸までのしばらくの間、揺れることが予想されます。皆様、転倒などにご注意ください」
 これでいっか。
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