132 / 1,466
番外編:どや!
しおりを挟む
侯爵様の使用人選抜試験!それは実に倍率20倍だという。
今、僕たちは試験会場である家事使用人ギルドのホールの机に座って、開始の合図を待っていた。
なんだか他人事の様だけど、あんまり緊張していない。柚夏も緊張してないみたい。
この国には、この世界に転移して来た時に、柚夏が言った様にギルドがあった。
僕が、柚夏に付き合って読んだラノベのギルドとはちょっと違って、なんていうか…互助会っぽい感じだった?
リーズさんとノットさんに連れて来てもらった家事使用人ギルドでは、侯爵様の使用人選抜試験への申し込みと、過去問題を貰えた。まさか、異世界に来て受験勉強をするとは思わなかった。
過去問をもらった僕たちは、思わず目を見合わせた。
計算って、小学校1年生レベル。ちょっと難しい問題でも、せいぜい小学生レベルの域を出ない。
超難問がどうも鶴亀算っぽい。解き方が書かれてるけど、連立方程式を知ってる僕たちだと、あっという間に解けちゃうよ?
50問で100点満点。合格ラインは、50点って、低すぎだろ! 制限時間60分もあるんだよ?
30問は2桁までの足し算引き算なんだよ? 乗除算も無いのに、なんでそんなに低い点数なんだろ?
2人共、過去問は100点でした。
「どや! どや! どやー!」
顔と態度だけじゃなく、声でまでドヤってる柚夏には悪いけど、一応高校…は入学前だから、僕たち中学卒だからね?
礼儀作法も、一通り目を通したら全部覚えた。だって、あまりにも簡単なんだもん。
ノックの回数なんて知らなかったけど、正しい入室は3回以上って言われたらその通りにしたらいいだけじゃん。
しかし、2回はトイレで「入ってますか?」って時か、夫婦とか仲のよい人にだけって、本当に初めて知ったよ。
試験までの1週間で、ほぼどんな問題でも解ける様になったけど、面接だけは行き当たりばったり。
元々、侯爵様っていう国のトップレベルに偉い人のお屋敷の使用人選抜試験。
当たって砕けろだな。いや、砕けたくはないけど。
そして、試験が開始された。
もうね、結論を言います。2人共、筆記試験は余裕でした。
柚夏ですら、同じ感想。
結果は、即日発表。全科目満点は、僕と柚夏だけでした。
というか、第三位の平均点は60点。その他は、ずらっと50点以下。
合格者は、面接に進めるらしいので、このまま面接会場へ。
こっちも結果だけ言いましょう、合格でした。
だって面接内容が、
「試験の成績は素晴らしい! 是非とも侯爵家に来てください! 研修がありますが、いつから来れますか? 住み込みですが、大丈夫ですか? あ、後で服のサイズを測りますので残ってくださいね。では、本日はお疲れさまでした」
すでに採用前提の説明だけでした。
柚夏も僕とほぼ同じ内容の面接だったけど、一つだけ違うのは、
「ご主人様にボディータッチをされたからと言って、怒ったり騒いだりしてはいけません。不愉快であれば、執事長である私に報告してください。それとなくご主人様に伝える様にいたします。大丈夫ですか?」
うん、セクハラもあるみたいだね。この辺だけは、思い描いた異世界貴族だ。
柚夏も、苦情を言う先が有るのなら…と、渋々だったみたいだけど、了承したようだった。
実は後で知ったんだけど、新しい侯爵様って事しか知らなかったけど、この侯爵様って、実はとんでもない人だった。いや、一家揃ってとんでも無かった!
大戦の英雄にして、騎士から実力でのしあがり、侯爵昇爵が内定している現アルテアン伯爵。
その嫡子は、11歳で聖なる女神の使徒として隣国との戦に参戦し、たった一人で死者ゼロで戦を収めた英雄。
しかも王国史上最年少で独立した貴族家を立ち上げ、伯爵昇爵が内定している、現アルテアン子爵。
さらには、子爵様には、第四王女様に、隣国の姫巫女、幼い時から彼を支えてきた平民の美少女、という3人の婚約者。
この英雄一家を支える美しい女傑、伯爵夫人。
さらに妹は、聖なる女神ネス様に巫女に指名されたらしい。
いや、そんな凄い一家の使用人が、柚夏でいいのか? 本当に出来るの? 間違いなく何か粗相したら物理的に首が飛ぶよ? 日本であんなにグータラだった柚夏に勤まる? 何だったら僕が1人で仕えるから。大丈夫、ちゃんと柚夏は養うから!
「養う…永久就職…」
まあそれは、いずれね。
いや、それよりも就職だよ! 侯爵家の使用人! え? 任せろ、ばっちこい?
すごく不安…。
そして、僕たちが研修を終え、現伯爵家の皆さんのお屋敷内覧会で、初顔合わせをする事になった。
ここで運命的な出会いをするなんて、本当に夢にも思わなかったよ。
え? 柚夏とは運命じゃないのかって? 私は運命だと思ってるのにって? う~~~ん…ノーコメントで。
うるさい! ヘタレって言うな!
今、僕たちは試験会場である家事使用人ギルドのホールの机に座って、開始の合図を待っていた。
なんだか他人事の様だけど、あんまり緊張していない。柚夏も緊張してないみたい。
この国には、この世界に転移して来た時に、柚夏が言った様にギルドがあった。
僕が、柚夏に付き合って読んだラノベのギルドとはちょっと違って、なんていうか…互助会っぽい感じだった?
リーズさんとノットさんに連れて来てもらった家事使用人ギルドでは、侯爵様の使用人選抜試験への申し込みと、過去問題を貰えた。まさか、異世界に来て受験勉強をするとは思わなかった。
過去問をもらった僕たちは、思わず目を見合わせた。
計算って、小学校1年生レベル。ちょっと難しい問題でも、せいぜい小学生レベルの域を出ない。
超難問がどうも鶴亀算っぽい。解き方が書かれてるけど、連立方程式を知ってる僕たちだと、あっという間に解けちゃうよ?
50問で100点満点。合格ラインは、50点って、低すぎだろ! 制限時間60分もあるんだよ?
30問は2桁までの足し算引き算なんだよ? 乗除算も無いのに、なんでそんなに低い点数なんだろ?
2人共、過去問は100点でした。
「どや! どや! どやー!」
顔と態度だけじゃなく、声でまでドヤってる柚夏には悪いけど、一応高校…は入学前だから、僕たち中学卒だからね?
礼儀作法も、一通り目を通したら全部覚えた。だって、あまりにも簡単なんだもん。
ノックの回数なんて知らなかったけど、正しい入室は3回以上って言われたらその通りにしたらいいだけじゃん。
しかし、2回はトイレで「入ってますか?」って時か、夫婦とか仲のよい人にだけって、本当に初めて知ったよ。
試験までの1週間で、ほぼどんな問題でも解ける様になったけど、面接だけは行き当たりばったり。
元々、侯爵様っていう国のトップレベルに偉い人のお屋敷の使用人選抜試験。
当たって砕けろだな。いや、砕けたくはないけど。
そして、試験が開始された。
もうね、結論を言います。2人共、筆記試験は余裕でした。
柚夏ですら、同じ感想。
結果は、即日発表。全科目満点は、僕と柚夏だけでした。
というか、第三位の平均点は60点。その他は、ずらっと50点以下。
合格者は、面接に進めるらしいので、このまま面接会場へ。
こっちも結果だけ言いましょう、合格でした。
だって面接内容が、
「試験の成績は素晴らしい! 是非とも侯爵家に来てください! 研修がありますが、いつから来れますか? 住み込みですが、大丈夫ですか? あ、後で服のサイズを測りますので残ってくださいね。では、本日はお疲れさまでした」
すでに採用前提の説明だけでした。
柚夏も僕とほぼ同じ内容の面接だったけど、一つだけ違うのは、
「ご主人様にボディータッチをされたからと言って、怒ったり騒いだりしてはいけません。不愉快であれば、執事長である私に報告してください。それとなくご主人様に伝える様にいたします。大丈夫ですか?」
うん、セクハラもあるみたいだね。この辺だけは、思い描いた異世界貴族だ。
柚夏も、苦情を言う先が有るのなら…と、渋々だったみたいだけど、了承したようだった。
実は後で知ったんだけど、新しい侯爵様って事しか知らなかったけど、この侯爵様って、実はとんでもない人だった。いや、一家揃ってとんでも無かった!
大戦の英雄にして、騎士から実力でのしあがり、侯爵昇爵が内定している現アルテアン伯爵。
その嫡子は、11歳で聖なる女神の使徒として隣国との戦に参戦し、たった一人で死者ゼロで戦を収めた英雄。
しかも王国史上最年少で独立した貴族家を立ち上げ、伯爵昇爵が内定している、現アルテアン子爵。
さらには、子爵様には、第四王女様に、隣国の姫巫女、幼い時から彼を支えてきた平民の美少女、という3人の婚約者。
この英雄一家を支える美しい女傑、伯爵夫人。
さらに妹は、聖なる女神ネス様に巫女に指名されたらしい。
いや、そんな凄い一家の使用人が、柚夏でいいのか? 本当に出来るの? 間違いなく何か粗相したら物理的に首が飛ぶよ? 日本であんなにグータラだった柚夏に勤まる? 何だったら僕が1人で仕えるから。大丈夫、ちゃんと柚夏は養うから!
「養う…永久就職…」
まあそれは、いずれね。
いや、それよりも就職だよ! 侯爵家の使用人! え? 任せろ、ばっちこい?
すごく不安…。
そして、僕たちが研修を終え、現伯爵家の皆さんのお屋敷内覧会で、初顔合わせをする事になった。
ここで運命的な出会いをするなんて、本当に夢にも思わなかったよ。
え? 柚夏とは運命じゃないのかって? 私は運命だと思ってるのにって? う~~~ん…ノーコメントで。
うるさい! ヘタレって言うな!
26
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる