システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
123 / 1,466

ココっすか!?

しおりを挟む
 今回の上京の目的は、蒸気自動車の耐久テストを兼ねたメリルの里帰りと、父さんが昇爵した時に備えて王都での邸宅の物色しながら、ぶらぶら王都観光のつもりだった。
 だったんだけど、王様が軍務大臣補佐(予定)を強引に決めちゃって、父さんが頷いたもんだから、確実に邸宅は決めなきゃいけなくなった。
 元々は俺たちで下見して決めるつもりだったんだよ。身の丈に合った、こじんまりとしてて使いやすい家を。
 そう、‟家”を探しに来たんだよ。邸宅や屋敷って言っても、住むのは両親と使用人ぐらいなんだから、実家よりもちょい小さめで良いかなって思ってたんだよ。 

「メリルの義父になるんじゃから、それなりの屋敷は必要じゃの。仮にもお主の孫は王家の血を引く者となるのじゃぞ? どれ、わしが屋敷を用意してやろう。いやいや気にする事は無い! 使用人も一緒に用意しておくから、お主は着換えだけ持ってくればよい。ちょうど先々代様が隠居に使っておった屋敷が空いておるから、そこを使えば良い。いや~あそこは美しい庭園もある事だし、良い屋敷じゃ。くれてやるから、好きに使え!」
 でも、何故か王様が屋敷をくれる話になっちゃった。

 ってことで、本日はその屋敷を見に来たんだが……マジでコレなん? 大きすぎじゃね? いや、間違ってるっしょ! え、ココであってるの?
 屋敷を管理している案内の役人さんの先導で、馬車で連れて来てもらったけど、目の前にあるのは紛う事なきお城。
 マジでマジで、ココっすか? あ、絶対に間違いないんすか…そうっすか…。

 ここは王城から馬車で15分ほどにある、閑静な貴族街の中心地。
 綺麗に整備された水路がいくつも流れ、道は見事な石畳で覆われているが、決して冷たい印象では無い。
 美しく枝葉を整えられた街路樹と水路によって、不思議とこの街並みにも関わらず、暖かい印象を受ける。
 人の背丈よりも幾分高い無機質な石創りの塀が延々と続くだけの道なのに、塀の上からも覗く樹々の緑も、柔らかく暖かい印象に一役買っているんだと思う。
 道幅も馬車が余裕を持ってすれ違えるほどに広く、常にゴミや馬糞などの清掃係が巡回している、めっちゃ美しい街だ。
 王都ってこんな綺麗な場所もあるんだねえ。

 父さんと度々上京した時には、普通に市民が利用する宿屋に泊まってたから、こんな街があるって知らなかったよ。
 ちょうど俺達が利用してた宿屋とは、お城に対して真逆の位置なんだな。
 王城へ入る門は東西南北にあるけど、東と北の門は貴族専用なんだって。この貴族街へ一番近い門だからなんだろうな。
 いっつも南の門しか使ってなかったけど、東と南は一般市民や商人・職人の街がある方向なんだとか。
 父さん知ってたらしいけど、何でか質素な生活が慣習化してる我が家。
 お高い貴族専用の宿は使いたくなかったらしい……そう言えば、父さん元々は城勤めの平騎士だったもんな。

 まあ、今までの事はいいや。んで目の前の上品で優雅な装飾が施された鋳物の門扉から見える庭園はよく手入れされており、美しい花々が咲き乱れる花壇の先には、石造りの重厚な建物が鎮座していた。
 左右対称で簡素にして武骨にも見える5階建てではあるが、それが庭園の花々と相まって絶妙な美的効果を生んでいる。
 リズミカルに配置された円柱状の尖塔も、良いアクセントとなって……って、これウィンザー城じゃね!?
 イギリスのエリザベス2世女王陛下の大のお気に入りの、あのウィンザー城!
 あ、厳密にはあそこまで大きくは無いけど、それでも巨大な建物だよ! 敷地には聖ジョージ礼拝堂が無いし、あんなに広大な敷地面積も、頑丈そうな城壁も、使用人のアパートメントも無いけど、確かにこの建築様式は、あの名城と名高いウィンザー城にそっくり! ってか、その物じゃん!

 いや~1度は行ってみたかったなあ~! あの有名なおもちゃの兵隊さんのモデルにもなった、赤い上着に熊の毛皮のもこもこ帽子で、ザッザって綺麗にならんで歩いてやる衛兵交代式は生で見たかった!
 何回も動画で見たもんだよ、本当に……って、マジでココっすか!?

 親父、どうすんだよ! でかすぎんだろ! 母さんも何か言ってやれよ! あ…二人とも気を失ってる……
 ミルシェとミレーラは、ともにキャッキャと嬉しそう。
 コルネちゃん…お口は閉じようね。涎が垂れちゃうから。
 え? メリルは来た事あるの? そりゃそうか、先々代の王様の終の棲家なんだもんね。知っててもおかしくはないか。
 本当にもらっていいんだろうか? はあ、陛下がやるっていったんだから、いいんじゃないかって? そらそうですけど。
 そんで中はどんな感じ? 詳しくは知らないけど、部屋数は100ぐらい? ホールが大・中・小とあって、食堂が4つ? その他に…地下にも何かあるの!? もういいです……お腹いっぱいです。
 俺も気絶していいかな……
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...