119 / 1,466
どよめく謁見の間
しおりを挟む
やって来ました、我がグーダイド王国首都! 予定通りに6日目の夕方に到着。
蒸気自動車の各部をドワーフの職人さんと点検したが、特に問題は発見されなかった。
道中で木製の車輪が破損した程度で、蒸気機関も車軸もその他のパーツも破損無し。
う~む……領地の森に生えているローズウッドに似た非常に硬い木を使用しているのだが、車輪はこれでもダメか。
要改善項目としてチェックしておこう。早めにそれが分かっただけでも、この耐久テストに意味は有ったな。
さて、王都に蒸気自動車で乗り込むと、やはりというか注目の的だった。
荷台に張った幌に描かれた紋章で、この車の持ち主がトールヴァルド・アルテアン子爵であることは明白なので、特にちょっかいをかけてくる者はいないのだが、好奇の目を向ける事を止める事は出来ない。
そんな衆目の中、美少女の婚約者~ず&コルネちゃんを晒す訳にもいかないので、座席で大人しくしていてもらう。
この旅の最終目的地である王城に着くまではね。
旅程の途中にサポート要員として配置していた馬車10台を引き連れて、街中をゆっくりと王城へと進んだ。
王城の城門では、見た事も無い馬が曳かない馬車(?)を見て驚き、紋章を見てさらに驚き、止めに第四王女メリルと、子爵であり聖なるネス様の使徒である俺と、ヴァルナル・デ・アルテアン伯爵夫妻が馬車から降りて来たのだ、そりゃ大騒ぎにもなる。
普通は国王への謁見などは先触れを出して許可を求め日取りを決めて……と複雑で面倒な手順を踏まなければならないのだが、流石に第四王女メリルが居たからか、すぐに許可が下りて謁見の間に通された。
「皆の者、面を上げよ」
国王様のお言葉で、ちょこっとだけ頭を上げる。まだ全部はあげちゃいけません。
「良い、面を上げよ」
二度目のお言葉で頭を上げます。これがこの世界の常識らしいです…面倒くさ。
ここには、俺、両親、コルネちゃん、婚約者~ず、ナディア、天鬼族3人娘が控えてます。
ドワーフ職人さんは、蒸気自動車の整備と見張り番。実は妖精さんがこっそり護衛のために1人ついてます。
謁見の間には何人かの王国の重役さん(?)がいるけど、誰だかよくしりましぇん。まあ、滅多に会わないから気にしなくてもいいか……おっと! ゴリラの近衛さんは国王様の近くに居たね。お久しぶりだね~!
「久しいな、ヴァルナル伯、トールヴァルド卿。して本日は何やら面白い物に乗って来たとか?」
ここは俺より上位の貴族の、父さんが先にご挨拶。
「は、陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう。此度は我が子、トールヴァルド子爵が開発した蒸気自動車の報告と耐久試験を兼ねて、王都に参りました。未だ完成には至っておりませぬが、近いうちに量産化した物を献上できるかと思います」
父さん、上手いぞ! 今、献上しちゃったら帰りは馬車だもんな。完成したら一台ぐらいあげるのは無問題!
「ほう、卿の領地から王都まで試験の為に来たと申すか。して、結果はどうだったのじゃ? トールヴァルド卿」
およよ、俺にふってきたか。
「ご無沙汰しております陛下。ご機嫌麗しゅう。試験は上々です。問題も何か所か洗いだせましたので、完成は間近かと」
まあ、嘘はいって無いよ?
「では、後程見せてもらっても良いかの?」
「はい、是非ご覧ください。きっと満足していただけるかと存じます」
これで俺も自動車開発の祖として歴史に残るかな~。ちょっと嬉しいかも。
「卿にもうひとつ聞きたいのだが……その、翼のある3人の娘と少女は?」
まあ目立つよね……
「はい、陛下。彼女は、ネス様の眷属でナディアと申します……ナディア、羽を見せてあげて……そしてこちらの3人は、同じくネス様の眷属でアーフェン、アーデ、アームと申します……みんな、立って礼を」
ナディアが優雅に立ち上がって美しい羽を顕現させて礼をすると、居合わせた人々から「おお!」と声が上がる。
続いて天鬼族3人娘が可愛らしくお辞儀をすると、同じくどよめく声が上がった。
「この度、ネス様が我が妹コルネリアを巫女として指名され、ネス様の御神体にも等しい‟生命の樹”の世話を仰せつけました。そのコルネリアの護衛兼世話係として、ネス様が遣わしてくださったのがナディアです。また、ネス様の聖なる湖のある地の領主たる、私の婚約者である3人の守護の為にと、ネス様が遣わしてくれたのが、天鬼族の3人です。どうぞよろしくお願いいたします」
「「「「どうぞ、よろしくお願いいたします」」」」
ナディアと天鬼族4人が一斉に頭を下げると、さらに大きなどよめきが謁見の間に広がった。
蒸気自動車の各部をドワーフの職人さんと点検したが、特に問題は発見されなかった。
道中で木製の車輪が破損した程度で、蒸気機関も車軸もその他のパーツも破損無し。
う~む……領地の森に生えているローズウッドに似た非常に硬い木を使用しているのだが、車輪はこれでもダメか。
要改善項目としてチェックしておこう。早めにそれが分かっただけでも、この耐久テストに意味は有ったな。
さて、王都に蒸気自動車で乗り込むと、やはりというか注目の的だった。
荷台に張った幌に描かれた紋章で、この車の持ち主がトールヴァルド・アルテアン子爵であることは明白なので、特にちょっかいをかけてくる者はいないのだが、好奇の目を向ける事を止める事は出来ない。
そんな衆目の中、美少女の婚約者~ず&コルネちゃんを晒す訳にもいかないので、座席で大人しくしていてもらう。
この旅の最終目的地である王城に着くまではね。
旅程の途中にサポート要員として配置していた馬車10台を引き連れて、街中をゆっくりと王城へと進んだ。
王城の城門では、見た事も無い馬が曳かない馬車(?)を見て驚き、紋章を見てさらに驚き、止めに第四王女メリルと、子爵であり聖なるネス様の使徒である俺と、ヴァルナル・デ・アルテアン伯爵夫妻が馬車から降りて来たのだ、そりゃ大騒ぎにもなる。
普通は国王への謁見などは先触れを出して許可を求め日取りを決めて……と複雑で面倒な手順を踏まなければならないのだが、流石に第四王女メリルが居たからか、すぐに許可が下りて謁見の間に通された。
「皆の者、面を上げよ」
国王様のお言葉で、ちょこっとだけ頭を上げる。まだ全部はあげちゃいけません。
「良い、面を上げよ」
二度目のお言葉で頭を上げます。これがこの世界の常識らしいです…面倒くさ。
ここには、俺、両親、コルネちゃん、婚約者~ず、ナディア、天鬼族3人娘が控えてます。
ドワーフ職人さんは、蒸気自動車の整備と見張り番。実は妖精さんがこっそり護衛のために1人ついてます。
謁見の間には何人かの王国の重役さん(?)がいるけど、誰だかよくしりましぇん。まあ、滅多に会わないから気にしなくてもいいか……おっと! ゴリラの近衛さんは国王様の近くに居たね。お久しぶりだね~!
「久しいな、ヴァルナル伯、トールヴァルド卿。して本日は何やら面白い物に乗って来たとか?」
ここは俺より上位の貴族の、父さんが先にご挨拶。
「は、陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう。此度は我が子、トールヴァルド子爵が開発した蒸気自動車の報告と耐久試験を兼ねて、王都に参りました。未だ完成には至っておりませぬが、近いうちに量産化した物を献上できるかと思います」
父さん、上手いぞ! 今、献上しちゃったら帰りは馬車だもんな。完成したら一台ぐらいあげるのは無問題!
「ほう、卿の領地から王都まで試験の為に来たと申すか。して、結果はどうだったのじゃ? トールヴァルド卿」
およよ、俺にふってきたか。
「ご無沙汰しております陛下。ご機嫌麗しゅう。試験は上々です。問題も何か所か洗いだせましたので、完成は間近かと」
まあ、嘘はいって無いよ?
「では、後程見せてもらっても良いかの?」
「はい、是非ご覧ください。きっと満足していただけるかと存じます」
これで俺も自動車開発の祖として歴史に残るかな~。ちょっと嬉しいかも。
「卿にもうひとつ聞きたいのだが……その、翼のある3人の娘と少女は?」
まあ目立つよね……
「はい、陛下。彼女は、ネス様の眷属でナディアと申します……ナディア、羽を見せてあげて……そしてこちらの3人は、同じくネス様の眷属でアーフェン、アーデ、アームと申します……みんな、立って礼を」
ナディアが優雅に立ち上がって美しい羽を顕現させて礼をすると、居合わせた人々から「おお!」と声が上がる。
続いて天鬼族3人娘が可愛らしくお辞儀をすると、同じくどよめく声が上がった。
「この度、ネス様が我が妹コルネリアを巫女として指名され、ネス様の御神体にも等しい‟生命の樹”の世話を仰せつけました。そのコルネリアの護衛兼世話係として、ネス様が遣わしてくださったのがナディアです。また、ネス様の聖なる湖のある地の領主たる、私の婚約者である3人の守護の為にと、ネス様が遣わしてくれたのが、天鬼族の3人です。どうぞよろしくお願いいたします」
「「「「どうぞ、よろしくお願いいたします」」」」
ナディアと天鬼族4人が一斉に頭を下げると、さらに大きなどよめきが謁見の間に広がった。
22
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる