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丑三つ時

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 日々の領主の仕事もこなし、鍛錬も欠かさず、部下のご機嫌取りをしつつ、婚約者~ずの相手をする。
 これって、無理ゲーじゃね? もう、誰かに領主の座を譲りたいよ。
 異世界転生物のラノベだと、めっちゃ優秀な部下が全部やってくれてて、お気楽っぽい領主が多いのになあ……。
 俺の目指すお気楽極楽異世界ライフとは、かなりかけ離れてる気がするんだが?
 と文句を言ったところで、仕事は減らないわけで、つまりはコツコツとやり続ける必要があるんだよな。
 
『結婚すれば、メリルが領主夫人として、ある程度は領主の権限を渡して仕事を割り振れますけどね』
 それは再来年の話だよ。それまでは俺がやらなきゃなあ。
『それなら、代官でも置いて代わりにさせれば?』
 え? そんな事が許されるの?
『いや、普通じゃないんですか? 戸籍やら税金やら裁判やら1人で全部出来るとでも?』
 そう言われたら、確かに……総理大臣だって、部下に仕事を割り振りしてるよな。
『でしょう? だから専門分野の官僚を使えばいいんですよ。最終確認だけするようにすれば、仕事が減ると思いますが』
 あれ? でもそんなに簡単ならあちこちの領地持ちの貴族は、とっくにやってそうなんだけど?
『してますよ? 知りませんでしたか?』
 マジっすか!? 父さんのとこは?
『奥様が領主代理の権限を持ってますし、巨乳メイド部隊が書類仕事はほとんどこなしてます。優秀ですね』
 なら、現状でもうちの婚約者~ずを代官に指名して仕事させても大丈夫って事?
『ええ。権限は渡せませんが計算や書類の内容確認ぐらいなら出来ると思いますよ。それにあの3人には護衛を兼ねた優秀な計算機が付いてるじゃないですか』
 計算機? もしや天鬼族の事か? ひでぇーな、おい!
『あの角付き羽娘に直接仕事をさせているのを誰かに知られるわけにはいきませんが、マチルダとイネスなら大丈夫でしょう。誰にも情報は漏らさないと思います』
 ふむふむ……執務室を各人に与えて天鬼族とペアで仕事をさせればいいのか。
 あれ? それならサラにさせたっていいんじゃね?
『イヤです! 私は食っちゃ寝食っちゃ寝したいんです! ゴロゴロしてたいんです!』
 お前なあ……少しは働けよなあ。
『働いたら負けかなって思ってます』
 どこのニ〇トだよ……。そもそもお前メイドだろ? 掃除洗濯料理はどうした!?
『優秀な部下がいますので!』
 ドワーフ娘に全投げかよ!
『いや~そろそろ変換玉の残数が心もとないはずなんで、大河さんが創造するんじゃないかと思って、待機してるんです』
 そうだ、それがあったな。確かに心もとなくなってきた。恐怖の大王の事もあるしなあ。
『1本いっとく?』
 アスパ〇ドリンクかよ……また懐かしいネタだ。
『まんまん満足! 1本満足!』
 いや、それ違うCMだからな……。

 ▲

 屋敷中が寝静まった丑三つ時。
 丑三つ時って、2:00~2:30頃って言われてるけど、一説には3:00~3:30とする説もあるんだって。
 どうでもいいけど、とにかく夜中に自室でガチャ玉を創りましょう!
 つまり、この夜中にサラも俺の部屋に居るわけだ。ミルシェが起きてきたりはしないはずだが、ちょっと警戒中。
 部屋の扉の前の廊下で、ブレンダーとクイーンが見張ってるんで、もしもの時は知らせてくれる。
 来ちゃったら、サラを窓から叩きだせばいいか。
『何やら大河さんが不穏な事を考えてる気がしますが、創造を開始しましょう』
 サラに結界を敷いてもらっているので、外に声は漏れないはずだが、一応、念のために念話主体で。洒落じゃないよ?
 あの、ぼかーーん! って音は響くから、結界は予防的な措置でもある。

 さて、光ってない玉を握りしめて……イメージ、イメージ……。
『願望内容確認。脳内イメージ確認。必要エネルギー量算出。必要エネルギー補充開始、完了』
 うん、順調順調!
『管理局長への承認申請。承認不可』
 え、どうしたサラ! こんな事初めてだぞ?
『管理局長への再承認申請。承認不可』
 ど……どうしたんだ?
『願望内容、一部修正。管理局長への承認申請。承認確認。イメージ補完に伴う物理法則の改変開始、完了。管理システムのバグチェック開始、完了。』
 何か一部変更されたっぽいけど……?
『ギフトカプセル内包物変換開始、完了。最終確認、OK。カプセル開封を許可します』
 う~む。釈然としない物があるが、許可も出た事なんで開けますか。
 よ~し、開けるぞ~! ンギギギギギギギギギギイ……相変わらず固すぎだ! カポッ! ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
 覚悟してると、意外と耐えられるものだな。
『ふんぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
 あ、サラの鼓膜に直撃だったらしい。
 それはどうでもいいから、ガチャ玉を……お?
 
 そこには、今まで見た事の無いガチャ玉がコロコロと転がっていた。
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