システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
59 / 1,466

初めてのご神託

しおりを挟む
 翌朝はロビーの美しいステンドグラスから差し込む朝日の美しさに、全員が大興奮で大変だった。
 そして2階の肖像画を見た大人たちが、その完成度の高さに感動しまくっていた。
 まあ……ほとんど写真と変わらないんだけどね。
 コルネちゃんとミルシェちゃんは、噴水のある泉を眺めてうっとりしていた。
 そして、改めて俺の家を外から見た愛する我が家族もミルシェちゃん一家も、もう興奮度マックス!
 こんな美しい領主邸は今まで見た事が無いって、大絶賛!
 いや~、それほどでもあるかな~! 
 
 そして、おまたせしました~本日のびっくりドッキリ〇カ発進!
 じゃない、ネス湖の女神ネスだコロン!
 冗談はさておき、ネス湖に眠る白い女神像の静謐で神秘的な佇まいは、湖の奇跡的なまでの透明度とキラキラと光り輝く水面と相まって、無宗教なみんなも女神と清らかな水の恵みに思わず膝をつき祈りを捧げたくなる様な美しさだった。
「トールヴァルドよ。なんと美しい湖と女神像だ! ここは確かに聖地だ! 陛下に報告しなければな!」

 よし、ついでだから女神様からお言葉を貰うとするか。
 みんな見るがよい!
 ダイ〇ーン……じゃない、女神ネス、カムヒアー!
 ごごごごごごご……美しい水面にさざ波が立ち、やがて女神像がゆっくりと水面を割って浮上する。
 何事かと全員が警戒したが、大丈夫と落ち着かせる。
 やがて胸の前で両手を合わせ、慈愛と憂いを湛えた神秘的な表情の荘厳な純白の女神像が浮上すると、俺とサラ以外の全員が即座に平伏した。 
『皆の者、よく聞くがよい。我は水と生命の女神ネス。この地はそこなトールヴァルド・デ・アルテアンに託した。良き統治を行い民を導いてゆくためにも、皆の者も力を貸すがよい。さすればその方達も天恵を得る事が出来るであろう』 
 涼やかな銀の鈴のように澄んでいて、それでいて厳かにしてその神聖を現す様な……難しいな、つまりめっちゃ神々しいお声で神託を述べてもらったんだ。
 もちろん、俺が準備した文章そのままだ。
「おおおお…………」
 全員、涙流しちゃったよ。
 ごごごごごごご……ゆっくりとネスは湖の底へと戻って行ったが、その間誰も口を開けなかった。
 正確には、姿が見えなくなっても暫くの間は動けなかったみたいだ。
 ようやく父さんが俺に向かって、
「トールヴァルド……アルテアンは女神の加護を賜ったのだな!」
 感動して涙がだーーー!って、ついでに鼻水もだーー!ってなってるぞ、父さん。
「僕も来た時に感動したよ」
 まあ、こう言っておこう。
 まさか俺が創ったなんて言えないし。
「……(巨乳女神の加護……天恵……)……」
 ぼそっと呟いたけど、聞こえてるからな、父さん。
 巨乳女神じゃなくて、水と生命の女神だからな?
 神罰当たってもしらねーぞ。
 まあ、そんなん無いけど。

「お兄ちゃん……女神様がお兄ちゃんのお名前知ってた! すごい!」
「トールヴァルドさまが女神様に選ばれたのですね! なんて素晴らしい!」
 コルネちゃんとミルシェちゃんからの、ものすごい尊敬の眼差しが痛い。 
「トールちゃんは、女神様に選ばれた使徒様ね!」
 無邪気な母さんの言葉が俺のハートに突き刺さる!

『全部、嘘ですもんね!』
 ……うん。
 サラ、絶対に言うなよ!
『いえ、言っても誰も信じませんよ? エネルギー変換カプセルを使って見せない限り。そもそもあのカプセルはあなた以外に見る事も触る事も出来ませんから、創ったと言っても信じてもらえないでしょう』
 まあ、そうだけどさ。

 いつまでも跪いてても仕方ないので、本日のお仕事をこなしましょう。
 まずは父さんの領地と俺の領地を、トンネルで繋ぎます。
 土・水・火・風の精霊さんはすでにスタンバイ・オッケー!
 トンネル掘削ポイントを指示すれば、湖を造った時の様に各々の役割を考慮して掘って行きます。
 まずは土の精霊さんが円陣組んだままグルグル回って山肌に突入します。
 地下水などが出ない様に、水の精霊さんが水脈を探知して避けて方向を指示しますが、場合によっては、水脈その物を移動しちゃいます。
 火の精霊さんが壁を補強のために焼き固める事も忘れません。
 風の精霊さんが掘削で出た土を、まとめて防壁建造ラインに運んで行きます。
 この時、周囲に土煙が撒き散らかされない様に、空気の流れをコントロール。
 幅10mにも及ぶ半円形のトンネルが1時間に200mのペースで堀り進められる。
 地球だと1時間で数十mとかだった気がするなあ。
 魔法って便利だよなあ……って、これも魔法って言っていいのかな?
 精霊さんに、こんな感じにしてね~ってお願いしただけなんだが、まぁいっか。
 んじゃ、精霊さんお願いしやす! 作業は夕方まででいいからね~!
 時間が来たら、解散して休んでね。
 大体、直線で9~10Kmぐらいだから、距離的に考えて1週間で完成するかな。 

 あとは魔王と魔族なんだが……聞いてみたら、みんな魔王も魔族も知ってた。
 なんで俺だけ知らなかったんだろか。
『勉強不足です』
 はい、おっしゃる通りです。
 ……サラに言われると、メチャクチャ悔しい(涙)。
 明日の昼に到着だから、来たらどこに住みたいかお話しなきゃなあ。
 しっかし、魔族が遊牧とか違和感しかねーなこの星……。 
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...