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出発だ!
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さあ、ワイバーン討伐出発の朝が来た。
希望の朝だ! 喜びに胸を……てこれは違う。
ギルドでワイバーン退治の希望者を募った所、我が家の前庭に腕自慢が10名ほど名乗りを上げ集まってきた。
それに父さんと俺とギルド長というメンバーだ。
出発前に父さんが皆に言葉を掛ける。
「皆、良く集まってくれた。今やダンジョンを含むこのアルテアン領は、多くの人が住む街となった。しかしこの街の近くにワイバーンが群れを成し巣作りをしているという。このまま奴らを放置しておけば、近いうちに少なからず街の人々にも被害が出るであろう。街には、皆の家族、友人、恋人、が居る者もあるだろう。そんな街に被害を出す訳にはいかない。この私と息子も最前線に立ってワイバーンとまみえよう。この作戦では命を落とす可能性も高い。その覚悟はあるか?無い者はこのまま帰るが良い。責めはせぬ」
誰もその場を動かない。
「そうか……誰もおらぬか。領主として礼をいう、有難う。今回は聞いている通り報酬は出ない。あくまでも自己責任で参加してもらう。だがしかし名誉だけと言う訳にはいくまい。皆にはワイバーンの素材を全て提供しよう。もちろん私とトールヴァルドが倒したものも全てだ。我が領主家は街が守れれば良い。だが命を落としては何も手に入らぬぞ。くれぐれも命は大事にするように。ここに集まった皆も、私の大事な領民なのだからな。必ず勝って生きて帰るぞ…………」
長い父さんの演説だが、誰も口を開かずじっと聞いている。
「ではこれよりワイバーン討伐に向かう。皆の者準備はいいな? 行くぞー!」
「「「「おう!」」」」
野太い声が辺りをびりびりと震わせる。
みんなめっちゃやる気だなあ。
ワイバーンの素材ってそんなに高価なの?
ほうほう……それはまたいいお値段だな。
まあ我が家は領民が守れれば、そっちの方が永続的な収入になるからな。
それに素材を渡しても、素材をギルドが買い上げれば税金で返ってくるから特に損をする事もない。
まあ、個人資産には出来ないけどな。
むしろ人を雇って負傷させた方が、何かと高くつくってもんだ。
今回は自主的に参加だから、何があっても自己責任。
ちゃんと父さんは帰っても良いって言ったからな、オラ知らねーぞ。
さってとブレンダーに乗っかって、ヴェスピナエ・ファクトリーを括り付ける。
クイーンは俺の背中にくっついて俺のエネルギーをちょぼちょぼ吸ってるけどな。
兵隊は大人しく巣の中で待機中。
最初クイーンを家族に見せた時は、みんなびびってた。
ミルシェちゃんなんて、びっくりしすぎて泣いちゃったし。
まあ……全長50cmのスズメバチが俺の肩に乗ってたらびびるわな。
でもまたまた使い魔設定を出すと、あっさり納得された。
まあブレンダー君は、すでに我が家のマスコットとして可愛がられてるからな。
このクイーン、顔は厳ついのだが産毛がもふもふしてて人懐こく意外と可愛い。
しかも俺のエネルギーで動いているので、食事も必要としない。
つまり、ブレンダーもそうだが排泄も無い。
そして基本的に人間に危害を加えない。
命令が無い限り、人間に襲われても可能な限り逃げに徹する様に言ってある。
とどめにブレンダーと同等の頭脳をクイーン与えているので、すぐにペットとして家族に認められた。
嬉しそうにミルシェちゃんがクイーンの産毛をさわさわしてた。
兵隊は15cmぐらいだが、これらはクイーンの命令で動く。
基本的に普段はファクトリー内で格納サイズに小さく丸くなって待機だ。
離れていてもクイーンの命令は届くので、集団戦闘だってお手のもの。
さあ、これで全ての準備オッケー! 出発だ!!
ワイバーンの群れがいる山まで徒歩で約3日かかるのだが、ギルドと我が家で馬車を出しているので1日で着けるという。
ただ到着が夜になるので少し離れた所で野営をして、翌朝早く目的地に向かう予定にしている。
俺はブレンダーに騎乗して行くぞ。
すっかり馬車の魔改造すんの忘れてたからな……ケツ割れるの嫌だし。
そうそう、モフリーナには本日より警戒態勢を取ってもらった。
冒険者ギルドが常時上空を数名で警戒し、もしもワイバーンの姿が見えたら警鐘を打ち鳴らすように言ってある。
そしてダンジョンの知られざる秘密として、ギルド職員にだけシールドの話をしておいた。
ダンジョンマスターとの取引で、いざとなったらダンジョンのエネルギーを使って秘術で街周辺を覆う結界を張るとか何とか言ったら、ギルド長が感激して涙していた。
跪きダンジョンに向かって祈り始めた時はびっくりした。
怪我はするが死者が出ないダンジョンってだけでも有り難がられてるのに、人間の街を守ろうってんだから、そりゃダンジョンの見方が変わるよね。
それもこれも俺とモフリーナの仕込みなんだが、わざわざそんな事を言う必要も無いから、せいぜい感謝しといてもらおう。
これぞダンジョンを使った俺の内政チートだ!
何か違う気もするけど……まあいいや。
▲
その日はすんなり野営地まで着いた。
まだ外は明るいが、あまり近づくとワイバーンに気付かれる危険性がある。
出来るだけ空から見えない木陰などを選んで野営の準備をする。
まあ、ブレンダーとクイーンにはマップ&索敵機能が付いているんで、警戒はしてくれてるけどな。
何にせよ、今日はここで休んで英気を養うとしますか。
そう言えば出がけにミルシェちゃんがうるうるした目で、
「トールヴァルドさま、これお守りです」
って貰ったな……お守り。
小袋にちょっと歪だけど我が家の紋章らしきものが刺繍されている。
中身は一体なんだろう?
本当は見たらダメなんだろうが……これは手紙かな?
『とおるばるどさまがぶぢにかえつてきますよおに。だいきすです』
うむ……まだ誤字が多いですな。
大キスって何だよ、大好きって事だろうな(笑)
微笑ましいお手紙だこと。ミルシェちゃんが大きくなったら見せてやろう。
まあミルシェちゃんの大キスも頂いた事だし、ここは張り切っちゃいますよ!
新兵器の我がクイーンとその配下の威力を乞うご期待!
Coming Soon!
希望の朝だ! 喜びに胸を……てこれは違う。
ギルドでワイバーン退治の希望者を募った所、我が家の前庭に腕自慢が10名ほど名乗りを上げ集まってきた。
それに父さんと俺とギルド長というメンバーだ。
出発前に父さんが皆に言葉を掛ける。
「皆、良く集まってくれた。今やダンジョンを含むこのアルテアン領は、多くの人が住む街となった。しかしこの街の近くにワイバーンが群れを成し巣作りをしているという。このまま奴らを放置しておけば、近いうちに少なからず街の人々にも被害が出るであろう。街には、皆の家族、友人、恋人、が居る者もあるだろう。そんな街に被害を出す訳にはいかない。この私と息子も最前線に立ってワイバーンとまみえよう。この作戦では命を落とす可能性も高い。その覚悟はあるか?無い者はこのまま帰るが良い。責めはせぬ」
誰もその場を動かない。
「そうか……誰もおらぬか。領主として礼をいう、有難う。今回は聞いている通り報酬は出ない。あくまでも自己責任で参加してもらう。だがしかし名誉だけと言う訳にはいくまい。皆にはワイバーンの素材を全て提供しよう。もちろん私とトールヴァルドが倒したものも全てだ。我が領主家は街が守れれば良い。だが命を落としては何も手に入らぬぞ。くれぐれも命は大事にするように。ここに集まった皆も、私の大事な領民なのだからな。必ず勝って生きて帰るぞ…………」
長い父さんの演説だが、誰も口を開かずじっと聞いている。
「ではこれよりワイバーン討伐に向かう。皆の者準備はいいな? 行くぞー!」
「「「「おう!」」」」
野太い声が辺りをびりびりと震わせる。
みんなめっちゃやる気だなあ。
ワイバーンの素材ってそんなに高価なの?
ほうほう……それはまたいいお値段だな。
まあ我が家は領民が守れれば、そっちの方が永続的な収入になるからな。
それに素材を渡しても、素材をギルドが買い上げれば税金で返ってくるから特に損をする事もない。
まあ、個人資産には出来ないけどな。
むしろ人を雇って負傷させた方が、何かと高くつくってもんだ。
今回は自主的に参加だから、何があっても自己責任。
ちゃんと父さんは帰っても良いって言ったからな、オラ知らねーぞ。
さってとブレンダーに乗っかって、ヴェスピナエ・ファクトリーを括り付ける。
クイーンは俺の背中にくっついて俺のエネルギーをちょぼちょぼ吸ってるけどな。
兵隊は大人しく巣の中で待機中。
最初クイーンを家族に見せた時は、みんなびびってた。
ミルシェちゃんなんて、びっくりしすぎて泣いちゃったし。
まあ……全長50cmのスズメバチが俺の肩に乗ってたらびびるわな。
でもまたまた使い魔設定を出すと、あっさり納得された。
まあブレンダー君は、すでに我が家のマスコットとして可愛がられてるからな。
このクイーン、顔は厳ついのだが産毛がもふもふしてて人懐こく意外と可愛い。
しかも俺のエネルギーで動いているので、食事も必要としない。
つまり、ブレンダーもそうだが排泄も無い。
そして基本的に人間に危害を加えない。
命令が無い限り、人間に襲われても可能な限り逃げに徹する様に言ってある。
とどめにブレンダーと同等の頭脳をクイーン与えているので、すぐにペットとして家族に認められた。
嬉しそうにミルシェちゃんがクイーンの産毛をさわさわしてた。
兵隊は15cmぐらいだが、これらはクイーンの命令で動く。
基本的に普段はファクトリー内で格納サイズに小さく丸くなって待機だ。
離れていてもクイーンの命令は届くので、集団戦闘だってお手のもの。
さあ、これで全ての準備オッケー! 出発だ!!
ワイバーンの群れがいる山まで徒歩で約3日かかるのだが、ギルドと我が家で馬車を出しているので1日で着けるという。
ただ到着が夜になるので少し離れた所で野営をして、翌朝早く目的地に向かう予定にしている。
俺はブレンダーに騎乗して行くぞ。
すっかり馬車の魔改造すんの忘れてたからな……ケツ割れるの嫌だし。
そうそう、モフリーナには本日より警戒態勢を取ってもらった。
冒険者ギルドが常時上空を数名で警戒し、もしもワイバーンの姿が見えたら警鐘を打ち鳴らすように言ってある。
そしてダンジョンの知られざる秘密として、ギルド職員にだけシールドの話をしておいた。
ダンジョンマスターとの取引で、いざとなったらダンジョンのエネルギーを使って秘術で街周辺を覆う結界を張るとか何とか言ったら、ギルド長が感激して涙していた。
跪きダンジョンに向かって祈り始めた時はびっくりした。
怪我はするが死者が出ないダンジョンってだけでも有り難がられてるのに、人間の街を守ろうってんだから、そりゃダンジョンの見方が変わるよね。
それもこれも俺とモフリーナの仕込みなんだが、わざわざそんな事を言う必要も無いから、せいぜい感謝しといてもらおう。
これぞダンジョンを使った俺の内政チートだ!
何か違う気もするけど……まあいいや。
▲
その日はすんなり野営地まで着いた。
まだ外は明るいが、あまり近づくとワイバーンに気付かれる危険性がある。
出来るだけ空から見えない木陰などを選んで野営の準備をする。
まあ、ブレンダーとクイーンにはマップ&索敵機能が付いているんで、警戒はしてくれてるけどな。
何にせよ、今日はここで休んで英気を養うとしますか。
そう言えば出がけにミルシェちゃんがうるうるした目で、
「トールヴァルドさま、これお守りです」
って貰ったな……お守り。
小袋にちょっと歪だけど我が家の紋章らしきものが刺繍されている。
中身は一体なんだろう?
本当は見たらダメなんだろうが……これは手紙かな?
『とおるばるどさまがぶぢにかえつてきますよおに。だいきすです』
うむ……まだ誤字が多いですな。
大キスって何だよ、大好きって事だろうな(笑)
微笑ましいお手紙だこと。ミルシェちゃんが大きくなったら見せてやろう。
まあミルシェちゃんの大キスも頂いた事だし、ここは張り切っちゃいますよ!
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