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8 一番勝負
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翌日、当然のように稀一郎は仕事を首になりました。西園は稀一郎へ多めの退職金を渡し、二度とここへは近づかないでくれと言いました。まるで口止め料ですが、稀一郎は大人しくそれを受け取る他ありませんでした。
「黒田には暇を出した。息子も……息子は今朝から姿が見当たらない。黙って家を出ていったのだ」
西園は女中たちへこのように説明しました。彼女らは何も言わずに――そもそも口を挟む権限もありません――西園の言葉を聞くだけです。
さて、朔之介が家を出たはずはありません。しかし屋敷中どこを捜しても朔之介の影はないのです。ではどこへ消えたのかと言いますと、西園邸には北側の一番奥まったところに土蔵が建っています。稀一郎のいた小屋よりも、広い庭よりももっと奥の方です。通常は物置として使われていて、使わない布団や古い箪笥、箱にしまわれたままの日本人形などが無造作に積んであるのでした。
これは西園と朔之介しか知らないことでしたが、蔵の床下には畳敷きの地下室が造ってありました。この部屋はお仕置き部屋で、朔之介は幼い頃からしばしば閉じ込められていました。北側に明かり窓があったものの光はほとんど入らず、部屋は真っ暗に等しいのです。幼い朔之介はここへ閉じ込められるたび、非常に怖い思いをしていました。
そして今、朔之介は数年ぶりに暗闇の恐怖を思い出していました。地上一階の床に隠し扉があって、そこが地下室から出る唯一の道なのですが、外から鍵がかけられているのです。下から押し上げてみてもびくともしません。朔之介はもはや恐怖に怯えて泣いているだけの子供ではありませんが、何も打つ手がないので畳の上で丸まってじっとしているしかないのでした。
朔之介は低い天井を眺めて、飽きたら壁を見て、昼間は窓から入る光を追いかけて過ごしました。たまに西園が食事を持ってきますが、朔之介は口をきこうとせずに隅の方でうずくまっているだけです。真夏でも土蔵の中は涼しいのですが、そのことでかえって心細さが増すのでした。
傷はまだ痛みます。西園が寄越したガーゼを当ててもその下でずきずきと脈打ち、骨の髄まで沁み入って睡眠の邪魔をするのです。しかしその痛みは逆に、朔之介に生の実感を与えてくれました。まだ生きている、まだ死んでいないのだと、朔之介は自分に言い聞かせていました。
朔之介に時間や日付の感覚がなくなってきた頃でした。ぎいっと音を立てて隠し扉が開かれます。細い光が入ってきて、朔之介は目を細めました。ランタンを片手に西園が階段を下りてきます。
「いい加減懲りたか?もうそろそろ出たくなったろう。早く己の非を認めて、私に詫びなさい。泣いて許しを請うなら、出してやらんこともない」
「……いいえ父上。おれは間違ったことは言ってません。だから決して謝らない」
朔之介は西園の言葉を一蹴し、毅然と言い返します。
「朔之介、よく考えなさい。黒田はもういないのだぞ。金を渡したらとっとと消え失せたわ。あいつにとってお前なぞどうでもいい存在だったのだ。お前には私しかおらぬのだ。今どんな行動をとるのが正しいか、賢いお前にはわかっているはずだ」
「……父上こそ何もわかってらっしゃらない。黙って去れと黒田に命じたのはこのおれですよ。その程度のことで動揺させられるとお思いでしたか」
「言いたいことはそれだけか」
はいと朔之介が言った途端、間髪入れずに、西園は腰に差していた短刀をすらりと抜きます。朔之介の白い首に、ひたりと押し当てました。朔之介は生唾を飲み込み、震える両手を握り締めます。
「……殺したいのなら殺せばいい。あんたのような立派な男が、おれみたいな餓鬼に翻弄されたってのも、今となっちゃ笑い話ですよ」
朔之介の乾いた笑い声が響きます。西園は朔之介の髪を鷲掴みにし、体ごと床へ叩きつけました。朔之介は背中から落ちて腰を強かに打ったものの、西園を嘲笑うような表情を変えません。
「やっと殺す気になりましたか?あなたには何度も殺されそうになったが、とうとう本気になったというわけか」
西園は音の鳴るほど歯軋りし、血走った目で朔之介を睨みました。前髪を掴んだまま馬乗りになり、力いっぱい押さえ付けます。それだけで、朔之介の骨は悲鳴を上げます。
「貴様が悪いのだ。この目のせいだ。貴様が呪われているのが悪いのだ!」
西園は短刀の切っ先を朔之介の喉へ当て、ぷつりと突き刺しました。朔之介は痛みに眉を寄せます。玉のような血が浮き出て、首を伝って流れ落ちます。しかしそこで膠着状態になりました。西園はそれ以上深く刺すことも、抜くこともできず、脂汗を流しながら浅い呼吸を繰り返しているのでした。
「朔之介!」
静寂をといたのは若い男の声です。声の主は階段を駆け下りてきます。朔之介は即座にその正体がわかりましたが、朔之介が言葉を発する前に西園が素早く短刀を投げました。それは風を切って、稀一郎の着物をかすめ、階段の踏み板に突き刺さります。
「黒田貴様!よくも戻ってきたな!」
西園は大声を張り上げて、稀一郎に向かっていきます。どすんどすんと大股で突進していくその姿はまるで暴走機関車です。稀一郎が踏み板に刺さった短刀を抜き、西園に応戦しようと身構えるので、朔之介は叫びました。
「無茶はよせ、稀一郎!」
「俺は無茶してるつもりはねぇ!」
西園は、稀一郎のことは躊躇なく殺してしまうでしょう。仮にも戦争帰りの軍人ですから、稀一郎のようなただの若者がどうにかできる相手ではないのです。もちろん朔之介だって敵いません。そう思っていたはずでした。それなのに、体が勝手に動いたのです。考える間もなく、朔之介は弾丸のように飛び出していました。西園の背中に飛びかかり、無我夢中で羽交い締めにします。短刀はまだ稀一郎の手にあります。
「朔之介!貴様、親を裏切る気か!?」
「早く刺せ!稀一郎!」
朔之介が大声で叫びます。西園も朔之介を振り払おうと激しく暴れるので、稀一郎は二の足を踏みます。手元が狂って朔之介を刺してしまいそうなのです。朔之介が勢いをつけて大きく仰け反ると西園はバランスを崩して後ろ向きに倒れました。押し潰された朔之介は嘔吐くようなうめき声を上げますが、意地でも力を緩めません。西園の膝に足を絡め、必死に動きを封じようとします。
「やるなら早くやれ!稀一郎!」
稀一郎は雄叫びを上げ、西園の体へ馬乗りになります。両手で握った刀を喉に突き立て、じわじわと押し込んでいく。西園の右手をとって短刀を握らせ、さらに深く押し込みます。ゆっくりと、しかし万力のような力を込めて、確実に息の根を止めようとしているのです。
稀一郎の風貌は、獲物を仕留めた餓狼さながらです。瞳孔は開き切り、白い歯の隙間からは冷たい空気が流れるだけ。初めて目にする稀一郎の姿に、朔之介は圧倒されるやら戦慄するやら見惚れるやら、とにかくどぎまぎしてしまって忙しいのでした。
喉に刀を深々と突き刺したまま数分経ち、稀一郎がよしと言いました。この間、朔之介は何もできずにただ西園の下で潰されていただけです。
「し……死んだのか?」
「息をしていない。心臓もじき止まる」
稀一郎と朔之介は西園を横倒しにして見下ろします。朔之介は動揺していましたが、稀一郎はいやに落ち着いていました。
「これからどうしよう」
「もちろん逃げるんだ。遠くへ行こう」
稀一郎は朔之介の手を取り、安心させるように微笑みかけます。
「大丈夫、お前は何も悪くない。今度こそ一緒に逃げよう」
「で、でも……」
踏ん切りがつかない朔之介の腕を稀一郎が引っ張り、外へ出ました。
蔵から出てすぐ、朔之介は掌を額にかざして呟きます。
「……眩しい」
「深夜だぞ?」
「月が……」
朔之介は、東の空に昇ったばかりの半月を見ました。雲のない、晴れた夜です。じっとりと蒸し暑い夜風が足元に絡み付きます。
「今夜のことは二人だけの秘密だ。俺たちは共犯だな」
「……月が見てる」
「大丈夫。今、雲に隠れたよ」
朔之介はそっと手を伸ばして、体温を確かめるように稀一郎の手を握りました。稀一郎も朔之介の体温を確かめるように強く握り返します。少年たちの影は一つに溶け、夜の闇へと消えていきました。
「黒田には暇を出した。息子も……息子は今朝から姿が見当たらない。黙って家を出ていったのだ」
西園は女中たちへこのように説明しました。彼女らは何も言わずに――そもそも口を挟む権限もありません――西園の言葉を聞くだけです。
さて、朔之介が家を出たはずはありません。しかし屋敷中どこを捜しても朔之介の影はないのです。ではどこへ消えたのかと言いますと、西園邸には北側の一番奥まったところに土蔵が建っています。稀一郎のいた小屋よりも、広い庭よりももっと奥の方です。通常は物置として使われていて、使わない布団や古い箪笥、箱にしまわれたままの日本人形などが無造作に積んであるのでした。
これは西園と朔之介しか知らないことでしたが、蔵の床下には畳敷きの地下室が造ってありました。この部屋はお仕置き部屋で、朔之介は幼い頃からしばしば閉じ込められていました。北側に明かり窓があったものの光はほとんど入らず、部屋は真っ暗に等しいのです。幼い朔之介はここへ閉じ込められるたび、非常に怖い思いをしていました。
そして今、朔之介は数年ぶりに暗闇の恐怖を思い出していました。地上一階の床に隠し扉があって、そこが地下室から出る唯一の道なのですが、外から鍵がかけられているのです。下から押し上げてみてもびくともしません。朔之介はもはや恐怖に怯えて泣いているだけの子供ではありませんが、何も打つ手がないので畳の上で丸まってじっとしているしかないのでした。
朔之介は低い天井を眺めて、飽きたら壁を見て、昼間は窓から入る光を追いかけて過ごしました。たまに西園が食事を持ってきますが、朔之介は口をきこうとせずに隅の方でうずくまっているだけです。真夏でも土蔵の中は涼しいのですが、そのことでかえって心細さが増すのでした。
傷はまだ痛みます。西園が寄越したガーゼを当ててもその下でずきずきと脈打ち、骨の髄まで沁み入って睡眠の邪魔をするのです。しかしその痛みは逆に、朔之介に生の実感を与えてくれました。まだ生きている、まだ死んでいないのだと、朔之介は自分に言い聞かせていました。
朔之介に時間や日付の感覚がなくなってきた頃でした。ぎいっと音を立てて隠し扉が開かれます。細い光が入ってきて、朔之介は目を細めました。ランタンを片手に西園が階段を下りてきます。
「いい加減懲りたか?もうそろそろ出たくなったろう。早く己の非を認めて、私に詫びなさい。泣いて許しを請うなら、出してやらんこともない」
「……いいえ父上。おれは間違ったことは言ってません。だから決して謝らない」
朔之介は西園の言葉を一蹴し、毅然と言い返します。
「朔之介、よく考えなさい。黒田はもういないのだぞ。金を渡したらとっとと消え失せたわ。あいつにとってお前なぞどうでもいい存在だったのだ。お前には私しかおらぬのだ。今どんな行動をとるのが正しいか、賢いお前にはわかっているはずだ」
「……父上こそ何もわかってらっしゃらない。黙って去れと黒田に命じたのはこのおれですよ。その程度のことで動揺させられるとお思いでしたか」
「言いたいことはそれだけか」
はいと朔之介が言った途端、間髪入れずに、西園は腰に差していた短刀をすらりと抜きます。朔之介の白い首に、ひたりと押し当てました。朔之介は生唾を飲み込み、震える両手を握り締めます。
「……殺したいのなら殺せばいい。あんたのような立派な男が、おれみたいな餓鬼に翻弄されたってのも、今となっちゃ笑い話ですよ」
朔之介の乾いた笑い声が響きます。西園は朔之介の髪を鷲掴みにし、体ごと床へ叩きつけました。朔之介は背中から落ちて腰を強かに打ったものの、西園を嘲笑うような表情を変えません。
「やっと殺す気になりましたか?あなたには何度も殺されそうになったが、とうとう本気になったというわけか」
西園は音の鳴るほど歯軋りし、血走った目で朔之介を睨みました。前髪を掴んだまま馬乗りになり、力いっぱい押さえ付けます。それだけで、朔之介の骨は悲鳴を上げます。
「貴様が悪いのだ。この目のせいだ。貴様が呪われているのが悪いのだ!」
西園は短刀の切っ先を朔之介の喉へ当て、ぷつりと突き刺しました。朔之介は痛みに眉を寄せます。玉のような血が浮き出て、首を伝って流れ落ちます。しかしそこで膠着状態になりました。西園はそれ以上深く刺すことも、抜くこともできず、脂汗を流しながら浅い呼吸を繰り返しているのでした。
「朔之介!」
静寂をといたのは若い男の声です。声の主は階段を駆け下りてきます。朔之介は即座にその正体がわかりましたが、朔之介が言葉を発する前に西園が素早く短刀を投げました。それは風を切って、稀一郎の着物をかすめ、階段の踏み板に突き刺さります。
「黒田貴様!よくも戻ってきたな!」
西園は大声を張り上げて、稀一郎に向かっていきます。どすんどすんと大股で突進していくその姿はまるで暴走機関車です。稀一郎が踏み板に刺さった短刀を抜き、西園に応戦しようと身構えるので、朔之介は叫びました。
「無茶はよせ、稀一郎!」
「俺は無茶してるつもりはねぇ!」
西園は、稀一郎のことは躊躇なく殺してしまうでしょう。仮にも戦争帰りの軍人ですから、稀一郎のようなただの若者がどうにかできる相手ではないのです。もちろん朔之介だって敵いません。そう思っていたはずでした。それなのに、体が勝手に動いたのです。考える間もなく、朔之介は弾丸のように飛び出していました。西園の背中に飛びかかり、無我夢中で羽交い締めにします。短刀はまだ稀一郎の手にあります。
「朔之介!貴様、親を裏切る気か!?」
「早く刺せ!稀一郎!」
朔之介が大声で叫びます。西園も朔之介を振り払おうと激しく暴れるので、稀一郎は二の足を踏みます。手元が狂って朔之介を刺してしまいそうなのです。朔之介が勢いをつけて大きく仰け反ると西園はバランスを崩して後ろ向きに倒れました。押し潰された朔之介は嘔吐くようなうめき声を上げますが、意地でも力を緩めません。西園の膝に足を絡め、必死に動きを封じようとします。
「やるなら早くやれ!稀一郎!」
稀一郎は雄叫びを上げ、西園の体へ馬乗りになります。両手で握った刀を喉に突き立て、じわじわと押し込んでいく。西園の右手をとって短刀を握らせ、さらに深く押し込みます。ゆっくりと、しかし万力のような力を込めて、確実に息の根を止めようとしているのです。
稀一郎の風貌は、獲物を仕留めた餓狼さながらです。瞳孔は開き切り、白い歯の隙間からは冷たい空気が流れるだけ。初めて目にする稀一郎の姿に、朔之介は圧倒されるやら戦慄するやら見惚れるやら、とにかくどぎまぎしてしまって忙しいのでした。
喉に刀を深々と突き刺したまま数分経ち、稀一郎がよしと言いました。この間、朔之介は何もできずにただ西園の下で潰されていただけです。
「し……死んだのか?」
「息をしていない。心臓もじき止まる」
稀一郎と朔之介は西園を横倒しにして見下ろします。朔之介は動揺していましたが、稀一郎はいやに落ち着いていました。
「これからどうしよう」
「もちろん逃げるんだ。遠くへ行こう」
稀一郎は朔之介の手を取り、安心させるように微笑みかけます。
「大丈夫、お前は何も悪くない。今度こそ一緒に逃げよう」
「で、でも……」
踏ん切りがつかない朔之介の腕を稀一郎が引っ張り、外へ出ました。
蔵から出てすぐ、朔之介は掌を額にかざして呟きます。
「……眩しい」
「深夜だぞ?」
「月が……」
朔之介は、東の空に昇ったばかりの半月を見ました。雲のない、晴れた夜です。じっとりと蒸し暑い夜風が足元に絡み付きます。
「今夜のことは二人だけの秘密だ。俺たちは共犯だな」
「……月が見てる」
「大丈夫。今、雲に隠れたよ」
朔之介はそっと手を伸ばして、体温を確かめるように稀一郎の手を握りました。稀一郎も朔之介の体温を確かめるように強く握り返します。少年たちの影は一つに溶け、夜の闇へと消えていきました。
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