幼馴染を追いかけて

小貝川リン子

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第六章 姫初め

2 姫初め

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 ベッドに馨を寝かせ、遼真は飽きずにキスを続ける。啄むようなキスをしながら、パジャマを脱がす。前を開(はだ)けて、肌着を捲り上げる。するりと手を滑らせて、ぷっくり膨れ上がっている両の乳首を抓る。

「ひゃっ……」

 馨は敏感に反応する。初めの頃と比べ、乳首も乳輪も大きく育った。平時からそうだが、勃起するとさらにその成長ぶりが窺える。

「馨ちゃん、おっぱい舐めてもいい?」
「にゃ、それは……」
「いいよね?」

 遼真は恭しく馨の胸に口づける。それだけで馨は余裕なさげに喉を反らし、枕に深く沈む。

「はぁ……りょ、まぁ」

 苺色の頂を口に含み、飴玉のように舌の上で転がす。味はしない。強いて言えば、肌の味だ。石鹸の香りと、ほんのりと汗の匂い。

「んっ……ぁ、えい……どういて、こがぁなとこが……」
「かわいいよ、馨ちゃん。もっとようなって」
「むね、吸われて感じるなんぞ、女みたぁで、やじゃ……」
「そがなこと言うて、好きなくせに」

 ちゅう、と吸うと血液が集中して固くなる。感度が増したところを、乳輪に沿ってくるくると舐める。特に側面をすりすりなぞると、堪らないといった具合に腰がびくびく跳ねる。焦らすように舌先で突つき、そうかと思うといきなり全体を口に含んで縦横無尽に弄ぶ。

「りょっ、ま、りょーまぁ……ぁん、あ、きもちえ、りょーまぁ……」

 馨はすっかりできあがっていた。性器は破裂しそうなほど膨らんで、窮屈そうにズボンを押し上げている。尖端がわずかに湿っている。

「し、下も……下も触っとうせぇ」
「もうちょっと、まだ我慢して」
「やっ、やじゃあ、はよう」
「だーめ。このまま、乳首だけでイけない?」

 遼真の提案に、馨はぞっと蒼ざめた。触ってもらえないなら自分で、とばかりに下腹部に手を伸ばすが、いとも簡単に絡め取られる。

「だめだよ、馨ちゃん。今日は時間かけてじっくり抱いちゃるって言うたろう」
「け、けんど……」
「ね、がんばってみようよ。僕もがんばるき」
「や、やじゃ、や……」
「大丈夫、痛くしないから」

 遼真はにこりと笑い、馨の両手を縫い付けて乳首責めを再開した。

 一体何分過ぎたかわからない。遼真は馨の胸ばかり弄り続けた。片方を舌で愛撫し、もう片方を指で捏ね回す。気を抜くとすぐに下を触ろうとするので、馨の両手をまとめて押さえ付けた。

「あぅう、やじゃ、もうやじゃ、触りたいぃぃ」
「泣かんでよ」
「なぁ、泣きゃあせん……」
「イけそうかい」

 馨はぶんぶん首を振る。

「無理じゃあ、こがなん、無理に決まっちゅう」
「うーん、結構いい感じなんだけどなぁ。やっぱり初めてだと難しいかな」

 張り詰めた尖頭を爪で弾くと、ぷるぷると健気に震える。馨はもどかしそうに腰をくねらす。

「やぅぅ……もぉ、いじわるせんで……りょーまぁ……」

 涙を湛えて訴えるので、可哀想になった。遼真はようやく馨の服を脱がす。下着は我慢汁で既にべったり濡れており、脱がす際に濃い糸を引いた。待ち詫びた刺激を与えられ、馨はあえかな吐息を漏らす。

「は、はよう、もっとぉ……」
「そう焦らんで。ちゃんと触るから」

 まずは丁寧に皮を下ろし、真っ赤に充血した亀頭を剥き出しにする。ふうと息を吹きかけると、そこは寒そうに身震いをする。指先で掠めるように鈴口を撫でると、蜜が溢れて妖しく光る。ぬるぬるを塗り付けるようにして亀頭を優しく撫で回しながら、乳首に歯を立ててかりりと甘噛みする。

「ッッ――!?」

 瞬間、馨は呆気ないほど容易く絶頂した。自分でも何が起こったかわかっていない様子で目を瞬かせているが、その薄い腹は白濁液で汚れてしまっている。遼真は嬉しくなって顔を綻ばせ、馨の頭を撫ぜた。

「いっ、いま、なん……?」
「よかったぁ。馨ちゃん、ほとんど乳首だけでイけたんやない? 乳首イキ成功と言っても過言じゃないよ。すごい、ようがんばったね」
「はぁ、ようわから……んにゃっ!?」

 ほとんど休む間もなく、達したばかりの馨のそれは遼真の口に吸い込まれた。唾液たっぷりの熱い口の中で、それはあっという間に角度を取り戻す。達したばかりで敏感になりすぎているそこを、遼真は容赦なく甚振る。馨は喉を引き攣らせて暴れる。

「ひぃ゛ッ、やっ、やじゃ、そっ、そがぁにしたら、また……!」

 厚い舌で亀頭を包み、裏筋を撫で、カリ首をなぞる。馨はだらしなく大股を広げ、腰をびくびく弾ませる。しがみつくように、両手で遼真の髪を掴む。

「ひぐッ、ひ、やら、またいく、でる、いってま――ッ!」

 遼真の口の中、生温かい液体が迸った。馨は無我夢中で、遼真の頭を掴んだまま性器を奥まで擦り付ける。はあはあと息を荒げながら、全てを出し切ろうとする。遼真もまた全てを受け入れる。

「ふぁ……ぅ、すまん、く、口に、出してもて……」
「うん、結構喉に絡むね」
「ま……まさか、飲ん……?」
「飲み干したよ。健康によさそうな味がした」

 遼真が笑って言うと、馨はみるみるうちに赤面する。

「あ、あほっ、あがな汚いもん、飲みなや」
「けど、普通のことじゃない? 好きな子の出したものだし、僕は全然汚いとか思わないけど……」
「そ、なん……」
「今までしなかったけど、これから毎回しようか。案外飲める味だよ」
「! や、やっぱりあほじゃ! あがなん、飲むもんやない! こんあほ!」

 顔だけでなく全身をかあっと紅潮させ、馨は遼真の視線から逃れるように身を伏せた。といっても、全く隠れられてはいないが。むしろ、程よく筋肉がついて引き締まった形のいい尻を、眼前に突き出す恰好となる。遼真は腰から尻にかけて優しく撫でてから、泥濘(ぬかる)んだ割れ目に指を沈めた。馨はぴくりと内腿を引き攣らせて腰を浮かす。

「すごい、もう濡れて……」
「い、言いなやぁ……おまんが、しつっこく、触るきに……」
「もう二回もイッちゃったもんね。かわいいよ、馨ちゃん」
「やかまし……んん……」

 遼真は指を二本挿し入れ、丁寧に肉壁を撫でた。熟した果実のように解れ、かつ弾力のある柔肉が、遼真の指を包み、かつ弾き返す。弄(まさぐ)るほどにじわりと蜜が溢れてきて、抜き差しが滑らかになる。

「ん゛ッ……」

 馨が一際大きく反応した。尻が大きく上下に揺れる。

「ここ?」
「ぅあ……や、やめ」

 腹側にある柔らかい膨らみ。いわゆるGスポット、前立腺。以前も、馨はこの箇所を刺激されて感じていた。初めの頃は何ともなかったはずなのに、馨の体は遼真の手によりすっかり作り替えられてしまった。

「ここ、気持ちいいんだよね。中、ヒクヒクしてる」
「ひぅ……や、やじゃ、そこやじゃあ」
「けど、触ってないのに勃起してるよ。もしかして、ここ弄ってればそのうちイけるのかな」
「ふぁ、や、ぁあ……」

 ぐりぐりと前立腺を押し込む。馨は膝を立て、高く上げた尻を上下に振る。だんだん、その腰遣いは激しくなっていく。遼真の目の前で、柔らかな双丘が淫らに揺れる。馨は枕に頭を擦り付けてひいひい喘いだ。

「馨ちゃん……馨ちゃん、かわいいよ。中、すごく締まって、僕の指食いよる」
「あぁっ……い、言わんで、そがなこと、言わんでぇ」
「言うよ。恥ずかしいこと言われるの、本当は好きでしょ。また締まったよ」
「あぅぅッ……う、うう、きもぢえい……ひ、っく、いく、いくぅ、いきたい、りょーまっ」
「いいよ、イッて。ほら、もっといっぱい、ぐりぐりしてあげる」
「っ! や゛、やじゃ、ぃやぁ゛っ、あッ、ゃ――んぅう゛ッ!!」

 掠れた高音がなんとも危うい。馨は腰を激しくくねらせ、射精した。今日で一番勢いのない射精だった。とろりと力なくシーツに垂れる。しかし今日で一番深い絶頂だった。馨はしばらく恍惚として腰を揺らめかせた。

「馨ちゃん、大丈夫?」

 遼真が顔を覗き込んでも、ぼんやりしていて視線が合わない。遼真は馨を仰向けに引っくり返し、再び指を挿し入れた。いまだ絶頂の余韻が残り、遼真の指を押し返すように収縮する。

「りょ……ま……?」

 馨は不安そうに頭をもたげる。遼真はにこりと笑いかけた。

「ぁや、やじゃ、や、もうや……」

 馨は弱々しく首を振るが、遼真は再び前立腺を強く押し潰した。馨の体が大きく撓(しな)う。喉を反らし、両手はシーツを握りしめる。

「ひぁ゛、もうや、っあ、やじゃ、やっ、やめとうせぇっ……」
「ね、あともう一回だけ、がんばろう?」
「ぁぐ、や゛、もぉむり、むりじゃき、りょーまぁ、もぉゆ、ゆるしとうせぇ」
「あと一回、指でイけたら入れちゃるき、がんばって」
「ひぅぅ゛っ……やら、もぉ、やら、おかしゅうなる……」

 馨はぐすぐす洟を啜りながら、しっかり腰を動かして刺激を迎え入れる。萎えていた性器はすぐに持ち直し、絶頂に向けてぴくぴく震え始める。それを口に含むと、共鳴するように肛孔の締め付けが烈(はげ)しくなる。闇雲に暴れ回る体を押さえ付け、若干硬度の足りない性器を丁寧にしゃぶる。後ろは優に四本の指を咥え込んでいる。嬌声はますます掠れて余裕がない。

「ひぃ゛ッ、いかん、いがん゛ッ――、でる、いく、またいく、いぐ、ぃ゛ぐぅッ――!!」

 馨は歯を食い縛り、果てた。薄くなりすぎた水っぽい少量の精液が、遼真の口腔内にじわりと広がる。馨は爪先まで力んで、何度も腰を跳ねさせた。

「ぁひ、あ、ぁあ、りょーまぁあ……」
「ちゃんとイけたね。偉いちや、馨ちゃん」

 遼真に頭を撫でられ、馨は嬉しそうに目を細めた。

「にゃあ……もぉ、いれとうせ、りょーまぁ……」

 掠れた声で愛らしくねだる。遼真は馨を四つ這いにさせ、避妊具を取ろうとした。が、すぐに待ったが掛かる。

「あほぉ、ごむらぁていらんき、なまでいれぇやぁ」
「けど」
「えいき、はよう……もう、ほしゅうてほしゅうてたまらん、おくがうずきゆう……にゃあ、りょーまぁ、なまでほしい」

 目元を赤らめ、尻を振って催促する。遼真は生唾を呑み込んだ。

「後で文句言わんでよ」
「いわん、いわんき、はよう……」

 遼真は馨の腰を掴む。骨は太くてがっしりしているのだが、スポーツをしているわりには肉付きが悪く頼りない。これからはもっとたくさん食べさせなくては、と思った。

 蜜の滴る肉茎で、紅く熟れた花唇にキスをする。ちゅう、と吸い付いて、一旦離れる。また軽く吸い付いて、離れる。銀糸がとろりと伝う様は、目眩がするほどいやらしかった。ひとしきり感触を堪能した後、遼真はようやく腰を入れた。散々焦らされた馨は歓喜の叫びを上げる。

「あっ、あぁっくる、きゆう、りょーまのちんちん、はいってきゆうっ」
「うん……入るよ、奥まで」
「ぁ、あっ、ふかいぃ、……えいっ、きもちえ、げにえいよぉ、りょーまぁっ」
「ん、僕も……馨ちゃんのナカ、熱うて、溶けちゅう……」

 前戯だけで四回も絶頂させた甲斐があった。蕩けた肉襞がねっとり絡み付いて、溜め息は出るし腰が砕けそうになる。それでも耐えてピストンする。位置を微調整して、前立腺を狙い撃つ。すると途端に蜜壺が激しく収縮し、馨はびくんと仰け反った。しばし突っ張った後、だらりと脱力して頽(くずお)れる。ぜえぜえと肩で息をする。

「……中だけでイッたが? 前、何も出やせん」
「わ、から……けど、っ、ずっと、きもちえ、……ま、まだいっちゅう、っ……っき、きもぢえい゛……っ」

 馨は惚けたように呟く。確かに、蜜壺はいまだ不規則に脈打っている。射精を伴わない絶頂というのはこのようなものなのかと感心しつつ、遼真は腰を打ち付けた。

「ゃん゛ッ、ぁ、ああっ、りょーますき、すきぃ、りょぉまぁっ」

 まるでハートマークが乱舞しているかのような甘ったるい喘ぎ声。まるで子供のように無垢な愛くるしさと、目の毒になるほどの艶めかしさとが違和感なく同居している。遼真はなんだか悔しくなって舌打ちをした。

「ここにきて急に、好きやらぁて言うんは、ずるいぜよ」
「ぁんっ、けどぉ、すきやきっ、すき、すきぃ、りょーま、すきぃっ」
「僕の方が好きじゃ! 馨ちゃんがこんまい頃から、ずうっと好いちゅう!」

 馨は頽(くずお)れて腹這いになったまま、夢中でシーツの波を掻く。遼真は馨の太腿に乗り上げて押さえ付け、激しい抽送を繰り返す。ふっくらと柔らかな尻肉がクッション代わりとなり、下腹を包んでくれるのが気持ちいい。突く度に尻がぷるぷる波打つので、思わず揉みしだいた。

「ぁうっ、りょぉますきっ、えいっ、きもちえっ、とまらんよぉっ」
「ああ馨ちゃん……かわいい、好きだよ、大好き、愛してる」
「ひぅっ、くっ、いくぅ、いっ、いっちゅうのにまだいぐっ、ぁ゛おくっ、おぐがじんじんしゆうっ、ぁ゛、あぁっ、――ッッ!!」

 再び射精せずに果てた。一度経験してしまうと体が覚えてしまうらしい。馨が達しても遼真は挿入を重ねる。もはやいつイッているんだかよくわからないくらい、媚肉は断続的に収縮している。

「にゃぁぁあ……りょっ、まぁ♡ ちゅうしたい、りょぉまぁ、ちゅう、しとうせぇ♡」

 少し舌に縺れるような甘え声で媚びる。遼真は馨をうつ伏せから仰向けに返し、覆い被さって密着した。こうすると楽に唇が届く。遼真が舌を出すと、馨は嬉しそうにしゃぶり付く。ぬるぬるの粘膜を擦り合わせ、たっぷり唾液を交換する。

「んぃ、きっ、きもちえいっ♡ ちゅうきもちえいっ♡ もっとしとうせぇ、りょぉまぁっ」
「ん゛……にゃあ、もう、出そうやき……出してえい?」
「えいっ、えいよぉっ♡ だしとうせ、こじゃんとぜんぶ、なかにぜんぶだしとうせぇ♡」

 馨の脚がみっしり絡まり、腰を引こうとした遼真を捕らえた。遼真は焦る。

「か、馨ちゃ、抜かんと中に出てまう、きっと後で困るちや」
「えいっ、なかがえいっ、なかにだしとうせ、りょぉまの子種でかおるを孕ませとうせぇ♡」

 遼真は堪らず唸った。ぴったり密着して馨の唇を塞ぎつつ、奥までずんずん突き入れる。そうして、一番深いところでとうとう精を放った。長い長い射精であった。精を注がれながら、馨も何度か絶頂した。上から強く押さえ付けられているというのに、それを跳ね返す勢いで腰がびくびく痙攣した。

「ふぁ……ぁは、なかぁ……なか、おくまできちゅうぅ……♡」

 汗や涙や涎でどろどろになった顔を、馨はうっとりと緩ませる。

「りょぉまの、あつぃ、……お、おくまで、とけちゅうよぉっ……♡」
「こがぁに出したら、孕むかいねぇ」
「ほしいっ……こども、ほしいにゃあ……」
「元気な子、産んどうせ」
「ぅん、ん、がんばるきぃ……ちゅ、ちゅうしたい、りょぉまぁ」

 ひしと抱きしめ合って、舌を絡め合った。全く、骨の髄までぐずぐずに煮詰まるくらい、濃厚な夜であった。
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