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5 夏休み① ※

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 夏休みの間に、俺たちは爛れた関係になってしまった。桐葉は俺よりも頭がよかったから、勉強を教えてもらうという口実で会いに行った。しかし有り余る精力を無視することなどできなくて、勉強もそこそこに抜き合いっこをした。オナニー覚えたての猿みたいに――みたいじゃなくて実際そうなのだが――俺たちは互いを貪った。
 
 今日もそうだ。二階の桐葉の部屋。エアコンはないけど窓を開けると風が通って涼しい。畳の上で向かい合い、ちんことちんこを擦り合わせていた。兜合わせってやつだ。お互いのものを手に握っているんだけど、桐葉の手はすぐ止まってしまうので、俺が二本まとめて扱いていた。
 
「杉本……ぅあっ、きもちい、すぎもとぉ……」
 
 桐葉は俺の耳元で喘ぐばかりだ。声変わりしたての掠れた声が甘く響く。
 
「あ、アっ、や、そこぉ……」
「ここ? 気持ちいでしょ。好きだもんね」
「ふぁ、あぁっ、やぁぁ」
 
 桐葉は喘ぐのが上手くなった。慣れたというべきか。もちろんおばあちゃんやご近所さんにバレてはまずいので抑え目なのだが、喘ぎながらむせたりえずいたりすることもなくなり、ただただエロい。
 
 桐葉は俺の肩に噛み付くようにして抱きつく。手は首の後ろに回っている。兜合わせなのに、俺のものを触ろうともしないで自分の快楽を追っている。桐葉のちんこが脈打つ。そろそろイクのだとわかる。
 
「ね、顔見して。顔、見たい」
 
 俺がねだると、桐葉は素直に顔を見せてくれる。行為のせいか、夏の暑さのせいか、真っ赤に上気している。さらさらストレートの黒髪が汗で湿り、おでこに張り付いている。普段はつり上がっている眦が下がり、勝気な瞳はとろりと濡れている。身も心も快楽に染まりきっている。
 
 かわいい。こういうのをかわいいと言うのだろう。そうか、桐葉はかわいかったんだ。だから俺は桐葉で抜いちゃうんだ。だってこんなにかわいい顔、一度見たら一生忘れられない。
 
 気づいたら、キスをしていた。桐葉の唇を奪っていた。唇を合わせた瞬間、俺と桐葉はほぼ同時に絶頂に至った。桐葉の口が薄く開いたので、俺は夢中で舌をねじ込んだ。キスのやり方も調べておけばよかった。本能のまま桐葉の舌に自分の舌を絡め、舐めたり吸ったり擦ったりする。鼻から甘い声を漏らしながら、桐葉も夢中で舌を絡めてくる。
 
 気持ちいい。キスってこんなに気持ちいいのかよ。これだけでまた勃起してしまう。腰が重く痺れる。桐葉はかわいいしキスは気持ちいい。頭がどうにかなりそうだった。
 
「杉本……今の、なに」
 
 唇を離すと、惚けた顔で桐葉が言った。
 
「なにって……キス?」
「キス?」
「ちゅ、ちゅうとか、言ったりもする」
「ちゅう……」
「うん。桐葉はよくなかった? キス」
 
 ふるふると首を振る。
 
「なんか、頭ぼーっとして変だった、けど――」
「だよな! 桐葉も気持ちいいよな! もっと舌入れてみてよ。そしたらもっと気持ちいぜ」
 
 どうしてキスなんてしてしまったのだろう。相手は桐葉なのに、女の子じゃないのに、体が勝手に動いてしまった。後悔しているわけじゃない。でも、どうして桐葉なんだろう。
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