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9. 教会
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私は貴族とは名ばかりの没落した一族の出だ。家長である父の爵位は男爵。しかし、かろうじて引っかかっている程度で、貴族と名乗るのもおこがましいほどだ。
だから這い上がるために、とにかく勉強をした。今のリュシイのように、寝る間も惜しんで書物を読み解いた。
十の歳には、学校にある書物はすべて読破してしまっていて、教師が必要ないほどになってしまった。
どこで聞いたかは知らないが、そんな私を、ある日主人が学校まで迎えにやってきたのだ。
「どうですか、もっといろんなことを学びたいとは思いませんか。私のところで勉学に励まれてはいかがでしょう」
本当は、勉強など好きではなかった。ただ必要に迫られていただけの話だ。とにかく恵まれた生活と地位を手に入れるために勉強していたのだ。そしていつか家族にも裕福な生活をさせてやろうと思っていた。
今思えば、なんと子どもらしくないことか、とは思う。でも自分なりに必死だったのだ。
だから今の環境でも構わない、今のままでも十分に出世は望める。今あるものを有益に使えればいい。もちろん、王城に勤めるというこの人についていけば、それがより確実なものになるだろうとは思った。
だが、家族と離れてまでそれは必要なことだろうか、と思ったのだ。
「でも、家族が……」
「では、お家の方にもお伺いしてみましょう。もちろん無理に連れて行くつもりはありませんから、安心してください」
そして私は主人と家に戻った。
両親は、主人の申し出を大喜びで受け取った。
私の将来のことを思って喜んだのかと思ったが、それは違うということを後で知った。
決して裕福ではなかった我が家は、けれども兄弟が多くいた。私を含めて九人。
さらに没落した貴族なのだからよせばいいものを、見栄からなのか使用人を何人も雇っていた。それに、貴族なのだから見栄えを気にしないと、などと言って、装飾品なども買い漁っていたように思う。
とどのつまり、両親は、食い扶持が減ることを喜んだのだ。
私が主人の屋敷に引き取られる前日のことだ。別れの挨拶をしなければと向かった両親の寝室の前で、私はうっかり彼らの会話を聞いてしまった。
「あの子がいなくなると、ずいぶん助かるわね。学費だって馬鹿にならないのだし。勉強するより働いてくれたほうがいいって思っていたけれど、まさかこんなことになるなんて! それに、あの子についている使用人に暇を出すのも躊躇しなくていいわ」
「そのうち仕送りもしてくれるようになるかもしれない。勉強ばかりして面白みのない子だと思っていたけれど、役に立ってくれそうだ」
兄弟たちの寝室も回った。
けれども、勉強ばかりしていた私と彼らはほとんど交流がないようなものだったからか、特に別れを惜しむということはなかった。
「儲かったらさ、こっちにもお金、送ってきてよね」
言われた言葉は、それくらいだ。
そのとき私は思った。二度とこの家には戻ってこない。彼らは他人だ。私は私一人の力で生きていくのだと。
翌日、主人の屋敷に連れてこられて、きょろきょろと辺りを見回す私の手を握って、主人は言った。
「これからは、ここがあなたの家です。私たちは、家族だ」
主人は私の両親がどのような思いでいたかを知っていたのかもしれない。
私はその言葉を聞いたとたん、涙が溢れてきて止まらなくなった。いつしか声を上げて泣いた。そして主人は、ただずっと手を握ってくれていた。
この人に一生ついていこう、そしていつか助けになるのだ、とそのとき決めた。
その後、しばらくしてから主人は言った。
「ジルベルト、あなたのご実家ですがね、王城の指導が入ります。僅かながら領地もありますし、有効に活用していただかないといけませんから」
「そうですか」
私がそれだけ返すと、主人は困ったように、こちらを見返してきた。何か訊き返されると思っていたのだろうか。
けれども、まったく興味が湧かなかったのだから、どうしようもない。
◇
ある日、リュシイに客人がやってきた。
いろいろな人、と主人が言っていたから、これがまず一人目なのだろう。
すらりとした長身の男。どちらかというと女性的な顔立ちをしている。一言で言うと、優男、という感じか。
「ここに、リュシイという女性がいるはずなんだが」
ずいぶんと横柄な言葉遣いだ。
白く丈の長い上着。首からは金糸が縫いこまれた布を掛けている。
どう見ても、祭事服だ。教会の人間のように思われる服装。
だが、気安く「いる」と答えることは躊躇わざるを得ない。本当に主人が知る人物かどうか確認しなければ。どこで不埒な輩が混じってくるかわからない。それは主人の命でもあった。
「失礼ですが……」
「ああ、失礼。私はテオドールと申す者。大法官閣下に言われて来たのだが」
言いながら懐から何やら書類を取り出す。そこには主人の字で、この方の彼女への面談を許可する旨が書かれていた。
テオドール……聞いたことがある。それに、この服装。襟元の三つの星は、教会の司祭であることを表す。
テオドール。司祭。
「あっ」
思わず、声を挙げる。
「し、失礼いたしました! すぐに呼んで参ります」
教会の頂点に立つ教皇の、息子。おそらくは次期教皇なのだと言われている。横柄な物言いは当然のことだ。
そういう反応には慣れているのか、彼は、「いや、いい。急がなくとも」と何を気にする風でもなく言った。
それでも私が慌てて彼女の私室に向かおうと振り返ると、玄関先に自分への訪問客がいることに気付いたのか、リュシイは廊下の向こうからひょっこりと顔を覗かせていた。
……だから、そういう子どものようなことはしてはいけない。貴族の娘はそういうことはしないものなのです。
私はその言葉を飲み込んだ。
「リュシイ、こちらは……」
彼女は、知っている、と私に教えるために、私がすべてを言い終わる前に首を縦に振った。
そしてこちらに歩み寄り、司祭さまに向かって話しかける。
「司祭さまに、わざわざご足労いただいて」
「もちろん。あなたのように美しい女性のためならば、どこにでも足を運びますよ」
そう言って、テオドール司祭は微笑んだ。
「まあ。嬉しがらせを仰いますのね」
そう言って、リュシイはころころと笑った。
司祭さまは、少し首を傾げて言った。
「急に来ることになってしまったのだが、私という人間が来ることを、ご存知でしたか?」
「ええ」
「なるほど」
司祭さまは、何やら考え込んでいるような感じだったが、だが少しして顔を上げると、リュシイに微笑みかけた。
「では、始めましょうか」
「はい」
……なんなんだ、これは。
教皇といえば、国王には及ばないものの、この国では重要な権力者だ。その息子。次期教皇。
なのに、なぜ一般教養すら身につけていない彼女が、彼を知っている? どういう状況で出会うことができるのだろう?
仮に彼女が熱心な信者としても、彼ほどの身分の者と接点があるとは思えない。
「私の部屋でもよろしいでしょうか?」
そう言って、彼女は身体を斜めにして彼を促した。
「私はもちろん構わないが、怒る方がおいでではないかな」
「まさか、怒るだなんて」
「果たしてそうかな?」
「では、客間のほうに」
「そのほうがよろしいでしょう」
そう言って二人して和やかに会話しながら立ち去っていく。
私は呆然として二人の背中を見守るしかできなかった。
彼女は、いったい何者なのだろう。
改めて、そんな疑問が胸の中に湧いた。
だから這い上がるために、とにかく勉強をした。今のリュシイのように、寝る間も惜しんで書物を読み解いた。
十の歳には、学校にある書物はすべて読破してしまっていて、教師が必要ないほどになってしまった。
どこで聞いたかは知らないが、そんな私を、ある日主人が学校まで迎えにやってきたのだ。
「どうですか、もっといろんなことを学びたいとは思いませんか。私のところで勉学に励まれてはいかがでしょう」
本当は、勉強など好きではなかった。ただ必要に迫られていただけの話だ。とにかく恵まれた生活と地位を手に入れるために勉強していたのだ。そしていつか家族にも裕福な生活をさせてやろうと思っていた。
今思えば、なんと子どもらしくないことか、とは思う。でも自分なりに必死だったのだ。
だから今の環境でも構わない、今のままでも十分に出世は望める。今あるものを有益に使えればいい。もちろん、王城に勤めるというこの人についていけば、それがより確実なものになるだろうとは思った。
だが、家族と離れてまでそれは必要なことだろうか、と思ったのだ。
「でも、家族が……」
「では、お家の方にもお伺いしてみましょう。もちろん無理に連れて行くつもりはありませんから、安心してください」
そして私は主人と家に戻った。
両親は、主人の申し出を大喜びで受け取った。
私の将来のことを思って喜んだのかと思ったが、それは違うということを後で知った。
決して裕福ではなかった我が家は、けれども兄弟が多くいた。私を含めて九人。
さらに没落した貴族なのだからよせばいいものを、見栄からなのか使用人を何人も雇っていた。それに、貴族なのだから見栄えを気にしないと、などと言って、装飾品なども買い漁っていたように思う。
とどのつまり、両親は、食い扶持が減ることを喜んだのだ。
私が主人の屋敷に引き取られる前日のことだ。別れの挨拶をしなければと向かった両親の寝室の前で、私はうっかり彼らの会話を聞いてしまった。
「あの子がいなくなると、ずいぶん助かるわね。学費だって馬鹿にならないのだし。勉強するより働いてくれたほうがいいって思っていたけれど、まさかこんなことになるなんて! それに、あの子についている使用人に暇を出すのも躊躇しなくていいわ」
「そのうち仕送りもしてくれるようになるかもしれない。勉強ばかりして面白みのない子だと思っていたけれど、役に立ってくれそうだ」
兄弟たちの寝室も回った。
けれども、勉強ばかりしていた私と彼らはほとんど交流がないようなものだったからか、特に別れを惜しむということはなかった。
「儲かったらさ、こっちにもお金、送ってきてよね」
言われた言葉は、それくらいだ。
そのとき私は思った。二度とこの家には戻ってこない。彼らは他人だ。私は私一人の力で生きていくのだと。
翌日、主人の屋敷に連れてこられて、きょろきょろと辺りを見回す私の手を握って、主人は言った。
「これからは、ここがあなたの家です。私たちは、家族だ」
主人は私の両親がどのような思いでいたかを知っていたのかもしれない。
私はその言葉を聞いたとたん、涙が溢れてきて止まらなくなった。いつしか声を上げて泣いた。そして主人は、ただずっと手を握ってくれていた。
この人に一生ついていこう、そしていつか助けになるのだ、とそのとき決めた。
その後、しばらくしてから主人は言った。
「ジルベルト、あなたのご実家ですがね、王城の指導が入ります。僅かながら領地もありますし、有効に活用していただかないといけませんから」
「そうですか」
私がそれだけ返すと、主人は困ったように、こちらを見返してきた。何か訊き返されると思っていたのだろうか。
けれども、まったく興味が湧かなかったのだから、どうしようもない。
◇
ある日、リュシイに客人がやってきた。
いろいろな人、と主人が言っていたから、これがまず一人目なのだろう。
すらりとした長身の男。どちらかというと女性的な顔立ちをしている。一言で言うと、優男、という感じか。
「ここに、リュシイという女性がいるはずなんだが」
ずいぶんと横柄な言葉遣いだ。
白く丈の長い上着。首からは金糸が縫いこまれた布を掛けている。
どう見ても、祭事服だ。教会の人間のように思われる服装。
だが、気安く「いる」と答えることは躊躇わざるを得ない。本当に主人が知る人物かどうか確認しなければ。どこで不埒な輩が混じってくるかわからない。それは主人の命でもあった。
「失礼ですが……」
「ああ、失礼。私はテオドールと申す者。大法官閣下に言われて来たのだが」
言いながら懐から何やら書類を取り出す。そこには主人の字で、この方の彼女への面談を許可する旨が書かれていた。
テオドール……聞いたことがある。それに、この服装。襟元の三つの星は、教会の司祭であることを表す。
テオドール。司祭。
「あっ」
思わず、声を挙げる。
「し、失礼いたしました! すぐに呼んで参ります」
教会の頂点に立つ教皇の、息子。おそらくは次期教皇なのだと言われている。横柄な物言いは当然のことだ。
そういう反応には慣れているのか、彼は、「いや、いい。急がなくとも」と何を気にする風でもなく言った。
それでも私が慌てて彼女の私室に向かおうと振り返ると、玄関先に自分への訪問客がいることに気付いたのか、リュシイは廊下の向こうからひょっこりと顔を覗かせていた。
……だから、そういう子どものようなことはしてはいけない。貴族の娘はそういうことはしないものなのです。
私はその言葉を飲み込んだ。
「リュシイ、こちらは……」
彼女は、知っている、と私に教えるために、私がすべてを言い終わる前に首を縦に振った。
そしてこちらに歩み寄り、司祭さまに向かって話しかける。
「司祭さまに、わざわざご足労いただいて」
「もちろん。あなたのように美しい女性のためならば、どこにでも足を運びますよ」
そう言って、テオドール司祭は微笑んだ。
「まあ。嬉しがらせを仰いますのね」
そう言って、リュシイはころころと笑った。
司祭さまは、少し首を傾げて言った。
「急に来ることになってしまったのだが、私という人間が来ることを、ご存知でしたか?」
「ええ」
「なるほど」
司祭さまは、何やら考え込んでいるような感じだったが、だが少しして顔を上げると、リュシイに微笑みかけた。
「では、始めましょうか」
「はい」
……なんなんだ、これは。
教皇といえば、国王には及ばないものの、この国では重要な権力者だ。その息子。次期教皇。
なのに、なぜ一般教養すら身につけていない彼女が、彼を知っている? どういう状況で出会うことができるのだろう?
仮に彼女が熱心な信者としても、彼ほどの身分の者と接点があるとは思えない。
「私の部屋でもよろしいでしょうか?」
そう言って、彼女は身体を斜めにして彼を促した。
「私はもちろん構わないが、怒る方がおいでではないかな」
「まさか、怒るだなんて」
「果たしてそうかな?」
「では、客間のほうに」
「そのほうがよろしいでしょう」
そう言って二人して和やかに会話しながら立ち去っていく。
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