母の全てを送るまで

くろすけ

文字の大きさ
上 下
35 / 76
東京の実家。居場所は誰も何処にもない

Sやんとの出会い

しおりを挟む
ある夜、いつものようにアルバイト先におはよーございまーす!と出勤すると、レジにモヤシが立っていた。
そのモヤシはお客様を面倒そうにあしらい、接客の「せ」の字もわかっていないただの若モヤシだった。

個人的なら全然良い。
ただ、全国展開しているチェーン店でその接客はマズイ!!と急いでタイムカードを押し、レジのヘルプに向かった事を覚えている。

お客様にはこう接するんだよーとか、品出しは後入れ先出しだよーとか教えても、「あ、そっすか」くらいの反応でスカしていて当時の私はイライラした。
彼は当時高校卒業ホヤホヤの18歳、私まだ血気盛んな22歳の春の出会いだったと思う。
仕事に対してギャアギャア言ってくる私の事を彼も苦手だったと思う。

夜勤の人数は限られていたので、どうしたもんかな?と考えあぐねていた。

ある日Sやんが休みの日にちょっとした事件で、勤務先の店に来る事になる。

たまたま仲の良い派遣の人と私だけのシフトだったので、派遣の人にお店を任せて裏に入ってお話を聞いた。

話を聴くにつれて、あれ?この子めっちゃ芯があるじゃん?
へにゃモヤシじゃなくて芯モヤシやん!!!
と思った。

人を見かけで判断される事が大嫌いだった私が、寧ろ人の事を見た目で判断してしまい凄く反省した。

Sやんはその後アルバイトを先に辞めたが、その後に勤める事になるパチンコ店でも系列で働いていたり。
何なら「僕2丁目で働こうと思ってるんです」といきなりメールが来て、「悪い事は言わないから辞めておきな。酒飲めないでしょ?それに身体壊すだけだよ」と私の事は全然カミングアウトしてないのだが、何故かその後も職場が被る事が多く。

なんだかんだと腐れ縁が続き、ちょっとした私の節目でカミングアウトした時のあのビックリした顔は忘れられない。
Sやんなら最初から話してもわかってくれただろうに、黙ってて本当ゴメンね。

私はシゲの件から名前を変えて、今の名前になってからずっとアルバイト先で自分の事は明かさなかった。
ただの頑固者だと思われそうだが、男として生きていくスキルを実践で身につけたかったのだ。
お陰様でバレる事もなかったし、勘付かれる事もなかった。

他のネタバレだが、ここ5年くらいかな?
Sやんはもう1人の友人も含め正月の挨拶も兼ねて、祖母も交えて一緒にすき焼きを食べたり、カラオケに一緒に行ったりしてくれた。

亡き祖母にも線香をあげに来てくれて本当にありがとう。
これからもずっと宜しくな!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

景気ウォッチャー記録。

moco
エッセイ・ノンフィクション
景気や物価に関するメモです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...