母の全てを送るまで

くろすけ

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番外編 大阪での暮らし

子をシゲって読ませたらええやん!

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その後も中々仕事が決まらず、最初のレオパレスのマンスリーや家の敷金や家賃請求でみるみる貯金は減って行った。

あー、これ詰んだな。でも実家には言えないしなぁ…。
どないしたらええんやろ?

そんな時にダンス界隈でもインターネットを駆使していたが同じくFTM関連でも駆使をしており、高校時代からのFTM関連の連れが「なぁ、暇?飯食いにこーへん?」くらいの緩い連絡をくれた。
私は二つ返事で「はい、イエス、喜んで」
と飛んで会いに行き、現状の悩みを話した。
すると今は多分もう使えない技だと思うが、当時は通用する技を教えて貰い。

私は◯子と言うもう本当に逃げ場のない女の子の名前をしていた。
だから改名をするまで男として働く事は諦めていたし、無理だと思っていた。

その連れは子ってシゲって読むで!!これで口座作って男として働けばええやんか!!
と本当目から鱗の助言をくれて。

翌日おっかなびっくり銀行に◯シゲで口座を作りに行ったら、すんなりと口座が作れて「え?!??!ほんまにいいの?!?!?!?!」と思い
直ぐにそのアドバイスくれた連れに
「ほんまにありがとう!!!」と電話かメールしたの覚えてる。

アドバイスを貰う前までの私は名前と実在のギャップで中々仕事が決まらない時期が確か半年くらい続いていた。
遠く離れた実家でお世話になっていた100円ショップとは系列は違うけれども、面接を受けて実績を上げるための仕事面のアピールをし、人手不足もあったと思うがなんとか採用して貰った。
同時に口座を開設した事により、ある意味ゆるーく、自分に素直に面接をして頂いたピザ屋の仕事も決まり、更には彼女のアルバイト先から宅配の人が足りないからとアルバイトのトリプルワークを始める事になる。

ただ、様々な仕事が決まるのは本当に有り難い話だが、給料日は翌月なので既にすっからかん状態の私は朝から水で腹を膨らまし、ピザやお弁当の美味しい匂いで空腹を凌ぎ、100円ショップで夜まで働くと言う日々が続いた。

水だけの生活は最初の3日くらいは全然大丈夫だったが、1週間を越えてくると視界がモノクロになってきて、自分がしっかり歩けているのかもわからなくなる。
彼女はそんな私の状態は知っていたが、多分彼女の母から何もするなと言われていたんだろうな。

ああ、横道だが思い出した。
私が家庭内や大学の事を全て整理をつけて近くの家に住み出した際に彼女の母から呼び出された。
今更何?と思いながらケンタッキーに向かったのを覚えている。
お話を伺うと「私はあんたと私の娘の関係は認めない。別れてくれ」
との事。
しかもそれを母にも話したようだ。

私は彼女と別れる別れないよりも先に、ようやく仲良くなってきた母になんて事をしてくれるんだ!!!と怒りでいっぱいだった。

その後も彼女の母から私は酷い事をされ、反対してる彼女の母からすると当たり前だがの事を散々されるのだが、それなら私が大阪に帰ってくる前に、私に釘を刺せば良かっただけの話なのに。なんて話のわからない人だったんだと思う。

それでも彼女のお母さんの誕生日にケーキを買って持って行った事がある。嫌いだったが、その母が居なかったら彼女の存在はないからだ。
まぁ想像が容易いと思うが、持って行ったケーキは玄関先で払い落とされ、更に足で踏まれると言う、ケーキにとってとっても可哀想な事になってしまった。

話が脱線した。
あまりにフラフラな私の事を心配してドケチな彼女が、無言で部屋ノブに弁当を下げて行ってくれた。
それは確か給料日の3日前くらいだったと思う。

私は涙しながら「美味しい!!ありがとう!!」と感謝した。

あくまで私の経験論で、これは一般的ではないと思うのだが、人間は視界はモノクロになるが2週間くらいは水だけで生き延びれる。
お米やタンパク質が少量でもあると更に良い。

無事給料日を迎えた後は、まかないもありながら1人暮らしの一般的な食生活をしていたので、視界がモノクロになる事はその後無かった。
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