22 / 31
第二十二話 浮かれる誠
しおりを挟む
昨日の出来事をそっと胸にしまい、今日からまた舞との攻略に力を入れる。
コボルトから魔法の杖をドロップしてから数か月、主戦場を9層に移動している。
10層で確認できているモンスターで確認できているのはリザードマン、ファイアスライム、ファイアスピリット、レッドアリゲーターなど熱属性のモンスターがほとんどである。もしかしたら確認不足で他にもいるかもしれないが、今回はそういった可能性よりも確実に水系のモンスターのいる9層に狙いを絞って攻略をしている。
「さすがにSRともなるとめったにでないわね、いい加減ここで戦うのも飽きてきたわ」
「ドロップは運が必要だからな、コツコツやるしかない。ガチャで幸運のネックレスを出せばいけるんじゃないか?ガチャ回せよガチャ」
「回してるわよ!でも出ないんだからしょうがないでしょ、なにあれふざけてるとしか思えない排出率だわ!」
「まあ皆が知ってるクソガチャだからな、たま~に当たりが出るけど0.0001%くらいじゃねえか、宝くじ当てるほうが現実的かもな」
「はあ~結局あんたと潜り続けるしかないのね」
「なんだ不満か?俺のおかげで安全に探索出来てるだろうが」
「それはそうだけどねえ、ちょっと性格が」
「お互い様だろそれは」
うん、俺にはこいつのような関係の方が楽だ、お金で買う愛はそれとは別のものだ。
実際にああいう場面でイケメンのように振舞うのは難しいと実感させられた。
ダンジョンの状況はというと、15層で必要な装備が13層で出るアイスゴーレムからドロップしたことのように、6層から9層の間で10層に必要なドロップが出ないか上から検証していった。各層を2週間みっちり探索し、数多のドロップを出していく中で、効果的なアイテムが出ないまま9層まで来てしまった。
9層に入って炎の塊———レイスとは違い物理攻撃も魔法攻撃も効く―――ファイアスプリットと名付けたモンスターからN魔法の杖がドロップした。そしてしばらくそいつを倒しているとN火のローブをドロップし予想が確信へと変わった。
魔法装備はこいつで間違いない。
ここでSR装備を出すまで粘るか、換金してSR装備が買えるまで探索を続けるか。そういう目標で決まった。
SR装備品は100万円を超えることが珍しくなく、素材と違って高めになっている。装備品は冒険者の安全に直結するため出回る数も少ない。なのでSR装備が買える金額まで貯めるには結構な時間がかかりそうだった。
「目星がついただけましね、しばらくよろしく頼むわよ」
「りょーかい」
でも目標達成したらこのパーティーも解散かあ。
それはそれで少し寂しいかもと思った。
この日も目的のSR装備はドロップせず、ダンジョンから帰還した。
特に予定もなかったのでふらっと商店によった。すると高級ポーションという文字が目に入った。
”重傷を負っても瞬間回復、千切れた腕もくっつけてしばらくすれば元通りに、ダンジョンの保険にどうぞ”
5000万円と書かれたポーション。余ったタラーで買える値段だ。今日はカジノによって行こうかと思ったが、何かの時の為に持っておくのもいいかと高級ポーションをいくつか購入する。
「お前か、こんなポーション使う場面に合わないほうがいいんだけどな、そもそもこれが必要なケガをしてる時点でもう治しても危機的な状態だろう?無駄になるからやめときな」
「それはソロだった場合だろ?今二人で潜ってるからどっちかが敵を引き付ければ十分対応できるんだよ」
「そういや赤い髪の女と一緒にいるのをよく見かけたが、まさかパーティとはな、お前もようやく仲間を得たのか」
「なんでお前が世話してきたみたな顔してんだよ」
ヨヨヨとウソ泣きをする店主をよそに店を後にする。
ダンジョンを出て携帯を見ると連絡が来ていた。
優菜ちゃんだ。
[昨日はすいませんでした。改めてお話ししたいので空いてる時間を教えてください]
俺はいつでもいいよ!と返事をして、それなら1週間後でいいでしょうか、と優菜ちゃんからメールが返ってきたのでもちろんと返事をした。
これって、もしかして、告白うー!?
ウキウキで一週間の探索を終えた。舞には気味が悪いって感じのことを言われたがそれもしょうがない。だって浮かれてるもの。
ついでにSRの魔法の杖をドロップした。あとはローブとナイフが出ればこのコンビも解消だ。ファイアスピリットからナイフもドロップするかは分からないが。
優菜ちゃんとの話の前日、景気づけにカジノによった。
1000万タラー勝った。こりゃ明日も勝ったな。
コボルトから魔法の杖をドロップしてから数か月、主戦場を9層に移動している。
10層で確認できているモンスターで確認できているのはリザードマン、ファイアスライム、ファイアスピリット、レッドアリゲーターなど熱属性のモンスターがほとんどである。もしかしたら確認不足で他にもいるかもしれないが、今回はそういった可能性よりも確実に水系のモンスターのいる9層に狙いを絞って攻略をしている。
「さすがにSRともなるとめったにでないわね、いい加減ここで戦うのも飽きてきたわ」
「ドロップは運が必要だからな、コツコツやるしかない。ガチャで幸運のネックレスを出せばいけるんじゃないか?ガチャ回せよガチャ」
「回してるわよ!でも出ないんだからしょうがないでしょ、なにあれふざけてるとしか思えない排出率だわ!」
「まあ皆が知ってるクソガチャだからな、たま~に当たりが出るけど0.0001%くらいじゃねえか、宝くじ当てるほうが現実的かもな」
「はあ~結局あんたと潜り続けるしかないのね」
「なんだ不満か?俺のおかげで安全に探索出来てるだろうが」
「それはそうだけどねえ、ちょっと性格が」
「お互い様だろそれは」
うん、俺にはこいつのような関係の方が楽だ、お金で買う愛はそれとは別のものだ。
実際にああいう場面でイケメンのように振舞うのは難しいと実感させられた。
ダンジョンの状況はというと、15層で必要な装備が13層で出るアイスゴーレムからドロップしたことのように、6層から9層の間で10層に必要なドロップが出ないか上から検証していった。各層を2週間みっちり探索し、数多のドロップを出していく中で、効果的なアイテムが出ないまま9層まで来てしまった。
9層に入って炎の塊———レイスとは違い物理攻撃も魔法攻撃も効く―――ファイアスプリットと名付けたモンスターからN魔法の杖がドロップした。そしてしばらくそいつを倒しているとN火のローブをドロップし予想が確信へと変わった。
魔法装備はこいつで間違いない。
ここでSR装備を出すまで粘るか、換金してSR装備が買えるまで探索を続けるか。そういう目標で決まった。
SR装備品は100万円を超えることが珍しくなく、素材と違って高めになっている。装備品は冒険者の安全に直結するため出回る数も少ない。なのでSR装備が買える金額まで貯めるには結構な時間がかかりそうだった。
「目星がついただけましね、しばらくよろしく頼むわよ」
「りょーかい」
でも目標達成したらこのパーティーも解散かあ。
それはそれで少し寂しいかもと思った。
この日も目的のSR装備はドロップせず、ダンジョンから帰還した。
特に予定もなかったのでふらっと商店によった。すると高級ポーションという文字が目に入った。
”重傷を負っても瞬間回復、千切れた腕もくっつけてしばらくすれば元通りに、ダンジョンの保険にどうぞ”
5000万円と書かれたポーション。余ったタラーで買える値段だ。今日はカジノによって行こうかと思ったが、何かの時の為に持っておくのもいいかと高級ポーションをいくつか購入する。
「お前か、こんなポーション使う場面に合わないほうがいいんだけどな、そもそもこれが必要なケガをしてる時点でもう治しても危機的な状態だろう?無駄になるからやめときな」
「それはソロだった場合だろ?今二人で潜ってるからどっちかが敵を引き付ければ十分対応できるんだよ」
「そういや赤い髪の女と一緒にいるのをよく見かけたが、まさかパーティとはな、お前もようやく仲間を得たのか」
「なんでお前が世話してきたみたな顔してんだよ」
ヨヨヨとウソ泣きをする店主をよそに店を後にする。
ダンジョンを出て携帯を見ると連絡が来ていた。
優菜ちゃんだ。
[昨日はすいませんでした。改めてお話ししたいので空いてる時間を教えてください]
俺はいつでもいいよ!と返事をして、それなら1週間後でいいでしょうか、と優菜ちゃんからメールが返ってきたのでもちろんと返事をした。
これって、もしかして、告白うー!?
ウキウキで一週間の探索を終えた。舞には気味が悪いって感じのことを言われたがそれもしょうがない。だって浮かれてるもの。
ついでにSRの魔法の杖をドロップした。あとはローブとナイフが出ればこのコンビも解消だ。ファイアスピリットからナイフもドロップするかは分からないが。
優菜ちゃんとの話の前日、景気づけにカジノによった。
1000万タラー勝った。こりゃ明日も勝ったな。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
逃れる者
ヤマサンブラック
大衆娯楽
昭和四十九年も終わろうとしている冬のある日、藤岡が出入りする雀荘『にしむら』に、隻腕の男・石神がやってきた。
左手一本でイカサマ技を使い圧倒的な強さを見せる石神に対し、藤岡たちは三人で組むことにしたが……。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる