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第十八話 意外とお似合い?

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「ちょっとしっかり守ってよね、私魔法職なんだから」
「腰にあるナイフ使えばいいだろ、一応近接も出来なきゃここまでこれないだろソロで」

 次の日、舞と待ち合わせをしてダンジョンに潜る準備をした。以前もっていた装備はすべてないらしく、貸しということで店にあるNの装備を揃えてあげた。ポーションも買い、万全の状態でダンジョンへと挑んでいた。

「あーまたNドロップ…最低でもSRじゃないといけないのに」
「そういうの物欲センサーに引っかかるぞ、無心だ無心」

 基本的に倒すのは舞の役割だ。ドロップ品の所有権が渡るのもあるが、こっちはN幸運のネックレスをつけているので、無駄な運は少しでも減らしたかったからだ。もちろんLR幸運のネックレスを付けることはしない。こんなことで使ってたまるかってんだ。

「でも探索自体は順調ね、これなら5層でR装備くらい探せるんじゃない?」
「そうだな、俺もそう思うよ」

 俺たちは今3層の迷宮を探索している。装備の具合を確かめるためと、お互いの力量を認識するためだ。舞の装備はNなので大した火力はないが、10層までこれた実力くらいはギリギリあるかなと思える程度の身体能力だった。まぁ魔法が主体だしそんなに体は鍛えられてないだろうと思い納得する。

 俺はというと、前回めちゃくちゃ回したガチャから出たR装備に身を包んでいる。結構な数が出たのでいくつかのセット装備をアイテムボックスに入れてある。許容量がどれくらいあるかは分からないが、少なくとも3000近くの種類のアイテムを入れても入ったのでかなりの大きさであることはわかる。そもそもアイデムボックスってなんだよ。普通に受け入れちゃってるけど、こんなよくわかんない亜空間、何で世の中許容してんだよ。

「なに、あんた知らないの?アイテムボックスは悪意を持って使おうとすると体に変調をきたすって、まぁそれでも悪意もなく使うやつや、下の立場の奴に無理やり取得させてそいつに運ばせたりする犯罪はないわけじゃないけど、アイテムボックスを使った犯罪は量刑がかなり厳しくなってるのよ」

 知らないよ、だって俺ダンジョンに潜ってただけだし。

「舞ってやけに詳しいよな、もしかしてやめた仕事って、マスコミかなにかか?」
「そうね、広義的にはそういった職種だったわ」

 機密事項らしく、舞には色々謎は多いが悪い感じはしない。俺に対してとげとげした言葉を感じることはあるが、気軽な感じでむしろちょっと心地いい。久しくいなかったけど女友達ってこんな感じだったよな。

 意外と楽しいと感じる舞との探索は順調だった。その日のうちに5層に降りて戦闘を何度も行う。
 さすがにNの武器だけあって攻撃力が低く、舞が敵を倒すまでに数発を要するがそれだけだ。水魔法も多彩で、水の球を飛ばすだけでなく、水をミストのように使い相手の素早さを下げて、仲間の素早さをあげるような支援魔法のようなことも出来るようだ。空間にある程度固定した水で相手を窒息させることもできる、俺の補助が必要なんだけどそれでも順調に倒していった。

 最悪俺が攻撃すれば倒せるし、ドロップをすべて舞に譲るために手加減しているのだ。俺達に余裕が出てきたのか舞から話しかけられる。

「あんたこんだけ強いんだからかなり稼げてるでしょ、何に使ってるのよ」
「何って…ここのダンジョンに潜ってる時点で分かるだろ?ギャンブルだよギャンブル、宵越しの金はほとんど持たねぇ主義だ」
「うわぁ……もったいな、あのねぇ……保険はどこにでも持ってたほうがいいわよ。私みたいに無職になると何するか分からないし」

 実感の籠った舞の言葉が胸に響く。確かに金についての保険はない。装備についてはLR幸運のネックレスとUR男爵吸血鬼の指輪がある。舞の言葉に俺はまだSSR氷の小手の料金を換金していないことを思い出した。昨日は舞に突撃されたので俺はすっかり忘れていた。

 舞の行動を思い出す。心の余裕のない人間は何をするかわからない。そもそも俺は4桁の借金をするような甲斐性なしだ。今日帰ったら現金払いにしよう。舞のおかげで決心がついた俺は、心が少し軽くなるのを感じた。

「やった!R装備が出たわ!これで少しはマシになるわね」

 コボルトからRコボルトの鎧がドロップすると、舞の歓声が上がる。心もとないN装備から大幅な防御力アップが見込めるだろう。その後も狩りを続けたが、R装備はドロップしなかった。俺は初日にしては上出来だろと思ったが、舞は少し不満げだった。

「あんたと一緒ならもっとドロップいいかと思ったんだけどねぇ」

 そりゃ幸運のネックレスが必要になるから、頑張ってガチャから出してくれよ。
 ドロップした魔石は折半しておいた。さすがに何も報酬がないと俺も頑張れないからね、1000連貯めるために魔石は確保しておきたいし。

 この日は何もしなかった。美人と二人きりで過ごせて割と満足した。
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