神速の凡才剣士

藤堂 鷹獅

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23話

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「皆さん。お集まりいただきありがとうございます」
公式試合のメインスタジアムである第一闘技場の中に、全校生徒4096人全員が集まり、タッグを登録した順に用意された椅子に座る
俺とメアさんは2048グループの中で、43番目に登録していた
比較的早い方だ
「本日は、皆さんが待ちに待った、校内選抜戦組み合わせ抽選会の日です」
校内選抜戦は、2人1組のグループを8ブロックに分けて、トーナメント方式で行われる
そして、そこで優勝したタッグが晴れて代表として剣技魔導祭にアルセリア学園の代表として出場できるのだ
優勝までは8試合と過酷だ
しかも、その全てを1ヶ月以内に終わらせるという強行日程
それ故に、組み合わせが大きく勝敗を左右すると言っても過言ではないだろう
昔にも、代表候補筆頭だったタッグが、疲労や魔力が回復しきれていないところで決勝を戦った結果、無名のタッグに負けるという事案も発生している
「学園長訓示 学園長 お願いします」





「はっ!?」

「どうしたのー?」

「いえ…なんでもありません」
俺は、壇上に上がった人物を見て驚いた
そこには、俺たちと、年齢が大して変わらないような容貌をしている女性が立っていたからだ
しかも、その人を俺は知っている
昔、って言っても3年前だが、一度だけ、親父関係で顔を合わせたことがある
世界魔導師ランク 2位 絶世の魔導師 ミラ=フローズン
テンションが上がっている新入生は何名かいるが、結構の人は冷静に話を聞いている
もしかして、気づいてないのか!?
勉強不足だな。と、少し優越感に浸る
「生徒のみなさん。お久しぶりです。あ、そういえば、新入生の皆さんは、はじめましでですね。少し諸用で今学期はなかなか学園に顔を出すことができませんでした。しかし、学園の先生から、あなたたちのことはいつも聞いていました。生きのいい新入生も入ってきたそうですし、今回の校内選抜戦は、面白くなりそうです。間に合ってよかったなーほんと!あ、ごほん…」
おいおい、最後のは絶対心の声だろ
「失礼しました。今年も熱くレベルの高い試合を観れるのを楽しみにしています。生徒の皆さん!剣技魔導祭目指して頑張ってください」
頭を下げて、ミラは壇上から降りていく
もしかして、あの人、俺のことを言ってた?
「生きのいい新入生」って
しかも、その話してる時、俺の方見てたし
「生徒会長挨拶」


「カリーナ=メルスタイン」
そこで、地面が揺れるような声援が起きる
俺も、すこし固まっちまった
…その、声援に
アイドルの登場かと思ったよ
モデル体型の薄い紫のかかったピンク、言い換えると、パウダーピンクの綺麗な髪の女性が壇上に上がる
確かに美しいな
「いた!?」

「むー」
なんか、急にメアさんに叩かれた
そして、メアさんの機嫌を直してるうちに、生徒会長挨拶が終わってしまっていた
何を話したか、全く聞いていなかった
カリーナが壇上から降り、自分の席に戻り、座った瞬間
会場の照明が全て消えた
「え!?」

「またこれー?」
そして、アップテンポの音楽が流れると同時に、カラフルな照明がつく
「お前ら!!!お待ちかねの!!抽選会の時間だぁぁぁ!!!」

「「ぉぉぉぉぉ!!!」」
雄叫びが上がる
てか、さっきまでの雰囲気どこいった!?
「驚くのは無理ないよー」

「…ですよね」
この変わり方に、俺はまだ理解が追いついてない
てか、急に仕切りはじめたの誰だ
「今日は、俺、DJが司会を務めていくぜぇぇぇぇ!!」

「「おぉぉぉぉぉ!!」」
もしかしてこの人有名な人なのか?
全く知らないんだけど
「この人はー、世界大会とかでアナウンスやってる人だよー」

「まじか」
とゆうことは、中継を見るとこのテンションに付き合う羽目になるのか
副音声で場内の音だけにして見ることにしよう
「それじゃあ!抽選を始めていくゼェェェ!」
壇上の後ろにあるスクリーンにトーナメント表が映し出される
「エントリーナンバー1のタッグは、前に出て来い!」
その声に従って、一番前の席の人たちが壇上に向かっていく
「それじゃぁ!名前と意気込みをどうぞ!!!」
何!?みんなの前で決意表明だと!?

「3-Bサル=アルマです!頑張ります」

「2-Bケル=アルマ!!頑張ります!」
んー、個性がないなぁ
って、俺も考えとかないと
「意気込みも聞かせてもらったので、早速抽選してもらおう!片方の人がブロック、片方の人が番号の札を引くぞ!」
前の二人が別々の箱に手を入れ、紙を取り出し、DJに渡す
「この2人は!Cブロック 3番だぁぁぁ!」
スクリーンにCブロックのトーナメント表の3番のある山かま拡大され、そこに名前が刻まれる
なんか、演出もカッコいいな
嵐のような拍手が起こる
あそこは、誰でも、みんなに注目される場所なんだ
早く俺も引きたいな
うずうず
「トウヤくん。どっちのくじを引くー?」

「じゃあ!番号で!」

「それじゃー、私、ブロックねー。いいとこ頼んだよー」

「任してください!」
着々と抽選が進んでいくが、まだ対戦相手の決まったタッグはない
まぁ、凄い数が参加するししょうがないか
俺たちの前には、有名どころは誰もいない
多分、有名どころの初っ端は俺たちだろう
「次はぁぁぁぁぁぁ!43番!!!前に出てこーい!」
俺たちを呼ぶ声がする
「行きましょう」

「そうだねー」
この人、緊張しないのかな
いつも通りのマイペースやな
そして、俺たちが壇上に登った時、一瞬、静寂が訪れる
すこしして、ざわめきが起こる
「あれって、シェニアさんといい試合したやつだろ!?」

「しかも、あのパートナー、メア=ユートピアじゃないか!?」

「強くない?ここ!」

「できるだけ当たりたくないなぁ…」
様々な声が聞こえる
でも、コソコソと悪口を言ってる奴はいない
それだけはすこし嬉しいよね
「お、おぅ…強そうだなこのダッグ…」
歴戦の勇者を見てきている彼に認められたような気がしてすこし嬉しい

「DJさんー、おひさでーす」

「お、メアちゃん。久しぶりだね」

「今年も剣技魔導祭の実況お願いしますねー」

「お~、言うねぇ…選抜戦は眼中にないと?」

「そうですねー」
…この人、さらっとすごいこと言ってるぞ
これは負けられない
「それじゃあ!名前と意気込みをどうぞ!」
俺は一歩前に出る
みんなの視線が俺に集まる
なんか、気持ちいい
「1-A トウヤ=キリュウです。メアさんが前向きなこと言ってるので俺も言いますね」

「俺は、選抜戦なんかで立ち止まってなんかいられないんです。だから、俺の前に立ち塞がるなら、全力で潰します」
ざわついていた会場が一気に静まる
すこし、やってやった感が出てていい
「おぉ!これは、とんでもないビックマウスだ!負けるつもりはないと?」

「はい!全力で来てください」
その言葉にまばらに拍手が起こり、徐々に音が大きくなっていく
絶対に負けられない
「メアちゃんはもう話したからいいよね?」

「はいー」
いや、いいんかーい
「それじゃ!抽選をしてください!」
俺とメアさんは別々の箱の前に立つ
俺は箱に手を入れる
まだまだ大量の紙が入っている
そして、ひとつだけ気になった紙があった
(この紙に呼ばれてる気がする)
そして、俺は、その紙を取り出しDJに渡す
同じタイミングでメアさんも渡した
「んーと…これは…」
そこで、DJの顔がかたまった





「トウヤ=キリュウとメア=ユートピアは!Aブロック1番!開幕戦だぁ!」
俺は、思わずスクリーンを見る
同じタイミングでメアさんもスクリーンを見た




まじかよ!!!!
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