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第4章 魔導都市の陰謀

14-5 大地の神殿 2

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 入口を突破すると、中は結構広かった。
 細い通路、というよりは大きな部屋がある。天井も高く、そこにも岩でできた巨大なドラゴンの石像が置かれている。

「キリがないな・・・」

 ほんと。さっきから見ている限り、敵はどこから出てくるのか倒しても倒してもキリがない。
 そもそも、こっちは戦闘できるのが4人。相手は400人いれば一人100人倒さなくてはいけない。
 こういうとき、弓しか使えない私はもどかしい・・・。

凍氷障砕陣フィル・ウォール

 銀色に煌く水色の壁が私たちに周りに広がった。

「なに?これ」

 ふわふわと揺れながら青い光はゆっくりと私たちを中心に広がっていった。

「触らないほうがいいわよ」

「えっ?」

 そっとアメリアが指をさす。

「ああなるから」

 私の視線の先には、体が凍りついていく敵の姿。
 腕から、腹から、武器が凍りついたものもいる。

「触れたものを凍らせる死のカーテン、ってとこかしら。」

「ほんと、お前は怖い魔女だな」

 自慢げに話すアメリア。その姿に水をさすトキ

「何よその言い方、いい?アリシアの方が私なんかよりも怖いのよ?国がほんとに消し飛ぶくらいこの子は
 強いのよ?」

 消し飛ぶ?怖い?の言葉に怪訝な顔をするアリシア。

「その言い方・・・。褒めてるの?」

「褒めてる?っていうか、尊敬してるわ!あなたはその魔力があればなんでもできるんだから!」

「なんでも・・・ねぇ」

「若、今はそのような言葉遊びをしている場合では・・・」

 ため息をつきながらティグレが注意をするが、アメリアはあまり懲りていないようだった。

「そ、そうだな。すまん。とりあえず、どうするか。」

「きらとアリシアは、自分の姉妹がいるとこわからないの?」

「そんな、わかるわけないじゃん!」

 いきなり何を言い出すの?そんなテレパシーが使えたら拉致られてもすぐに居場所もわかるから苦労しないわよ。

「どうしよっか、二手に分かれる?」

「あぶなくないか?」

 二手に分かれることに嫌そうな態度なトキ。
 それとは反対にティグレは賛成そうだった。

「女子チーム対、男子チームでどう?」

「お前、遊んでないか?」

「遊んでなんかないわよ!戦力的にも、きららはほとんど戦えないんだから分割でしょ?」

「まぁ、それはそうかもしれないが」

 悪かったわね。いつもながら戦闘では役立たずで・・・。
 ってか、トキも認めるんじゃないわよ。こんな狭いところでなかったら私だって弓が使えるのに!

「決まりね。もし、そららを見つけたら大きな音を立てること。そしたらそこへ全員集合!OK?」

「お前、いつから指揮官になったんだ?」

「こまいこと気にしないの!行くよ!」

 アメリアの言葉が終わると、銀色に煌めいていた青い壁が消えていった。
 その瞬間に、多くの敵がなだれ込んでくる。

「荒ぶる魂燃える躯。我が前に立ちふさがる愚かなる者へ裁きの炎を!獄炎神召陣ヴァルカノイド・テラ!」

 アリシアを中心に炎が渦巻く。
 その炎は赤からオレンジへ、と色を変え、青く輝く炎になる。
 青い炎は凝縮されていき、眩い閃光とともに獣の姿をしてその身を表した。

「蹂躙せよ!青き獣!」

 アリシアの言葉を聞き咆哮を上げると、獣は神殿に溢れる敵をものの数秒で灰とかす。
 あたりには煙すら上がらずに焦げた肉片、炭になった敵が転がっている。

 パチンッ!・・・

 アリシアが指を鳴らすと獣はその姿をエルと同じくらいのサイズに変えた。

「それ、小さくできるの?」

 エルの隣に並ぶ小さい、青い獣を見下ろした。いつもは、見上げてばかりだから上から見ると変な感じ。

「うん、こないだできた。」

「あんた、どんどん人間離れしていくわね・・・」

「失礼な。アリスはまだまだ成長中なだけ」

 本気で嫌そうな顔をするアメリアに憤慨のアリシア。でも、ここ最近成長が著しい。いろいろなことができるようになってきた。
 一方、トキは初めて見るアリシアの攻撃に驚きを隠せなかった。
 ティグレに関しても言葉を発していない。
 焦げる肉片。散らばる炭。一瞬の、断末魔と言う音楽の中を踊るように炎を操り敵を殲滅するアリシアの姿。それは初めて見るものには衝撃かも知れない。

「それじゃ、私たち行くわよ?」

「あ、あぁ。・・・」

「ちょっと!大丈夫?そんな不抜けて!」

「いや、すごいな、と。・・・炎の魔道士は見たことあるが、こんな鮮やかな使い方は初めてみた。さしずめ、炎の巫女だな。」

「炎の巫女?」

「あぁ、無事に会えたら教えてやる。だから、死なずに行ってこい!!」

「そっちこそ、殺されんじゃないわよ!?」

 なんて物騒な会話をするのかしら。この二人。
 でも、こんな時でも笑える仲間が居るっていうのはいいわね。
 私たちはアメリアに先導されるがまま左にあった入口に進んだ。
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