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第3章 宮廷に潜む闇
12-9 炎VS氷、時々闇
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「ああぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!」
闘技場にアリシアの声が響くと、大地から吹き上がる炎の威力がドンドン強くなる。
「こ、これほどとは・・・」
リカが怯えた笑顔でその光景を見ていた。
すでに観客もなにがなんだかわかっていない状態だった。
今そこで現状を理解しているのは、魔導の知識がある一部だけだ。
ポンッ!
「アリシアっ!遅いよ!!」
赤い煙が弾けると、アリシアの頭上にピンクのモフモフした羊が現れる。
私たちには見慣れた小生意気な羊。
初めて見るものにはそこそこ可愛くて、まぁ、そのギャップが・・・。
でも、なんでも知ってて、強くて、頼りになるやつ。
「フレイア、まだ呼んでない」
「感動の対面で、そんなこと言う?」
「別に・・・。」
「それに、こんな歪な魔法陣で召喚されて文句言わないなんてありがたいでしょ?」
「文句あるなら帰ればいい」
「なんだよ!呼ばれても来てやらないぞ!!」
なんか、銀色とピンク色が言い合っている。
そう言えば、こんなものだったな。この2人。
この風景。懐かしい・・・。
「私を無視するな!!暗焔龍咆」
アメリアの両手から放たれた黒い炎は一瞬でフレイアとアリシアの元へ襲いかかる。
「そっ!、総員!!対魔法障壁フルパワー!!」
「・・・はぁ。」
リカの声と同時に、アリシアがため息を落とす。
「溶炎壁」
「低級魔法も防げなかったのに、今更そんな―!!」
ゴオォォン!!
余裕のアメリアの顔が凍りつく。
凄まじい爆発と爆音を立てた黒い炎はアリシアの作った赤い魔法障壁に前に散ったのだ。
「う、うそっ!!さっきは氷魔弾も防げなかったのに・・・」
「だって、魔力温存しないといけないし、フレイアさえいれば魔力に遠慮はいらないし・・・ほら」
アリシアは自分の身長ほどの大きな円を両手で描き、巨大な火炎鎗を作り上げアメリアへ放つ。
「ウ、氷結壁!」
アメリアは向かってくる巨大な鎗を避けられないと判断するとすぐに水属性の魔法障壁を作り出した。
「あ、あの火力を1人で防ぐとは・・・・あの炎の鎗もなんなんだ。一体何なんだあいつは!?」
リカはその光景を見て口が塞がらないでいた。
「今まで、あんな魔法を使った新人はみたことないぞ。どれだけの修練をすればあんなふうになるんだ。」
「さ、さぁ?気がついたらやってましたけどどどどどおおぉ」
リカはそららの胸を掴んで前後左右に振っている。
ドォオン!!
爆発と同時に爆風が闘技場に吹き荒れる。巻き上がる粉塵の中に余裕の表情を失ったアメリアが立ち尽くしている。
「もう、やめよう。仲直りしよう?」
アリシアが片足を引きずりながらアメリアへ近づいていく。
「ふ、ふざけないでよ!!」
「ふざけてなんかない。痛いことしたり、怒ったり・・・悲しいよ。せっかく友達になれたのに」
「と、とも・・だち?」
「うん、アメリアも、トキも、フラン・・様もみんな。アリスの大事な友達。もちろんお姉ちゃんたちも。だから、仲良くしたい。悲しいこと、言わないで欲しい」
「無理よ・・・。そんなの」
「無理じゃない」
「・・・私が嫌だって言ってるの!!言うこと聞かせたいなら私に勝ってみなさいよ!!水撃波!!」
アリシアを凍える吹雪が襲う。地面がゆっくりと凍りつく中、アリシアは全く影響がなくそのままゆっくりと進む。
「こ、来ないでよ!!爆烈風!!」
アリシアは強風で一気に端まで吹き飛ばされてしまう。
「うぐぅっ・・」
宮廷魔導師たちの結界に叩きつけられて潰れたような悲鳴をあげる彼女。
アメリアは目に涙を浮かべながらその姿を見ていた。
「わからない・・・私は、何がしたいの?ともだ・ち?みんな、仲間なの?みんな・・・」
「そ、そうだよ・・。アリスも、きららももうアメリアと友達。だから、もうやめにしようよ」
「無理よ、無理、・・・無理なの!」
頭を左右に振り、髪を振り払うその姿は少し狂気じみたものを感じる。
「アリシア、落ち着かせないとダメだよ。正気とは思えないし・・・。このままじゃ近づけない」
「でも、・・・」
「アメリアも、言うこと聞かせたければ勝ってみろって言ったんだ。これ以上長引かせない方がいいよ」
「う、うん・・・。」
「黒炎魔弾!!」
「くるよ!!」
アメリアは黒く燃える炎の球を無数に作り出し、アリシアへ放つ。
「荒ぶる魂燃える躯。我が前に立ちふさがる愚かなる者へ裁きの炎を!獄炎神召陣!!」
アリシアの前に現れた青い炎の火種は周りの酸素を吸収しながら一気に大きく成長し、一瞬目も開けられないほどの閃光を放つと尻尾は蛇、コウモリの羽が生えて、胴体はライオン。合成獣キメラの姿をした青い炎を纏った獣になった。
アメリアの放った黒い炎は青き獣の前ではなんの力も持たず、そのまま吸収されてしまう。
「アリシア、勉強したね。さっきの黒炎魔弾バースト・フレアは闇属性でありながらも、その形状は炎だ。炎であれば、僕たちがより高度の魔法を使い、威力が上であれば打ち消す、もしくは吸収できる。少し離れてただけですごい進歩だよ。」
「アリス。出来る子ですから」
「・・・その輝石。きららとそららが頑張ったんだね。2人の気持ちがすごく伝わるよ」
「うん、あったかい。前の輝石とは違うけど、またこれでみんな一緒。」
「そうだね。でも、あのアメリアって人の魔法、ほんとに闇魔法?なんか違う感じがするんだけどなぁ」
「違うって?」
「うまく言えないけど・・・質?」
「全然わかんない」
「動かなくなれば確認できるんだけど?」
「アメリアを傷つけたくない!」
「でも、向こうはそんなこと思ってないみたいだよ?」
フレイアが視線をアメリアへ向けると、そこには青い光を身体に纏ったアメリアが立っている。
「水の精霊アクアよ。我が呼び声に答えよ。深き海より来りてその力を我に示せ。神に創造されしその力、遠き精霊界より門を開きて、今ここに闇を討ち消す力となれ!」
アメリアがゆっくりと右手を広げて前に突き出すと、青白い冷気の球が現れる。
その球から伸びる冷気の気流によって闘技場の上空に青白い冷気の魔法陣が浮かび上がる。
「ほら、早く決着つけないから・・・」
「氷魔降神撃!」
フレイアの見つめる先の方。
闘技場にアリシアの声が響くと、大地から吹き上がる炎の威力がドンドン強くなる。
「こ、これほどとは・・・」
リカが怯えた笑顔でその光景を見ていた。
すでに観客もなにがなんだかわかっていない状態だった。
今そこで現状を理解しているのは、魔導の知識がある一部だけだ。
ポンッ!
「アリシアっ!遅いよ!!」
赤い煙が弾けると、アリシアの頭上にピンクのモフモフした羊が現れる。
私たちには見慣れた小生意気な羊。
初めて見るものにはそこそこ可愛くて、まぁ、そのギャップが・・・。
でも、なんでも知ってて、強くて、頼りになるやつ。
「フレイア、まだ呼んでない」
「感動の対面で、そんなこと言う?」
「別に・・・。」
「それに、こんな歪な魔法陣で召喚されて文句言わないなんてありがたいでしょ?」
「文句あるなら帰ればいい」
「なんだよ!呼ばれても来てやらないぞ!!」
なんか、銀色とピンク色が言い合っている。
そう言えば、こんなものだったな。この2人。
この風景。懐かしい・・・。
「私を無視するな!!暗焔龍咆」
アメリアの両手から放たれた黒い炎は一瞬でフレイアとアリシアの元へ襲いかかる。
「そっ!、総員!!対魔法障壁フルパワー!!」
「・・・はぁ。」
リカの声と同時に、アリシアがため息を落とす。
「溶炎壁」
「低級魔法も防げなかったのに、今更そんな―!!」
ゴオォォン!!
余裕のアメリアの顔が凍りつく。
凄まじい爆発と爆音を立てた黒い炎はアリシアの作った赤い魔法障壁に前に散ったのだ。
「う、うそっ!!さっきは氷魔弾も防げなかったのに・・・」
「だって、魔力温存しないといけないし、フレイアさえいれば魔力に遠慮はいらないし・・・ほら」
アリシアは自分の身長ほどの大きな円を両手で描き、巨大な火炎鎗を作り上げアメリアへ放つ。
「ウ、氷結壁!」
アメリアは向かってくる巨大な鎗を避けられないと判断するとすぐに水属性の魔法障壁を作り出した。
「あ、あの火力を1人で防ぐとは・・・・あの炎の鎗もなんなんだ。一体何なんだあいつは!?」
リカはその光景を見て口が塞がらないでいた。
「今まで、あんな魔法を使った新人はみたことないぞ。どれだけの修練をすればあんなふうになるんだ。」
「さ、さぁ?気がついたらやってましたけどどどどどおおぉ」
リカはそららの胸を掴んで前後左右に振っている。
ドォオン!!
爆発と同時に爆風が闘技場に吹き荒れる。巻き上がる粉塵の中に余裕の表情を失ったアメリアが立ち尽くしている。
「もう、やめよう。仲直りしよう?」
アリシアが片足を引きずりながらアメリアへ近づいていく。
「ふ、ふざけないでよ!!」
「ふざけてなんかない。痛いことしたり、怒ったり・・・悲しいよ。せっかく友達になれたのに」
「と、とも・・だち?」
「うん、アメリアも、トキも、フラン・・様もみんな。アリスの大事な友達。もちろんお姉ちゃんたちも。だから、仲良くしたい。悲しいこと、言わないで欲しい」
「無理よ・・・。そんなの」
「無理じゃない」
「・・・私が嫌だって言ってるの!!言うこと聞かせたいなら私に勝ってみなさいよ!!水撃波!!」
アリシアを凍える吹雪が襲う。地面がゆっくりと凍りつく中、アリシアは全く影響がなくそのままゆっくりと進む。
「こ、来ないでよ!!爆烈風!!」
アリシアは強風で一気に端まで吹き飛ばされてしまう。
「うぐぅっ・・」
宮廷魔導師たちの結界に叩きつけられて潰れたような悲鳴をあげる彼女。
アメリアは目に涙を浮かべながらその姿を見ていた。
「わからない・・・私は、何がしたいの?ともだ・ち?みんな、仲間なの?みんな・・・」
「そ、そうだよ・・。アリスも、きららももうアメリアと友達。だから、もうやめにしようよ」
「無理よ、無理、・・・無理なの!」
頭を左右に振り、髪を振り払うその姿は少し狂気じみたものを感じる。
「アリシア、落ち着かせないとダメだよ。正気とは思えないし・・・。このままじゃ近づけない」
「でも、・・・」
「アメリアも、言うこと聞かせたければ勝ってみろって言ったんだ。これ以上長引かせない方がいいよ」
「う、うん・・・。」
「黒炎魔弾!!」
「くるよ!!」
アメリアは黒く燃える炎の球を無数に作り出し、アリシアへ放つ。
「荒ぶる魂燃える躯。我が前に立ちふさがる愚かなる者へ裁きの炎を!獄炎神召陣!!」
アリシアの前に現れた青い炎の火種は周りの酸素を吸収しながら一気に大きく成長し、一瞬目も開けられないほどの閃光を放つと尻尾は蛇、コウモリの羽が生えて、胴体はライオン。合成獣キメラの姿をした青い炎を纏った獣になった。
アメリアの放った黒い炎は青き獣の前ではなんの力も持たず、そのまま吸収されてしまう。
「アリシア、勉強したね。さっきの黒炎魔弾バースト・フレアは闇属性でありながらも、その形状は炎だ。炎であれば、僕たちがより高度の魔法を使い、威力が上であれば打ち消す、もしくは吸収できる。少し離れてただけですごい進歩だよ。」
「アリス。出来る子ですから」
「・・・その輝石。きららとそららが頑張ったんだね。2人の気持ちがすごく伝わるよ」
「うん、あったかい。前の輝石とは違うけど、またこれでみんな一緒。」
「そうだね。でも、あのアメリアって人の魔法、ほんとに闇魔法?なんか違う感じがするんだけどなぁ」
「違うって?」
「うまく言えないけど・・・質?」
「全然わかんない」
「動かなくなれば確認できるんだけど?」
「アメリアを傷つけたくない!」
「でも、向こうはそんなこと思ってないみたいだよ?」
フレイアが視線をアメリアへ向けると、そこには青い光を身体に纏ったアメリアが立っている。
「水の精霊アクアよ。我が呼び声に答えよ。深き海より来りてその力を我に示せ。神に創造されしその力、遠き精霊界より門を開きて、今ここに闇を討ち消す力となれ!」
アメリアがゆっくりと右手を広げて前に突き出すと、青白い冷気の球が現れる。
その球から伸びる冷気の気流によって闘技場の上空に青白い冷気の魔法陣が浮かび上がる。
「ほら、早く決着つけないから・・・」
「氷魔降神撃!」
フレイアの見つめる先の方。
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