115 / 140
連載
241.(一旦没)
しおりを挟む
村と森の境界でソフィアちゃんが長い詠唱をしている。
ほとんどの魔法を無詠唱で使うソフィアちゃんが、ここまで気合を入れて魔法を唱えているのは珍しい。
けれど、それもそのはず、今回の魔法はムイムイさんたちを運ぶためのものなのだ。
しかも、ただ運べばいいってもんじゃない。10匹のムイムイさんを怖がらせない安全性、長旅でも不快なく過ごせる快適性、その他色々、ソフィアちゃんが納得するだけの基準を満たさなければならない。
「それでは行きます!」
そう言って、ソフィアちゃんが魔法を発動させると、村の近辺をうろついていたムイムイたちの体が宙に浮かぶ。
「ムィムィッ!!」
ムイムイたちは驚いて、空中で足をジタバタさせる。
でも、藁の寝床がたくさん飛んできて、ムイムイたちの足もとに置かれると、少し戸惑ったあと、その寝床に足を落ち着けた。何匹かのムイムイは藁の寝床から、歩いて外に出ようとするが、見えない風の壁みたいなものにやわらかくぽよんと跳ね返されて、やがて諦めて寝床に戻る。
そしてその寝所に、水と餌を入れた箱が飛んでくる。
「ムイ~」
すると、ムイムイたちはその場に座って、餌をもそもそと食べ始めた。
これがソフィアちゃんが、ムイムイさんたちが故郷まで快適に旅をしていただけるよう編み出した、ムイムイ運搬の専用魔法だ。
藁や餌入れは村の人たちが提供してくれた。さすがに家を壊されるよりはマシだと考えたのだろう。
それを支える壁や床は、ソフィアちゃんの魔法で空気を圧縮して作り出している。
ソフィアちゃんの魔法なら、壁や床などの素材も飛ばせばいいんじゃないかなって思うかもしれないけど、それだとムイムイさんのパワーに強度が足りなくて逆に危ないらしい。
これだけの複雑な魔法になると、ソフィアちゃんでも難しかったらしく、額には汗が浮かんでいる。
「大丈夫?」
そう尋ねる私に、ソフィアちゃんはこくりと頷いた。
「出発します」
そういってソフィアちゃんがムイムイたちと一緒に、宙に浮かび上がろうとしたとき、その足を小さな生き物が叩いた。
「パゥチゥ!」
それは小さなムイムイだった。
他のムイムイは家を壊すほどのサイズがあるのに、そのムイムイだけは小型犬ぐらいのサイズだった。
それを見た瞬間、ソフィアちゃんは魔法を発動させたも忘れて目を輝かせた。
「わぁ!! パウチウです!」
「パウチウ……? ムイムイじゃないの……?」
私が尋ねると、ソフィアちゃんはパウチウ(?)を抱き上げながら説明してくれた――ソフィアちゃんに抱き上げられたパウチウは、足をじたばたさせている。
「パウチウはムイムイの幼体なんです。外見は同じようですけど、大きくなるときに体の構造が別物のように変化しているそうです。だから、幼体と成体で別の名前が付けられてるんです。私がもってるぬいぐるみも正確にはパウチウの方なんです」
なるほど、特に仕入れるつもりのない知識がついてしまった。
ソフィアちゃんはパウチウを抱きかかえながら、自身も宙に浮かび上がる。
とりあえず、ソフィアちゃんとムイムイたちは森の上を飛んで進んでいく。障害物なども考えると、これが一番効率が良い。
私は森を歩いて、それに随伴していく。
村の人が見守る中、私たちはムイムイを別の森に移すための旅に出発した。
***
道のない森を歩く私の頭上、ふよふよと浮かびながらムイムイたちを運搬するソフィアちゃんの姿が見える。
私は声をかける。
「ソフィアちゃん、そろそろお水飲んだら~?」
私が随伴する理由は、ソフィアちゃんの体調管理だ。
普通でも水や食事がいる長旅、ソフィアちゃんは魔法を持続させなければならない。ソフィアちゃん用の水を準備したり、食事を作っておいたり、とりあえずソフィアちゃんの健康を損なわないようにしなければならない。
「は~い」
ソフィアちゃんはふよふよと降りてきて、私の差し出した水を飲む。
ソフィアちゃんの腕に抱えられているパウチウも何やら水を飲みたがってたので、手に移して飲ませてあげる。私の手にベロベロとよだれがついた……気にしない。
「それ持ってるの疲れない? 私が持とうか?」
パウチウを抱えているソフィアちゃんにそう言うと笑顔で「いえ、元気がでます!」と返ってきた。あらためてソフィアちゃんって、根性論の世界に生きてるなと思う。私が気をつけてやらねばなるまい……。
「エトワさまを抱えさせていただけたらもっと元気がでます」
「いや、荷物も重いし遠慮しておくよ……」
とりあえず、ソフィアちゃんの疲労を考えなければ、旅はおだやかなものだった。またムイムイたちの運搬のために空に戻ったソフィアちゃんについていく。
***
「ソフィアちゃーん、お昼だよ~」
運搬を開始して、五時間ほど、お昼になったので、作ったサンドイッチを掲げた。ソフィアちゃんは空から降りてきて、口をあーんと開ける。
その口に、サンドイッチを入れてあげる。
「美味しいです、ありがとうございます、エトワさま!」
ソフィアちゃんは本当に美味しそうに食べてくれた。パウチウが物欲しそうに舌をベロベロさせたので、私のサンドイッチを半分ちぎってあげる。
パウチウはわざわざ私の手をベロベロと舐めましてから、それを食べた。手がまたべとべとになる……気にしない……気にしてない……。
私は手を拭ったあと、ソフィアちゃんの汗を拭いたり、水を飲ませてあげたりした。
しばらく、その場で立ち止まる。
すると天輝さんの声が頭に響く。
『エトワ、誰かから追跡されているようだ』
(追跡……?)
ええ、全然気づかなかった。
『今日のお前はソフィアのことばかり気にしてるからな。そのせいで今もはっきりとは捉えきれない。相手が気配を消すのをうまいせいもあるだろう』
うーん、追跡かぁ。どんな相手だろう。危ない相手じゃなければいいんだけど。
『なんとなくだけど敵意はないと思うよ』
◯ップルペンシルさんがそう言ってくれる。彼女は精神系の魔法を使えるせいか、そういうことを察知するのにも優れているようだった。魔法とはまた違う勘みたいなものだろうけど。
さて、どうしよう、と思っていたら、ソフィアちゃんが降りてきた。
「エトワさま、向こうから人が近づいてきます」
ソフィアちゃんが指した方向を向くと、冒険者風の格好の大人たちが木の陰から姿を現した。その人たちは驚いた顔で上空を見上げる。
「うわっ、本当にムイムイが空を飛んでいる!?」
「な、なんだこれは!?」
面食らった表情で、宙に浮かぶソフィアちゃん特製ムイムイ牧場を見る冒険者の人たち。その人たちにソフィアちゃんが頭を下げた。
「すみません、これは私の魔法です。お騒がせしてます」
「き、君たちがやったことなのかい?」
「まさか、魔族じゃないだろうな……」
恐る恐ると言った感じでたずねる冒険者の人たち。
この世界では魔族が使う魔法と人が使う魔法は、明確に違うものだとされている。この状況で、ソフィアちゃんを魔族と勘違いしかけるということは、そこまで経験豊富な冒険者ではなさそうだ。
私は余計な争いを避けるため、積極的に間に入って説明することにした。
「いえいえ、この子はフィン侯爵家のご息女のソフィアちゃんですよ」
「そしてこちらが私の主のエトワさまです」
とりあえずソフィアちゃんのことをきちんと紹介する。するとソフィアちゃんも私のことを紹介して、お互いがお互いの自己紹介(?)をすることになってしまった。
「フィン侯爵家!? あの五侯家の!」
フィン侯爵家と聞いて、冒険者の人たちの表情が変わる。やっぱりその名声は、いろんな場所で響き渡ってるようだ。
私は疲れ気味のソフィアちゃんに変わって、彼らに詳しい事情を説明した。高位貴族の令嬢がいるということで、相手の対応も丁寧になる。彼らの方も、空を飛ぶモンスターの目撃情報があって、緊急調査を依頼されたと教えてくれた。
「お騒がせしてすみません。とりあえずこのムイムイは私とソフィアちゃんでなんとか運んで見せますので、どうか穏便にギルドの人にもご報告していただけたらと~」
「わかりました……。確かにムイムイは食料さえ狙われなければ害のあるモンスターではないですからね……。まあ倒してしまう方が楽……いえ、なんでもありません」
倒してという言葉に、ソフィアちゃんの表情が悲しそうに変わったのを見て、冒険者のリーダーらしき人は慌ててごまかした。
実際、襲われる村からすれば、倒す方が現実的なアイディアだと思う。ソフィアちゃんみたいな特別な力をもった人間ですら、運ぶのは一苦労なわけだから。
「報告の件、なにとぞよろしくお願いします。あと、食料なんかを売っていただけたら嬉しいです~」
「は、はあ、構いませんが……」
その後は、冒険者の人たちに余分な食料を売ってもらって別れた。彼らは調査に来ただけなので、バッグに入れた食料をほとんど譲ってくれた。
そういえば天輝さんが教えてくれた追跡してるという相手も、彼らだったのだろうか……。
※お寄せいただいたアイディアのおかげでなんとかムイムイ問題が解決しました。いろんなアイディアをくださってありがとうございます!
ほとんどの魔法を無詠唱で使うソフィアちゃんが、ここまで気合を入れて魔法を唱えているのは珍しい。
けれど、それもそのはず、今回の魔法はムイムイさんたちを運ぶためのものなのだ。
しかも、ただ運べばいいってもんじゃない。10匹のムイムイさんを怖がらせない安全性、長旅でも不快なく過ごせる快適性、その他色々、ソフィアちゃんが納得するだけの基準を満たさなければならない。
「それでは行きます!」
そう言って、ソフィアちゃんが魔法を発動させると、村の近辺をうろついていたムイムイたちの体が宙に浮かぶ。
「ムィムィッ!!」
ムイムイたちは驚いて、空中で足をジタバタさせる。
でも、藁の寝床がたくさん飛んできて、ムイムイたちの足もとに置かれると、少し戸惑ったあと、その寝床に足を落ち着けた。何匹かのムイムイは藁の寝床から、歩いて外に出ようとするが、見えない風の壁みたいなものにやわらかくぽよんと跳ね返されて、やがて諦めて寝床に戻る。
そしてその寝所に、水と餌を入れた箱が飛んでくる。
「ムイ~」
すると、ムイムイたちはその場に座って、餌をもそもそと食べ始めた。
これがソフィアちゃんが、ムイムイさんたちが故郷まで快適に旅をしていただけるよう編み出した、ムイムイ運搬の専用魔法だ。
藁や餌入れは村の人たちが提供してくれた。さすがに家を壊されるよりはマシだと考えたのだろう。
それを支える壁や床は、ソフィアちゃんの魔法で空気を圧縮して作り出している。
ソフィアちゃんの魔法なら、壁や床などの素材も飛ばせばいいんじゃないかなって思うかもしれないけど、それだとムイムイさんのパワーに強度が足りなくて逆に危ないらしい。
これだけの複雑な魔法になると、ソフィアちゃんでも難しかったらしく、額には汗が浮かんでいる。
「大丈夫?」
そう尋ねる私に、ソフィアちゃんはこくりと頷いた。
「出発します」
そういってソフィアちゃんがムイムイたちと一緒に、宙に浮かび上がろうとしたとき、その足を小さな生き物が叩いた。
「パゥチゥ!」
それは小さなムイムイだった。
他のムイムイは家を壊すほどのサイズがあるのに、そのムイムイだけは小型犬ぐらいのサイズだった。
それを見た瞬間、ソフィアちゃんは魔法を発動させたも忘れて目を輝かせた。
「わぁ!! パウチウです!」
「パウチウ……? ムイムイじゃないの……?」
私が尋ねると、ソフィアちゃんはパウチウ(?)を抱き上げながら説明してくれた――ソフィアちゃんに抱き上げられたパウチウは、足をじたばたさせている。
「パウチウはムイムイの幼体なんです。外見は同じようですけど、大きくなるときに体の構造が別物のように変化しているそうです。だから、幼体と成体で別の名前が付けられてるんです。私がもってるぬいぐるみも正確にはパウチウの方なんです」
なるほど、特に仕入れるつもりのない知識がついてしまった。
ソフィアちゃんはパウチウを抱きかかえながら、自身も宙に浮かび上がる。
とりあえず、ソフィアちゃんとムイムイたちは森の上を飛んで進んでいく。障害物なども考えると、これが一番効率が良い。
私は森を歩いて、それに随伴していく。
村の人が見守る中、私たちはムイムイを別の森に移すための旅に出発した。
***
道のない森を歩く私の頭上、ふよふよと浮かびながらムイムイたちを運搬するソフィアちゃんの姿が見える。
私は声をかける。
「ソフィアちゃん、そろそろお水飲んだら~?」
私が随伴する理由は、ソフィアちゃんの体調管理だ。
普通でも水や食事がいる長旅、ソフィアちゃんは魔法を持続させなければならない。ソフィアちゃん用の水を準備したり、食事を作っておいたり、とりあえずソフィアちゃんの健康を損なわないようにしなければならない。
「は~い」
ソフィアちゃんはふよふよと降りてきて、私の差し出した水を飲む。
ソフィアちゃんの腕に抱えられているパウチウも何やら水を飲みたがってたので、手に移して飲ませてあげる。私の手にベロベロとよだれがついた……気にしない。
「それ持ってるの疲れない? 私が持とうか?」
パウチウを抱えているソフィアちゃんにそう言うと笑顔で「いえ、元気がでます!」と返ってきた。あらためてソフィアちゃんって、根性論の世界に生きてるなと思う。私が気をつけてやらねばなるまい……。
「エトワさまを抱えさせていただけたらもっと元気がでます」
「いや、荷物も重いし遠慮しておくよ……」
とりあえず、ソフィアちゃんの疲労を考えなければ、旅はおだやかなものだった。またムイムイたちの運搬のために空に戻ったソフィアちゃんについていく。
***
「ソフィアちゃーん、お昼だよ~」
運搬を開始して、五時間ほど、お昼になったので、作ったサンドイッチを掲げた。ソフィアちゃんは空から降りてきて、口をあーんと開ける。
その口に、サンドイッチを入れてあげる。
「美味しいです、ありがとうございます、エトワさま!」
ソフィアちゃんは本当に美味しそうに食べてくれた。パウチウが物欲しそうに舌をベロベロさせたので、私のサンドイッチを半分ちぎってあげる。
パウチウはわざわざ私の手をベロベロと舐めましてから、それを食べた。手がまたべとべとになる……気にしない……気にしてない……。
私は手を拭ったあと、ソフィアちゃんの汗を拭いたり、水を飲ませてあげたりした。
しばらく、その場で立ち止まる。
すると天輝さんの声が頭に響く。
『エトワ、誰かから追跡されているようだ』
(追跡……?)
ええ、全然気づかなかった。
『今日のお前はソフィアのことばかり気にしてるからな。そのせいで今もはっきりとは捉えきれない。相手が気配を消すのをうまいせいもあるだろう』
うーん、追跡かぁ。どんな相手だろう。危ない相手じゃなければいいんだけど。
『なんとなくだけど敵意はないと思うよ』
◯ップルペンシルさんがそう言ってくれる。彼女は精神系の魔法を使えるせいか、そういうことを察知するのにも優れているようだった。魔法とはまた違う勘みたいなものだろうけど。
さて、どうしよう、と思っていたら、ソフィアちゃんが降りてきた。
「エトワさま、向こうから人が近づいてきます」
ソフィアちゃんが指した方向を向くと、冒険者風の格好の大人たちが木の陰から姿を現した。その人たちは驚いた顔で上空を見上げる。
「うわっ、本当にムイムイが空を飛んでいる!?」
「な、なんだこれは!?」
面食らった表情で、宙に浮かぶソフィアちゃん特製ムイムイ牧場を見る冒険者の人たち。その人たちにソフィアちゃんが頭を下げた。
「すみません、これは私の魔法です。お騒がせしてます」
「き、君たちがやったことなのかい?」
「まさか、魔族じゃないだろうな……」
恐る恐ると言った感じでたずねる冒険者の人たち。
この世界では魔族が使う魔法と人が使う魔法は、明確に違うものだとされている。この状況で、ソフィアちゃんを魔族と勘違いしかけるということは、そこまで経験豊富な冒険者ではなさそうだ。
私は余計な争いを避けるため、積極的に間に入って説明することにした。
「いえいえ、この子はフィン侯爵家のご息女のソフィアちゃんですよ」
「そしてこちらが私の主のエトワさまです」
とりあえずソフィアちゃんのことをきちんと紹介する。するとソフィアちゃんも私のことを紹介して、お互いがお互いの自己紹介(?)をすることになってしまった。
「フィン侯爵家!? あの五侯家の!」
フィン侯爵家と聞いて、冒険者の人たちの表情が変わる。やっぱりその名声は、いろんな場所で響き渡ってるようだ。
私は疲れ気味のソフィアちゃんに変わって、彼らに詳しい事情を説明した。高位貴族の令嬢がいるということで、相手の対応も丁寧になる。彼らの方も、空を飛ぶモンスターの目撃情報があって、緊急調査を依頼されたと教えてくれた。
「お騒がせしてすみません。とりあえずこのムイムイは私とソフィアちゃんでなんとか運んで見せますので、どうか穏便にギルドの人にもご報告していただけたらと~」
「わかりました……。確かにムイムイは食料さえ狙われなければ害のあるモンスターではないですからね……。まあ倒してしまう方が楽……いえ、なんでもありません」
倒してという言葉に、ソフィアちゃんの表情が悲しそうに変わったのを見て、冒険者のリーダーらしき人は慌ててごまかした。
実際、襲われる村からすれば、倒す方が現実的なアイディアだと思う。ソフィアちゃんみたいな特別な力をもった人間ですら、運ぶのは一苦労なわけだから。
「報告の件、なにとぞよろしくお願いします。あと、食料なんかを売っていただけたら嬉しいです~」
「は、はあ、構いませんが……」
その後は、冒険者の人たちに余分な食料を売ってもらって別れた。彼らは調査に来ただけなので、バッグに入れた食料をほとんど譲ってくれた。
そういえば天輝さんが教えてくれた追跡してるという相手も、彼らだったのだろうか……。
※お寄せいただいたアイディアのおかげでなんとかムイムイ問題が解決しました。いろんなアイディアをくださってありがとうございます!
61
お気に入りに追加
15,283
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。