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連載
232.それゆけ冒険者たち
しおりを挟むリリーシィちゃん……ポムチョム冒険者学校でエトワと仲良しの女の子。明るく元気!
エルフィス……エトワが3年生のころにポムチョム冒険者学校に転校して来た剣術の名家とされる商家の女の子。ツンツンしてる。登場話数は163話から。
私さんの行方不明事件から私さんが帰ってきて、はや三週間!
いやー戻ってきてくれて良かったですね。私も私さんのことは心配してましたよ。はい、いろんな方にご心配をおかけすることになってしまいましたね。私さん何かコメントはありますでしょうか。はい、おっほん、こうして戻ってきてこられたのもご心配くださったみなさんのおかげだと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。
帰ってきてからも、お母様の社交界復帰パーティーに招待されたり、それが終わると私たちが暮らしているルヴェンドのお屋敷にお母様がやってきたり、『まだやり終えてない公爵夫人のお仕事があるでしょう』とお付きの侍女の人に連れていかれたり、いろいろありました。
そんな私なのですが近頃はまあまあ平和に過ごしております。
今日はお休みの日なので、ソフィアちゃんと観劇に行ってまいりました。
「エトワさまは最近、絵本を読まれてるんですか?」
そんな観劇の帰り道、私は書店によって本を買っていた。
この世界の本は、一応印刷技術があるせいか、そんなに高くはない……安くもないけど。
元の世界でいうと、だいたいゲーム一本分ぐらいの値段で買えるものが多い。絵がつく本になると、もうちょっと高いかも。
私が買った本も、ページ数は少ないけど、色の付いた絵が入ってるのでそれなりのお値段はしてしまった。それがお買い物用の手提げかばんに五冊ぐらい入っている。
「うん~、なんだか読みたくなっちゃってね~」
あの行方不明事件以来、不思議と絵本に目が行くようになってしまったのだ。
なんとなく気になって手にとって読むようになり、読んでみるとなかなか面白くて、ちょっとハマってしまった。劇のチケット代に絵本代と、今月のお小遣いはすっかりピンチだ。
「私、知らない本が多くてねぇ。読んでみると楽しいよね」
「はい! 私も楽しくて、2歳のころにたくさん集めて読んでしまいました!」
2歳……それは早いよ……。
しかも、もしかして自分で読んでたの? お母さんに読んでもらうんじゃなくて。
私はまたソフィアちゃんの天才児っぷりを知ってしまった。
出会ったころが4歳で、その頃にはきはきしゃべってたんだから、不思議ではないけれど……。やっぱりこの子達って頭の出来が私たちとは違うんだなぁ……。
***
「今日はみなさんに冒険者免許を取ってもらおうと思います」
ポムチョム小学校の授業、授業開始早々のウィークマン先生の言葉に子供たちは目を輝かせた。
「わー! 冒険者免許ー!!」
「ついに俺たちも冒険者かー!」
そんな中、エルフィスちゃん——ポムチョム小学校に転校してきて一年、だいぶクラスにも馴染んできた——は大人ぶった仕草で腕を組んで言う。
「ふん、みんな子供ね。冒険者免許ぐらいで騒いじゃって」
そう言いながらも、椅子に座る肩から上が細かく左右に揺れていた。嬉しさを隠しきれてない。
私はというと、ちょっと心配になってた。だって、私たちまだ小学四年生だ。冒険者として活動をはじめるのは、ちょっと早いんじゃないかな。
そう思ってたら、ウィークマン先生と目が合った。
「大丈夫ですよ、エトワさん。受ける依頼の管理は、ギルド側でやってくれますから。冒険者学校を卒業するまでは先生の許可がないと、免許をもってても依頼は受けさせてもらえません。今回は実際に冒険者の仕事を体験してもらう感じです。もちろん、あちらで子供たちの実力に合った安全なものを選んで頂いてます」
考えを読まれてた……。
確かにいつまでも授業だけでは、学べる範囲にも限界があるよね。この世界の子供の独り立ちは、私がいる世界よりも早い。このぐらいの年齢でも、少しずつ実践を学んでいくべきなのかもしれない。
……やっぱりまだちょっと早いんじゃないかと思ってるけど。
※短めですが。
今年一年ありがとうございました。良いお年を。
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