公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!

小択出新都

文字の大きさ
上 下
106 / 146
連載

232.それゆけ冒険者たち

しおりを挟む

リリーシィちゃん……ポムチョム冒険者学校でエトワと仲良しの女の子。明るく元気!
エルフィス……エトワが3年生のころにポムチョム冒険者学校に転校して来た剣術の名家とされる商家の女の子。ツンツンしてる。登場話数は163話から。


 私さんの行方不明事件から私さんが帰ってきて、はや三週間!
 いやー戻ってきてくれて良かったですね。私も私さんのことは心配してましたよ。はい、いろんな方にご心配をおかけすることになってしまいましたね。私さん何かコメントはありますでしょうか。はい、おっほん、こうして戻ってきてこられたのもご心配くださったみなさんのおかげだと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。

 帰ってきてからも、お母様の社交界復帰パーティーに招待されたり、それが終わると私たちが暮らしているルヴェンドのお屋敷にお母様がやってきたり、『まだやり終えてない公爵夫人のお仕事があるでしょう』とお付きの侍女の人に連れていかれたり、いろいろありました。

 そんな私なのですが近頃はまあまあ平和に過ごしております。
 今日はお休みの日なので、ソフィアちゃんと観劇に行ってまいりました。

「エトワさまは最近、絵本を読まれてるんですか?」

 そんな観劇の帰り道、私は書店によって本を買っていた。
 この世界の本は、一応印刷技術があるせいか、そんなに高くはない……安くもないけど。
 元の世界でいうと、だいたいゲーム一本分ぐらいの値段で買えるものが多い。絵がつく本になると、もうちょっと高いかも。

 私が買った本も、ページ数は少ないけど、色の付いた絵が入ってるのでそれなりのお値段はしてしまった。それがお買い物用の手提げかばんに五冊ぐらい入っている。

「うん~、なんだか読みたくなっちゃってね~」

 あの行方不明事件以来、不思議と絵本に目が行くようになってしまったのだ。
 なんとなく気になって手にとって読むようになり、読んでみるとなかなか面白くて、ちょっとハマってしまった。劇のチケット代に絵本代と、今月のお小遣いはすっかりピンチだ。

「私、知らない本が多くてねぇ。読んでみると楽しいよね」
「はい! 私も楽しくて、2歳のころにたくさん集めて読んでしまいました!」

 2歳……それは早いよ……。
 しかも、もしかして自分で読んでたの? お母さんに読んでもらうんじゃなくて。

 私はまたソフィアちゃんの天才児っぷりを知ってしまった。
 出会ったころが4歳で、その頃にはきはきしゃべってたんだから、不思議ではないけれど……。やっぱりこの子達って頭の出来が私たちとは違うんだなぁ……。


***


「今日はみなさんに冒険者免許を取ってもらおうと思います」

 ポムチョム小学校の授業、授業開始早々のウィークマン先生の言葉に子供たちは目を輝かせた。

「わー! 冒険者免許ー!!」
「ついに俺たちも冒険者かー!」

 そんな中、エルフィスちゃん——ポムチョム小学校に転校してきて一年、だいぶクラスにも馴染んできた——は大人ぶった仕草で腕を組んで言う。

「ふん、みんな子供ね。冒険者免許ぐらいで騒いじゃって」

 そう言いながらも、椅子に座る肩から上が細かく左右に揺れていた。嬉しさを隠しきれてない。

 私はというと、ちょっと心配になってた。だって、私たちまだ小学四年生だ。冒険者として活動をはじめるのは、ちょっと早いんじゃないかな。
 そう思ってたら、ウィークマン先生と目が合った。

「大丈夫ですよ、エトワさん。受ける依頼の管理は、ギルド側でやってくれますから。冒険者学校を卒業するまでは先生の許可がないと、免許をもってても依頼は受けさせてもらえません。今回は実際に冒険者の仕事を体験してもらう感じです。もちろん、あちらで子供たちの実力に合った安全なものを選んで頂いてます」

 考えを読まれてた……。
 確かにいつまでも授業だけでは、学べる範囲にも限界があるよね。この世界の子供の独り立ちは、私がいる世界よりも早い。このぐらいの年齢でも、少しずつ実践を学んでいくべきなのかもしれない。
 ……やっぱりまだちょっと早いんじゃないかと思ってるけど。


※短めですが。
今年一年ありがとうございました。良いお年を。
しおりを挟む
感想 1,673

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?

藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」 9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。 そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。 幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。 叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。