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ユニ子の冒険者カードを見て、すぐにソーラのほうをみると、もう受付に張り付いておった。
「冒険者カード作って……」
声は普段どおりあまり出てないが、受付のお姉さんのほうにずいっと顔をよせているところに、その熱意がにじみでている。
受付のお姉さんはその迫力に思わず引いてしまった。
ここまでやる気をだすとは珍しいのう。
「は、はい。エインルーンの生徒さんですね。ではこの測定―――あ、はいそんな感じです……」
喰い気味の動作で、お姉さんがセリフをいい終わる前に、ソーラは測定器に手をかざしていた。
しばらくして結果がでてくる。
その結果を見て、受付のお姉さんの目が、さっきより見開く。
「う……うそ……」
かすれた声でそうつぶやくと、測定結果とソーラの姿を何度も見比べる。
それから恐る恐ると言った感じで名前を聞いた。
「銀色の髪と蒼白の瞳……。あの、お名前をお伺いしていいでしょうか!」
「ソーラ=ペルシード」
お姉さんはその名前を聞いて「この子があの……」とつぶやいた。それから姿勢をただし一礼する。
「このような場所でご対応してしまい申し訳ありません。いまから応接間にご案内――」
「いらない。はやくカードを……」
ソーラがまた喰い気味に言葉を割り込ませ、受付のお姉さんの提案をばっさり断り、カードだけを要求する。
「でも、召喚師協会でSランクと認定されてる方が冒険者になられる場合、いろんな特典が――」
「いらない。はやくカードを……」
カードを頂戴とお姉さんに手を差し出していたソーラの眉間に、ちょっと皺が寄った。
「そんな特典にはとてもお得な―――」
「いらない。はやくカードを……」
必死に説明しようとするが、ソーラに聞く気配はまったくない。
「どうぞ……」
何を話してもRPGのNPCのごとく「カードをよこせ」としかいわなくなってしまったソーラに、受付のお姉さんもついに何かをあきらめた。肩をおとして、カードをその手に渡す。
その瞳にはるーるーっと悲しそうな涙がうかんでた。
いいんじゃろうか……。
カードを受け取ったソーラはめずらしく興奮した調子でわしのほうに駆けて来て、両手でカードを突き出し、わしに見せてきた。
「ねぇ、ど、どう……?クロト……!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:ソーラ=ペルシード
冒険者Lv:13
身長149cm
体重:37 kg
B71 W56 H76
<ステータス>
体力:B
魔力:S
力:B
耐性:B
器用さ:C
すばやさ:B
知性:S
<スキル>
禁呪詠唱lv1 神呪詠唱lv1
高位悪魔召喚 真竜族召喚 幻獣召喚 高位精霊召喚
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
カードをわしに渡したソーラは何やらそわそわしておった。
「うむ、ぬしならばこれぐらい当然じゃな。あと身長のところは隠しておくんじゃぞ」
ソーラの強さを十分すぎるほど知っているわしは、あらためてソーラのステータスを見せられても特に言うことはなく、身長の部分にだけ注意しておいてカードを返した。
年頃の娘として、ほかの子みたいに恥じらいがないのだけが心配じゃ。あとちょっと成長が遅いのが……。
すると、ソーラは露骨にがっかりした。
そのままぷいっと後ろを向き、すねてしまう。
「クロトのバカ……」
むぅ?何がわるかったんじゃろう?
首をかしげると、横からミーフィアが囁いて教えてくれた。
「ソーラちゃん褒めてほしかったんですよ」
「なるほど、そういうことか!」
そういわれて納得する。
確かに誰でも褒められるとうれしいものじゃ。ミーフィアがうらやましかったんじゃな。
すっかり大人びてしまったと思っておったが、かわいい部分ものこっとるもんじゃ。
ここはひとつ盛大に褒めてやることにした。
「いやぁ、さすがは我があるじじゃ!Sランク召喚師の名は伊達ではない!実にみごとな魔力じゃ!これだけの力を持つ者は、このエイルーンにはおるまい。いよっ、エイルーンいちー!ぐほおああっ!」
「ほんとバカ……!」
「クロトさん、それただのよいしょです……」
なぜかわしの頭にソーラが召喚した異界の石がふりそそぎ、ミーフィアからもちょっとつめたい目で見られた。
「冒険者カード作って……」
声は普段どおりあまり出てないが、受付のお姉さんのほうにずいっと顔をよせているところに、その熱意がにじみでている。
受付のお姉さんはその迫力に思わず引いてしまった。
ここまでやる気をだすとは珍しいのう。
「は、はい。エインルーンの生徒さんですね。ではこの測定―――あ、はいそんな感じです……」
喰い気味の動作で、お姉さんがセリフをいい終わる前に、ソーラは測定器に手をかざしていた。
しばらくして結果がでてくる。
その結果を見て、受付のお姉さんの目が、さっきより見開く。
「う……うそ……」
かすれた声でそうつぶやくと、測定結果とソーラの姿を何度も見比べる。
それから恐る恐ると言った感じで名前を聞いた。
「銀色の髪と蒼白の瞳……。あの、お名前をお伺いしていいでしょうか!」
「ソーラ=ペルシード」
お姉さんはその名前を聞いて「この子があの……」とつぶやいた。それから姿勢をただし一礼する。
「このような場所でご対応してしまい申し訳ありません。いまから応接間にご案内――」
「いらない。はやくカードを……」
ソーラがまた喰い気味に言葉を割り込ませ、受付のお姉さんの提案をばっさり断り、カードだけを要求する。
「でも、召喚師協会でSランクと認定されてる方が冒険者になられる場合、いろんな特典が――」
「いらない。はやくカードを……」
カードを頂戴とお姉さんに手を差し出していたソーラの眉間に、ちょっと皺が寄った。
「そんな特典にはとてもお得な―――」
「いらない。はやくカードを……」
必死に説明しようとするが、ソーラに聞く気配はまったくない。
「どうぞ……」
何を話してもRPGのNPCのごとく「カードをよこせ」としかいわなくなってしまったソーラに、受付のお姉さんもついに何かをあきらめた。肩をおとして、カードをその手に渡す。
その瞳にはるーるーっと悲しそうな涙がうかんでた。
いいんじゃろうか……。
カードを受け取ったソーラはめずらしく興奮した調子でわしのほうに駆けて来て、両手でカードを突き出し、わしに見せてきた。
「ねぇ、ど、どう……?クロト……!」
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名前:ソーラ=ペルシード
冒険者Lv:13
身長149cm
体重:37 kg
B71 W56 H76
<ステータス>
体力:B
魔力:S
力:B
耐性:B
器用さ:C
すばやさ:B
知性:S
<スキル>
禁呪詠唱lv1 神呪詠唱lv1
高位悪魔召喚 真竜族召喚 幻獣召喚 高位精霊召喚
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カードをわしに渡したソーラは何やらそわそわしておった。
「うむ、ぬしならばこれぐらい当然じゃな。あと身長のところは隠しておくんじゃぞ」
ソーラの強さを十分すぎるほど知っているわしは、あらためてソーラのステータスを見せられても特に言うことはなく、身長の部分にだけ注意しておいてカードを返した。
年頃の娘として、ほかの子みたいに恥じらいがないのだけが心配じゃ。あとちょっと成長が遅いのが……。
すると、ソーラは露骨にがっかりした。
そのままぷいっと後ろを向き、すねてしまう。
「クロトのバカ……」
むぅ?何がわるかったんじゃろう?
首をかしげると、横からミーフィアが囁いて教えてくれた。
「ソーラちゃん褒めてほしかったんですよ」
「なるほど、そういうことか!」
そういわれて納得する。
確かに誰でも褒められるとうれしいものじゃ。ミーフィアがうらやましかったんじゃな。
すっかり大人びてしまったと思っておったが、かわいい部分ものこっとるもんじゃ。
ここはひとつ盛大に褒めてやることにした。
「いやぁ、さすがは我があるじじゃ!Sランク召喚師の名は伊達ではない!実にみごとな魔力じゃ!これだけの力を持つ者は、このエイルーンにはおるまい。いよっ、エイルーンいちー!ぐほおああっ!」
「ほんとバカ……!」
「クロトさん、それただのよいしょです……」
なぜかわしの頭にソーラが召喚した異界の石がふりそそぎ、ミーフィアからもちょっとつめたい目で見られた。
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こちらは更新停止のままですか?
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すみません、世界観をもうちょっと練りこんでリメイクしたいなぁっと思いつつ、でもきりのいいとこまで書いたほうがいいですよね。
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(あともしかしたら本格再開時(冒険者編以降は)なろうにお引越しするかもです……ごめんなさい……)
とても面白いです!クロトの渋い言葉使いがいいですね!
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